緩和ケア・看取りの本は、緩和ケアの基本を押さえる1冊と、自分が働く場所(在宅・施設)の看取りを扱う1冊を組み合わせるのがおすすめです。迷ったら、訪問看護師は『緩和ケアと看取りの訪問看護』、緩和ケアに苦手意識がある看護師は『緩和ケア 即戦力ノート』から読んでください。

この記事では、緩和ケア・看取りの本を「緩和ケアの基本と症状緩和を学ぶ本」「在宅の看取りを学ぶ本」「施設の看取りとケアプランを学ぶ本」の3つに分けて7冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • 緩和ケア・看取りの本を選ぶときの3つのポイント
  • 緩和ケアの基本と症状緩和の薬を学ぶ本
  • 訪問看護・在宅医療で在宅の看取りを支える本
  • 介護職・ケアマネが施設の看取りを学ぶ本
  • 職種別の読む順番
ちびウルフちびウルフ

緩和ケアって、がんの末期の人だけが受けるものじゃないの?

リハウルフリハウルフ

昔はそう思われていたけど、今は「病気と診断されたときから、すべての時期に行うケア」と考えられているよ。心不全や呼吸器の病気、老衰の人にも必要なんだ。訪問リハでも、看取りの時期まで関わる利用者さんは少なくないよ。

緩和ケア・看取りの本を選ぶ3つのポイント

緩和ケアの本には、医師向けの薬の本から、介護職向けの看取りの手引きまで幅があります。次の3つの視点で選びましょう。

①がん以外の病気も扱っているか

在宅や施設で看取りを迎える人の多くは、がんだけでなく、心不全、慢性呼吸器疾患、認知症、老衰など、さまざまな病気を抱えています。がん以外の病気をもつ人への緩和ケアにも触れている本を選ぶと、現場で出合う場面の多くに対応できます。

②働く場所の「看取りの体制」に合っているか

病院では医師や看護師が常にいますが、在宅では家族が介護の中心となり、施設では介護職が夜間を支えます。在宅なら訪問看護と在宅医の連携、施設なら介護職の役割と研修を扱っている本が役立ちます。

③意思決定支援と家族へのケアに触れているか

看取りの時期には、どこで、どのように過ごしたいかを本人や家族と話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)」が欠かせません。意思決定の支援や、看取りのあとの家族のグリーフケアまで扱っているかも確認しましょう。

緩和ケアの基本と症状緩和を学ぶ本3選

1. 緩和ケア 即戦力ノート

鳥崎哲平氏による南江堂の本です(2023年10月発行・165ページ)。副題は「あなたにもできる、やさしい緩和ケア」。緩和ケアの専門家ではないけれど、苦痛を抱える患者さんに関わる医療者のための実用的な入門書です。

緩和ケア総論、全人的ケア、意思決定支援、症状緩和、終末期ケアの5章で構成され、1つの項目が数ページにまとまっています。図表や処方例、会話例が多く、必要なときにさっと開いて確認できるのが特徴です。緩和ケアの情報サイトと連携していて、スマートフォンで内容を見直すこともできます。

2. 緩和ケア 改訂第3版

梅田恵氏・射場典子氏が監修した南江堂の看護学テキストです(2025年1月発行・304ページ)。副題は「尊厳ある生と死,大切な生活をつなぐ技と心」。緩和ケアを診断時からすべての病期にわたって行われるケアとしてとらえ、さまざまな場での緩和ケアを解説しています。

今回の改訂で、症状マネジメントを全人的苦痛の4つの側面(身体・精神・社会・スピリチュアル)から整理し直し、がん以外の病気をもつ人への緩和ケアを充実させています。教科書なので網羅的で、緩和ケアを体系的に学び直したい看護師に向いています。

3. 緩和ケアエッセンシャルドラッグ 第4版

恒藤暁氏・岡本禎晃氏による医学書院の本です(2019年4月発行・310ページ)。副題は「症状アセスメント&マネジメント」。緩和ケアでよく使う薬と、症状のアセスメント・マネジメントをポケットサイズにまとめた本です。

オピオイド(医療用麻薬)の換算図や、臨床のポイントをまとめた「Clinical Points」、薬の特徴がわかる「Drug Profile」が載っています。訪問看護で医療用麻薬を使う利用者さんを担当するとき、薬の作用や副作用を確認する手元の1冊として役立ちます。国立国会図書館の書誌で確認した最新版は第4版(2019年)なので、発売後に出た新薬は添付文書などで補いましょう。

ちびウルフちびウルフ

リハ職も、痛み止めの薬のことを知っておいたほうがいいの?

