夜間対応型の同一建物減算とは?90%と85%の判定

夜間対応型訪問介護の同一建物減算は、所定単位数の90%または85%です。判定は「同じ建物に住んでいるか」だけでなく、その建物に住む利用者が何人いるかでも変わります。しかも人数のカウント方法が2種類あり、ここを取り違えると請求を誤ります。
この記事では、この減算を、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。
- 90%と85%の2段階があること
- 「同一敷地内建物等」と「同一の建物」の違い
- 20人と50人という2つの人数基準
- イとロで適用のしかたが違うこと
- 人数は「1月当たりの利用者」で数えること
- 該当を見落としやすい場面
- 記録として残すべきもの
- 運営指導で確認される点
夜間対応型訪問介護の同一建物減算とは?
事業所と同じ建物やその敷地内に住む利用者へ訪問する場合、移動の負担が小さくなります。その分を報酬に反映させる仕組みが同一建物減算です。サービス付き高齢者向け住宅などに併設している事業所では、多くの利用者が対象になります。
同一建物減算の減算幅
| 対象となる利用者 | イの場合 | ロの場合 |
|---|---|---|
| ①同一敷地内建物等に居住(②を除く) ②同一の建物に1月当たり20人以上居住(同一敷地内建物等を除く) | 定期巡回サービスまたは随時訪問サービスを行った際の所定単位数の100分の90 | 所定単位数の100分の90 |
| ③同一敷地内建物等に1月当たり50人以上居住 | 同じく100分の85 | 所定単位数の100分の85 |
同一建物減算の判定
- 指定夜間対応型訪問介護事業所の所在する建物と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物若しくは指定夜間対応型訪問介護事業所と同一の建物(以下「同一敷地内建物等」という。)に居住する利用者(1月当たりの利用者が同一敷地内建物等に50人以上居住する建物に居住する利用者を除く。)、又は1月当たりの利用者が同一の建物に20人以上居住する建物(同一敷地内建物等を除く。)に居住する利用者に対して行った場合は100分の90、1月当たりの利用者が同一敷地内建物等に50人以上居住する建物に居住する利用者に対して行った場合は100分の85を算定する。
「同一敷地内建物等」とは
- 事業所が所在する建物と同一の敷地内にある建物
- 事業所が所在する建物と隣接する敷地内にある建物
- 事業所と同一の建物
この3つが「同一敷地内建物等」です。同一敷地内建物等であれば、人数にかかわらず90%の対象になります(50人以上なら85%)。
「同一の建物に20人以上」は別の基準
経路①:同一敷地内建物等に居住している(人数は問わない)
経路②:同一敷地内建物等ではないが、同一の建物に1月当たり20人以上の利用者が居住している
つまり、事業所と離れた場所にあるマンションでも、そこに20人以上の利用者がいれば減算の対象です。「事業所の隣かどうか」だけで判断すると見落とします。
人数は「1月当たりの利用者」で数える
条文は「1月当たりの利用者が」と定めています。ある日の人数ではなく、その月の利用者数で判定します。月によって人数が変動する場合、毎月の確認が必要です。
- 建物ごとの利用者数を月次で集計しているか
- 20人・50人の境目に近い建物を把握しているか
- 月の途中で利用開始・終了があった場合の数え方を確認しているか
- 集計の根拠となる資料を保管しているか
イとロで適用のしかたが違う
| 類型 | 減算のかかり方 |
|---|---|
| イ(Ⅰ) | 定期巡回サービスまたは随時訪問サービスを行った際に算定する所定単位数に対して90%/85% |
| ロ(Ⅱ) | 所定単位数(月額2,702単位)に対して90%/85% |
イは訪問ごとの単位数に、ロは月額の包括報酬にかかります。ロのほうが影響が一度に大きく出ます。2,702単位の85%なら約405単位の減額です。
ちびウルフうちはサ高住の1階にあるから、入居者は全員90%ってこと?
