「中重度の利用者さんを積極的に受け入れているのに、その体制が評価されていない気がする」——通所リハビリ(デイケア)を運営していて、そう感じたことはありませんか。中重度者ケア体制加算は、まさにそうした事業所の体制を評価するための加算です。

この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定を反映し、通所リハビリにおける中重度者ケア体制加算の単位数・算定要件・「要介護3以上30%」の数え方・専従看護職員の配置・届出と返還リスクまでを、事業所の管理者・経営者目線で詳しく解説します。要件の解釈を誤ると指導・返還につながりやすい加算なので、正確に押さえておきましょう。

この記事でわかること
  • 中重度者ケア体制加算の単位数(20単位/日)と4つの算定要件
  • 「要介護3以上が30%以上」の正しい計算方法(前年度/前3か月)
  • 専従の看護職員1名以上配置の意味と、常勤換算1以上の上乗せ配置
  • 計画的なリハビリプログラム作成の要件
  • 通所介護(デイサービス)の中重度者ケア体制加算との違い
  • 返還にならないための運用上の留意点

中重度者ケア体制加算とは?まず結論

中重度者ケア体制加算とは、中重度の要介護者(要介護3以上)を積極的に受け入れ、手厚いケア体制を整えている通所リハビリ事業所を評価する加算です。人員基準を超えた職員配置と、中重度者の在宅生活継続に資するリハビリの計画的な実施が求められます。

単位数は1日につき20単位。1人あたりの単価は小さく見えますが、中重度者を一定割合受け入れている事業所では、利用者全員に算定できるため、年間でみるとまとまった収益貢献になります。

ちびウルフちびウルフ

要介護3以上の人にだけ算定する加算なんですか?

リハウルフリハウルフ

そこが間違えやすいポイントだよ。要件として「要介護3以上が30%以上」が必要なんだけど、要件を満たせば利用者全員(要介護度を問わず)に算定できるんだ。中重度者だけに算定するわけじゃないんだよ。

単位数と算定要件【令和6年度・2024年度版】

通所リハビリの中重度者ケア体制加算の単位数と要件は次のとおりです。次の4つをすべて満たす必要があります。

項目内容
単位数20単位/日
要件①
上乗せ配置
人員基準を満たす看護職員または介護職員に加えて、看護職員または介護職員を常勤換算方法で1以上配置していること
要件②
中重度者の割合
前年度または算定日が属する月の前3か月の利用者総数のうち、要介護3以上の利用者が30%以上を占めていること
要件③
専従看護職員
サービス提供時間を通じて、他の職務を兼務していない専従の看護職員を1名以上配置していること
要件④
プログラム作成
中重度者でも社会性の維持を図り、在宅生活の継続に資するリハビリを計画的に実施するプログラムを作成していること
ポイント要件①の「上乗せ配置」と要件③の「専従看護職員」は別の要件です。人員基準+常勤換算1以上の上乗せに加えて、提供時間を通じて専従の看護職員が1名以上いることが求められます。

「要介護3以上が30%以上」の数え方

もっとも判断を誤りやすいのが要件②の割合計算です。「前年度」または「算定日が属する月の前3か月」のいずれかで判定します。

  1. 前年度(3月を除く前年度の1年間)の利用者総数を分母にする方法
  2. 算定日が属する月の前3か月の利用者総数を分母にする方法
  3. 分子に「要介護3・要介護4・要介護5」の利用者数を入れ、30%以上かを確認する
注意前年度実績が基準に満たない場合でも、前3か月で30%以上を満たせば算定できる場合があります。逆に、割合が30%を下回った場合は速やかに算定を取り下げる必要があり、放置すると返還の対象になり得ます。毎月の割合管理を習慣化しましょう。

専従の看護職員1名以上という要件

要件③では、サービス提供時間を通じて、他の職務を兼務していない専従の看護職員を1名以上配置することが求められます。「専従」とは、その時間帯に他の業務(送迎運転や他事業の兼務など)を行わず、当該通所リハの職務に専念していることを指します。

中重度者は医療的なケアやリスク管理の必要性が高いため、看護職員が常に対応できる体制を評価する趣旨です。常勤・非常勤は問われませんが、「提供時間を通じて」専従でいることが必要なため、シフト設計に注意が必要です。

通所介護(デイサービス)の中重度者ケア体制加算との違い

同名の加算が通所介護(デイサービス)にもありますが、単位数や要件が異なります。混同しないよう整理しておきましょう。

項目通所リハビリ通所介護(参考)
単位数20単位/日45単位/日
中重度者の割合要介護3以上が30%以上要介護3以上が30%以上
専従看護職員提供時間を通じて1名以上提供時間を通じて1名以上
ちびウルフちびウルフ

