訪問看護で多い疾患ランキング|厚労省データで解説

「訪問看護で多い疾患ってどんなものがあるの?」——これから訪問看護で働く方や、転職を考えている看護師さんにとって、現場でどんな疾患の利用者さんに出会うのかは気になるところですよね。
この記事では、厚生労働省の統計データと、実際の訪問看護の現場経験をふまえて、訪問看護で多い疾患を医療保険・介護保険それぞれの特徴とあわせて整理します。「どんな疾患を勉強しておけばいいか」という不安も、この記事を読めばスッキリします。
- 訪問看護で多い疾患(医療保険・介護保険それぞれの特徴)
- 訪問看護で多い疾患の総合ランキング
- なぜ保険によって多い疾患が変わるのか(別表7のしくみ)
- 訪問看護で勉強しておくとよい疾患・医療処置
ちびウルフ訪問看護って、どんな病気の人が多いんですか?
リハウルフそれが保険の種類で結構変わるんだ。まずはそこから整理していこう。
訪問看護で多い疾患は保険で変わる
訪問看護は「介護保険」と「医療保険」の2つで提供されます。原則は介護保険が優先ですが、特定の疾患の方や介護保険の認定を受けていない方は医療保険の訪問看護になります。このしくみがあるため、医療保険と介護保険では「多い疾患」に違いが出るのです。
医療保険の訪問看護で多い疾患
医療保険の訪問看護で多いのは、次の3つの領域です。
- 神経系の疾患(とくにパーキンソン病が多い)
- 精神および行動の障害(統合失調症が多い)
- がん末期(末期の悪性腫瘍)
これは、「別表7」と呼ばれる重い疾患群に該当すると、制度上、介護保険ではなく医療保険の訪問看護になるためです。別表7には以下のような疾患が含まれます。
| 別表7に含まれる主な疾患 |
|---|
| 末期の悪性腫瘍/多発性硬化症/重症筋無力症/スモン/筋萎縮性側索硬化症(ALS) |
| 脊髄小脳変性症/ハンチントン病/進行性筋ジストロフィー症/パーキンソン病関連疾患 |
| 多系統萎縮症/プリオン病/亜急性硬化性全脳炎/ライソゾーム病/副腎白質ジストロフィー |
| 脊髄性筋萎縮症/球脊髄性筋萎縮症/慢性炎症性脱髄性多発神経炎/後天性免疫不全症候群 |
| 頸髄損傷/人工呼吸器を使用している状態 |
また、精神疾患の利用者さんも制度上は医療保険の訪問看護となるため、統合失調症などの比重が高くなります。さらに、介護保険の認定を受けられない小児のさまざまな疾患や脊髄損傷の方も、医療保険の訪問看護で多く見られます。
介護保険の訪問看護で多い疾患
一方、介護保険の訪問看護で多い疾患は、多い順に次のとおりです。
- 循環器系の疾患(脳血管疾患・心疾患など)
- 筋骨格系および結合組織の疾患
- 神経系の疾患
- 認知症
- 内分泌系の疾患
- 呼吸器疾患
この中で圧倒的に多いのが脳血管疾患です。脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・一過性脳虚血発作などが含まれます。筋骨格系では大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折、神経系では初期のパーキンソン病、認知症ではアルツハイマー型認知症、内分泌では糖尿病、呼吸器ではCOPDなどが代表的です。
介護保険で訪問看護を利用できるのは原則40歳以上(多くは65歳以上)のため、複数の疾患を合併している方が多いのも特徴です。
訪問看護で多い疾患ランキング(医療保険&介護保険)
医療保険・介護保険を合わせて、訪問看護で総合的に多い疾患の割合は次のとおりです(厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査をもとにした傾向)。
| 順位 | 疾患 | 割合の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 脳血管疾患 | 約12.9% |
| 2 | 認知症(アルツハイマー型含む) | 約8.9% |
| 3 | 悪性新生物(がん) | 約8.5% |
| 4 | 筋骨格系の疾患 | 約8.4% |
| 5 | 統合失調症 | 約5.8% |
| 6 | 糖尿病 | 約5.0% |
| 7 | パーキンソン病 | 約4.9% |
| 8 | 損傷・中毒等 | 約4.4% |
| 9 | 高血圧性疾患 | 約4.4% |
