「デイサービスの利用者がなかなか増えない」「営業をかけても新規につながらない」——通所介護の経営・管理に携わる方なら、一度はぶつかる悩みではないでしょうか。高額なコンサルティングを検討する前に、まず押さえておきたい原則があります。

結論から言うと、デイサービスの利用者獲得は「選ばれる理由を作り、ケアマネジャーと地域に正しく伝える」ことに尽きます。この記事では、医療介護業界に10年以上携わってきた理学療法士の視点で、継続的に利用者が集まる事業所が実践している6つの方法を、現場目線で具体的に解説します。読み終えるころには、コンサルに頼らず自走できる利用者獲得の型が見えているはずです。

この記事でわかること
  • デイサービス(通所介護)の効果的な利用者獲得方法6つ
  • 黒字でデイサービスを運営し続けるための考え方
  • 定期的な飛び込み営業に頼らず利用者が集まる仕組み
  • コンサルを入れなくても継続的に新規を獲得するコツ
ちびウルフちびウルフ

利用者を増やすって、やっぱり営業をいっぱい回るしかないの?

リハウルフリハウルフ

それが一番の誤解なんだ。飛び込み営業の量より、「紹介したくなる事業所」になっているかのほうがずっと大事なんだよ。今日はその中身を6つに分けて教えるね。

デイサービスの利用者獲得方法6つ|結論と全体像

継続的に利用者を獲得できているデイサービスには共通点があります。効果的な方法を6つにまとめると次の通りです。

No利用者獲得の方法狙い
1特色(強み)を作り、伝えるケアマネの記憶に残り選ばれる
2現在の利用者の満足度向上口コミ・評判で自然に広がる
3ケアマネへの報連相を徹底信頼され継続紹介につながる
4良いも悪いもオープンにする誠実さで長期的な信頼を得る
5職員教育で現場の質を上げるサービスの質=評判を底上げ
6横のつながりを作る地域連携で相互に紹介し合う

この中でも特に重要なのが❶特色づくりと❷利用者満足度です。順番に掘り下げます。

① デイサービスの特色(強み)を作り、伝える

最も大切なので最初にお伝えします。利用者獲得の土台は、「特色を作ること」と「その特色を地域に伝えること」の2つです。当たり前に思えますが、意外とできていない事業所が多いのが実情です。

セルフチェックあなたのデイサービスの「特色」「強み」を、聞かれて10秒で答えられますか?そして、地域のケアマネジャーに同じ質問をしたら、同じ答えが返ってくるでしょうか?

ケアマネジャーは担当する利用者に合った事業所を選んで紹介します。そのときあなたの事業所がケアマネの頭に浮かぶかどうかが勝負です。デイサービスは数が非常に多く、「なんとなく良さそう」では選ばれません。分かりやすい特色で差別化することが第一歩です。

差別化につながる特色の例

特色は奇抜である必要はなく、「ひと言で説明できる」ことが重要です。例として次のようなものがあります。

方向性特色の例
機能・専門性リハビリ特化型/認知症対応型/PT・OT・STが在籍
過ごし方畑作業が充実/温泉がある/食事がおいしい
利用形態入浴・食事なしの短時間型/長時間預かり/土日祝も営業
利用者層男性が多い/要支援中心/重度対応に強い

こうした他にはない特色を作り、ケアマネジャーに正しく知ってもらうこと。利用者獲得に悩む経営者・管理者は、まずこの2点から着手しましょう。

② 現在の利用者さんの満足度を向上させる

継続的な利用者獲得の王道は、実は今いる利用者の満足度を高めることです。目の前の利用者を満足させられない事業所が、新規利用者を満足させることはできません。さらに、新規が増えても既存利用者が不満で離れてしまえば、トータルの利用者数は変わりません。

満足度の向上は、次のような好循環を生みます。

満足度向上が生む好循環利用者からの口コミが増える → 周囲からの評判が良くなる → 担当ケアマネの印象が上がる → ケアマネ同士で情報が伝わる → 新規紹介につながる

目の前の利用者の後ろには、その家族・知人・担当ケアマネ、そして多くの潜在利用者がいます。一人ひとりの満足が、巡り巡って次の利用者を連れてくると考えて関わりましょう。

③ ケアマネジャーへの報告・連絡・相談を徹底する

ケアマネジャーは担当利用者を大切に思っています。だからこそ、些細なことでも「報告・連絡・相談」をこまめに行う事業所は強い信頼を得ます。逆に言えば、報連相がしっかりできている事業所はサービスの質も高いものです。利用者の体調変化や気づきを丁寧に共有し、連携を密にすることが、継続紹介への近道になります。

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報連相って、どのくらいの頻度でやればいいの?多すぎても迷惑じゃない?

