グループホームの退居時相談援助加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の退居時相談援助加算は、利用者1人につき1回を限度に400単位です。GHから在宅へ戻る人を支えるための加算で、単発の相談対応ではなく「相談援助+2週間以内の市町村等への情報提供」までがワンセットになっています。
算定できる場面は限られます。利用期間が1月を超える利用者が退居し、その居宅において居宅サービス又は地域密着型サービスを利用する場合です。入院で退居する場合は対象外で、そちらは退居時情報提供加算(250単位)の守備範囲になります。
実務でいちばん落としやすいのが「退居の日から2週間以内」という期限です。相談援助を行っていても、市町村と地域包括支援センター等への情報提供が2週間を過ぎれば算定できません。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のトの条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 退居時相談援助加算の単位数(400単位、1人1回限度)
- 「利用期間が1月を超える」という対象者の条件
- 退居先が居宅で、居宅サービス等を利用する場合に限られること
- 相談援助の相手が「利用者及びその家族等」であること
- 退居日から2週間以内に市町村と地域包括支援センター等へ情報提供する必要があること
- 「介護状況を示す文書」を添えることが要件であること
- 退居時情報提供加算(250単位)との使い分け
- 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフグループホームから在宅に戻る人って、そんなにいますか?
リハウルフ多くはありません。ただ家族の状況が変わって引き取る、地域の別の住まいに移って在宅サービスで支える、といったケースはあります。数は少なくても、該当したときに400単位を落とさないよう手順を決めておくべき加算です。
単位数は400単位。1人につき1回が限度
告示126号の認知症対応型共同生活介護費「ト 退居時相談援助加算 400単位」の注は、次のとおりです。
利用期間が1月を超える利用者が退居し、その居宅において居宅サービス又は地域密着型サービスを利用する場合において、当該利用者の退居時に当該利用者及びその家族等に対して退居後の居宅サービス、地域密着型サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービスについて相談援助を行い、かつ、当該利用者の同意を得て、退居の日から2週間以内に当該利用者の退居後の居宅地を管轄する市町村(特別区を含む。)及び老人介護支援センター又は地域包括支援センターに対して、当該利用者の介護状況を示す文書を添えて当該利用者に係る居宅サービス又は地域密着型サービスに必要な情報を提供した場合に、利用者1人につき1回を限度として算定する。
要件を5つに分解する
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 利用期間が1月を超える利用者 |
| 退居先 | 居宅。かつ居宅サービス又は地域密着型サービスを利用すること |
| 相談援助 | 退居時に、利用者及びその家族等に対して、退居後のサービスについて相談援助を行うこと |
| 情報提供の期限 | 退居の日から2週間以内 |
| 情報提供先 | 退居後の居宅地を管轄する市町村、および老人介護支援センター又は地域包括支援センター |
見落としやすいのが情報提供先の「及び」です。市町村と、老人介護支援センター又は地域包括支援センターの両方に提供する必要があります。包括だけに送って終わりでは要件を満たしません。
相談援助を行った日でも、サービス利用が始まった日でもありません。退居した日から2週間以内です。退居当日はバタバタするうえ、その後は他の入居者の対応に戻るため、期限を過ぎやすい要件です。
- 退居日が決まった時点で、2週間後の日付を管理表に記入する
- 提供文書のひな型(介護状況を示す文書+必要な情報)を用意しておく
- 市町村と包括の送付先・送付方法をあらかじめ確認しておく
「利用期間が1月を超える」の意味
短期間の利用者は対象外という趣旨です。短期利用認知症対応型共同生活介護(あらかじめ30日以内の利用期間を定めるもの)は、この要件から外れます。
他の加算と違い、この注には「イについて」という限定がありません。ただし利用期間が1月を超えることが要件なので、結果として本体入居者が対象になります。
退居時情報提供加算との使い分け
| 場面 | 算定できる加算 | 単位 |
|---|---|---|
| 退居して医療機関に入院する | 退居時情報提供加算 | 250単位 |
| 退居して居宅に戻り、居宅サービス等を利用する | 退居時相談援助加算 | 400単位 |
| 他の介護施設へ住み替える | いずれも対象外 | — |
2つの加算は退居先で切り分けられています。医療機関なら情報提供加算、居宅なら相談援助加算です。どちらも「1人につき1回」で、退居のたびに繰り返し算定できるものではありません。
相談援助の中身をどう記録するか
条文は「退居後の居宅サービス、地域密着型サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービスについて相談援助を行い」としています。介護保険サービスに限られていない点が特徴で、医療、福祉、インフォーマルな支援まで含めた相談が想定されています。
- 退居後に想定される生活と、必要になる支援の整理
- 利用できる居宅サービス・地域密着型サービスの説明
- 居宅介護支援事業所(担当ケアマネジャー)の引き継ぎ
- 認知症の進行に応じた医療の受け方、かかりつけ医との関係
- 家族の介護負担と、レスパイトの選択肢
- 相談窓口(地域包括支援センター、認知症初期集中支援チーム等)の案内
相談援助は「利用者及びその家族等」の双方に対して行うことが条文に書かれています。家族にだけ説明した記録では要件を満たすと言い切れません。本人への説明をどう行ったかも残してください。
介護予防(要支援2)でも算定できる
介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも退居時相談援助加算(ホ)が設けられています。要支援2の入居者が在宅へ戻る場合も算定できます。むしろ在宅復帰の可能性は要支援の人のほうが高いため、実務では出番のある加算です。
よくある質問
入院のために退居する場合も算定できますか?
できません。退居後に居宅で居宅サービス又は地域密着型サービスを利用する場合が対象です。医療機関へ入院する場合は退居時情報提供加算(250単位)の対象になります。
情報提供は地域包括支援センターだけでよいですか?
足りません。条文は「市町村及び老人介護支援センター又は地域包括支援センター」としており、市町村と支援センターの両方に提供する必要があります。
2週間はどこから数えますか?
退居の日からです。相談援助を行った日やサービス開始日ではありません。
「介護状況を示す文書」に様式はありますか?
告示に様式の定めはありません。市町村が様式例を示している場合はそれに従うのが安全です。
利用期間が1月以内の人にも算定できますか?
できません。「利用期間が1月を超える利用者」が対象です。
相談援助は家族だけに行えばよいですか?
条文は「当該利用者及びその家族等に対して」としています。本人への説明・相談の記録も残してください。
同じ人が再入居して再び退居した場合、2回算定できますか?
できません。利用者1人につき1回が限度です。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも退居時相談援助加算が設けられています。
- 退居時相談援助加算は400単位、利用者1人につき1回が限度
- 対象は利用期間が1月を超える利用者
- 退居先が居宅で、居宅サービス又は地域密着型サービスを利用する場合に算定できる
- 退居時に、利用者及びその家族等に対して退居後のサービスについて相談援助を行うこと
- 利用者の同意を得て、退居の日から2週間以内に情報提供すること
- 情報提供先は市町村と、老人介護支援センター又は地域包括支援センターの両方
- 「介護状況を示す文書」を添える必要がある
- 医療機関へ入院する場合は退居時情報提供加算(250単位)の対象
- 他施設への住み替えではどちらの加算も算定できない
- 介護予防(要支援2)でも算定できる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のト(退居時相談援助加算)、ヘ(退居時情報提供加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費のホ(厚生労働省法令等データベース)
- 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の7の2(老人介護支援センター)、介護保険法第115条の46第1項(地域包括支援センター)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。情報提供の様式や送付方法、相談援助の記録方法については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。相談援助の内容に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




