「夜、親が一人になるのが心配」「トイレやおむつ交換が夜中に必要だけど、家族が対応しきれない」——在宅介護でとくに負担が大きいのが夜間の時間帯です。そんな夜の不安を支えるのが夜間対応型訪問介護という介護保険サービスです。

この記事では、夜間対応型訪問介護とは何かを、サービス内容・対象者・料金(令和6年度の単位数)・似たサービスとの違いまで、ケアマネジャーや訪問介護の実務目線でわかりやすく解説します。夜間の在宅生活を安心して続けるための判断材料にしてください。

この記事でわかること
  • 夜間対応型訪問介護の仕組みと3つのサービス内容
  • 利用できる人・できない人(対象要件)
  • 料金・自己負担の目安(令和6年度の最新単位数)
  • 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」との違い

夜間対応型訪問介護とは?18時〜翌8時を支える地域密着サービス

夜間対応型訪問介護とは、18時から翌朝8時までの夜間帯に特化した訪問介護サービスです。ホームヘルパーが定期的に自宅を巡回したり、緊急時にボタン一つで駆けつけたりして、夜間の在宅生活を支えます。

このサービスは地域密着型サービスに位置づけられており、原則として事業所と同じ市区町村に住んでいる方が利用対象です。市区町村が指定・管轄しているため、住み慣れた地域で切れ目なくケアを受けられるのが特徴です。

ちびウルフちびウルフ

ふつうの訪問介護(ホームヘルプ)とは何が違うの?

リハウルフリハウルフ

いちばんの違いは「夜間帯に特化」していて、緊急時にいつでも呼べる仕組みがあることだよ。通常の訪問介護は決められた時間に来るのが基本だけど、夜間対応型は”定期巡回+いざというときの駆けつけ”がセットになっているんだ。

3つのサービス内容(オペレーション・定期巡回・随時訪問)

夜間対応型訪問介護は、次の3つのサービスを組み合わせて夜間を支えます。

サービス内容
オペレーションセンターサービス利用者からの通報を受け、状況に応じて訪問の要否を判断・手配する司令塔。ケアコール端末を貸与
定期巡回サービスケアプランで決めた時間・回数で、ヘルパーが定期的に訪問。安否確認・排泄介助・体位変換など
随時訪問サービス体調不良・転倒など緊急時に、通報を受けてヘルパーが駆けつける

利用者にはケアコール端末(緊急ボタン)が貸与され、体調が悪くなったときやトイレの介助が必要なときにボタンを押すと、オペレーションセンターにつながります。センターは内容を判断し、必要ならヘルパーを手配します。1回あたりの訪問時間は30分程度が目安です。

ポイント「毎晩決まった時間に来てほしい(定期巡回)」と「困ったときだけ呼びたい(随時訪問)」の両方に対応できるのが、このサービスの強みです。一人暮らしや夜間に不安がある方の在宅継続を後押しします。

利用できる人・できない人(対象要件)

夜間対応型訪問介護の対象は、次の条件を満たす方です。

  1. 要介護1〜5の認定を受けている(要支援1・2の方は対象外
  2. 事業所と同じ市区町村に住んでいる(地域密着型サービスのため)
  3. 夜間帯に定期巡回や緊急対応のニーズがある
ちびウルフちびウルフ

要支援の人は使えないんだね。ほかに気をつけることは?

リハウルフリハウルフ

そうだね。それと、この事業所は数がまだ少なくて、住んでいる市区町村に事業所がないと使えないことがあるんだ。利用したいときは、まず担当ケアマネや地域包括支援センターに、近くに事業所があるか確認してもらうといいよ。

注意夜間対応型訪問介護は全国どこでも整備されているわけではありません。地域によっては事業所自体がない場合があるため、利用の前に必ず提供エリアを確認しましょう。

料金・自己負担の目安(令和6年度の単位数)

料金は、オペレーションセンターを設置しているかどうかで体系が変わります。令和6年度介護報酬改定後の単位数は次のとおりです。

オペレーションセンターを設置している場合(夜間対応型訪問介護費Ⅰ)

区分単位数
基本夜間対応型訪問介護費(月額)989単位/月
定期巡回サービス費372単位/回
随時訪問サービス費(Ⅰ・ヘルパー1人)567単位/回
随時訪問サービス費(Ⅱ・ヘルパー2人)764単位/回

オペレーションセンターを設置しない場合(夜間対応型訪問介護費Ⅱ)

小規模な事業所などでオペレーションセンターを置かない場合は、2,702単位/月の定額制となります。

ポイント介護保険では1単位あたりおおむね10円(地域区分により11円台までの幅あり)で計算します。たとえばオペレーションセンター設置ありで、基本料989単位+定期巡回を月30回(372単位×30)利用した場合、合計約12,149単位=約12万円分となり、1割負担なら月約1.2万円が目安です(別途、加算や地域単価で変動)。
注意単位数や加算は改定されます。実際の自己負担額は、利用回数・負担割合(1〜3割)・地域単価・各種加算によって変わるため、正確な金額はケアマネや事業所に見積もりを依頼してください。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」との違い