リハウルフリハウルフ

うん、知っておくと安心だよ。医療用麻薬を使っている人は、眠気やふらつき、便秘が出やすいんだ。リハビリの時間を薬が効いている時間に合わせたり、転倒に気をつけたりと、関わり方が変わるからね。

在宅の看取りを学ぶ本2選

4. 緩和ケアと看取りの訪問看護

平原佐斗司氏・本田彰子氏が編集し、日本訪問看護財団が監修した中央法規出版の本です(2021年9月発行・265ページ)。Q&Aと実践事例で訪問看護の知識と技術を解説するシリーズの1冊です。

がん患者さんの理解に必要な腫瘍学や治療の知識、身体症状と精神・心理面のケア、意思決定支援と在宅療養を実現するための看護、家族への説明、地域の多職種やインフォーマルな支援との連携までを扱っています。現役の訪問看護師や在宅医によるケアのコツも紹介されていて、訪問看護師が最初に読む看取りの本として最適です。

5. あなたが始める、はじめての在宅看取り。

看護師・介護支援専門員の諏訪免典子氏によるぱる出版の本です(2019年9月発行・191ページ)。訪問看護ステーションの所長を務め、看取りケアと認知症ケアの研修に携わってきた著者が、在宅看取りに必要なスキルとマナーを解説しています。

看取りのあとの家族のグリーフケアや、家族からの相談に対応するための知識も丁寧に扱っています。在宅医療に関わる医療・介護職のための看取りの入門書なので、はじめて在宅で看取りに関わるケアマネジャーや訪問リハ職、ヘルパーにも読みやすい1冊です。

施設の看取りとケアプランを学ぶ本2選

6. 介護スタッフのための施設看取りハンドブック

老年看護学・終末期看護学が専門の橋本美香氏による学研プラス(現Gakken)の本です(2017年5月発行・127ページ)。介護職が施設で看取りを行うための基本的な考え方や知識、具体的な方法を解説しています。

厚生労働省が進める看取りの職員研修の項目をふまえ、施設の職員同士で学び合えるように、演習や事例で構成した看取り研修のテキストが付いています。特養やグループホームで看取りの研修を担当する人に向いています。発行から年数がたっているため、報酬や制度の部分は最新の情報で補いましょう。

7. インターライ方式 看取りケアのためのアセスメントとケアプラン

Trevor Frise Smith氏らによる原著を、池上直己氏が監訳した医学書院の本です(2024年12月発行・144ページ)。国際的なケアアセスメントの方式「インターライ」の看取りケア版で、アセスメントの記入要綱(マニュアル)とケア指針(CAP)で構成されています。

記入要綱に沿ってアセスメントすると、アドバンス・ケア・プランニングを実践できるように作られています。施設や在宅で看取り期のケアプランを立てるケアマネジャー・看護師に向いた、やや専門的な1冊です。

ちびウルフちびウルフ

施設で看取りをするとき、介護職はどんなことを学んでおけばいいの?

