グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の入居者が入院したとき、1月に6日を限度に、所定単位数に代えて1日246単位を算定できます。いわゆる「入院時の費用」です。加算ではなく、基本報酬に代えて算定する特例という位置づけです。

注意点は3つ。①入院の初日と最終日は算定できない、②1月に6日が限度、③体制要件がある——このうち③が見落とされがちです。条文は「入院後3月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、必要に応じて適切な便宜を供与し、やむを得ない事情がある場合を除いて円滑に再入居できる体制を確保していること」を求めています。居室を空けて待つ体制がなければ算定できません。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費の注9、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の5の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 入院時の費用が1日246単位・1月6日限度であること
  • 加算ではなく「所定単位数に代えて」算定する特例であること
  • 入院の初日と最終日は算定できないこと
  • 3月以内の退院見込みと再入居体制という要件があること
  • 初期加算の再算定(30日を超える入院)との関係
  • 月をまたぐ入院の日数の数え方
  • 介護予防(要支援2)でも算定できること
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入院しているのに報酬が入るのは、なぜですか?

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居室を空けたまま待つコストを一部だけ見る、という趣旨です。満額ではなく246単位、しかも月6日まで。だから長期入院になれば、事業所は退居か在籍継続かの判断を迫られます。制度としてはそこまで面倒を見ていない、というのが実態です。

グループホームの入院時の費用とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の入院時の費用は、入居者が入院している間、居室を空けて待つ事業所のコストを一部だけ補う仕組みです。加算ではなく、基本報酬に代えて算定する特例という位置づけになっています。

入院すればサービスは提供していません。それでも居室は他の人に回せず、家財もそのまま。戻ってこられる場所を残しておくには、その間の空室コストを事業所が負担することになります。この費用はそこに一部の手当てをするものです。

ただし補填は限定的です。日数の限度があり、初日と最終日は対象外。しかも「3月以内に退院が見込まれるなら円滑に再入居できる体制を確保していること」という要件があります。入院したら即退居という運用では、この費用は算定できません。

入院時の費用の単位数

告示126号の注9は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所において、利用者が病院又は診療所への入院を要した場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき246単位を算定する。ただし、入院の初日及び最終日は、算定できない。

項目内容
単位数1日につき246単位
限度1月に6日
性質加算ではなく「所定単位数に代えて」算定
算定できない日入院の初日、入院の最終日
届出必要(市町村長)

「所定単位数に代えて」とあるとおり、その日は基本報酬(要介護3で824単位など)ではなく246単位になります。加算として上乗せされるわけではありません。差額はおよそ600単位。空床のコストを完全に補うものではない、という前提で運営を考える必要があります。

入院時の費用の注意点|初日と最終日は算定できない

入院した日と退院した日は、日中にGHでサービスを提供している場合が多く、その日は通常どおり基本報酬を算定するという整理です。二重に取れないようにするための規定と読めます。

算定するもの
入院初日基本報酬(246単位は算定できない)
入院2日目〜最終日の前日1月6日を限度に246単位
退院日(最終日)基本報酬(246単位は算定できない)

7日間の入院なら、実際に246単位を算定できるのは最大5日分という計算になります。日数の数え方を誤ると過誤請求につながるので、入院・退院の日付は必ず記録してください。

入院時の費用の算定要件|円滑に再入居できる体制

算定には届出が必要で、その基準(告示95号第58号の5)は次のとおりです。

利用者について、病院又は診療所に入院する必要が生じた場合であって、入院後3月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、その者及びその家族の希望等を勘案し、必要に応じて適切な便宜を供与するとともに、やむを得ない事情がある場合を除き、退院後再び当該指定認知症対応型共同生活介護事業所に円滑に入居することができる体制を確保していること。

入院=即退居の運用では算定できない

ここが実務の分かれ目です。入院が決まった時点で一律に契約終了とし、居室を次の待機者に回す運用をしている事業所は、この体制要件を満たしていると説明できません。3月以内に戻れる見込みがある人については、居室を確保して待つ。その方針を運営規程や重要事項説明書に落とし込み、家族への説明記録を残してください。

