訪問看護の令和6年度介護報酬改定まとめ|新設加算と単位数を解説
「訪問看護の令和6年度(2024年度)介護報酬改定で、結局なにが変わったの?」
「専門管理加算や緊急時等訪問看護加算って、自分の事業所に関係あるの?」——そんな疑問を抱えていませんか。
この記事では、令和6年度改定で訪問看護に入った15の改定項目を、新設加算の単位数・施行日・経過措置まで、現場の管理者や看護師がそのまま使えるかたちで整理しました。発表当時の「案」ではなく、確定した単位数にもとづいて解説します。読み終えるころには、自事業所で取りに行くべき加算と、注意すべき減算がはっきり見えるはずです。
- 令和6年度改定で訪問看護の基本報酬がどう変わったか
- 新設された3加算(専門管理加算・遠隔死亡診断補助加算・口腔連携強化加算)の単位数と要件
- 緊急時等訪問看護加算の名称変更と2区分化のポイント
- 理学療法士等による訪問看護の見直し、BCP未策定減算の経過措置
令和6年度介護報酬改定 訪問看護の全体像
ちびウルフ訪問看護の基本報酬って、今回は上がったの?下がったの?
リハウルフ訪問看護の基本報酬はわずかに引き上げ(微増)になったよ。マイナス改定になった訪問介護とは対照的だね。
令和6年度改定の改定率は介護全体で+1.59%。このうち介護職員以外の処遇改善にあてる+0.61%などが反映され、訪問看護の基本報酬は微増となりました。施行日は診療報酬改定と足並みをそろえ、2024年(令和6年)6月1日です。多くの介護サービスが4月施行だったなかで、訪問看護は6月施行だった点に注意しましょう。
改定項目は全部で15項目。新設加算だけでなく、既存加算の見直しや、虐待防止・身体的拘束・BCP(業務継続計画)に関する減算の導入など、運営体制そのものに関わる内容が多く含まれています。
新設された3つの加算と単位数
令和6年度改定では、質の高い訪問看護を評価するために3つの加算が新設されました。それぞれの単位数を整理します。
| 新設加算 | 単位数 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 専門管理加算 | 250単位/月 | 専門研修を受けた看護師・特定行為研修修了者による計画的管理 |
| 遠隔死亡診断補助加算 | 150単位/回 | 離島等で情報通信機器を用いた死亡診断の補助 |
| 口腔連携強化加算 | 50単位/回(月1回) | 口腔状態の評価と歯科・ケアマネへの情報提供 |
専門管理加算(250単位/月)
医療ニーズの高い利用者が増えるなか、専門性の高い看護師による計画的な管理を評価する加算です。算定できるのは、緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門ケア・人工膀胱ケアの専門研修を受けた看護師(イ)、または特定行為研修を修了した看護師(ロ)が計画的な管理を行った場合です。
(イ)の看護師は、悪性腫瘍の鎮痛療法・化学療法中の利用者、真皮を越える褥瘡の状態にある利用者、管理が困難な人工肛門・人工膀胱の利用者などが対象。(ロ)の看護師は、診療報酬で手順書加算を算定する利用者が対象となります。
遠隔死亡診断補助加算(150単位/回)
離島等に居住する利用者の看取りについて、研修を受けた看護師が、主治医の指示にもとづき情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合に算定します。ターミナルケア加算を算定していることが前提で、対象地域も厚生労働大臣が定める地域に限られます。
口腔連携強化加算(50単位/回)
訪問看護の従業者が利用者の口腔の健康状態を評価し、利用者の同意を得て歯科医療機関と介護支援専門員に情報提供した場合に、月1回を限度に算定します。歯科専門職が事業所からの相談に対応する体制を、文書等で取り決めておく必要があります。
ちびウルフ新しい加算が3つもあるんだね!全部の事業所が取れるの?