リハウルフリハウルフ

頻度よりも「ケアマネが知りたいことを先回りして伝える」意識が大事だよ。体調の変化や家族の様子など、ケアプランの判断材料になる情報はこまめに。事務連絡だけにならないのがコツなんだ。

④ 良いところも悪いところもオープンにする

良い点はしっかりアピールし、課題は隠さず改善に努める。この誠実な姿勢が長期的な信頼を生みます。どんなに良い取り組みをしていても、嘘やごまかしが一つあるだけで評判は崩れます。

デイサービス運営では、アクシデントやヒヤリハットはつきものです。大切なのは起きたあとの対応です。事故やトラブルを正直に報告し、再発防止に動く事業所こそ、ケアマネや家族から「任せられる」と評価されます。

⑤ 職員の教育をして現場の質を上げる

デイサービスの質は、結局のところ職員一人ひとりの質の総和です。明るい挨拶ができるスタッフが多ければ事業所の印象は良くなり、ケアの質・運動の質・レクリエーションの質・コミュニケーションの質も、すべて職員教育にかかっています。現状に満足せず、日々のレベルアップを組織として志しましょう。職員の定着と育成は、結果的に利用者満足とコスト削減の両方に効いてきます。

注意外部のレクや設備を増やすことばかりに目が向きがちですが、利用者がまず接するのは「人」です。接遇とケアの質という土台を抜きにした集客は長続きしません。

⑥ 横のつながりを作る

近年は、デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)同士の横のつながりも重要になっています。各事業所に特色があるため、たとえば要支援者中心の事業所と要介護4〜5中心の事業所では、向いている利用者が異なります。ケアマネジャーを通じて互いに紹介し合い、地域で支え合える関係を築ければ、無理な囲い込みをせずとも自事業所に合った利用者が集まりやすくなります。

やってはいけない利用者獲得の落とし穴

力を入れているのに利用者が増えない事業所には、共通した「ずれ」があります。代表的なものを押さえておきましょう。

1つ目は特色が「事業所目線」になっていること。「アットホーム」「丁寧なケア」はどの事業所も言うため、ケアマネの記憶には残りません。利用者やケアマネにとっての「使い分けの理由」になる言葉に翻訳することが必要です。2つ目は新規獲得ばかりに注力し、既存利用者の離脱を放置していること。バケツの穴をふさがないまま水を足しても、稼働率は上がりません。3つ目は数字を見ていないことです。稼働率・新規/終了の人数・紹介元のケアマネ事業所などを毎月記録すると、どの打ち手が効いているかが見え、営業の精度が一気に上がります。

注意医療介護の現場を知らないコンサルの「とにかく営業件数を増やせ」という助言を鵜呑みにすると、現場が疲弊して質が落ち、かえって評判を下げることがあります。量より質と継続を優先しましょう。

専門職が実践する|利用者獲得を仕組み化する手順

場当たり的な営業ではなく、利用者獲得を「仕組み」に落とし込むことが安定運営のカギです。現場で機能している手順を整理しました。

  1. 自事業所の特色を1〜2文に言語化し、全職員が同じ言葉で説明できる状態にする。
  2. その特色を伝えるツール(パンフ・見学案内・空き状況表)を整え、ケアマネへ定期的に届ける。
  3. 既存利用者の満足度を定期的に把握し、改善点を現場にフィードバックする。
  4. 体調変化や気づきをケアマネへこまめに報連相し、信頼を積み重ねる。
  5. 地域の事業所・包括支援センターと連携し、相互紹介できる関係を育てる。

よくある質問(デイサービスの利用者獲得)

飛び込み営業はやはり必要ですか?
最初に事業所を知ってもらうきっかけとしては有効ですが、それ単体では続きません。特色づくりと利用者満足という土台があってこそ、営業が継続紹介に変わります。
コンサルティングは入れたほうがよいですか?
本記事の6つを自走できていれば、必ずしも必要ありません。医療介護の現場を知らない助言を鵜呑みにせず、まず内部の質と連携から見直すことをおすすめします。
特色が思いつかない場合はどうすれば?
既存利用者やケアマネに「なぜうちを選んだか」を聞くのが近道です。自分たちが当たり前と思っている点に、外から見た強みが隠れていることが多いです。
稼働率を黒字ラインで維持するコツは?
新規獲得だけでなく、既存利用者の継続(離脱防止)を重視することです。満足度向上はそのまま稼働率の安定につながり、黒字運営の基盤になります。
まとめ
  • デイサービスの利用者獲得方法は、①特色づくりと発信 ②利用者満足度 ③ケアマネへの報連相 ④誠実な情報公開 ⑤職員教育 ⑥横のつながり、の6つ。
  • 最重要は❶特色を作り伝えることと、❷今いる利用者の満足度を高めること。
  • 飛び込み営業の量よりも「紹介したくなる事業所」になることが継続獲得のカギ。
  • これらを仕組み化できれば、コンサルに頼らず黒字運営を自走できる。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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