作業療法士という職業は、高齢化社会が進む中でますます重要視されるべき存在です。
しかし、近年「作業療法士はオワコンではないか?」といった声を耳にすることもあります。
こうした言葉は、将来への不安や職業としての地位の認識に影響を及ぼす可能性があるため、見過ごせません。
本記事では、「作業療法士がオワコンと言われる理由」とその背景を解説するとともに、作業療法士が生き残るための方法を提案します。
また、作業療法士でも高収入を実現するための具体的な道筋についても詳しく触れます。
この記事を通じて、作業療法士としての未来を前向きに考え、キャリアアップを目指すきっかけになれば幸いです。
作業療法士がオワコンと言われている理由
作業療法士がオワコンと言われている理由は下記のようなことがあります。
作業療法士がオワコンと言われる理由
- 理学療法士と作業療法士合わせて30万人以上いる
- 作業療法士の養成校は約200校あり定員は7500名以上
- 作業療法士の養成校は偏差値40くらいでも余裕で入学可能
- 病院はこれから増えない
- 作業療法士の平均年収は430万円くらいと一般平均より低い
- 作業療法士の国会議員がおらず政治力が低い
それぞれについて説明していきます。
理学療法士と作業療法士合わせて30万人以上いる
現在、理学療法士と作業療法士を合わせると30万人を超える数が活躍しており、これは非常に大きな人数です。リハビリテーション分野において、供給過多とされることも少なくありません。この大量の人材が市場に存在することで、個々の作業療法士の価値が薄れると感じられることがあります。特に、理学療法士と役割が重なる部分も多いため、競争が激化している点が背景にあると言えるでしょう。数の多さはチーム医療において強みになる一方、個人の差別化が難しくなる課題でもあります。
作業療法士の養成校は約200校あり定員は7500名以上
作業療法士を目指す学生を受け入れる養成校の数は増え続けており、現在約200校にも及びます。その定員も年間7500名以上に設定されており、多くの作業療法士が毎年新たに資格を取得しています。この大量の供給が作業療法士の地位や給与の安定性に影響を与えている可能性があります。養成校の増加は地域医療への貢献という利点もありますが、卒業後の就職競争を激化させる要因にもなっているのです。
作業療法士の養成校は偏差値40くらいでも余裕で入学可能
多くの作業療法士養成校が存在するため、偏差値40程度でも入学可能な学校があるという現状があります。これは一見すると作業療法士への道が開かれている良いことのように見えますが、一部の人々からは「作業療法士の専門性が軽視されているのではないか」と捉えられることもあります。偏差値の低い学校からも優秀な作業療法士は輩出されていますが、全体のイメージが低下する要因となることも考えられるでしょう。
病院はこれから増えない
高齢化社会が進む中で医療の需要は高まっていますが、病院の新設やベッド数の増加は限界に近づいています。地域包括ケアの推進や在宅医療への移行が進む中で、病院勤務の作業療法士の需要が頭打ちになる懸念があります。これにより、作業療法士としての活躍の場が限られると考える人もいます。しかし、逆に在宅や地域での活躍の場が増える可能性も秘めているのです。
作業療法士の平均年収は430万円くらいと一般平均より低い
作業療法士の平均年収は約430万円と言われています。これは日本の平均年収と比較すると若干低い水準です。医療職としては安定した収入であるものの、長年働き続けても給与が大幅に増加しないことが悩みとなることも多いです。また、労働時間が長い割には報酬が見合っていないと感じる人も少なくありません。この収入の低さが「オワコン」というイメージを助長している側面もあります。
作業療法士の国会議員がおらず政治力が低い
作業療法士を代表する国会議員がいないため、政策提言力や政治的な発言力が弱いとされています。他の職種に比べて職能団体の影響力も低く、制度改正や地位向上を実現するためのロビー活動が不足しているとの指摘があります。このような政治力の低さが、職業としての地位や社会的な認知度の低下につながる可能性があるのです。
作業療法士として生き残る方法
作業療法士として生き残る方法は多々あります。
ここでは、作業療法士として生き残るための方法を紹介します。
知識技術など希少性が高い作業療法士を目指す
作業療法士として長く活躍するためには、他の人と差別化できるスキルや知識を持つことが重要です。例えば、特定の疾患や障害に特化した技術を磨いたり、最新の研究や治療法を学び続けたりすることが挙げられます。また、認定資格や専門資格を取得することで、希少価値の高い作業療法士として認知される可能性が高まります。近年では、発達障害や認知症ケアなどの分野に特化することでニーズが高まり、活躍の場を広げている作業療法士も増えています。「自分だけが提供できるもの」を作る意識を持つことで、他者との差を明確にし、業界内でのポジションを確立することができます。
作業療法士以外のポータブルスキルを身につける
作業療法士の資格だけに頼るのではなく、他の職場や業界でも役立つ「ポータブルスキル」を身につけることも重要です。例えば、コミュニケーションスキル、プレゼンテーション能力、データ分析能力などは、作業療法士の業務を超えて幅広い分野で活用できます。また、ITスキルや英語力といった汎用性の高い能力を持つことで、海外での活動や異業種へのキャリアチェンジも視野に入れられます。ポータブルスキルを持つことで、万が一作業療法士としての仕事が減少した場合でも、柔軟にキャリアを展開できるようになるでしょう。
ダブルライセンス(ケアマネジャー・看護師など)を目指す
