令和3年度介護報酬改定で通所リハビリテーションの入浴介助加算が変更となりました。
「入浴介助加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは?」
「シャワー浴や機械浴でも入浴介助加算(Ⅱ)は算定可能?」
「自宅に風呂がない場合は入浴介助加算(Ⅱ)は算定可能?」
この記事では下記のことが理解できるようになります。
・入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)とは?
・入浴介助加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違うとは?
・入浴介助加算の算定要件
・入浴介助加算の機械浴、清拭、シャワー浴問題
・入浴介助加算のQ&A
一緒に学んでいきましょー!
入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)とは?それぞれの違い
入浴介助加算は、通所リハビリテーションで入浴介助をする際に算定する加算です。
入浴介助加算は下記の2つがあります。
- 入浴介助加算(Ⅰ)…40単位/日
- 入浴介助加算(Ⅱ)…60単位/日
※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併用算定困難です。
それぞれ算定要件が異なりますので、紹介していきます。
入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件とは?
- 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行う。
- 入浴介助加算(I)は、入浴中の利用者の観察を含む介助を行う場合について算定されるものである(大臣基準告示24の4)が、この場合の「観察」とは、自立生活支援のための見守り的援助のことであり、利用者の自立支援や日常生活動作能力などの向上のために、利用者自身の力で入浴し、必要に応じて介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを行うことにより、結果として、身体に直接接触する介助を行わなかった場合についても、加算の対象となるものであること。なお、この場合の入浴には、利用者の自立生活を支援する上で最適と考えられる入浴手法が、部分浴(シャワー浴)や清拭である場合は、これを含むものとする。
- 通所リハビリテーション計画上、入浴の提供が位置付けられている場合に、利用者側の事情により、入浴を実施しなかった場合については、算定できない。
出典)厚生労働省.P58
入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件とは?
- 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行う。
- 医師等が当該利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価していること。この際、当該利用者の居宅の浴室が、当該利用者自身又は家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合は、訪問した医師等が、介護支援専門員・福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入・住宅改修等の浴室の環境整備に係る助言を行うこと。
- 当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、医師との連携の下で、当該利用者の身体の状況や訪問により把握した当該利用者の居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成すること。
- 上記の入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行うこと。
- 入浴介助加算(Ⅱ)は、入浴中の利用者の観察を含む介助を行う場合について算定されるものである(大臣基準告示24の4)が、この場合の「観察」とは、自立生活支援のための見守り的援助のことであり、利用者の自立支援や日常生活動作能力などの向上のために、利用者自身の力で入浴し、必要に応じて介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを行うことにより、結果として、身体に直接接触する介助を行わなかった場合についても、加算の対象となるものであること。なお、この場合の入浴には、利用者の自立生活を支援する上で最適と考えられる入浴手法が、部分浴(シャワー浴)や清拭である場合は、これを含むものとする。
- 通所リハビリテーション計画上、入浴の提供が位置付けられている場合に、利用者側の事情により、入浴を実施しなかった場合については、算定できない。
