訪問看護のターミナルケア加算とは?単位数・算定要件を解説【令和6年度】

訪問看護のターミナルケア加算は、死亡月につき2,500単位。訪問看護の加算のなかで最も単位数が大きく、看取りに関わる事業所にとっては経営面でも重要な加算です。ただし「在宅で亡くなること」が前提のため、最期に救急搬送されて病院で亡くなると、原則として算定できません。ここで取りこぼす事業所が少なくありません。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、訪問看護のターミナルケア加算の単位数と算定要件を、留意事項通知(老企第36号)の記載に沿って整理します。搬送された場合の例外、医療保険とまたぐ場合の扱い、記録に残すべき3項目まで、通知の原文で確認しながら解説します。
- ターミナルケア加算の単位数とサービスコード
- 「死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上」の数え方
- 病院へ搬送された場合でも算定できる例外(24時間以内ルール)
- 最後のケアの月と死亡月がずれたときにどちらで算定するか
- 医療保険と介護保険をまたいだ場合の算定先の決め方
- 訪問看護記録書に必ず残すべき3つの記録
- 特別地域加算などの計算にターミナルケア加算を含めない理由
- 介護予防訪問看護(要支援)に設定がないこと
訪問看護のターミナルケア加算とは
ターミナルケア加算は、在宅で死亡した利用者に対し、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に、死亡月に算定する加算です。訪問1回ごとではなく、看取りという一連の関わり全体を評価するものです。
| コード | 名称 | 単位数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 13 7000 | 訪問看護ターミナルケア加算 | 2,500単位 | 死亡月につき |
訪問看護の加算のなかで、単位数はこれが最大です。参考までに、特別管理加算(Ⅰ)が500単位、看護体制強化加算(Ⅰ)が550単位、緊急時訪問看護加算(Ⅰ)が600単位ですから、1件の看取りでその4倍以上の評価がつくことになります。
算定できるのは訪問看護ステーションと病院・診療所
ターミナルケア加算は、訪問看護費のイ(訪問看護ステーション)とロ(病院又は診療所)を算定している場合に加算します。介護予防訪問看護(要支援1・2)にはターミナルケア加算が設定されていません。要支援の方を看取ることになった場合、この加算は算定できません。
ちびウルフ要支援の人って、看取りになることあるの?
リハウルフあります。末期がんで急速に状態が変わる方など、認定が状態に追いついていないケースです。区分変更申請を出すかどうかの判断は、加算だけでなく限度額にも関わります。ケアマネと早めに相談しておくところです。
ターミナルケア加算の算定要件
算定の骨格は「死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合」です。ここを分解します。
- 在宅で死亡した利用者であること(原則。例外は後述)
- 死亡日および死亡日前14日以内に、2日以上ターミナルケアを実施していること
- 死亡月に算定すること(1人につき1か所の事業所のみ)
- 訪問看護記録書に所定の記録を残していること
「14日以内に2日以上」であって「2回以上」ではありません。同じ日に2回訪問しても1日と数えます。15日間(死亡日+前14日)のうち、別々の2日にターミナルケアを行っている必要があります。
訪問看護記録書に残すべき3つの記録
記録は算定要件そのものです。老企第36号は、記録すべき事項をこう定めています。
ア 終末期の身体症状の変化及びこれに対する看護についての記録
イ 療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケアの経過についての記録
ウ 看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて利用者及び家族の意向を把握し、それに基づくアセスメント及び対応の経過の記録
なお、ウについては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、利用者本人及びその家族等と話し合いを行い、利用者本人の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上対応すること。」
(平成12年3月1日老企第36号 第二の4(21)より引用)
ポイントはイとウです。バイタルや処置(ア)は自然に書けますが、家族の精神的な状態の変化、本人・家族の意向とそれに基づく対応の経過は、意識しないと記録に残りません。運営指導で見られるのはここです。「ご家族が◯◯と話され、それを受けて△△の対応をした」という経過が追える形にしておいてください。
病院に搬送されても算定できるケースがある
ターミナルケア加算で最も見落とされやすいのが、この規定です。
(平成12年3月1日老企第36号 第二の4(21)より引用)