作業療法士の資格に加えて、関連する資格を取得することで、活躍の場を広げることができます。例えば、ケアマネジャーや看護師、福祉住環境コーディネーターの資格を取得することで、医療や福祉、介護分野での需要が高まります。特にケアマネジャーは、介護計画の作成やコーディネートを行う役割を担い、地域医療や在宅ケアの現場で重宝されます。複数の資格を持つことで、他の作業療法士との差別化を図り、自分の市場価値を高めることが可能です。
マネジメントやリーダシップを学び出世を目指す
職場内での地位向上を目指すことも、生き残るための戦略の一つです。特に、マネジメントスキルやリーダーシップを磨くことで、チームの指導者や管理職としての役割を担えるようになります。これには、業務効率化やスタッフの育成、職場環境の改善といった能力が求められます。管理職になることで、給与アップや職場内での影響力を得られるだけでなく、組織全体に貢献するやりがいも増します。また、組織内でのネットワークを広げることが、さらなるキャリアチャンスにつながることも多いです。
作業療法士はオワコンではない。能力が高い人は生き残る
作業療法士が「オワコン」と言われる背景には、業界の課題や競争の激化が影響しています。しかし、それは逆に言えば、能力の高い作業療法士には十分に活躍の場が残されていることを意味します。専門知識や技術を深める努力を怠らず、新たな分野へのチャレンジ精神を持つことができれば、作業療法士としての価値を高めることが可能です。むしろ、時代の変化に対応し、柔軟に進化できる人材は、どの職種でも必要とされる存在です。「作業療法士=オワコン」という風潮に流されるのではなく、自分自身のスキルや市場価値を向上させることで、むしろ業界のリーダーとして活躍することも夢ではありません。
作業療法士でも年収500万円、1000万円以上は目指すことは可能
多くの作業療法士が年収500万円以上を目指すことに成功しており、さらに1000万円を超える高収入を得ている例もあります。そのためには、単に日々の業務をこなすだけでなく、戦略的にキャリアプランを立てることが必要です。副業を活用したり、起業を目指したりすることで、収入の柱を複数持つ人も増えています。また、経営やマーケティングの知識を活かして、新しいサービスを提供する作業療法士もいます。「作業療法士だから低収入で仕方ない」と諦めるのではなく、現状を打破する意欲を持つことが大切です。
作業療法士で年収500万円を目指す具体的方法
作業療法士で年収500万円を目指す具体的な方法を紹介します。
本業420万円+副業100万円を目指す
作業療法士として年収500万円を目指す第一歩として、副業を活用する方法があります。本業での年収が約420万円の場合、副業で100万円程度の収入を加えることで目標を達成することが可能です。副業には、訪問リハビリのパート勤務や、自費リハビリを提供するフリーランスとしての活動、さらには健康や福祉に関するセミナー講師など、さまざまな選択肢があります。特に、自費リハビリやオンラインでのリハビリ指導は、時間や場所に縛られず収入を得られるため、人気の副業となっています。副業を成功させるためには、時間管理やスキルアップが不可欠ですが、自分の強みを活かした働き方を見つけることで、効率的に収入を増やすことができます。
本業で出世して500万円以上を目指す
職場内でキャリアアップを図ることも、年収500万円を達成する現実的な方法の一つです。特に病院や施設で勤務する作業療法士の場合、管理職や主任クラスになることで給与がアップします。出世を目指すためには、マネジメントスキルの習得や、部下や同僚との信頼関係の構築が重要です。また、上司や経営層からの評価を得るために、職場全体の課題解決や業務改善に積極的に取り組む姿勢も求められます。管理職になることで収入が増えるだけでなく、責任ある役割を通じてさらなる成長を実感することができるでしょう。
訪問看護ステーションなどを起業する
作業療法士として年収1000万円以上を目指すための大きな一歩が起業です。訪問看護ステーションや自費リハビリ施設を立ち上げることで、高収入を得るチャンスが広がります。起業には初期投資や経営スキルが求められるため、事前の準備が欠かせませんが、成功すれば安定した収入だけでなく、自分の理想とする働き方を実現することができます。また、リハビリ分野では高齢者向けのサービスが増加しており、需要がある分野を見極めることでビジネスチャンスを掴むことが可能です。地域密着型のサービスを展開することで、利用者や地域からの信頼を得ることも重要なポイントです。
技術を高めて保険外(自費リハビリ)で活躍する
保険診療に依存せず、自費リハビリで活躍する作業療法士も増えています。保険診療の場合、診療報酬や規制に制約されることがありますが、自費リハビリであれば利用者のニーズに合わせた柔軟なサービス提供が可能です。特に、スポーツリハビリや高齢者の健康維持を目的としたプログラム、さらには海外の最新リハビリ技術を導入するなど、他にはない独自のサービスを提供することで高単価の報酬を得られる可能性があります。自費リハビリで成功するためには、確かな技術力とともにマーケティング能力も必要です。SNSや口コミを活用して自分のサービスを広く知ってもらう工夫が大切です。
まとめ
「作業療法士はオワコン」と言われる背景には、供給過多や平均年収の低さ、政治力の弱さといった課題がある一方で、作業療法士として活躍できる道は多岐にわたります。専門性を磨き、希少性の高いスキルを持つことや、ポータブルスキルやダブルライセンスの取得、さらには起業や副業を通じて収入を増やす努力をすることで、キャリアの可能性を広げることができます。「オワコン」という言葉に惑わされることなく、自分の未来を自ら切り開く姿勢が重要です。作業療法士の可能性は無限大であり、時代のニーズに応じて進化することで、さらに輝かしいキャリアを築くことができるでしょう。