特定事業所集中減算とは?対象サービス・80%基準・正当な理由を解説
居宅介護支援の運営をしていると、毎年9月と3月に必ず話題にのぼるのが「特定事業所集中減算」です。「うちは大丈夫だろうか」「正当な理由ってどう書けばいいの?」「そもそも90%を超えなければセーフなの?」——こうした疑問を抱えたまま、なんとなく届出を出している事業所も少なくありません。
この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定を踏まえた最新ルールをもとに、特定事業所集中減算の対象サービス・判定方法・正当な理由・届出期限までを、ケアマネジャーと管理者の実務目線で徹底的に整理します。判定シートの計算でつまずかないよう、具体的な数字の追い方まで解説します。
- 特定事業所集中減算の「減算額」と「判定の基準値(80%超)」
- 対象となる4つのサービス(訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与)
- 判定期間(前期・後期)と減算が適用される期間、届出の期限
- 減算を回避できる「正当な理由」の具体例と書き方のコツ
- よくある勘違い(90%説・全サービス対象説)の正しい理解
特定事業所集中減算とは?まず結論から
特定事業所集中減算とは、居宅介護支援事業所が作成したケアプランにおいて、特定の事業者(法人)にサービスが偏っている場合に、居宅介護支援費を減算する仕組みです。ケアマネジメントの「公正中立」を担保するために設けられています。
ポイントを先に押さえておきましょう。
ちびウルフあれ?昔は「90%を超えたら減算」って習った気がするんだけど、80%なの?
リハウルフいいところに気づいたね。かつては90%超が基準だったんだ。でも平成27年度改定で80%超に引き下げられて、今もそのまま。「90%までセーフ」と覚えていると判定をミスするから要注意だよ。
減算の対象になる4つのサービス
すべての介護サービスが対象になるわけではありません。特定事業所集中減算で判定するのは、次の4つのサービスに限られます。
| 対象サービス | 備考 |
|---|---|
| 訪問介護 | いわゆるホームヘルプサービス |
| 通所介護(デイサービス) | 通常規模型・大規模型 |
| 地域密着型通所介護 | 定員18名以下の小規模デイ |
| 福祉用具貸与 | レンタル事業所が判定対象 |
ちびウルフつまり、4種類それぞれで「最も多い法人の割合」を計算するってこと?
リハウルフそのとおり。サービスごとに別々の表で計算して、どれか1つでも80%を超えれば減算の検討対象になるんだ。
減算額と判定の基準値(200単位・80%超)
判定の結果、正当な理由なく基準を超えていた場合の減算額は次のとおりです。
「割合が80%を超える」かどうかが分かれ目です。ちょうど80.0%は「超えていない」、80.1%以上で「超えた」と判定されます。計算式はシンプルです。
| 計算する数値 | 内容 |
|---|---|
| 分母 | 判定期間に作成したケアプランのうち、そのサービスを位置づけた計画の数 |
| 分子 | そのうち、最も紹介件数が多い同一法人を位置づけた計画の数 |
| 割合 | 分子 ÷ 分母 × 100(%) |
判定期間と減算が適用される期間
判定は年2回、半年ごとに行います。「いつ判定し、いつから減算が始まるか」を取り違えると、届出のタイミングを逃します。
| 区分 | 判定期間 | 届出期限 | 減算の適用期間 |
|---|---|---|---|
| 前期 | 3月1日〜8月31日 | 9月15日まで | 10月1日〜翌3月31日 |
| 後期 | 9月1日〜翌2月末日 | 翌3月15日まで | 翌4月1日〜9月30日 |
届出(判定)の手順
実務の流れは、自治体が配布するチェックシート(Excel様式が一般的)に沿って進めます。おおまかな手順は次のとおりです。
- 判定期間の各月について、作成したケアプランの総数を集計する
- 対象サービス(訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与)ごとに、そのサービスを位置づけた計画数を入力する
- サービスごとに「紹介率が最も高い法人」を特定し、その法人を位置づけた計画数を入力する
- 割合(最高法人の計画数 ÷ サービスを位置づけた計画数)を算出する
- 80%を超えたサービスがあれば「正当な理由」を選択・記載し、市町村へ届け出る
ちびウルフ「紹介率が最も高い法人」って、事業所単位じゃなくて法人単位で見るの?
リハウルフそう、法人単位で集計するよ。同じ法人が複数の事業所を運営していたら、それらを合算してカウントするから、自社グループにサービスが集まっている事業所は割合が高くなりやすいんだ。
減算を回避できる「正当な理由」とは
80%を超えていても、市町村長が「正当な理由がある」と認めれば減算は適用されません。ここが実務上いちばん重要なポイントです。代表的な正当な理由には次のようなものがあります。
| 正当な理由の例 | 考え方 |
|---|---|
| 事業所数が少ない地域である | 通常の事業実施地域に、そのサービス種別の事業所が5未満しかないなど、選択肢が物理的に限られる場合 |
| 特別地域加算の対象事業者 | 中山間地域など、地理的にサービス資源が乏しい地域 |
| 事業所が小規模である | 判定期間の1か月あたり平均ケアプラン件数が20件以下など |
| そのサービスの利用が少数 | 各サービスを位置づけた計画が1か月あたり平均10件以下など |
| サービスの質が高く利用者が希望 | 質の高さゆえに利用者の希望で特定事業者に集中していると認められる場合 |
| その他、市町村長が認める理由 | 地域の実情に応じて個別に判断される |
ケアマネ・管理者が日頃から意識したい実務ポイント
特定事業所集中減算は、9月・3月に慌てて計算するものではなく、日々のケアマネジメントの公正中立さを点検する仕組みと捉えるのが本質です。現場で意識したいポイントを整理します。
- 毎月、対象4サービスの紹介状況をモニタリングし、80%ラインに近づいていないか早めに把握する
- 偏りが見られる場合は、その理由(地域資源・本人の希望・空き状況など)を経過記録に残しておく
- 利用者へのサービス提案時に複数事業所を提示し、選択の経緯を記録する
- 判定期に慌てないよう、チェックシートを毎月仮入力しておく
ちびウルフ正当な理由があれば減算されないなら、無理に紹介先を分散しなくてもいいの?
リハウルフ減算回避だけが目的ではないんだ。大切なのは利用者本位で公正中立なケアプランかどうか。結果として集中していても、その判断に合理的な根拠があり、記録で説明できることが何より重要だよ。
よくある質問(FAQ)
基準は80%超ですか、90%超ですか?
減算額はいくらですか?
訪問看護や通所リハビリも対象ですか?
80%を超えなければ届出は不要ですか?
正当な理由は誰が判断しますか?
同一法人が複数事業所を持つ場合はどう数えますか?
- 特定事業所集中減算は、ケアプランの公正中立を担保するための仕組み
- 対象は訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与の4サービス
- 正当な理由なく同一法人の割合が80%を超えると、居宅介護支援費から▲200単位
- 判定は前期(3〜8月)・後期(9〜2月)の年2回、届出期限は9月15日・3月15日
- 80%超でも「正当な理由」が認められれば減算されない。客観的事実で記録を残すことが鍵
- 80%以下でも判定書類は2年間保存。日々のモニタリングで備えておくのが安全
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」関係告示・留意事項通知、各市町村の特定事業所集中減算に関する案内ページ等。具体的な取扱い・様式は管轄の自治体により異なる場合があるため、必ず最新の通知をご確認ください。

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