| 10 | 呼吸器系の疾患 | 約4.3% |
| 11 | 心疾患 | 約4.2% |
訪問看護で多い疾患の特徴と勉強のポイント
訪問看護は0歳の小児から超高齢者まで、幅広い年齢層が利用します。そのため、本当にさまざまな疾患の利用者さんに出会うのが大きな特徴です。
また、医療依存度が高い方が多いのも訪問看護の特色です。たとえば次のような状態の方がいます。
- 褥瘡の予防や処置が必要な人
- 気管カニューレを装着している人
- 浣腸や摘便が必要な人
- 喀痰吸引が必要な人
- 人工透析を受けている人
- 在宅酸素療法(HOT)を受けている人
- 人工肛門(ストーマ)の人
- 胃ろう・腸ろうの人
- ターミナルケアが必要な人
ちびウルフ聞いたこともない病気が来たら不安です…
リハウルフ大丈夫。珍しい疾患はみんな知らないから、主治医やステーション内で連携して、その都度調べながら看護していけばいいんだ。
病棟のように「〇〇科」「〇〇病棟」という区切りがないのが訪問看護です。だからこそ、まずは上位に来る脳血管疾患・認知症・がん・パーキンソン病などの基礎を押さえつつ、フィジカルアセスメントと急変対応の力をつけておくと安心です。
多い疾患別に押さえたい看護のポイント
上位に来る疾患は、訪問看護で求められる観察・ケアの視点が比較的はっきりしています。代表的な疾患ごとのポイントを整理しました。
| 疾患 | とくに押さえたい看護のポイント |
|---|---|
| 脳血管疾患 | 麻痺・嚥下・血圧管理、再発予防、転倒予防、ADL維持の視点 |
| 認知症 | BPSDへの対応、服薬管理、ご家族の介護負担、安全確保 |
| がん(末期含む) | 疼痛・症状コントロール、ターミナルケア、意思決定支援 |
| パーキンソン病 | オン・オフ現象、服薬時間の管理、転倒・誤嚥予防 |
| 統合失調症 | 服薬継続の支援、生活リズム、信頼関係の構築 |
| 糖尿病・COPD | 自己管理支援、増悪の早期発見、フィジカルアセスメント |
未経験から訪問看護の疾患を学ぶステップ
「こんなに幅広い疾患、覚えきれない」と不安になるかもしれません。次の順番で学べば、現場で着実に対応力がついていきます。
- 頻度の高い疾患(脳血管疾患・認知症・がん・パーキンソン病)の基礎を押さえる
- 褥瘡・吸引・在宅酸素・経管栄養など、よく出会う医療処置の手技を学ぶ
- 急変時のフィジカルアセスメントと連絡・報告の流れを身につける
- 珍しい疾患は、訪問前にステーション内・主治医と情報共有し、その都度調べる
ちびウルフ少しずつなら、できそうな気がしてきました!
リハウルフその意気だよ。一人で抱え込まず、チームで支えるのが訪問看護のいいところなんだ。
多い疾患を知ると訪問看護はもっと面白くなる
「多い疾患」を把握しておくと、求人選びや転職時の事前準備にも役立ちます。たとえば精神科に強いステーションなら統合失調症などの精神疾患が多く、医療依存度の高い利用者を多く受けるステーションならがん末期やALS、人工呼吸器装着者への対応力が求められます。「自分がどんな疾患に関わりたいか」を軸にステーションを選ぶと、ミスマッチを防げます。
また、利用者さんの疾患は一つとは限りません。脳血管疾患に糖尿病・高血圧が合併している、認知症に心疾患があるなど、複数の疾患を併せ持つ方が在宅では一般的です。だからこそ、病名を点で覚えるのではなく、その方の全身状態と生活を線でとらえる視点が訪問看護では何より大切になります。
よくある質問(FAQ)
訪問看護でいちばん多い疾患は何ですか?
医療保険と介護保険で多い疾患が違うのはなぜ?
未経験でも訪問看護で働けますか?
小児の利用者もいますか?
- 訪問看護で多い疾患は保険の種類で変わる
- 医療保険は神経系(パーキンソン病)・精神疾患(統合失調症)・がん末期が中心
- 介護保険は脳血管疾患が圧倒的に多く、認知症・筋骨格系が続く
- 総合ランキングでは脳血管疾患・認知症・がんが上位
- 頻度の高い疾患+医療処置+急変対応を軸に学ぶと現場で役立つ
出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」ほか。割合は調査年度により変動するため、最新値は厚生労働省の公表データをご確認ください。


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