介護の医療費控除|対象になるサービス一覧

介護サービスの自己負担は、サービスの種類によって医療費控除の対象になったりならなかったりします。同じデイサービスでも、対象になる人とならない人がいます。
分かれ目は「医療系サービスを併せて使っているかどうか」です。この記事では、国税庁の原文を確認して、対象になるサービス・ならないサービスを名前ごとに整理し、おむつ代の証明書を毎年もらわずに済む手続きまでまとめました。
この記事でわかること
- そのまま対象になる医療系サービスの一覧
- 医療系と併せて使えば対象になる福祉系サービスの一覧
- どうやっても対象にならないサービス
- デイサービスが対象になる人とならない人の違い
- 施設サービスの扱い(特養だけ2分の1になる理由)
- おむつ代を医療費控除にする要件
- 2年目以降は「おむつ使用証明書」が要らなくなる手続き
- 領収書のどこを見れば判断できるか
介護の医療費控除で対象になるサービス
国税庁は、居宅サービスを「医療系サービス」と「福祉系サービス」に分けて扱っています。まず、単独で使っても対象になる医療系サービスがこちらです。
- 訪問看護/介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション/介護予防訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導(医師等による管理・指導)/介護予防居宅療養管理指導
- 通所リハビリテーション(医療機関でのデイサービス)/介護予防通所リハビリテーション
- 短期入所療養介護(ショートステイ)/介護予防短期入所療養介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限る)
- 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
訪問リハビリと通所リハビリが入っている点に注目してください。リハビリを使っている家庭は、それだけで医療費控除の入口に立っています。
一方でデイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)は、名前が似ていて扱いがまったく違います。デイケアは医療系なのでそのまま対象、デイサービスは次の条件つきです。
医療系と併せて使うと対象になるサービス
国税庁は、福祉系サービスについて「医療系サービスと併せて利用する場合」に対象になるとしています。該当するのは次のサービスです。
- 訪問介護(ホームヘルプサービス)※生活援助中心型を除く
- 夜間対応型訪問介護
- 訪問入浴介護/介護予防訪問入浴介護
- 通所介護(デイサービス)/地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護/介護予防認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護/介護予防小規模多機能型居宅介護
- 短期入所生活介護(ショートステイ)/介護予防短期入所生活介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 地域支援事業の訪問型サービス・通所型サービス
ここが分かれ目
デイサービスだけを使っている人は対象外。デイサービスに加えて訪問看護や訪問リハビリを使っている人は対象になりえます。同じサービスでも、組み合わせで結論が変わります。
訪問介護のうち生活援助中心型は除かれます。掃除・洗濯・買い物が中心の訪問介護は、医療系と併せていても対象になりません。身体介護中心型かどうかで分かれます。
対象にならないサービス
次のサービスは、医療系と併せて使っていても医療費控除の対象になりません。
- 訪問介護(生活援助中心型)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)/地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 福祉用具貸与
- 地域支援事業の生活支援サービス
見落としが多いのが福祉用具貸与です。介護ベッドや車いすのレンタル料は、医療費控除の対象になりません。領収書があるので合算してしまいがちですが、除いて計算してください。
施設サービスは特養だけ2分の1になる
施設に入っている場合は、国税庁が別の区分を示しています。施設の種類で割合が違うのが特徴です。
| 施設の種類 | 医療費控除の対象 |
|---|---|
| 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 指定地域密着型介護老人福祉施設 | 施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額の2分の1 |
| 介護老人保健施設 指定介護療養型医療施設 介護医療院 | 施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額(全額) |