- 入浴介助加算(II)は、利用者が居宅において、自身で又は家族若しくは居宅で入浴介助を行うことが想定される訪問介護員等(以下、「家族・訪問介護員等」という。)の介助によって入浴ができるようになることを目的とし、以下a~cを実施することを評価するものである。なお、入浴介助加算(II)の算定に関係する者は、利用者の状態に応じ、自身で又は家族・訪問介護員等の介助により尊厳を保持しつつ入浴ができるようになるためには、どのような介護技術を用いて行うことが適切であるかを念頭に置いた上で、a~cを実施する。a:医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士、介護支援専門員等(利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員を含む。)が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価する。その際、 当該利用者の居宅を訪問し評価した者が、入浴に係る適切な介護技術に基づいて、利用者の動作を踏まえ、利用者自身で又は家族・訪問介護員等の介助により入浴を行うことが可能であると判断した場合、指定通所リハビリテーション事業所に対しその旨情報共有する。また、当該利用者の居宅を訪問し評価した者が指定通所リハビリテーション事業所の従業者以外の者である場合は、書面等を活用し、十分な情報共有を行うよう留意すること。 (※)当該利用者の居宅を訪問し評価した者が、入浴に係る適切な介護技術に基づいて、利用者の動作を踏まえ、利用者自身で又は家族・訪問介護員等の介助により入浴を行うことが難しいと判断した場合は、指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員又は指定福祉用具貸与事業所若しくは指定特定福祉用具販売事業所の福祉用具専門相談員と連携し、利用者及び当該利用者を担当する介護支援専門員等に対し、福祉用具の貸与若しくは購入又は住宅改修等の浴室の環境整備に係る助言を行う。
b:指定通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、医師との連携の下で、当該利用者の身体の状況や訪問により把握した当該利用者の居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成する。なお、個別の入浴計画に相当する内容を通所リハビリテーション計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別の入浴計画の作成に代えることができるものとする。c:bの入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行う。なお、この場合の「個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境」とは、手すりなど入浴に要する福祉用具等を活用し利用者の居宅の浴室の環境を個別に模したものとして差し支えない。また、入浴介助を行う際は、関係計画等の達成状況や利用者の状態をふまえて、自身で又は家族・訪問介護員等の介助によって入浴することができるようになるよう、必要な介護技術の習得に努め、これを用いて行われるものであること。なお、必要な介護技術の習得にあたっては、既存の研修等を参考にすること。出典)厚生労働省.P58
入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)の解釈・疑問
入浴介助加算(Ⅰ)、(Ⅱ)は解釈に悩むこともありますので、よくある質問をまとめてみました。
入浴介助加算(Ⅰ)は清拭でも算定可能なのか?
入浴介助加算において入浴と満たすものは下記の2つです。
- 全身浴
- 全身シャワー
よって、清拭では入浴介助加算は算定できません。
入浴介助加算(Ⅱ)はシャワー浴でも可能なのか?
最適な方法がシャワー浴の場合は可能だと考えることもできる。
入浴介助加算(Ⅱ)は機械浴でも可能なのか?
機械浴は自宅の環境に近いとは言い難いため一般的には算定は不可能と考える方が適切です。
自宅に風呂がない場合は入浴介助加算(Ⅱ)は算定可能?
自宅に浴室がない利用者は、以下①~⑤をすべて満たすことにより、当面の目標として通所リハビリテーションでの入浴の自立を図ることを目的として、同加算を算定することとしても差し支えない。
- 通所リハビリテーションの浴室において、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員等(利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員を含む。)が利用者の動作を評価する。
- 通所リハビリテーションにおいて、自立して入浴することができるよう必要な設備(入浴に関する福祉用具等)を備える。
- 通所リハビリテーションの機能訓練指導員等が共同して、利用者の動作を評価した者等との連携の下で、当該利用者の身体の状況や通所リハビリテーションの浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成する。なお、個別の入浴計画に相当する内容を通所リハビリテーション計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別の入浴計画の作成に代えることができるものとする。
- 個別の入浴計画に基づき、通所リハビリテーションにおいて、入浴介助を行う。
- 入浴設備の導入や心身機能の回復等により、通所リハビリテーション以外の場面での入浴が想定できるようになっているかどうか、個別の利用者の状況に照らし確認する。
入浴介助加算のQ&Aのまとめ(厚生労働省)
入浴介助加算に関する厚生労働省のQ&Aは下記の通りです。
