介護保険と医療保険の違い|訪問看護はどっちか早わかり
「介護保険と医療保険、結局どこが違うの?」「訪問看護はどっちの保険で入るの?」——制度の入り口でつまずく方はとても多いものです。特に訪問看護・訪問リハビリの現場では、どちらの保険を使うかで利用回数・自己負担・請求先がまるごと変わるため、間違えると返戻や過誤請求につながります。
この記事では、介護保険と医療保険の基本的な違いを表で整理したうえで、訪問看護でどちらが優先されるのかを判断フローで解説します。専門職はもちろん、利用者・ご家族にもわかるよう、結論ファーストでまとめました。「別表7」「特別訪問看護指示書」といった実務キーワードも押さえます。
- 介護保険と医療保険の違い(対象者・自己負担・運営主体)
- 訪問看護で「介護保険が優先」になる原則
- 要介護認定があっても医療保険になる3つの例外
- 別表7・別表8・特別訪問看護指示書の意味
- どちらの保険か迷ったときの判断フローチャート
介護保険と医療保険の違いを一覧で整理
まずは全体像です。両者は「目的」も「対象者」も「自己負担」も異なる、まったく別の制度です。
| 項目 | 介護保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
| 目的 | 加齢に伴う介護・支援 | 病気やけがの治療 |
| 運営主体(保険者) | 市町村・特別区 | 健康保険組合・協会けんぽ・市町村国保・後期高齢者医療など |
| 対象者 | 第1号(65歳以上)/第2号(40〜64歳で特定疾病)で要介護・要支援認定を受けた人 | すべての年齢(乳幼児〜高齢者) |
| 利用の前提 | 要介護・要支援認定が必要 | 認定は不要(医師の判断・指示) |
| 自己負担 | 原則1割(所得により2割・3割)。区分支給限度額あり | 原則3割(年齢・所得により1〜3割)。高額療養費あり |
| 利用量の管理 | ケアプランと区分支給限度額で管理 | 必要な医療として医師が判断 |
ちびウルフ40歳になると介護保険料を払うって聞いたけど、40歳から使えるの?
リハウルフ40〜64歳の人(第2号被保険者)は、がん末期や関節リウマチなど「16の特定疾病」が原因で要介護になったときだけ介護保険を使えるんだ。それ以外の病気・けがは医療保険になるよ。
介護保険の被保険者区分
| 区分 | 対象年齢 | 使える条件 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 65歳以上 | 原因を問わず、要介護・要支援認定を受ければ利用可 |
| 第2号被保険者 | 40〜64歳(医療保険加入者) | 16特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合のみ |
訪問看護はどっちの保険?まず原則を押さえる
訪問看護・訪問リハビリで最も混乱するのが「どちらの保険を使うか」です。原則はシンプルで、要支援・要介護の認定を受けている人は、介護保険が優先されます。介護保険と医療保険は同じ訪問看護で同時併用はできず、どちらか一方が適用されます。
ちびウルフじゃあ要介護の人は、ぜったい介護保険なの?
リハウルフそこが大事なポイントだよ。要介護でも、医療保険に切り替わる3つの例外があるんだ。次で見ていこう。
要介護認定があっても医療保険になる3つの例外
原則は介護保険優先ですが、次のいずれかに当てはまると、要介護認定があっても医療保険の訪問看護になります。これは実務で必ず押さえるべき例外です。
- 「別表7」の疾病等に該当する:末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度)など、厚生労働大臣が定める疾病に該当する場合。
- 「特別訪問看護指示書」が交付された:急性増悪・終末期・退院直後などで、主治医が特別指示書を出した期間(原則14日間)。
- 精神科訪問看護の対象:精神科訪問看護指示書にもとづく訪問看護(認知症を除く精神疾患)の場合。
別表7・別表8とは?