リハウルフ同一の建物なので90%が基本です。ただしその建物に住む利用者が1月当たり50人以上になると85%に切り替わります。規模の大きいサ高住だと、この線を越えることがあります。
見落としやすいのは入居者数が増えて50人を超えた月です。気づかず90%のまま請求していると、差額が返還になります。毎月の集計を業務に組み込んでください。
同一建物減算の注意点
- 毎月判定する:1月当たりの利用者数で判定するため、月ごとに確認が必要です
- 2つの経路がある:同一敷地内建物等か、同一の建物に20人以上か
- 離れた建物も対象になりうる:20人以上いれば減算の対象です
- 50人以上は85%:90%のままにしないよう注意してください
- 集計資料を保管する:建物ごとの利用者数の根拠を残してください
- 他の加算との関係:減算後の単位数に率を掛ける加算があるため、計算順序を確認してください
どの順序で率を掛け、どこで端数処理をするかは留意事項通知で定められています。自己流の計算は、わずかな差でも積み上がって返還につながります。請求ソフトの設定もあわせて確認してください。
同一建物減算のQ&A
よくある質問
減算幅はどのくらいですか?
所定単位数の100分の90、または100分の85です。
「同一敷地内建物等」とは何ですか?
事業所が所在する建物と同一の敷地内または隣接する敷地内にある建物、および事業所と同一の建物です。
同一敷地内なら人数は関係ありませんか?
90%の対象になるかどうかは人数を問いません。ただし1月当たりの利用者が50人以上居住する場合は85%になります。
事業所から離れた建物でも減算になりますか?
なります。同一敷地内建物等でなくても、同一の建物に1月当たり20人以上の利用者が居住していれば90%の対象です。
人数はいつ時点で数えますか?
「1月当たりの利用者」で判定します。ある日の人数ではありません。月ごとに確認してください。
イとロで違いはありますか?
あります。イは定期巡回・随時訪問を行った際の所定単位数に、ロは月額の所定単位数にかかります。
ロの場合の減額はいくらですか?
月額2,702単位の場合、90%なら約270単位、85%なら約405単位の減額になります。
他の減算と重なったらどう計算しますか?
率を掛ける順序と端数処理は留意事項通知で定められています。保険者と請求ソフトの設定を確認してください。
入居者が増えて50人を超えた場合は?
その月から85%の適用になります。90%のまま請求していると差額が返還の対象になります。
- 同一建物減算は所定単位数の90%または85%
- 90%になる経路は2つある
- 経路①は同一敷地内建物等に居住している場合(人数を問わない)
- 経路②は同一の建物に1月当たり20人以上の利用者が居住している場合
- 「同一敷地内建物等」は、同一敷地内、隣接敷地内、同一の建物の3つ
- 事業所から離れた建物でも、20人以上いれば減算の対象
- 同一敷地内建物等に1月当たり50人以上居住する場合は85%
- 人数は「1月当たりの利用者」で判定する
- 月によって人数が変動するため、毎月の確認が必要
- イは訪問ごとの所定単位数に、ロは月額の所定単位数にかかる
- ロで85%なら、2,702単位に対して約405単位の減額
- 建物ごとの利用者数の集計資料を保管する
- 50人を超えた月に90%のまま請求すると返還になる
- 他の加算・減算と重なる場合の計算順序は留意事項通知による
- 請求ソフトの設定もあわせて確認する
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)(夜間対応型訪問介護費 注5)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)e-Gov法令検索
- 介護保険法(平成9年法律第123号)e-Gov法令検索
※本記事の減算幅および判定に関する記述は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。単位数は令和6年度介護報酬改定時点のもので、地域区分による1単位あたりの単価は含みません。「1月当たりの利用者」の具体的な数え方、月の途中で利用を開始・終了した場合の取扱い、複数の加算・減算が重なる場合の計算順序および端数処理については、留意事項通知および保険者の解釈をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の判定は、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。