リハウルフリハウルフ

亡くなる前に体に起こる変化と、そのときにできるケアを知っておくことだね。呼吸の変化や食べられなくなる経過を前もって知っていると、慌てずに看護師へ連絡できるし、家族にも落ち着いて声をかけられるよ。

職種別の緩和ケア・看取りの本を読む順番

7冊すべてを読む必要はありません。職種ごとに2〜3冊を、次の順番で読むと身につきやすくなります。

訪問看護師の場合

  • 『緩和ケアと看取りの訪問看護』で、在宅の緩和ケアと看取りの全体像をつかむ
  • 『緩和ケアエッセンシャルドラッグ』で、担当する利用者さんの薬を確認する
  • 『緩和ケア 即戦力ノート』で、症状緩和や意思決定支援の考え方を整理する

施設の介護職の場合

  • 『介護スタッフのための施設看取りハンドブック』で、看取りの基本と介護職の役割を学ぶ
  • 施設の看取り指針と、夜間の看護師への連絡方法を確認する
  • 研修テキストの演習を使って、職員同士で事例を話し合う

ケアマネジャー・訪問リハ職の場合

  • 『あなたが始める、はじめての在宅看取り。』で、在宅看取りの流れと家族への関わり方を知る
  • ケアマネジャーは『インターライ方式 看取りケア』で、看取り期のアセスメントとケアプランを学ぶ
  • 訪問看護師・主治医と、本人や家族の希望を共有する場をつくる
看取り期のリハビリは「できること」を守るため

訪問リハで看取りの時期まで関わった利用者さんでは、歩く練習よりも、楽な姿勢の調整や、トイレまでの移動を少しでも長く続けるための工夫が中心になりました。本人が「最後までトイレは自分で行きたい」と話していたケースもあります。何を大切にしたいかをチームで共有することが、看取り期のケアの土台になります。

よくある質問

緩和ケアの本は、最初に何を読めばいいですか?

看護師なら『緩和ケア 即戦力ノート』がおすすめです。緩和ケアの専門家ではない医療者向けに、総論から症状緩和、終末期ケアまでをコンパクトにまとめています。訪問看護師は『緩和ケアと看取りの訪問看護』から読むと、在宅の場面に結びつけやすくなります。

がん以外の病気の緩和ケアを学べる本はありますか?

『緩和ケア 改訂第3版』(看護学テキストNiCE)は、今回の改訂でがん以外の疾患をもつ人への緩和ケアを充実させています。心不全や呼吸器の病気、高齢者の緩和ケアも学びたい人に向いています。

在宅の看取りについて、介護職やケアマネが読める本はありますか?

『あなたが始める、はじめての在宅看取り。』は、在宅医療に関わる医療・介護職のための入門書です。看取りのスキルとマナー、家族へのグリーフケアまで扱っているので、看護師以外の職種にも読みやすい内容です。

施設で看取りの研修をするときに使える本はありますか?

『介護スタッフのための施設看取りハンドブック』に、演習や事例で構成した看取り研修のテキストが付いています。職員同士で学び合う形の研修に使えます。

医療用麻薬について学べる本はありますか?

『緩和ケアエッセンシャルドラッグ 第4版』に、緩和ケアでよく使う薬とオピオイドの換算図がまとめられています。薬の使用は主治医の指示によるものなので、本は作用や副作用を理解するために使いましょう。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について学べる本はありますか?

『インターライ方式 看取りケアのためのアセスメントとケアプラン』は、記入要綱に沿ってアセスメントするとACPを実践できるように作られています。意思決定支援の考え方は『緩和ケア 即戦力ノート』や『緩和ケアと看取りの訪問看護』でも学べます。

家族が読む看取りの本としても使えますか?

この記事で紹介した本は、医療・介護職向けの内容です。家族が読むなら、主治医や訪問看護師に、在宅で看取るときの経過や連絡先を書いたパンフレットがないか聞いてみるのがおすすめです。

まとめ
  • 緩和ケアの基本を学ぶ本と、働く場所の看取りを扱う本を組み合わせる
  • 看護師の入門は『緩和ケア 即戦力ノート』、体系的に学ぶなら『緩和ケア 改訂第3版』
  • 訪問看護師は『緩和ケアと看取りの訪問看護』を最初の1冊にする
  • 施設の介護職は『介護スタッフのための施設看取りハンドブック』で研修する
  • 看取り期のケアプランは『インターライ方式 看取りケア』で学ぶ
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。薬の使用や看取りの対応は、主治医の指示と勤務先の指針にしたがってください。本の選び方や読み方、現場の事例に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味