老人ホームの探し方|相談先と候補の絞り方を解説

先に結論をお伝えします。老人ホームの探し方は、「施設を見る」より先に「親の条件を整理する」ことから始めると失敗しにくいです。介護度・医療的ケア・予算・エリアの4つが決まれば、入れる施設の種類が絞られ、相談先にも話が通りやすくなります。
この記事では、老人ホームを探すときの相談先、施設の種類ごとの入居条件、候補の絞り込み方を、介護保険法・老人福祉法の条文を確認して整理しました。退院を急かされて時間がないときの動き方もあわせて書いています。
- 老人ホームを探す前に整理しておく4つの条件
- どこに相談すればいいか(地域包括・ケアマネ・病院など)
- 施設の種類ごとの入居条件の目安
- 候補を3〜5か所に絞り込む進め方
- 急いで探さなければならないときの動き方
老人ホームの探し方は「条件の整理」から始める
いきなり検索サイトで施設を眺めはじめると、写真や設備のよさに目がいき、肝心の「親がそこで暮らせるか」が後回しになりがちです。まずは次の4つを家族で書き出してください。
| 整理する条件 | 確認すること |
|---|---|
| ①介護度と心身の状態 | 要支援・要介護の区分、認知症の有無、歩けるか、夜間に介助が必要か |
| ②医療的ケア | たんの吸引、経管栄養(胃ろう)、インスリン注射、在宅酸素など |
| ③予算 | 月々払える額、入居時に用意できる額、年金や預貯金でいつまで払えるか |
| ④エリア | 家族が面会に通える距離か、かかりつけ医を変えてもよいか |
このうち見落とされやすいのが②の医療的ケアです。介護度が同じでも、医療的ケアが必要かどうかで受け入れてくれる施設は大きく変わります。主治医や訪問看護師に、いま必要な処置を確認しておきましょう。
あわせて、本人がどんな暮らしを望んでいるかも聞いておきます。「にぎやかなところがいい」「個室がいい」「リハビリを続けたい」といった希望は、施設を比べるときの決め手になります。
ちびウルフ本人が「施設には行かない」と言っていたら?
リハウルフ無理に話を進めると、入居してから「だまされた」と感じてしまうことがあります。まずはショートステイや体験入居で、施設での生活を一度経験してもらうのがおすすめです。実際に泊まってみて「思ったより悪くない」と気持ちが変わる方は少なくありません。
老人ホームを探すときの相談先
施設探しは、家族だけで抱え込まなくてかまいません。親の状況によって、まず相談する先が変わります。
| 相談先 | こんなときに | 相談できること |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 介護保険をまだ使っていない、何から始めればいいかわからない | 要介護認定の申請、地域の施設の情報、介護の総合相談 |
| 担当のケアマネジャー | すでに介護サービスを使っている | 親の状態に合う施設の種類、地域の施設の評判、申込みの手続き |
| 病院の医療ソーシャルワーカー | 入院中で、退院後に自宅へ戻るのが難しい | 退院後の行き先、医療的ケアに対応できる施設の紹介 |
| 市区町村の介護保険の窓口 | 特養に申し込みたい | 申込みの方法、優先入所の考え方 |
| 老人ホームの検索サイト・紹介窓口 | 民間の施設を比べたい、早く候補を集めたい | 空き状況、費用、資料請求・見学予約 |
地域包括支援センターは、介護保険法第115条の46にもとづいて市町村が設置する(または委託する)相談窓口です。住んでいる地域ごとに担当が決まっているので、親が住んでいる市区町村の地域包括支援センターに連絡してください。遠方に住んでいる家族からの相談も受けてもらえます。
入院中に退院の話が出たときは、まず病院の医療ソーシャルワーカー(相談員)に声をかけてください。病院の相談員は、医療的ケアが必要な人を受け入れている施設の情報を持っていることが多く、施設とのやりとりも間に入ってくれます。
施設の種類と入居条件の目安
条件が整理できたら、入れる可能性がある施設の種類を絞ります。主な施設の入居条件の目安は次のとおりです。
| 施設 | 入居条件の目安 | 探し方の特徴 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則として要介護3以上 | 市区町村や施設に申し込み、必要性の高い人から入所する |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上。在宅復帰を目指したリハビリが中心 | 病院や在宅からの一時的な入所先として使われることが多い |
