「在宅看護の特徴ってどんなことがあるの?」「家族を自宅で看ることになったけれど、何を大切にすればいいの?」——ご家族の介護・看護が必要になったとき、こうした不安を感じる方はとても多いです。初めての在宅看護は、わからないことばかりで当然です。

でも、安心してください。今の日本は介護保険制度が充実し、訪問看護や訪問リハビリなど在宅生活を支えるサービスが整っています。実際、全国の訪問看護ステーションは令和6年4月時点で17,329カ所と過去最多に達しています。この記事では、在宅看護・在宅介護の現場で働く立場から、在宅看護の特徴と大切なこと、使える介護保険サービスまでをわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 在宅看護とは何か/訪問看護との違い
  • 在宅看護で大切な4つのこと
  • 在宅看護の特徴5つ
  • 在宅看護を支える介護保険サービスの全体像
  • サービスを使い始めるまでの流れ(要介護認定〜開始)

在宅看護とは?訪問看護との違いもわかりやすく解説

在宅看護とは、病気やケガで心身が不自由になった方が、入院せずに住み慣れた自宅で療養し、ご家族が中心となって看護・介護を行うことをいいます。最大のメリットは、慣れた環境で家族がそばにいられる安心感です。一方で、病院でしか受けられない治療があること、家族に負担がかかりやすいことがデメリットとして挙げられます。

よく混同されますが、「在宅看護」はご家族も含めた自宅療養全体を指す言葉、「訪問看護」は看護師などの専門職が自宅を訪問して提供する公的サービスの一つです。在宅看護という大きな枠の中で、訪問看護や訪問リハビリといったプロのサービスを活用していく、とイメージするとわかりやすいでしょう。

ちびウルフちびウルフ

在宅看護って、全部家族だけでやらなきゃいけないの?

リハウルフリハウルフ

そんなことはないよ。家族が中心ではあるけれど、訪問看護師や医師、ケアマネジャーなど大勢の専門職が支えてくれる仕組みになっているんだ。抱え込まなくて大丈夫だよ。

在宅看護で大切な4つのこと

在宅看護を続けるうえで意識したい大切なポイントは、次の4つです。結論から言うと、「本人の意思」「家族が無理をしない」「専門職を頼る」「制度を使う」——この4つが在宅看護を長続きさせる鍵になります。

①本人の選択を尊重する

治療の選択、生き方の選択、やりたいことの選択など、療養生活ではさまざまな場面で選択が必要になります。病気でコミュニケーションが取りにくい方もいますが、それでも「本人はどう思っているかな?」と家族が想像し、一つひとつ本人の意思を尊重することが何より大切です。

②介護者が無理をしない(レスパイトの活用)

24時間365日、自宅で看護・介護を続けると、家族の心身に大きな負担がかかります。大切な家族であっても、慣れない介護をずっと続けるのは本当に大変です。「介護うつ」という言葉があるように、頑張りすぎは禁物です。

ポイント息抜きのために短期入所(ショートステイ)やデイサービスを使うことを「レスパイトケア」と呼びます。大変だと感じる前に休むのがコツ。まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみましょう。

③専門職を積極的に頼る

担当のケアマネジャーがいれば、些細なことでも相談して頼りましょう。在宅看護を支える専門職は、主治医・薬剤師・看護師・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士など、地域にたくさんいます。一人で抱え込まず、チームで支えてもらう意識が大切です。

④介護保険制度・サービスを活用する

日本の介護保険制度はとても充実しています。要介護認定を受ければ、原則費用の1〜3割の自己負担でさまざまなサービスを利用できます。在宅看護では、使えるサービスを遠慮なく活用してください。具体的なサービスは後述します。

在宅看護の特徴5つ

在宅看護には、病院でのケアにはない5つの特徴があります。一つずつ紹介します。

特徴内容
①自宅でのケア最もリラックスできる環境で療養できる
②個別化されたケアその人のニーズに合わせた手厚い対応
③長期的なケア慢性疾患やリハビリにじっくり対応できる
④家族の参加家族が関わることで本人が安心できる
⑤緊急時の対応専門職が症状変化を早期に発見・対応

①住み慣れた自宅でケアを受けられる

自宅は本人が一番リラックスできる場所です。在宅看護では身体的なケアだけでなく、精神的なストレスの軽減も期待できます。入院が長引くと病院環境そのものがストレスになることがありますが、在宅ならその心配が少なくなります。

②個別化されたケア

病院では多くの患者を看るため、一人にかけられる時間は限られます。一方、在宅看護では訪問看護師が少人数を担当するため、その人の具体的なニーズに合わせた手厚いケアの時間を確保しやすいのが特徴です。

③長期的なケア

慢性的な病状やリハビリが必要な場合、自宅で長期にわたってケアを続けられます。生活の場で継続的に支援を受けられることは、本人の生活の質(QOL)の維持にもつながります。

④家族・パートナーが参加できる

家族がケアに参加することで、本人は心理的な安心感を得られます。さらに、家族がケアの一部を担うことで専門職の負担も軽くなり、結果として家族の絆が深まることもあります。ただし②でも触れたとおり、家族が抱え込みすぎないバランスが重要です。

⑤緊急時に対応できる体制

訪問看護師は症状の変化を見つけ、適切に対応する訓練を受けています。24時間対応の訪問看護(緊急時訪問看護加算)を契約しておけば、夜間や急変時にも電話相談や緊急訪問を受けられ、家族の大きな安心につながります。

ちびウルフちびウルフ

夜中に容体が悪くなったらどうしよう…って不安だったけど、相談できる体制があるんだね!