在宅で看取る方針だったものの、最期に医療機関へ搬送された——現場では珍しくない展開です。このとき「病院で亡くなったから算定できない」と諦めてしまう事業所がありますが、死亡診断を目的とした搬送で、24時間以内に死亡が確認されていれば算定できます。
算定でつまずきやすい5つの場面
① 最後のケアの月と死亡月がずれたとき
通知は「在宅で死亡した利用者の死亡月に加算することとされているが、ターミナルケアを最後に行った日の属する月と、利用者の死亡月が異なる場合には、死亡月に算定する」としています。
たとえば3月28日に最後の訪問をし、4月2日に亡くなった場合。ターミナルケアは3月に行っていますが、算定するのは4月(死亡月)です。「死亡日前14日以内に2日以上」の要件は月をまたいで数えます。
② 医療保険と介護保険をまたいだとき
末期がんなどで特別訪問看護指示書が出ると、その期間は医療保険の訪問看護になります。死亡前の2週間に両方の保険を使うことは十分にあり得ます。
(平成12年3月1日老企第36号 第二の4(21)より引用)
判断基準は「最後に訪問したのがどちらの保険か」です。最後が医療保険なら訪問看護ターミナルケア療養費、最後が介護保険なら介護保険のターミナルケア加算。両方は取れません。
③ 複数のステーションが関わったとき
ターミナルケア加算は、1人の利用者に対して1か所の事業所しか算定できません。2か所以上が関わっていた場合、どちらが算定するかを事業所間で調整する必要があります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護のターミナルケア加算とも併算定できません。
④ 特別地域加算などの計算に含めてしまう
これは請求ミスとして起こりやすいところです。特別地域訪問看護加算(15%)、中山間地域等における小規模事業所加算(10%)、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(5%)を算定している事業所では、これらの割合を掛ける「所定単位数」にターミナルケア加算を含めません。
⑤ 支給限度額に含まれると思っている
ターミナルケア加算は支給限度額管理の対象外です。緊急時訪問看護加算、特別管理加算、サービス提供体制強化加算、介護職員等処遇改善加算、特別地域・中山間関係の各加算とともに、区分支給限度基準額の枠の外で算定されます。
つまり2,500単位を算定しても、他のサービスが限度額オーバーになることはありません。ケアマネジャーから「限度額は大丈夫か」と聞かれたときに、根拠を持って答えられるようにしておきたいところです。
ちびウルフ限度額の外なら、利用者さんの負担も増えないの?
リハウルフそこは別です。限度額の枠外というだけで、自己負担は発生します。1割負担でも2,500単位=約2,500円が上乗せされます。看取りの直後にご家族へ請求が届くわけですから、加算の説明は元気なうちに済ませておくのが実務の鉄則です。亡くなった後で説明すると、必ずと言っていいほどトラブルになります。
遠隔死亡診断補助加算との関係
令和6年度改定で新設された遠隔死亡診断補助加算(150単位)は、ターミナルケア加算とセットで理解しておく加算です。
これは、連携する保険医療機関が死亡診断加算を算定する利用者(特別地域に居住する利用者に限る)について、主治医の指示により、情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が、厚生労働省「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」に基づいて医師による死亡診断の補助を行った場合に算定します。
| コード | 名称 | 単位数 |
|---|---|---|
| 13 4021 | 訪問看護遠隔死亡診断補助加算 | 150単位 |
対象が特別地域に居住する利用者に限られるため、算定できる事業所は限定的です。ただし医師がすぐに駆けつけられない地域では、「医師の到着を待つ間、ご遺体をそのままにしておく」という状況を避けるための仕組みとして意味があります。研修の受講が要件になっている点に注意してください。
看取りの体制を整えるうえで押さえること
ターミナルケア加算は、単発で取りに行ける加算ではありません。日ごろの体制がそのまま算定可否に直結します。
- 24時間連絡できる体制を確保する:夜間・休日に連絡がつかない状態では、そもそも在宅での看取りは成立しません。緊急時訪問看護加算の届出とあわせて整えます。
- 意思決定支援を早い段階から始める:「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえ、本人・家族と話し合った内容を記録します。急変してからでは間に合いません。
- 主治医と搬送時の方針を共有する:急変時に救急要請するのか、主治医に連絡するのか。事前に決めて家族と共有しておくことが、在宅での看取りを実現する分かれ目になります。
- 加算と自己負担を事前に説明する:ターミナルケア加算が発生することを、元気なうちに説明し記録に残します。
- 記録の型を作っておく:身体症状・家族の精神状態・意向とその変化——3項目が漏れないテンプレートを整備します。
- 他事業所との調整ルールを決めておく:複数のステーションが関わる場合の算定調整を、あらかじめ話し合っておきます。
訪問看護のターミナルケア加算は何単位ですか?
