「デイサービスでよく起こるトラブルって、どんなものがあるの?」

「利用者同士のいざこざや送迎の苦情に、どう対処すればいい?」

デイサービス(通所介護)の現場では、利用者・職員・ご家族が関わるなかで、さまざまなトラブルが起こります。多くは事前の対策と仕組みづくりで防げるものですが、対応を誤ると信頼の低下や事故につながりかねません。

この記事では、デイサービスで起こりやすいトラブルを「利用者同士」「職員と利用者」「送迎」の3つに整理し、それぞれの具体的な対策を現場目線で解説します。新人職員の教育や、事業所のリスクマネジメント体制づくりにそのまま役立つ内容です。

この記事でわかること
  • デイサービスで起こりやすいトラブルの全体像
  • 利用者同士・職員と利用者・送迎それぞれの典型トラブルと対策
  • トラブルを未然に防ぐための仕組みづくりのポイント
  • トラブルが起きてしまったときの初期対応

デイサービスのトラブルは大きく3種類

ちびウルフちびウルフ

デイサービスのトラブルって、いろいろあって整理できないよ…

リハウルフリハウルフ

「誰と誰の間で起きるか」で分けると整理しやすいよ。大きく3つに分けて考えよう。

デイサービスのトラブルは、関係する人で分けると整理しやすくなります。本記事では次の3分類で見ていきます。

分類主なトラブル
利用者同士物のやり取り、個人情報、暴言・暴力、認知症によるもの
職員と利用者転倒、対応への不満、ハラスメント、服薬ミス
送迎運転への苦情、時間の遅れ、近隣への配慮
ポイント トラブルは「起きてから対応する」より、起きないように仕組みで防ぐほうがはるかに効果的です。記録・情報共有・職員教育の3つが土台になります。

利用者同士のトラブルと対策

複数の利用者が同じ空間で過ごすデイサービスでは、利用者同士のトラブルが起こりがちです。代表的なものと対策を見ていきましょう。

お菓子や物をあげてしまう

利用者同士で食べ物や物をやり取りすると、思わぬトラブルの元になります。アレルギーのある利用者に不適切な食品を渡してしまうと、健康被害につながる危険があります。

対策 飲食物の提供は職員が管理し、アレルギー情報を確認したうえで出すようにします。利用者同士の食品のやり取りを防ぐため、おやつの提供は施設側で行い、「交換はしないようお願いします」と丁寧に共有しておきましょう。

個人情報を話してしまう

利用者同士の会話で、他人の家庭環境や健康状態が漏れてしまうことがあります。プライバシーの侵害やトラブルの原因になります。

対策 職員は個人情報の取り扱い研修を受け、利用者ごとに情報共有の方針を明確にします。職員間の連携を強め、必要のない情報が会話に出ないよう配慮しましょう。

暴言・暴力

ストレスやコミュニケーションの行き違いから、利用者同士で暴言・暴力が生じることがあります。

対策 安全な環境を保つため、トラブル発生時の対応手順をあらかじめ決めておきます。レクや活動を通じて利用者同士の関係を円滑にし、職員は感情の管理と仲介のスキルを磨いて、エスカレートを防ぎます。

認知症によるトラブル

認知症の進行に伴い、思考や行動が不安定になり、利用者同士のトラブルにつながることがあります。

対策 認知症のある利用者には個別のケアプランで対応し、トラブル時は冷静に介入して対話を促します。職員への認知症ケア教育を行い、関わり方のスキルを高めることが予防になります。

職員と利用者のトラブルと対策

ちびウルフちびウルフ

職員と利用者の間でもトラブルって起きるの?

リハウルフリハウルフ

うん。転倒や対応への不満は特に多いんだ。事故につながるものは要注意だよ。

転倒させてしまう

身体的に弱い利用者が転倒し、けがをするケースです。適切な見守りや介助ができていないと起こります。

対策 職員は転倒予防の訓練を受け、利用者ごとのリスク評価にもとづいた個別ケアを行います。万一転倒が起きた場合は、速やかに応急処置と医療機関への連絡を行い、記録を残しましょう。事故報告とヒヤリハットの共有が再発防止につながります。

職員の対応が悪くて不満が出る

コミュニケーション不足や言葉づかいから、利用者やご家族の不満につながることがあります。

対策 利用者の要望や感情を丁寧に受け止め、個別のニーズに応じたサービスで信頼関係を築きます。クレーム処理の手順を整え、不満が出たら真摯に受け止めて適切に対応しましょう。

ハラスメント

職員と利用者の間でハラスメントが生じることもあります。これは利用者・職員双方を守るために、明確な方針が必要な深刻なテーマです。

対策 事業所としてハラスメント防止の方針を定め、全職員に教育を行います。被害を受けた人が安心して相談・通報できる窓口を整備し、速やかに対処できる体制をつくりましょう。