リハウルフ専門管理加算は研修を受けた看護師が必要だし、遠隔死亡診断補助は対象地域が限られるよ。一方で口腔連携強化加算は比較的取り組みやすいから、まずはここから検討してみるといいね。
緊急時等訪問看護加算が「2区分」に変わった
今回の改定でとくに実務に影響するのが、緊急時訪問看護加算の見直しです。名称が「緊急時等訪問看護加算」に変わり、24時間対応体制を充実させる観点から2つの区分に分かれました。
| 区分 | 単位数(訪問看護ステーション) | ポイント |
|---|---|---|
| 緊急時等訪問看護加算(Ⅰ) | 600単位/月(新設) | 夜間対応する看護師等の勤務環境に配慮した体制を評価 |
| 緊急時等訪問看護加算(Ⅱ) | 574単位/月 | 従来の体制 |
(Ⅰ)を算定するには、常時対応できる体制に加えて、緊急訪問における看護業務の負担軽減に資する業務管理等の体制整備が求められます。あわせて、24時間対応のニーズに即応する体制が確保されていれば、看護師等以外の職員が利用者・家族からの電話連絡を受けられるよう見直されました。オンコール負担の重さに悩む事業所にとって、勤務環境整備を進めるきっかけになる改定です。
理学療法士等による訪問看護・その他の主な見直し
看護業務の一環としてのリハビリ提供の実態を踏まえ、理学療法士等(PT・OT・ST)による訪問看護について、基本報酬および12か月を超えた場合の減算が見直されました。サービス提供状況や加算の算定状況に応じた評価へと整理されており、とくに12か月を超える長期利用への減算が強化される方向です。リハビリ職が多く訪問している事業所は、利用期間の管理がより重要になります。
そのほか、実務に関わる主な見直しは次のとおりです。
- ターミナルケア加算の見直し(医療保険のターミナルケアと内容を整合)
- 看護体制強化加算で、他の介護サービス事業所等と連携を図ることが望ましい旨を規定
- 退院・退所当日の初回訪問を評価する新たな区分を新設
- 退院時共同指導の指導内容を、文書以外の方法でも提供可能に
- 業務継続計画(BCP)未策定事業所への減算を導入
- 高齢者虐待防止・身体的拘束等の適正化に関する未措置減算を導入
退院当日訪問とターミナルケア加算の見直しを深掘り
15項目のなかでも、在宅移行と看取りに直結する2つの見直しは、現場での影響が大きい部分です。少し詳しく見ておきましょう。
看護師による退院・退所当日訪問の評価
これまで、退院・退所当日の訪問看護は算定の扱いが限定的でした。今回の改定では、より円滑な在宅移行を進める観点から、看護師が退院・退所当日に初回訪問することを評価する新たな区分が設けられました。退院直後は服薬や医療機器の管理、家族への指導など、看護の必要性がもっとも高まる場面です。当日にしっかり関われる体制を整えることが、利用者の安心と事業所の評価の両方につながります。
ターミナルケア加算は医療保険と内容を整合
介護保険の訪問看護におけるターミナルケアの内容が、医療保険のターミナルケアと同様であることを踏まえ、ターミナルケア加算の評価が見直されました。看取りに対応する事業所では、医療保険と介護保険のどちらで算定するケースでも、記録や対応の考え方を揃えておくと混乱が少なくなります。あわせて新設された遠隔死亡診断補助加算(150単位/回)も、離島等での看取り対応の選択肢として押さえておきましょう。
看護師が押さえておきたい改定対応のステップ
制度の全体像をつかんだら、現場での対応に落とし込みましょう。管理者・看護師が改定後に確認したい流れを整理します。
- 自事業所が新設3加算(専門管理・遠隔死亡診断補助・口腔連携強化)を算定できるか要件を確認する
- 緊急時等訪問看護加算を(Ⅰ)で算定できるよう、夜間オンコールの勤務環境・業務管理体制を整える
- 理学療法士等の訪問について、利用開始からの月数を管理し、12か月超の利用者を把握する
- BCP・虐待防止・身体的拘束の体制を点検し、経過措置の期限内に整備する
- 算定・記録の方法を看護記録や請求ソフトに反映し、職員へ周知する
よくある質問(FAQ)
訪問看護の令和6年度改定はいつから施行されましたか?
専門管理加算は何単位ですか?
緊急時訪問看護加算はどう変わりましたか?
BCP未策定減算はすぐに適用されますか?
理学療法士による訪問看護はどうなりますか?
- 訪問看護の令和6年度改定は、基本報酬は微増。施行日は2024年6月1日。
- 新設加算は専門管理加算(250単位/月)、遠隔死亡診断補助加算(150単位/回)、口腔連携強化加算(50単位/回)の3つ。
- 緊急時訪問看護加算は「緊急時等訪問看護加算」へ。(Ⅰ)600単位/月・(Ⅱ)574単位/月の2区分に。
- 理学療法士等の訪問は基本報酬・12か月超減算を見直し。BCP・虐待防止・身体的拘束の体制整備も必須。
- 改定項目は全15項目。取るべき加算と注意すべき減算を両面でチェックを。
出典:第239回社会保障審議会介護給付費分科会 資料・参考資料(厚生労働省)、令和6年度介護報酬改定の主な事項について(厚生労働省)をもとに作成。単位数・要件は最新の告示・解釈通知および自治体の案内をご確認ください。