| 介護付き有料老人ホーム | 施設ごとに決める(自立から要介護5まで幅がある) | 施設が介護サービスを提供する。民間なので空きがあれば入居が早い |
| 住宅型有料老人ホーム・サ高住 | 施設ごとに決める | 介護は外部の事業所と契約して受ける |
| グループホーム | 認知症の診断があり、要支援2以上。原則として施設と同じ市区町村に住んでいる人 | 少人数で共同生活をする。地域ごとに探す |
特養の「原則として要介護3以上」は、介護保険法第8条と介護保険法施行規則第17条の9で定められています。要介護1・2でも、在宅での生活が難しいやむを得ない事情があれば入所できる例外(特例入所)があります。施設の種類ごとの違いは介護施設と老人ホームの違い、歩けなくなった親の行き先は高齢者が歩けないとき入れる施設で詳しく解説しています。
予算の面では、公的な施設(特養・老健など)のほうが月々の負担を抑えやすく、民間の施設は費用に幅があります。費用の比べ方は安い老人ホームはどこ?種類別の費用相場を参考にしてください。
条件が決まったら、
まずは候補を一度に集める
みんなの介護は、全国の老人ホーム・介護施設を地域・費用・介護度で検索できるサイトです。気になる施設の資料請求や見学予約をまとめて申し込めるほか、入居相談員に電話で施設選びを相談することもできます。
- 全国の老人ホームを地域・費用・介護度で探せる
- 資料請求・見学予約は無料
- 入居相談員に電話で施設選びを相談できる
\ 3〜5か所の資料を比べるのが近道 /
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候補を絞り込むまでの進め方
民間の老人ホームを探す場合、候補を集めてから1か所に決めるまでは、次の順番で進めると比べやすくなります。特養は、施設や市区町村に申し込んだあと順番を待つ形になるため、民間の施設と並行して探す家族も多いです。
- 家族で条件(介護度・医療的ケア・予算・エリア)を整理する
- ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、候補を集める
- 3〜5か所の資料を取り寄せ、費用と受け入れ条件を比べる
- 2〜3か所に絞って見学する(できれば本人も一緒に)
- 体験入居やショートステイで、実際の生活を確かめる
資料の段階で外してよいのは、「医療的ケアに対応していない」「予算を毎月超える」「家族が通えない」のどれかに当てはまる施設です。逆に、写真の印象や設備の新しさは、見学してから判断すれば十分です。申込み・面談・契約・入居の手続きと必要な書類は老人ホーム入居までの流れ7ステップで詳しく解説しています。
面談では「できないこと」も正直に伝える
申込みのあとの面談では、施設の職員が本人の状態を確認し、受け入れられるかを判断します。このとき、夜間の徘徊や暴言、服薬の拒否など、伝えにくいことほど正直に伝えてください。入居後に「聞いていた状態と違う」となると、退去を求められることもあります。最初から状態を知ったうえで受け入れてくれる施設のほうが、長く安心して暮らせます。入居を断られたときの対処は老人ホームの入居を断られる理由と対処法にまとめています。
入居までの期間は施設の種類で大きく違う
民間の有料老人ホームは、空きがあれば申込みから数週間ほどで入居できることもあります。一方、特養は地域によって待機している人が多く、入所まで時間がかかることがあります。特養を待つあいだは、民間の施設や老健、ショートステイを組み合わせて乗り切る家族も多いです。
施設を比べるときに使える公的な情報
パンフレットや営業担当の説明だけで判断しないために、公的な仕組みも使ってください。
- 介護サービス情報公表システム:介護保険法第115条の35にもとづき、介護サービス事業所・施設が運営状況などを報告し、公表している。職員の体制やサービスの内容などを確認できる
- 重要事項説明書:有料老人ホームは、老人福祉法第29条にもとづき、入居しようとする人に介護の内容などの情報を開示しなければならない。契約前に必ずもらって読む
- 前払金の返還:入居一時金などの前払金を払った場合、入居から3か月以内に契約を解除すると、日割りの家賃などを差し引いた額が返ってくる(老人福祉法第29条第10項、同法施行規則第21条)
見学のときに聞いておきたい質問は、施設の種類が違っても大きくは変わりません。職員の人数、夜間の体制、医療機関との連携、退去になる条件は、どの施設でも確認しておきましょう。