「死亡日前14日以内に2日以上」とは何回訪問すればよいのですか?
利用者が病院で亡くなった場合は算定できませんか?
最後の訪問が3月で、亡くなったのが4月です。どちらの月に算定しますか?
医療保険と介護保険の両方を使っていた場合はどちらで算定しますか?
要支援の方でもターミナルケア加算は算定できますか?
特別地域訪問看護加算の15%はターミナルケア加算にもかかりますか?
ターミナルケア加算は区分支給限度基準額に含まれますか?
- 訪問看護のターミナルケア加算は死亡月につき2,500単位(サービスコード 13 7000)。訪問看護の加算で最大の単位数。
- 令和6年度改定で1,000単位引き上げられ、令和8年6月施行版でも2,500単位で据え置かれている。
- 算定要件は「在宅で死亡した利用者について、死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合」。
- 「2日以上」は日数で数える。同日2回の訪問は1日。月をまたぐ場合も通算する。
- 死亡診断を目的として医療機関へ搬送し、24時間以内に死亡が確認された場合も算定できる。
- 最後のケアの月と死亡月が異なる場合は、死亡月に算定する。
- 医療保険と介護保険をまたいだ場合は、最後に実施した保険制度で算定し、両方は算定できない。
- 1人の利用者につき1か所の事業所のみ。定期巡回・随時対応型や看護小規模多機能型のターミナルケア加算とも併算定不可。
- 訪問看護記録書には「身体症状の変化と看護」「家族の精神的状態の変化とケアの経過」「意向の把握とアセスメント・対応の経過」の3項目を記録する。
- 特別地域加算(15%)・小規模事業所加算(10%)・中山間地域等提供加算(5%)の計算に、ターミナルケア加算は含めない。
- 支給限度額管理の対象外だが、自己負担は発生する。加算の説明は元気なうちに済ませ、記録に残す。
- 介護予防訪問看護(要支援1・2)にはターミナルケア加算の設定がない。
- 厚生省老人保健福祉局企画課長通知「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日老企第36号)第二の4(15)〜(17)、(21)、(22)
- 厚生労働省老健局「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料の送付について(確定版)」(令和8年5月25日事務連絡)資料1「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、資料2②「介護給付費単位数等サービスコード表 介護サービス(R8.6.1)」、同③「介護予防サービス(R8.6.1)」
- 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)訪問看護費
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
- 厚生労働省「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」
- 厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」
※本記事の単位数および算定要件は、厚生労働省の告示・留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。ここに記載した以外の要件(体制に関する基準や届出の要否等)が定められている場合があります。24時間連絡できる体制に関する記述は運営上の前提として整理したものであり、算定要件の全文を網羅したものではありません。地域区分により1単位あたりの単価が異なるため、金額は単位数から一律には算出できません。自己負担額の記載は1単位10円・1割負担を前提とした目安です。医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費については診療報酬の定めによります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。記録や説明の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