初期加算との関係を整理する

入院にまつわる報酬は2つあり、混同しやすいので並べます。

場面算定するものポイント
入院中(在籍のまま)入院時の費用 246単位1月6日限度。初日・最終日は算定不可
30日を超える入院の後、再入居初期加算 30単位再び30日を限度に算定できる
30日以内の入院の後、再入居初期加算の再算定はできない
退居して医療機関へ入院退居時情報提供加算 250単位1人1回限り。在籍のままなら対象外

同じ「入院」でも、在籍のままか退居かで算定するものが変わります。判断は本人・家族の意向と復帰見込みで行い、その結果として請求が決まる、という順序を崩さないでください。

月をまたぐ入院はどう数えるか

限度は「1月に6日」です。月が替われば、あらためて6日を限度に算定できます。ただし初日・最終日の除外は入院期間全体に対する規定なので、月をまたぐ場合は次のようになります。

  • 入院初日はその月の基本報酬を算定(246単位は算定しない)
  • 2日目以降、その月のうち最大6日まで246単位を算定
  • 翌月に入ったら、あらためて最大6日まで246単位を算定
  • 退院日(最終日)は基本報酬を算定(246単位は算定しない)

細かい取扱いは市町村の解釈にもよるため、長期入院が発生した際は事前に確認しておくと安全です。

介護予防(要支援2)でも算定できる

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも同じ内容の規定があり、告示95号第127号の5がその基準を定めています。要支援2の入居者が入院した場合も、同じ条件で246単位を算定できます。

入院時の費用のQ&A

入院時の費用は加算ですか?

加算ではありません。「所定単位数に代えて」1日246単位を算定する特例です。その日は基本報酬を算定しません。

入院初日も算定できますか?

できません。入院の初日と最終日は算定できないと明記されています。

7日間入院した場合、何日分算定できますか?

初日と最終日を除くため、最大5日分です。ただし1月に6日という限度もあります。

月をまたいだ場合は、新たに6日算定できますか?

限度は「1月に6日」なので、月が替われば改めて6日を限度に算定できます。細かい取扱いは市町村に確認してください。

届出は必要ですか?

必要です。注9は「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして……市町村長に対し届出を行った事業所」と定めています。

入院が3月を超えそうな場合はどうなりますか?

基準は「入院後3月以内に退院することが明らかに見込まれるとき」に体制を確保していることを求めています。長期化した場合の契約の扱いは、本人・家族の意向を踏まえたうえで市町村に確認してください。

入院後に戻ってきたら初期加算を算定できますか?

入院が30日を超えていれば、再び30日を限度に初期加算(30単位/日)を算定できます。30日以内の入院では再算定できません。

要支援2の入居者にも算定できますか?

できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同じ規定があります。

まとめ
  • 入院時の費用は1日246単位、1月に6日が限度
  • 加算ではなく「所定単位数に代えて」算定する特例
  • 入院の初日と最終日は算定できない
  • 7日間の入院なら実際に算定できるのは最大5日分
  • 算定には届出が必要で、体制要件がある
  • 体制要件は、3月以内の退院見込みがある場合に便宜を供与し、円滑に再入居できる体制を確保すること
  • 入院=即退居という運用では体制要件を説明できない
  • 30日を超える入院の後の再入居では、初期加算を再算定できる
  • 退居して入院する場合は、退居時情報提供加算(250単位)の対象
  • 介護予防(要支援2)でも算定できる
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費の注9、ハ(初期加算)、ヘ(退居時情報提供加算)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の5(認知症対応型共同生活介護費の注9の基準)、第127号の5(介護予防認知症対応型共同生活介護費の注9の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。月をまたぐ入院の日数の数え方、入院が長期化した場合の契約の取扱いについては所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の金額の比較は単位数を単純に比べた概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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