グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の介護職員等処遇改善加算は、(Ⅰ)イ21.0%、(Ⅰ)ロ22.8%、(Ⅱ)イ20.2%、(Ⅱ)ロ22.0%、(Ⅲ)17.9%、(Ⅳ)14.9%。所定単位数に率を乗じて算定します。

この率はサービスごとに異なり、GHは訪問介護に次ぐ高い水準です。特養(介護福祉施設サービス)より高く設定されています。理由は単純で、GHは職員のほとんどが介護職員だからです。

もうひとつ知っておきたいのが、「イ」と「ロ」の違いです。基準を読むと、ロはケアプランデータ連携システムの利用、又は社会福祉連携推進法人への所属が加わるだけ。同じ基準を満たしているのに、この1項目で(Ⅰ)イ21.0%と(Ⅰ)ロ22.8%の1.8ポイント差が生まれます。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のツ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第60号(第44号を準用)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • GHの介護職員等処遇改善加算の率(21.0%〜14.9%)
  • 率を乗じる対象が「イからソまでにより算定した単位数」であること
  • 「イ」と「ロ」の差がケアプランデータ連携システム又は連携推進法人への所属であること
  • (Ⅲ)(Ⅳ)は満たすべき基準の項目が絞られていること
  • 届出先が市町村長であること(読み替え規定)
  • サービス提供体制強化加算に関する読み替え
  • 他サービスとの率の比較
  • 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフちびウルフ

21%って、他のサービスと比べて高いんですか?

リハウルフリハウルフ

高いです。訪問介護に次ぐ水準で、特養や老健より上。率は「その報酬のうち介護職員の人件費が占める割合」を反映して決まっているためです。GHは看護職員も専門職も少なく、ほぼ介護職員でケアを回すサービスなので、率が高くなります。

率は21.0%〜14.9%

告示126号の「ツ 介護職員等処遇改善加算」の注は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護職員等の賃金の改善等を実施しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所が、利用者に対し、指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1) 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ イからソまでにより算定した単位数の1000分の210に相当する単位数
(2) 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ 1000分の228
(3) 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)イ 1000分の202
(4) 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)ロ 1000分の220
(5) 介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) 1000分の179
(6) 介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) 1000分の149

区分
(Ⅰ)イ21.0%
(Ⅰ)ロ22.8%
(Ⅱ)イ20.2%
(Ⅱ)ロ22.0%
(Ⅲ)17.9%
(Ⅳ)14.9%

率を乗じる対象は「イからソまで」

基本報酬だけでなく、医療連携体制加算、看取り介護加算、夜間支援体制加算、サービス提供体制強化加算などを含めた合計に率を乗じます。(処遇改善加算は「ツ」なので、自分自身は含みません)

加算を取るほど処遇改善加算も増える

たとえば要介護3・1ユニットの入居者(824単位/日)で、医療連携体制加算(Ⅰ)イ57単位、夜間支援体制加算(Ⅰ)50単位、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位を算定していると、1日あたりの合計は953単位。(Ⅰ)イ21.0%なら約200単位が上乗せされます。

基本報酬のみの824単位なら約173単位。他の加算を取ることが、処遇改善加算の額も押し上げる構造です。(試算は単位数を単純に乗じた概算です)

「イ」と「ロ」の差は1項目だけ

基準(告示95号第44号を準用)を読むと、(Ⅰ)ロは(Ⅰ)イの基準すべてに適合したうえで、次のいずれかに適合することとされています。

(一) ケアプランデータ連携システム(公益社団法人国民健康保険中央会が運用及び管理を行う、居宅サービス計画の情報の共有等のための情報処理システム)を利用していること。
(二) 社会福祉法第128条第1号イに規定する社会福祉連携推進法人に所属していること。

(Ⅱ)イと(Ⅱ)ロの差も同じ項目です。たった1項目で1.8ポイント((Ⅱ)では1.8ポイント)変わります。

ケアプランデータ連携システムは居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所の間でケアプランをやり取りする仕組みで、GHが利用対象になるかどうかは運用面の確認が必要です。法人内に居宅介護支援事業所がある場合や、社会福祉連携推進法人に所属している場合は、ロの区分を検討する価値があります。