名前が同じだから、つい通所介護の単位数で考えちゃいそうですね…。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。通所リハは20単位、通所介護は45単位と単位数が違うよ。請求ソフトの設定ミスや、他サービスの資料を流用したときの取り違えに気をつけてね。

加算の趣旨と、令和6年度改定での位置づけ

中重度者ケア体制加算は、「住み慣れた地域・自宅で暮らし続けたい」という中重度者を、通所リハビリが受け止めるための体制を評価する趣旨で設けられています。要介護度が高い利用者は、医療的なリスク管理や移乗・排泄などの介助負担が大きく、受け入れには手厚い人員と専門的な視点が欠かせません。

令和6年度改定では、中重度者ケア体制加算そのものの単位数・要件に大きな変更はありませんでした。一方で、通所リハビリ全体としては、リハビリ・口腔・栄養を一体的に進めるリハビリテーションマネジメント加算の新区分創設や、事業所規模別基本報酬の見直しなど、「重度化防止」と「在宅生活の継続」を後押しする方向が一段と強まっています。中重度者ケア体制加算は、こうした流れのなかで、重度者を支える事業所の基盤を支える加算として引き続き重要です。

ポイント中重度者ケア体制加算は、要件④で「社会性の維持・在宅生活の継続に資するリハビリを計画的に実施するプログラムの作成」を求めています。単なる受け入れ体制だけでなく、中重度でも活動・参加につなげる計画があることが前提です。

収益への影響をシミュレーション

「20単位/日」と聞くと小さく感じますが、要件を満たせば利用者全員に毎回算定できるため、稼働の大きい事業所ほど効果が積み上がります。1単位あたりの単価を仮に10円とした場合の概算は次のとおりです(地域区分により単価は異なります)。

1日あたり延べ利用者数1日の加算額(概算)月25日稼働の概算
20人約4,000円約10万円
30人約6,000円約15万円
40人約8,000円約20万円

上記はあくまで単価10円で計算した目安です。実際は地域区分や利用者の利用回数によって変動しますが、中重度者を一定割合受け入れている事業所では、年間で見ると無視できない規模になることがわかります。専従看護職員の人件費とのバランスを見ながら、体制づくりを検討する価値があります。

算定にあたっての実務ステップ(管理者向け)

  1. 直近の利用者総数と要介護3以上の割合を算出し、30%以上を確認する
  2. 人員基準+常勤換算1以上の上乗せ配置ができているかを確認する
  3. 提供時間を通じて専従の看護職員1名以上を確保できるシフトを組む
  4. 中重度者の社会性維持・在宅継続に資するリハビリプログラムを作成・記録する
  5. 都道府県等へ体制の届出を行い、毎月割合をモニタリングする
注意中重度者ケア体制加算は、要件を満たしていないのに算定していたことが運営指導で判明すると返還の対象になりやすい加算です。特に「要介護3以上30%」の割合と「専従看護職員」の配置は、根拠資料(利用実績・勤務表)を整備しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

要件を満たせば要介護1・2の利用者にも算定できますか?
はい。要介護3以上が30%以上などの要件を満たせば、その事業所の利用者全員(要介護度を問わず)に1日20単位を算定できます。中重度者だけに算定する加算ではありません。
「要介護3以上30%」は前年度と前3か月のどちらで判定しますか?
前年度(3月を除く1年間)または算定日が属する月の前3か月のいずれかで判定します。事業所の実績に応じて満たせる方で判定し、割合が30%を下回った場合は算定を取り下げます。
専従の看護職員は常勤でなければいけませんか?
常勤・非常勤は問われませんが、「サービス提供時間を通じて」他の職務を兼務せず専従であることが必要です。送迎や他事業との兼務がある場合は要件を満たさないおそれがあります。
通所介護の中重度者ケア体制加算と単位数は同じですか?
いいえ。通所リハビリは20単位/日、通所介護は45単位/日と異なります。同名でも別の基準なので、取り違えに注意してください。
届出は必要ですか?
体制要件を満たしたうえで、都道府県知事(指定権者)への届出が必要です。割合や配置に変更が生じた場合は、改めて届出・取り下げの対応を行います。
まとめ
  • 中重度者ケア体制加算は通所リハビリで20単位/日。要件を満たせば利用者全員に算定可能。
  • 要件は①上乗せ配置(常勤換算1以上)②要介護3以上が30%以上③専従看護職員1名以上④計画的なプログラム作成の4つすべて
  • 「30%以上」は前年度または前3か月で判定。下回ったら速やかに取り下げる。
  • 通所介護の同名加算(45単位/日)とは単位数が異なるため取り違え注意。割合・配置の根拠資料を整備して返還リスクを防ぐ。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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