老健や介護医療院は医療提供施設なので全額、特養は生活の場という位置づけなので2分の1、という整理です。
どちらの施設でも、日常生活費(理美容代など)と特別なサービス費用は対象外です。個室にした場合の上乗せ分などが該当します。
おむつ代も医療費控除の対象になる
おむつ代は、次の条件を満たせば対象になります。
- 傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであること
- 医師の治療を受けていること
- 医師が発行する「おむつ使用証明書」を確定申告書に添付または提示すること
ここまでは知られていますが、毎年証明書を取りに行くのは負担です。2年目以降は、証明書がなくても認められる手続きがあります。
2年目以降はおむつ使用証明書が要らない
国税庁の法令解釈通達(課個2-11、平成14年6月25日)が、簡易な証明手続を認めています。対象は「おむつ代について医療費控除を受けるのが2年目以降である者」です。
通達の原文(手続)
「ア 市町村が主治医意見書の内容を確認した書類、又は主治医意見書の写し」「イ おむつ代の領収書」を確定申告書に添付するか、確定申告の際に提示すること。
アについては、その年に作成された主治医意見書であり、「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)」の記載が「B1、B2、C1、又はC2」(寝たきり)、かつ、「尿失禁の発生可能性」の記載が「あり」の場合に、おむつ使用証明書の代わりとして認められる。
つまり、要介護認定のために作成された主治医意見書をそのまま使えます。市町村に申し出れば、意見書の作成日・寝たきり度・尿失禁の発生可能性を記載した確認書類を出してもらえます。
この手続きを知らずに、毎年主治医に証明書を書いてもらい(文書料がかかることもあります)続けている家庭は少なくありません。2年目以降は市町村の窓口に確認してください。
ちびウルフ主治医意見書って、家族がもらえるものなの?
リハウルフ本人の申出で市町村から開示してもらえます。通達も「本人の申出に基づき」と書いています。窓口で「医療費控除のおむつ代で使いたい」と伝えるのが早いです。
交通費と申告の実務
通院や施設への交通費も、条件つきで対象になります。国税庁は居宅サービスについて、その対価が医療費控除の対象となった場合に限り、通常必要な交通費が対象としています。自家用車のガソリン代・駐車場代は対象になりません。
申告で迷ったときは、まず領収書を見てください。
領収書を見れば分かる
国税庁は、居宅サービス事業者が発行する領収書に医療費控除の対象となる金額を記載することとしています。自分で判定する前に、領収書の記載を確認してください。記載がなければ事業所に問い合わせます。
なお、高額介護サービス費として払い戻しを受けた分は、支払った金額から差し引いて計算するのが原則です(補填される金額の考え方)。払い戻し額が確定するのは後になるため、申告時期との前後に注意してください。
介護保険料は医療費控除ではない
混同されやすいのですが、介護保険料は医療費控除の対象ではありません。介護保険料は社会保険料控除の対象です。別の控除欄に書きます。
年金から天引きされている介護保険料は、その年金を受け取っている本人の社会保険料控除になります。家族が代わりに控除することはできません。一方、口座振替で家族が支払っている場合は、支払った人の社会保険料控除になります。
親の介護保険料を子が負担しているなら、口座振替にしておくだけで扱いが変わる、ということです。これは介護が始まった時点で決めておく価値があります。
申告の手順と5年さかのぼれること
手続きは確定申告です。会社員でも年末調整では処理できないため、自分で申告します。
- 1年分の領収書を集め、医療費控除の対象額を確認する(事業所の領収書に記載があります)
- 医療費控除の明細書を作成する(健康保険の医療費のお知らせがあれば添付でも可)
- おむつ代がある場合は、おむつ使用証明書または主治医意見書の写し等を用意する
- 確定申告書を作成し、提出する
領収書そのものの提出は不要になりましたが、5年間は保存が必要です。求められたら提示します。
そして重要なのが、申告を忘れていても5年さかのぼって還付を受けられることです。医療費控除だけの申告(還付申告)は、その年の翌年1月1日から5年以内であれば提出できます。介護が始まった年の分を出し忘れている家庭は、確認する価値があります。
誰の医療費としてまとめるか
医療費控除は、生計を一にする親族の医療費を合算できます。同居していなくても、仕送りをしているなど生計が一であれば対象になります。
合算するなら、所得が高い人にまとめたほうが還付は大きくなります。ただし所得200万円未満の方は「所得の5%」が足切り額になるため、所得が低い側にまとめたほうが有利になるケースもあります。判断に迷う金額なら税務署に確認してください。
よくある質問
デイサービスは医療費控除の対象ですか?