同一事業所において、入浴介助加算(Ⅰ)を算定する者と入浴介助加算(Ⅱ)を算定する者が混在しても差し支えないか。また、混在しても差し支えない場合、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準、指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定介護予防支援に要する費用の額の算定に関する基準、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」(平成 12 年3月8日老企第 41 号)に定める「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表(居宅サービス・施設サービス・居宅介護支援)」等はどのように記載させればよいか。
前段については、差し支えない。後段については、「加算Ⅱ」と記載させることとする。(「加算Ⅱ」と記載した場合であっても、入浴介助加算(Ⅰ)を算定することは可能である。
入浴介助加算(Ⅱ)では、個別の入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行うこととなっているが、この場合の入浴介助とは具体的にどのような介助を想定しているのか。
利用者の入浴に係る自立を図る観点から、入浴に係る一連の動作のうち、利用者が自身の身体機能のみを活用し行うことができる動作については、引き続き実施できるよう見守り的援助を、介助を行う必要がある動作については、利用者の状態に応じた身体介助を行う。なお、入浴介助加算(Ⅱ)の算定にあたっての関係者は、利用者の尊厳の保持に配慮し、その状態に応じ、利用者自身で又は家族等の介助により入浴ができるようになるよう、常日頃から必要な介護技術の習得に努めるものとする。
<参考:利用者の状態に応じた身体介助の例>
※ 以下はあくまでも一例であり、同加算算定に当たって必ず実施しなければならないものではない。
入浴介助加算(Ⅱ)については、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境(手すりなど入浴に要する福祉用具等を活用し利用者の居宅の浴室の環境を個別に模したもの)にて、入浴介助を行うこととなっているが、例えばいわゆる大浴槽に福祉用具等を設置すること等により利用者の居宅の浴室の状況に近い環境を再現することとしても差し支えないのか。
例えば、利用者の居宅の浴室の手すりの位置や浴槽の深さ・高さ等にあわせて、可動式手すり、浴槽内台、すのこ等を設置することにより、利用者の居宅の浴室の状況に近い環境が再現されていれば、差し支えない。
入浴介助加算(Ⅱ)については、算定にあたって利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価することとなっているが、この評価は算定開始後も定期的に行う必要があるのか。
当該利用者の身体状況や居宅の浴室の環境に変化が認められた場合に再評価や個別の入浴計画の見直しを行うこととする。
入浴介助加算(Ⅱ)について、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員等(利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員を含む。)が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価することとなっているが、この他に評価を行うことができる者としてどのような者が想定されるか。
・ 地域包括支援センターの担当職員、福祉・住環境コーディネーター2級以上の者等が想定される。
・ なお、通所リハビリテーションについても同様に取扱う。
入浴介助加算(Ⅱ)は、利用者が居宅において利用者自身で又は家族等の介助により入浴を行うことができるようになることを目的とするものであるが、この場合の「居宅」とはどのような場所が想定されるのか。
・ 利用者の自宅(高齢者住宅(居室内の浴室を使用する場合のほか、共同の浴室を使用する場合も含む。)を含む。)のほか、利用者の親族の自宅が想定される。なお、自宅に浴室がない等、具体的な入浴場面を想定していない利用者や、本人が希望する場所で入浴するには心身機能の大幅な改善が必要となる利用者にあっては、以下①~⑤をすべて満たすことにより、当面の目標として通所介護等での入浴の自立を図ることを目的として、同加算を算定することとしても差し支えない。
① 通所介護等事業所の浴室において、医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員等(利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員を含む。)が利用者の動作を評価する。
② 通所介護等事業所において、自立して入浴することができるよう必要な設備(入浴に関する福祉用具等)を備える。
③ 通所介護等事業所の機能訓練指導員等が共同して、利用者の動作を評価した者等との連携の下で、当該利用者の身体の状況や通所介護等事業所の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成する。なお、個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別の入浴計画の作成に代えることができるものとする。
④ 個別の入浴計画に基づき、通所介護等事業所において、入浴介助を行う。
⑤ 入浴設備の導入や心身機能の回復等により、通所介護等以外の場面での入浴が想定できるようになっているかどうか、個別の利用者の状況に照らし確認する。
・ なお、通所リハビリテーションについても同様に取り扱う。