介護医療院の退所時栄養情報連携加算は、1月につき1回を限度に70単位です。令和6年度改定で新設されました。

退所する入所者の栄養管理の情報を、次の療養先へ管理栄養士が引き継いだことを評価します。ただし、栄養マネジメント強化加算を算定している場合、または栄養管理の基準を満たさず14単位の減算を受けている場合は算定できません。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのチの条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 退所時栄養情報連携加算の単位数(70単位、1月1回)
  • 対象が「特別食を必要とする人」「低栄養状態と医師が判断した人」であること
  • 退所先によって情報提供の相手が変わること
  • 情報提供を行うのが管理栄養士であること
  • 栄養マネジメント強化加算とは併算定できないこと
  • 特別介護医療院サービス費では算定できないこと
ちびウルフちびウルフ

栄養マネジメント強化加算を取っていると算定できないんですか?

リハウルフリハウルフ

条文にそう書かれています。強化加算はすでに手厚い栄養管理を評価しているので、退所時の情報提供もその範囲に含むという整理でしょう。強化加算を算定していない施設にとっては、退所のたびに算定できる貴重な加算です。

介護医療院の退所時栄養情報連携加算とは?

介護医療院の退所時栄養情報連携加算は、栄養管理に配慮が必要な入所者が退所するとき、その情報を次の療養先へ引き継いだことを評価する加算です。

介護医療院に長く入所していた人は、その施設の管理栄養士が把握している情報を大量に抱えています。どの食形態なら食べられるか、とろみの濃度はどのくらいか、どんな食品でむせやすいか、食事にどれくらい時間がかかるか。これらは診療情報提供書には書かれません。

引き継ぎがなければ、退所先で一から手探りになります。誤嚥や食事量の低下は、それだけで入院につながる要因です。この加算は、その断絶を防ぐための情報提供を評価しています。

退所時栄養情報連携加算の単位数

項目内容
単位数70単位
算定回数1月につき1回を限度
新設令和6年度介護報酬改定
情報提供を行う者管理栄養士

退所時栄養情報連携加算の算定要件

別に厚生労働大臣が定める特別食を必要とする入所者又は低栄養状態にあると医師が判断した入所者が、介護医療院から退所する際に、その居宅に退所する場合は当該入所者の主治の医師の属する病院又は診療所及び介護支援専門員に対して、病院、診療所又は他の介護保険施設に入院又は入所する場合は当該医療機関等に対して、当該入所者の同意を得て、管理栄養士が当該入所者の栄養管理に関する情報を提供したときは、1月につき1回を限度として所定単位数を加算する。ただし、イからヘまでの注7又は栄養マネジメント強化加算を算定している場合は、算定しない。

対象となる入所者は2種類

  • 別に厚生労働大臣が定める特別食を必要とする入所者
  • 低栄養状態にあると医師が判断した入所者

療養食加算の対象となる特別食と考え方は共通です。全員が対象になるわけではなく、栄養管理上の配慮が必要な人に限られます。

退所先によって提供先が変わる

退所先情報提供の相手
居宅(自宅)主治の医師が属する病院・診療所および介護支援専門員
病院・診療所当該医療機関
他の介護保険施設当該施設

居宅に戻る場合は「および」なので、医療機関とケアマネジャーの両方に提供する必要があります。片方だけでは要件を満たしません。

退所時栄養情報連携加算の注意点

算定できない2つのケース

条文のただし書きにより、次のいずれかに該当すると算定できません。

  • イからヘまでの注7を算定している場合=栄養管理の基準を満たさず、1日14単位の減算を受けている場合
  • 栄養マネジメント強化加算を算定している場合

加えて、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は、注16により算定できません。

情報提供は管理栄養士が行う

条文は「管理栄養士が……情報を提供したとき」と明記しています。看護師や相談員が代わりに提供した場合は要件を満たしません。栄養情報提供書の作成者と提供の経過を記録に残してください。

同意の取得を忘れない

「当該入所者の同意を得て」が要件です。様式の定めはありませんが、説明した日と同意者を記録に残す運用にしておくと確認に耐えます。

他施設の同名加算との違い

施設加算名単位数
介護医療院退所時栄養情報連携加算70単位/月1回
老健退所時栄養情報連携加算70単位/月1回
特養退所時栄養情報連携加算70単位/月1回

単位数と枠組みは施設系で共通です。ただし介護医療院では、特別介護医療院サービス費を算定している場合に算定できないという固有の制限があります。

退所時栄養情報連携加算のQ&A

栄養マネジメント強化加算と両方算定できますか?

できません。条文のただし書きで、栄養マネジメント強化加算を算定している場合は算定しないと定められています。

誰が情報提供を行う必要がありますか?

管理栄養士です。条文に明記されています。

自宅に戻る場合、ケアマネジャーだけに提供すればよいですか?

足りません。主治の医師が属する病院・診療所と介護支援専門員の両方に提供する必要があります。

対象になるのはどんな入所者ですか?

厚生労働大臣が定める特別食を必要とする入所者、または低栄養状態にあると医師が判断した入所者です。

同じ人に複数回算定できますか?

1月につき1回が限度です。

特別介護医療院サービス費でも算定できますか?

できません。注16により算定できない加算に含まれています。

様式は決まっていますか?

告示に様式の定めはありません。厚生労働省が示す様式例や、都道府県が示すものがあればそれに従ってください。

栄養管理の基準を満たさず減算を受けている場合は?

算定できません。イからヘまでの注7(1日14単位の減算)を算定している場合は対象外です。

まとめ
  • 退所時栄養情報連携加算は70単位、1月につき1回が限度
  • 令和6年度改定で新設された
  • 対象は特別食を必要とする入所者、または低栄養状態と医師が判断した入所者
  • 情報提供を行うのは管理栄養士
  • 居宅に退所する場合は、医療機関と介護支援専門員の両方に提供する
  • 病院・診療所・他の介護保険施設へ移る場合は、その医療機関等へ提供する
  • 入所者の同意が要件
  • 栄養マネジメント強化加算、栄養管理基準未達の減算がある場合は算定できない
  • 特別介護医療院サービス費では算定できない
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのチ(退所時栄養情報連携加算)、ヲ(栄養マネジメント強化加算)、注7、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の3(注7の基準)、第100号の4(栄養マネジメント強化加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。特別食の範囲、情報提供の様式、同意の取得方法については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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