(Ⅲ)(Ⅳ)は求められる基準が絞られる

区分基準の範囲(第44号の準用)
(Ⅰ)イ(1)から(10)までのすべて
(Ⅰ)ロ(Ⅰ)イの基準+データ連携システム又は連携推進法人
(Ⅱ)イ(1)から(9)まで
(Ⅱ)ロ(Ⅱ)イの基準+データ連携システム又は連携推進法人
(Ⅲ)(1)(一)及び(2)から(8)まで
(Ⅳ)(1)(一)、(2)から(6)まで、(7)(一)〜(四)及び(8)

上位区分ほど、月額賃金改善の配分、経験・技能のある介護職員の処遇、キャリアパス、職場環境等要件など、満たすべき項目が増えます。まず(Ⅳ)や(Ⅲ)から始めて上位を目指すのが一般的な進め方です。

GHならではの読み替え規定

告示95号第60号は、訪問介護の基準(第44号)を準用したうえで、次の読み替えを定めています。

  • 「都道府県知事」→「市町村長」(GHは地域密着型サービスのため)
  • 職場環境等要件のうち、特定施設の「入居継続支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)又はサービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)のいずれか」→「認知症対応型共同生活介護費におけるサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれか」

2つ目の読み替えは実務上重要です。サービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定が、処遇改善加算の上位区分の要件に関係してきます。両方を並べて検討してください。

介護予防(要支援2)でも算定できる

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも介護職員等処遇改善加算が設けられており、告示95号第129号が同様に第44号を準用しています。

よくある質問

率は何に対して掛けるのですか?

「イからソまでにより算定した単位数」です。基本報酬に加え、医療連携体制加算やサービス提供体制強化加算など、処遇改善加算より前に位置する加算を含めた合計が対象になります。

「イ」と「ロ」は何が違うのですか?

ロは、ケアプランデータ連携システムの利用、又は社会福祉連携推進法人への所属のいずれかに適合することが加わります。その他の基準は同じです。

複数の区分を同時に算定できますか?

できません。いずれかを算定している場合、その他の区分は算定できません。

届出先はどこですか?

市町村長です。基準の準用にあたり「都道府県知事」を「市町村長」と読み替える規定が置かれています。

特養より率が高いのはなぜですか?

率はサービスごとの人件費構成を反映して設定されています。GHは職員の多くが介護職員であるため、率が高く設定されていると理解できます。

サービス提供体制強化加算と関係がありますか?

あります。基準の読み替えにより、認知症対応型共同生活介護費のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)が、職場環境等要件の判断に関係します。

要支援2の入居者にも算定できますか?

できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同様の加算が設けられています。

賃金改善の計画書は毎年必要ですか?

基準では、賃金改善に関する計画の策定、介護職員等処遇改善計画書の作成・周知・届出、実績報告等が求められます。詳細は厚生労働省の事務処理手順を確認してください。

まとめ
  • GHの介護職員等処遇改善加算は(Ⅰ)イ21.0%〜(Ⅳ)14.9%
  • 訪問介護に次ぐ高い率で、特養より高い
  • 率を乗じる対象は「イからソまで」で算定した単位数の合計
  • 他の加算を算定するほど、処遇改善加算の額も増える
  • 「イ」と「ロ」の差は、ケアプランデータ連携システムの利用又は社会福祉連携推進法人への所属
  • (Ⅲ)(Ⅳ)は満たすべき基準の項目が絞られている
  • 届出先は市町村長(読み替え規定による)
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)が職場環境等要件の判断に関係する
  • 複数区分の同時算定はできない
  • 介護予防(要支援2)でも算定できる
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のツ(介護職員等処遇改善加算)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第60号(認知症対応型共同生活介護費における介護職員等処遇改善加算の基準)、第44号(訪問介護費における介護職員等処遇改善加算の基準)、第129号(介護予防認知症対応型共同生活介護費における同加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第128条第1号イ(社会福祉連携推進法人)

※本記事の率・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文、厚生労働省が示す事務処理手順および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、運用が自治体によって異なる場合があります。ケアプランデータ連携システムの利用可否、社会福祉連携推進法人の要件については別途確認が必要です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の試算は単位数を単純に乗じた概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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