通所リハと訪問リハは併用できる?厚労省の根拠とケアプラン記載例

「通所リハビリと訪問リハビリは、同じ利用者で併用できるの?」——ケアマネジャーやセラピストから必ず出てくる質問です。結論を先に言うと、条件付きで併用は可能です。ただし“なんとなく両方”ではなく、根拠とケアプランの書き方を押さえる必要があります。
この記事では、通所リハと訪問リハの併用が認められる根拠を厚生労働省の考え方に沿って整理し、ケアプランへの記載例や短期集中リハ実施加算の取扱い、令和6年度改定の関連トピックまで、現役PT目線でわかりやすく解説します。
- 通所リハビリと訪問リハビリが併用できるか(結論と条件)
- 併用が認められる厚生労働省の根拠
- 併用時にケアプランへ記載すべき内容(記載例つき)
- 短期集中リハ実施加算の併用と、限度額の注意点

通所リハと訪問リハって、同じ人に両方使っていいの?ダメって聞いたこともあって…

結論は「条件を満たせばOK」だよ。鍵は“自宅でなければできないこと”があるかどうか。根拠から順番に見ていこう。
通所リハビリと訪問リハビリは併用可能なのか?【結論】
結論として、通所リハビリと訪問リハビリの併用は「条件付きで可能」です。両方を同時に位置づけるには、ケアマネジメントの結果として「訪問リハが必要」と判断されることが前提になります。漫然と両方を組み込むことはできません。
併用のカギは「自宅環境でなければできないリハビリがあるか」。家屋状況の確認や、自宅でのADL・IADL練習など、通所だけでは満たせない目標があるときに訪問リハの併用が成り立ちます。
通所リハと訪問リハの併用【厚労省の根拠①|通院困難とケアマネジメント】
訪問リハビリテーションは原則として「通院が困難な利用者」に提供される介護サービスです。これは、通院で同様のサービスが確保できるなら通所系サービスを優先すべき、という考え方によります。
一方で厚生労働省は、通所リハだけでは家屋内のADL自立が難しい場合に、家屋状況の確認を含む訪問リハの提供などが、ケアマネジメントの結果として必要と判断されれば訪問リハビリテーション費を算定できる、という趣旨を示しています。つまり「必要性の判断」が併用の正当な根拠になるわけです。
併用するときのケアプラン(併用理由の書き方)

「ケアマネジメントの結果必要」って、具体的にケアプランへ何を書けばいいの?

訪問リハの提供内容欄に「自宅でなければできないこと」を書くのがポイントだよ。通所と役割が重ならないことを示そう。
訪問リハの提供内容として、たとえば次のような“自宅環境ならでは”の目標を記載すると、併用理由が明確になります。
| 場面 | 記載例(訪問リハの提供内容) |
|---|---|
| 入浴 | 自宅環境下での入浴動作練習 |
| 移動 | 自宅環境下での移動・移乗練習 |
| 排泄 | 自宅環境下でのトイレ動作練習 |
| 外出 | 自宅からスーパーまでの買い物(外出)練習 |
通所リハと訪問リハの併用【厚労省の根拠②|調査研究の項目】
厚生労働省の調査研究(通所・訪問リハビリテーションの目的を踏まえた在り方に関する調査研究事業/令和元年度調査)では、訪問リハと併用しているサービスの選択肢に通所リハビリテーションが含まれています。社保審・介護給付費分科会の資料として示されたものです。
そもそも併用が認められていなければ、こうした調査項目自体が存在しないはずです。公的な調査の中で併用の実態が前提とされていること自体が、併用可能であることの傍証といえます。
通所リハと訪問リハの併用【厚労省の根拠③|平成27年度改定】
平成27年度介護報酬改定では、訪問リハと通所リハを同一事業者が提供する場合の運営の効率化を進める見直しが行われました。リハビリテーション計画や利用者の同意書、診療記録への記載などを効率的に実施できるようにする内容です。
同一事業者による両サービス提供を前提とした運営基準の見直しがある以上、訪問リハと通所リハの併用そのものが禁止されていないことがわかります。
令和6年度(2024年度)改定では、訪問リハ事業所を拡充する観点から、介護老人保健施設・介護医療院の開設許可があったときは訪問リハビリテーション事業所の指定があったものとみなす取扱いが設けられました。在宅リハの提供体制を広げる方向の改定です。
通所リハと訪問リハの併用(短期集中リハビリテーション実施加算)

退院直後に両方使うとき、短期集中リハビリテーション実施加算は2つとも取れるの?