退院を急かされているときの探し方
「来週には退院してください」と言われ、時間がない中で施設を探さなければならない家族は少なくありません。そんなときは、次の順番で動くと慌てずにすみます。
- 病院の医療ソーシャルワーカーに、退院後の行き先の相談をすぐに申し込む
- 要介護認定をまだ受けていなければ、入院中に申請しておく
- 老健やショートステイなど、一時的に過ごせる場所を先に確保する
- そのあいだに、長く暮らす施設をじっくり探す
最初から「終の住処」を決めようとすると、焦って合わない施設を選んでしまいがちです。一時的な行き先と、長く暮らす場所を分けて考えると、選択肢が広がります。ショートステイの使い方はショートステイの使い方と費用で解説しています。
ちびウルフ遠くに住んでいて、何度も見学に行けないんだけど…
リハウルフその場合は、親の地域のケアマネジャーや地域包括支援センターに候補を絞ってもらい、見学は2〜3か所に集中させるのが現実的です。資料やオンラインの説明で事前に比べておけば、限られた帰省の日でも決めやすくなりますよ。
老人ホーム探しでよくある失敗
- 建物のきれいさだけで決めて、職員の対応や夜間の体制を見ていない
- 月額費用だけを見て、おむつ代・医療費・日用品などの実費を計算していない
- 本人に何も伝えないまま話を進め、入居後に拒否されてしまう
- 1か所しか見学せず、比べる基準がないまま契約してしまう
- 重要事項説明書を読まずに契約し、退去の条件を知らなかった
なかでも費用は、入居後に「思ったより高い」となりやすいところです。月額の内訳に何が含まれていて、何が別にかかるのかを、見学のときに具体的に聞いておきましょう。
よくある質問
老人ホームを探すとき、最初にどこに相談すればいいですか?
すでに介護サービスを使っているなら担当のケアマネジャー、まだ使っていないなら親が住んでいる地域の地域包括支援センターが最初の相談先です。入院中なら病院の医療ソーシャルワーカーに相談してください。
要介護1でも特養に入れますか?
特養は原則として要介護3以上が対象です。ただし、要介護1・2でも、在宅での生活が難しいやむを得ない事情があると認められれば入所できる特例があります。市区町村や施設に相談してください。
老人ホームは何か所くらい見学すればいいですか?
資料で3〜5か所に絞り、2〜3か所を見学するのが目安です。1か所だけだと比べる基準がなく、良し悪しが判断しにくくなります。
入居一時金を払ったあとで合わなかったらどうなりますか?
有料老人ホームに前払金を払って入居した場合、入居から3か月以内に契約を解除すれば、利用した日数分の家賃などを差し引いた額が返還されます(老人福祉法第29条第10項、同法施行規則第21条)。契約前に返還の条件を重要事項説明書で確認しておきましょう。
老人ホームの検索サイトは使っても大丈夫ですか?
候補を集めたり、資料請求や見学予約をまとめて申し込んだりするのに便利です。ただし、最終的な判断は見学と重要事項説明書の確認で行ってください。ケアマネジャーにも候補を見てもらうと、地域の評判などを教えてもらえることがあります。
- 老人ホーム探しは、介護度・医療的ケア・予算・エリアの4つの整理から始める
- 相談先は、ケアマネジャー・地域包括支援センター・病院の相談員が基本
- 特養は原則要介護3以上。民間の施設は施設ごとに入居条件が違う
- 資料で3〜5か所に絞り、2〜3か所を見学して比べる(手続きの流れは別記事で解説)
- 面談では、伝えにくい状態ほど正直に伝える
- 急ぐときは、一時的な行き先と長く暮らす場所を分けて考える
- 介護保険法(e-Gov法令検索)第8条・第8条の2・第115条の35・第115条の46
- 介護保険法施行規則(e-Gov法令検索)第17条の9・第17条の10・第22条の20
- 老人福祉法(e-Gov法令検索)第29条
- 老人福祉法施行規則(e-Gov法令検索)第21条
- 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。入居条件・前払金の返還・情報公表に関する記述は、介護保険法・老人福祉法と各施行規則の条文にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。有料老人ホーム・サ高住の入居条件や費用は施設ごとに異なり、特養の入所の優先順位は市区町村や施設の基準によります。探し方の手順や相談のしかたに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。