訪問看護の保険区分を理解するうえで欠かせないのが「別表7」と「別表8」です。混同しやすいので整理します。
| 区分 | 内容 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 別表第7 | 厚生労働大臣が定める疾病等(病名) | 該当すれば要介護でも医療保険。週4日以上・複数回訪問などが可能に |
| 別表第8 | 厚生労働大臣が定める状態等(医療的管理) | 気管カニューレ・留置カテーテル・真皮を超える褥瘡など。頻回訪問等の対象 |
別表7は「病名」で判断、別表8は「どんな医療的管理を受けているか(状態)」で判断する点が違いです。該当する場合は、週4日以上・1日複数回の訪問や、複数の訪問看護ステーションの利用など、通常より手厚い訪問が認められます。
判断フローチャート:どっちの保険か迷ったら
実務では、次の順番で確認すると間違えません。
- 年齢と認定を確認:要支援・要介護の認定があるか? なければ → 医療保険。
- 別表7(疾病)に該当するか:該当する → 要介護でも医療保険。
- 特別訪問看護指示書が出ているか:出ている期間(原則14日間)→ 医療保険。
- 精神科訪問看護の対象か:該当 → 医療保険。
- いずれにも当てはまらない:要介護・要支援認定あり → 介護保険。
ちびウルフ自己負担は、どっちが安いの?
リハウルフ一概には言えないんだ。介護保険は原則1割(所得で2〜3割)で区分支給限度額の中で使う。医療保険は原則3割(高齢者は1〜2割)だけど高額療養費で上限が決まる。どちらも所得や状況で変わるから、ケースごとに確認が必要だよ。
介護保険・医療保険の自己負担の違い
| 項目 | 介護保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
| 負担割合 | 原則1割(一定以上所得で2割・3割) | 原則3割(義務教育就学前2割、70〜74歳2割、75歳以上1割など年齢・所得で変動) |
| 負担の上限 | 区分支給限度額(超過分は全額自己負担)/高額介護サービス費 | 高額療養費(月ごとの自己負担に上限) |
| 限度の考え方 | 「使えるサービス量」に上限 | 「自己負担額」に上限 |
介護保険は区分支給限度額を超えると全額自己負担になるのが特徴です。一方、医療保険は高額療養費で月の自己負担に上限が設けられます。どちらが有利かは、利用するサービス量・所得・世帯状況によって変わります。
専門職が請求でつまずきやすいポイント
ケアマネ・訪問看護・訪問リハの実務では、次の点で混乱が起きやすいので注意しましょう。
- 別表7該当なのに介護保険で算定し、返戻になる
- 特別訪問看護指示書の14日間だけ医療保険に切り替えるのを忘れる
- 区分支給限度額を超過し、利用者に想定外の全額自己負担が発生する
- 介護保険と医療保険を同月に併用できると誤解する(同一傷病の訪問看護は併用不可)
保険区分は、主治医の指示書(病名・特別指示の有無)と要介護認定の状況をセットで確認することが鉄則です。判断に迷う場合は、保険者(市町村)や審査支払機関に確認しましょう。
具体例でわかる:3つのケースで保険区分を確認
言葉だけではイメージしづらいので、典型的な3ケースで「どちらの保険になるか」を確認しましょう。
| ケース | 状況 | 適用される保険 |
|---|---|---|
| ① 80歳・要介護2・脳梗塞後遺症 | 要介護認定あり。別表7・特別指示書なし | 介護保険(原則どおり優先) |
| ② 70歳・要介護3・末期がん | 要介護認定あり。別表7の「末期の悪性腫瘍」に該当 | 医療保険(要介護でも別表7で切替) |
| ③ 75歳・要介護1・肺炎で急性増悪 | 主治医が特別訪問看護指示書を交付(14日間) | その14日間は医療保険、終了後は介護保険に戻る |
ちびウルフ③は、途中で保険が変わるんだね!
リハウルフそうなんだ。特別指示書が出ている期間だけ医療保険に切り替わって、終わったら介護保険に戻る。切り替えの日付を正確に管理するのが、請求ミスを防ぐコツだよ。
よくある質問(FAQ)
介護保険と医療保険は併用できますか?
40〜64歳でも介護保険の訪問看護は使えますか?
別表7に該当するかは誰が判断しますか?
要支援でも介護保険が優先ですか?
負担割合はどこで確認できますか?
- 介護保険は「介護のための保険(市町村が保険者・要介護認定が前提)」、医療保険は「治療のための保険(全年齢・認定不要)」。
- 訪問看護は要支援・要介護の認定があれば介護保険が優先。
- 例外として別表7の疾病・特別訪問看護指示書(14日間)・精神科訪問看護は要介護でも医療保険。
- 自己負担は介護保険=原則1割+区分支給限度額、医療保険=原則3割(高齢者は1〜2割)+高額療養費。
- 保険区分は指示書の病名と要介護認定をセットで確認し、迷ったら保険者・審査機関へ。



