稼げる訪問リハビリは残念ながらスキルは稼げない|年収と将来性

「訪問リハビリは稼げるの?」「訪問リハに転職すると給料が上がるって本当?」——理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)のキャリアを考えるとき、必ず話題になるのがこのテーマです。私自身、訪問看護ステーションで働いた経験があり、現在も訪問リハビリテーション事業所でPTとして10年以上働いています。
結論を先にお伝えすると、訪問リハビリは確かに「お金」は稼げます。でも「スキル」は稼げないことがある——これが現場で見てきた率直な実感です。この記事では、稼げる訪問リハの特徴とメリット・デメリット、そして令和6年度の介護報酬改定で訪問リハ職を取り巻く環境がどう変わったかまで、キャリア選択の参考になるよう解説します。
- 訪問リハビリは本当に稼げるのか(年収の実態)
- 稼げる訪問リハの職場の特徴とメリット・デメリット
- 令和6年度改定でリハ職の訪問がどう変わったか
- 長く生き残るためにおすすめのキャリアの選び方
訪問リハビリは稼げるのか?年収の実態
結論から言えば、稼げる訪問リハビリは実際にあります。PT・OTが働く代表的な職場には、総合病院、回復期リハビリ病院、クリニック、介護老人保健施設、デイサービス・デイケア、訪問看護ステーション、訪問リハビリテーションなどがあります。このうち「訪問」にあたるのが訪問看護ステーションからのリハ職訪問と、訪問リハビリテーションです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにすると、PT・OT・STの平均年収は440万円前後(令和6年)で、ここ十数年大きな変動はありません。これに対し、歩合制で訪問件数の多い事業所では、役職者でなくプレイヤーのまま年収500〜800万円に届くケースもあります。訪問リハは経験年数の長いセラピストが多く平均年収が高く出やすい、というカラクリもありますが、稼ぎやすいこと自体は事実です。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| PT・OT・STの平均年収(令和6年) | 約440万円前後 |
| 歩合制・大規模・高件数の訪問リハ | 500〜800万円も可能 |
| 稼ぎやすい職場の特徴 | 歩合制/大規模/訪問件数が多い |
ちびウルフ年収800万も狙えるの? それなら歩合制の訪問リハがいいじゃない!
リハウルフ気持ちはわかるよ。でも僕はそういう事業所をおすすめしないんだ。理由は、お金以外のデメリットが大きいから。順番に説明するね。
稼げる訪問リハビリのメリット・デメリット
稼げる訪問リハのメリットは、ひと言でいえば「稼げる」こと。これ以上でも以下でもありません。問題はデメリットの方です。私自身は歩合制の事業所で働いた経験はありませんが、多くの同業者から聞いてきた実態をもとに、5つのデメリットを整理します。
| 稼げる訪問リハのデメリット |
|---|
| ① 体力的にしんどい |
| ② 利用者ではなくお金に目がいってしまう |
| ③ 多くの利用者をみることができない |
| ④ セラピストとしての能力が伸びにくい |
| ⑤ 60歳まで同じようには働けない |
①体力的にしんどい
「稼げる訪問リハ=歩合制」となるため、多くの訪問件数をこなす必要があります。1日10件以上回る人も珍しくありません。私は10年以上訪問リハをしていますが、最高でも1日7件で、それでもかなりきついと感じます。動いた分だけ稼げる仕組みは、裏を返せば体力勝負だということです。
②利用者ではなく、お金に目がいってしまう
件数をこなすことが目標になると、利用者一人ひとりのことを考える余裕がなくなります。1日8〜10件訪問して、いつケアマネジャーに電話し、事業所のスタッフや他事業所と連携するのでしょうか。連携や多職種カンファレンスの時間を確保できない働き方は、医療・介護専門職の本来の姿から離れてしまいます。
③多くの利用者をみることができない
歩合制の事業所は「卒業」「終了」の概念が薄く、同じ利用者を長期間みる体制が多いです。件数は多くても、年間で関わる利用者の延べ人数は意外と少なくなります。たとえば私は年間100名以上に関わり、利用者も入れ替わるため2年目には150名、3年目には200名と経験を積めます。一方、長期固定の事業所では3年働いても30名ほどしかみていない、ということが起こり得ます。
④セラピストとしての能力が伸びにくい