夜間対応型訪問介護と混同されやすいのが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。名前も仕組みも似ていますが、次の違いがあります。

項目夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護
時間帯夜間帯(18時〜翌8時)が中心24時間・365日対応
看護サービス介護(ヘルパー)が中心介護+看護(訪問看護)を一体的に提供
対象要介護1〜5要介護1〜5

「夜間だけ手厚くしたい」なら夜間対応型、「日中も含めて24時間、医療的なケアも含めて支えたい」なら定期巡回・随時対応型、というのが大まかな使い分けです。なお令和6年度改定では、両者の一体的な提供を進める観点から報酬区分の見直しも行われています。

夜間対応型訪問介護のメリット・デメリット

導入を検討する前に、良い面と注意点の両方を押さえておきましょう。

メリットデメリット・注意点
夜間の緊急時に、通報して駆けつけを頼める安心感がある提供する事業所が少なく、地域によっては利用できない
定期巡回で安否確認や排泄介助が受けられ、家族の夜間負担が減る要支援1・2の方は利用できない
一人暮らしでも在宅生活を続けやすくなる同じ市区町村に事業所がないと利用できない

とくに「介護する家族が夜も休めない」「一人暮らしで夜間の急変が心配」というケースでは、家族の睡眠確保や介護離職の防止という点で大きな意味を持ちます。一方で、まだ整備が十分でない地域も多いため、利用したいときはまず提供エリアの確認から始めましょう。

利用開始までの流れ

  1. 担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談する
  2. 同じ市区町村に夜間対応型訪問介護の事業所があるか確認する
  3. ケアプランに位置づけ、事業所と契約してケアコール端末を設置する
  4. 定期巡回と随時訪問の内容を決めて利用を開始する

ケアマネ・訪問介護の視点:ケアプランへの組み込み方

ケアマネジャーや訪問介護のサービス提供責任者が、夜間対応型訪問介護をケアプランに組み込むときに意識したいポイントを整理します。

  1. 本人・家族の「夜間の困りごと」を具体化する(排泄・不穏・転倒リスク・薬など)
  2. 定期巡回の時間・回数と、随時訪問の想定ケースを明確に設計する
  3. 同一市区町村に事業所があるか、提供体制(人員・オペレーション)を確認する
  4. 日中の訪問介護やデイサービスと役割分担し、24時間の支援を切れ目なくつなぐ
ポイント夜間対応型は「家族の夜間の負担軽減」と「一人暮らし高齢者の安心」に直結します。介護離職や共倒れを防ぐ観点からも、夜間の不安が強いケースでは早めに検討する価値があります。

よくある質問(FAQ)

夜間対応型訪問介護は何時から何時まで利用できますか?
原則として18時から翌朝8時までの夜間帯が対象です。具体的な提供時間は事業所ごとに設定されているため、利用前に確認しましょう。日中も含めた対応が必要な場合は、通常の訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護と組み合わせます。
緊急のときは何度呼んでも料金は同じですか?
オペレーションセンター設置ありの場合、随時訪問は1回ごとに単位数が加算されます。設置なしの定額制(月2,702単位)では回数にかかわらず月額が一定です。事業所の体系によって異なるため、契約時に確認してください。
一人暮らしでも利用できますか?
はい。むしろ一人暮らしで夜間に不安のある方に向いたサービスです。ケアコール端末で緊急時に通報でき、定期巡回で安否確認も受けられるため、在宅生活の継続を後押しします。
デイサービスや訪問看護と併用できますか?
併用可能です。日中はデイサービスや訪問看護、夜間は夜間対応型訪問介護、という組み合わせで24時間の支援を組み立てられます。ケアプラン全体のバランスを担当ケアマネと相談しましょう。
まとめ
  • 夜間対応型訪問介護は、18時〜翌8時の夜間帯を支える地域密着型サービス
  • 「オペレーションセンター」「定期巡回」「随時訪問」の3つで、定期ケアと緊急対応をカバー
  • 対象は要介護1〜5で、原則として事業所と同じ市区町村の住民が利用できる(要支援は対象外)
  • 料金はオペレーションセンター設置ありなら基本989単位/月+利用回数分、設置なしなら2,702単位/月の定額(令和6年度)
  • 24時間・医療も必要なら「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」との使い分けを検討する

参考:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」資料、令和6年度介護報酬改定関連資料。単位数・加算は改定される場合があるため、最新情報は厚生労働省・各市区町村・事業所でご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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