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。24時間対応を契約しておくと、いざというとき電話一本で相談できる。ケアマネジャーに「24時間対応にしたい」と伝えておくといいよ。

在宅看護を支える介護保険サービス一覧

在宅看護は家族だけで担うものではありません。介護保険には、自宅を支える多彩なサービスがあります。大きく「訪問」「通所」「宿泊」「福祉用具」に分けて整理しました。

分類主なサービス
訪問系訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、訪問介護、訪問薬剤、訪問栄養、訪問歯科、訪問入浴
通所系デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリ)
宿泊系ショートステイ(短期入所)
福祉用具車いす・介護ベッド等のレンタル、入浴・排泄用具の購入
注意サービスの組み合わせや利用できる量(区分支給限度基準額)は要介護度によって異なります。どのサービスをどう組み合わせるかは、ケアマネジャーが作成するケアプランで決まります。希望は遠慮なく伝えましょう。

在宅看護を始めるまでの流れ

「何から始めればいいの?」という方のために、サービス利用開始までの基本的な流れをまとめました。

  1. 市区町村の窓口、または地域包括支援センターに相談する
  2. 要介護認定を申請する(主治医意見書・認定調査)
  3. 要支援・要介護の認定結果を受け取る
  4. ケアマネジャー(または地域包括)にケアプランを作成してもらう
  5. 訪問看護・デイサービスなど必要なサービスと契約し、利用開始
ポイント退院に合わせて在宅看護を始める場合は、入院中から病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院支援看護師に相談しておくと、スムーズに在宅へ移行できます。

専門職の視点:家族が在宅看護で抱え込まないために

長年、在宅の現場に関わってきて強く感じるのは、「頑張りすぎる家族ほど、途中で疲れ果ててしまう」ということです。在宅看護を長続きさせるコツは、家族が「全部やらなきゃ」と思わないことに尽きます。

専門職から見ると、ご家族にお願いしたいのは「完璧なケア」ではなく「変化に早く気づき、共有してもらうこと」です。食欲・睡眠・表情・排泄など、日々のちょっとした変化を訪問看護師やケアマネジャーに伝えてもらえれば、私たちプロが早めに手を打てます。家族にしかできないのは、本人の好きなこと・大切にしてきたことを教えてくれること。役割分担をはっきりさせることが、在宅看護を持続可能にする最大のポイントです。

よくある質問(FAQ)

在宅看護と在宅介護は何が違うの?
明確な線引きはありませんが、一般に「看護」は健康・医療面のケア(服薬・処置・体調管理など)、「介護」は生活面の支援(食事・入浴・排泄など)を指すことが多いです。在宅では両者が一体となって行われます。
費用はどのくらいかかりますか?
介護保険サービスは原則1〜3割の自己負担です(所得により異なる)。実際の費用は利用するサービスの種類と量によって変わるため、ケアマネジャーに見積もりを相談しましょう。
仕事をしながらでも在宅看護はできますか?
可能です。日中はデイサービスや訪問サービスを組み合わせ、夜間は24時間対応の訪問看護を契約するなど、サービスで家族の負担を補えます。介護休業制度の活用も検討しましょう。
急に容体が悪くなったらどうすればいい?
24時間対応の訪問看護を契約していれば、まず訪問看護ステーションに電話相談できます。明らかな急変・意識障害などは迷わず救急要請(119番)を。日頃から主治医・訪問看護師と緊急時の対応を確認しておくと安心です。
まず誰に相談すればいいですか?
お住まいの地域の地域包括支援センター、またはすでにケアマネジャーがいればケアマネジャーが最初の窓口です。退院前なら病院の医療ソーシャルワーカーにも相談できます。
まとめ
  • 在宅看護は「自宅でご家族中心に療養を支えること」。訪問看護などプロのサービスを活用するのが前提
  • 大切なのは「本人の意思」「家族が無理をしない」「専門職を頼る」「制度を使う」の4つ
  • 特徴は、自宅でのケア・個別化・長期対応・家族参加・緊急時対応の5つ
  • 訪問・通所・宿泊・福祉用具など多彩な介護保険サービスで家族の負担を軽くできる
  • まずは地域包括支援センターやケアマネジャーへ。抱え込まず、チームで支える在宅看護を
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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