それぞれの事業所が算定要件を満たせば、両事業所で算定できるよ。ただし単位数が大きくなるから限度額に注意だね。
退院直後などで通所リハと訪問リハを併用する場合、短期集中リハビリテーション実施加算は、それぞれの事業所が算定要件を満たせば両事業所で算定可能です。要件は事業所ごとに異なる点に注意しましょう。
短期集中リハ実施加算は単位数が大きくなりがちです。両サービス+加算で区分支給限度基準額をオーバーしないよう、ケアマネジャーと事前に支給限度額の調整を行いましょう。
通所リハと訪問リハを併用するメリットと実務の進め方
条件を満たせば、通所リハと訪問リハの併用は利用者にとって大きな効果を生みます。それぞれの強みを役割分担できるのがメリットです。
| サービス | 得意な場面 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 通所リハ | 設備・機器を使った機能訓練、社会交流 | 体力・耐久性の向上、集団でのリハと外出機会 |
| 訪問リハ | 自宅環境での動作、家屋状況の確認 | 入浴・トイレ・移動など実生活に直結する練習 |
たとえば回復期リハ病院の退院直後は、通所リハで全身の体力をつけつつ、訪問リハで自宅の段差や浴室といった実際の生活環境での動作練習を重ねることで、在宅生活への定着が進みやすくなります。両者がかみ合うと、リハの効果を相乗的に高められるわけです。
併用を始めるときは、次の流れで進めるとトラブルを防げます。
- 課題を整理する通所だけでは解決できない「自宅でなければできない課題」を洗い出します。
- 必要性をケアプランに位置づける訪問リハの提供内容に自宅環境ならではの目標を明記し、役割の重複を避けます。
- 支給限度額を調整する両サービス+加算で限度額を超えないよう、単位数をケアマネジャーと事前に確認します。
- 定期的に評価・見直す目標達成後は訪問リハを縮小するなど、漫然とした併用にならないよう見直します。
よくある質問(FAQ)
通所リハと訪問リハは無条件で併用できる?
いいえ。ケアマネジメントの結果、訪問リハが必要と判断される場合に限り併用できます。自宅でなければできないリハの目標を明確にすることがポイントです。
ケアプランには何を書けば併用が認められやすい?
訪問リハの提供内容欄に「自宅環境下での入浴・移動・トイレ動作練習」「自宅からの買い物練習」など、通所と役割が重複しない自宅ならではの目標を記載しましょう。
短期集中リハビリテーション実施加算は両方で取れる?
各事業所がそれぞれの算定要件を満たせば、通所・訪問の両方で算定可能です。ただし単位数が増えるため、区分支給限度基準額を超えないよう調整が必要です。
そもそも訪問リハは通院できる人には使えない?
訪問リハは原則「通院が困難な利用者」が対象です。ただし通所だけではADL自立が困難など、ケアマネジメント上の必要性があれば併用が認められます。
まとめ|併用は「自宅でなければできないリハ」と根拠で成り立つ
通所リハと訪問リハの併用は、ケアマネジメント上の必要性があれば条件付きで可能です。厚労省の考え方とケアプランの書き方、限度額の調整を押さえれば、利用者により適したリハ提供ができます。
- 通所リハと訪問リハの併用は「条件付きで可能」。ケアマネジメント上の必要性が前提。
- 訪問リハは原則「通院困難者」が対象。通所だけでADL自立が困難な場合などに併用が成り立つ。
- ケアプランには「自宅でなければできないこと」を記載し、役割の重複を避ける。
- 短期集中リハ実施加算は各事業所が要件を満たせば両方で算定可。限度額の超過に注意。
制度の取扱いは改定や保険者の解釈で変わる場合があります。算定にあたっては最新の通知や自治体・保険者の取扱いも確認してください。


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