服薬の飲ませ忘れ

定期的な服薬が必要な利用者で、職員が薬を飲ませ忘れるとトラブルになります。

対策 服薬スケジュールを正確に把握し、ダブルチェックと記録でミスを防ぎます。アレルギーや薬の相互作用の情報を確実に収集し、医療職と連携することが大切です。

送迎のトラブルと対策

送迎はデイサービスならではの業務で、トラブルが起こりやすい場面でもあります。利用者の安全と近隣への配慮の両方が求められます。

運転が荒くて苦情が出る

対策 安全運転を徹底し、利用者の安全を最優先にします。定期的な運転研修と車両の保守を行い、交通法規を遵守しましょう。利用者の身体状態に配慮した車内の安全確保も重要です。

予定の時間に迎えに行けない

対策 送迎スケジュールは事前にしっかり計画し、遅れが出そうなときは早めに連絡します。渋滞や天候を考慮して予測可能な遅れを最小限にし、利用者・家族とこまめに情報共有しましょう。

近隣への配慮(駐停車)

対策 利用者宅前での駐停車は近隣の迷惑になることがあります。駐車場所の確保や騒音への配慮を行い、必要に応じて近隣へ事前に説明しておくと、苦情を防ぎやすくなります。

ご家族・ケアマネとのトラブルと対策

ちびウルフちびウルフ

利用者さんだけじゃなくて、ご家族との行き違いも気になるな…

リハウルフリハウルフ

そうだね。家族やケアマネとの認識のズレもトラブルの原因になるよ。報告と説明がカギなんだ。

トラブルは利用者本人だけでなく、ご家族やケアマネジャーとの間でも起こります。多くは情報共有の不足や認識のズレが原因です。

サービス内容への認識のズレ

「もっとリハビリをしてくれると思っていた」「入浴があると聞いていた」など、提供内容への思い違いが不満につながることがあります。

対策 契約時の重要事項説明で、提供内容・料金・できることとできないことを丁寧に説明します。利用開始後も、様子や変化を定期的にご家族・ケアマネへ報告し、認識のズレを早めに埋めましょう。

体調変化やケガの報告漏れ

デイサービスでの小さな体調変化やケガを家族に伝え忘れると、後から大きな不信感につながります。

対策 ささいなことでも連絡帳や口頭で確実に共有します。事故・けがが起きた場合は、隠さず速やかに事実を報告することが信頼維持の基本です。記録を残し、ケアマネとも連携しましょう。

トラブルを防ぐ仕組みづくり(実践)

個別の対策に加えて、事業所としてトラブルを防ぐ仕組みを整えることが重要です。リハビリ職・看護職・介護職・生活相談員など、職種をまたいで取り組みましょう。

  1. ヒヤリハット・事故報告を記録し、職員で共有する
  2. アレルギー・服薬・転倒リスクなどの情報を一覧で管理する
  3. 認知症ケア・接遇・ハラスメント防止の研修を定期的に行う
  4. クレーム・相談の窓口と対応手順を明文化する
  5. 送迎ルートと時間を見直し、安全と効率を両立させる
ポイント トラブル対応で大切なのは「個人の力量」ではなく「仕組み」です。記録と共有が回る事業所ほど、同じトラブルを繰り返しません。

よくある質問(FAQ)

利用者同士のトラブルで、職員はどこまで介入すべき?
安全に関わる場面(暴力・転倒のリスクなど)では速やかに介入します。一方、軽い言い争いなどは、双方の話を冷静に聞き、距離を取る・席を分けるなどの環境調整で対応するのが基本です。介入の判断基準を事業所で共有しておくと、職員ごとの対応のばらつきを防げます。
トラブルが起きたら、まず何をすればいい?
第一は利用者の安全確保と応急対応です。けががあれば応急処置と医療機関への連絡を行い、その後、事実を時系列で記録します。必要に応じてご家族・ケアマネジャーに報告し、再発防止策を検討・共有します。
送迎の苦情を減らすコツは?
安全運転の徹底に加えて、「遅れそうなときに早めに連絡する」ことが満足度を大きく左右します。スケジュールに余裕を持たせ、ルートを定期的に見直すことも有効です。
クレーム対応で気をつけることは?
まずは相手の話を最後まで聞き、事実を確認することです。否定から入らず、不快な思いをさせた点には誠実に向き合います。対応手順を文書化しておくと、職員が落ち着いて対応できます。
トラブルの記録はどこまで残すべき?
いつ・どこで・誰が・何をしたか、事実を時系列で具体的に記録します。主観や憶測は避け、観察した事実と行った対応を分けて書くのが基本です。事故報告書やヒヤリハットとして残し、職員間で共有すれば、同じトラブルの再発防止と、万一の説明責任の両方に役立ちます。
まとめ
  • デイサービスのトラブルは「利用者同士」「職員と利用者」「送迎」の3つに整理できる
  • 飲食物・個人情報・暴言・認知症など、利用者同士のトラブルは管理と環境調整で防ぐ
  • 転倒・服薬・ハラスメントなど事故につながるものは、記録・ダブルチェック・研修で予防する
  • 送迎は安全運転と早めの連絡、近隣への配慮がカギ
  • 個人の力量に頼らず、記録・情報共有・職員教育の仕組みで再発を防ぐ
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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