連携もなく黙々と訪問し、同じ人のリハを延々と続けて互いに依存する——こうした体制では、どこでも通用する汎用的なスキルが身につきにくいのが実情です。一人の方と長く付き合うスキルは磨かれるかもしれませんが、転職市場で評価される力は育ちにくい。まさに「稼げる訪問リハは、残念ながらスキルは稼げない」という事態に陥りがちです。
⑤60歳まで同じようには働けない
歩合制は体力勝負です。体調を崩せば給料は大きく下がります。今は若いから稼げていても、年齢を重ねると同じ件数はこなせません。そのときスキルが伸びていなければ、他職場でも通用せず、年収が右肩下がりになるリスクがあります。「一生稼ぎ続けられるか」という視点が欠かせません。
【令和6年度改定】訪問リハ職を取り巻く環境の変化
ここは多くの記事が触れていない重要ポイントです。令和6年度の介護報酬改定で、訪問看護ステーションからのリハ職(PT・OT・ST)の訪問は、適正化(実質的な引き締め)の方向に進みました。「件数で稼ぐ」モデルには逆風が吹いています。
| 改定項目(令和6年度) | 内容 |
|---|---|
| 基本報酬 | 訪問看護からのリハ職訪問は1回294単位(介護予防は284単位)に |
| 回数による減算 | リハ職の訪問回数が看護職員の訪問回数を超える場合、1回につき8単位を減算 |
| 加算未算定の減算 | 緊急時訪問・特別管理・看護体制強化加算をいずれも算定していない場合も8単位減算の対象に |
| 長期利用の見直し | 介護予防では、利用開始から一定期間(12月)を超えるとさらに減算 |
ちびウルフじゃあ「とにかく件数で稼ぐ」やり方は、制度的にも難しくなってきてるんだね?
リハウルフそういうことなんだ。これからは「質」で評価される時代。だからこそ、連携や専門性を磨ける職場を選ぶことが、長い目で見て一番の自己投資になるんだよ。
私がおすすめする訪問セラピストのキャリア
私がおすすめするのは、歩合制ではない訪問リハビリテーションや訪問看護ステーションで、訪問件数が多すぎず、一人ひとりに向き合える事業所です。連携や勉強会に力を入れている職場であれば、基本的な知識・技術が着実に身につきます。
目先の年収だけで職場を選ぶと、数年後に「稼げるけれど成長していない自分」に気づくことがあります。逆に、適切な件数で連携を大切にする職場で経験を積めば、どこでも通用するセラピストになれます。結果として、年齢を重ねても安定して働き続けられ、生涯年収では有利になることも少なくありません。「いま稼ぐ」より「一生稼げる力をつける」視点で職場を選びましょう。
後悔しない訪問リハ求人の見極め方
「稼げる」と「働き続けられる」を両立するには、求人を給料の数字だけで判断しないことが大切です。私が転職相談を受けるとき、必ず確認するようすすめているチェックポイントをまとめました。
| チェック項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 給与の仕組み | 完全歩合か、固定+インセンティブか。体調を崩したときの保障は? |
| 1日の訪問件数 | 平均と上限。連携や記録の時間が確保されているか |
| 多職種連携 | カンファレンスや看護師・ケアマネとの連携の仕組みがあるか |
| 教育・研修 | 同行訪問、勉強会、症例検討の機会があるか |
| 利用者の入れ替わり | 状態改善・卒業を意識した運営か、長期固定が中心か |
とくに見落としがちなのが「記録・連携の時間が勤務時間に含まれているか」という点です。訪問件数の合間にサービス残業で書類を片付けている職場は、表面の給料が高くても時給換算では割に合わないことがあります。求人票の数字だけでなく、見学や面接で実際の働き方を確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
訪問リハビリは他の職場より本当に給料が高いの?
歩合制と固定給、どちらを選ぶべき?
未経験から訪問リハに転職しても大丈夫?
令和6年度改定で訪問リハの収入は下がる?
- 稼げる訪問リハ(歩合制・大規模・高件数)は確かにあり、年収500〜800万円も可能
- ただし体力負担・連携不足・経験ケース数の少なさなど、デメリットも大きい
- 「稼げる訪問リハは、残念ながらスキルは稼げない」——汎用的な力が伸びにくい
- 令和6年度改定で、件数偏重のリハ職訪問は減算など適正化が進んでいる
- おすすめは、適切な件数で連携・勉強に力を入れる事業所。「一生稼げる力」を重視しよう