デイサービス(通所介護)単独では対象外です。訪問看護や訪問リハビリなどの医療系サービスと併せて利用している場合に対象になります。デイケア(通所リハビリテーション)は単独でも対象です。
訪問介護は対象になりますか?
生活援助中心型は対象外です。身体介護中心型で、かつ医療系サービスと併せて利用している場合に対象になります。
福祉用具のレンタル代は対象ですか?
対象になりません。福祉用具貸与は国税庁が対象外として明示しています。介護ベッドや車いすのレンタル料は除いて計算してください。
特養の費用はいくら控除できますか?
施設サービスの対価(介護費・食費・居住費)に係る自己負担額の2分の1です。老健・介護医療院は全額が対象になります。日常生活費と特別なサービス費用はどちらも対象外です。
グループホームの費用は対象ですか?
対象になりません。認知症対応型共同生活介護は国税庁が対象外として挙げています。有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護も同様です。
おむつ代を控除するには何が必要ですか?
おおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けていることに加え、医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。2年目以降は主治医意見書の写し等で代えられます。
毎年おむつ使用証明書をもらう必要がありますか?
2年目以降は不要です。市町村が主治医意見書の内容を確認した書類または意見書の写しで代えられます。ただし寝たきり度がB1・B2・C1・C2で、尿失禁の発生可能性が「あり」と記載されていることが条件です。
交通費は対象になりますか?
居宅サービスの対価が医療費控除の対象となった場合に限り、通常必要な交通費が対象になります。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
どのサービスが対象か自分で判断できますか?
領収書を確認してください。居宅サービス事業者の領収書には、医療費控除の対象となる金額を記載することとされています。記載がなければ事業所に問い合わせるのが確実です。
別居の親の介護費用も合算できますか?
生計を一にしていれば合算できます。同居は要件ではなく、仕送りなどで生計が一であれば対象です。
まとめ
- 介護サービスは医療系と福祉系で医療費控除の扱いが分かれる
- 訪問看護・訪問リハビリ・通所リハビリ・居宅療養管理指導などは単独で対象
- デイサービスや訪問介護は、医療系と併せて使う場合に対象
- 訪問介護の生活援助中心型は対象外
- グループホーム・有料老人ホーム・福祉用具貸与は対象外
- 特養は自己負担額の2分の1、老健・介護医療院は全額が対象
- 日常生活費と特別なサービス費用はどの施設でも対象外
- おむつ代はおおむね6か月以上の寝たきりと医師の証明が要件
- 2年目以降はおむつ使用証明書に代えて主治医意見書の写し等が使える
- 寝たきり度B1・B2・C1・C2かつ尿失禁の発生可能性ありが条件
- 市町村に申し出れば内容を確認した書類を出してもらえる
- 交通費は居宅サービスが対象になった場合に限り通常必要な分が対象
- 自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外
- 領収書に医療費控除の対象額が記載される
- 生計を一にしていれば別居の親の分も合算できる
- 介護保険料は医療費控除ではなく社会保険料控除
- 申告を忘れていても5年さかのぼって還付申告ができる
参考にした情報
- 国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
- 国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」
- 国税庁「おむつに係る費用の医療費控除の取扱い(『おむつ使用証明書』に代えた簡易な証明手続等)について」(課個2-11)
- 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
※本記事の対象・対象外のサービス区分、施設サービスの割合、おむつ代の証明手続は、国税庁タックスアンサーおよび法令解釈通達にもとづいて整理したものです。高額介護サービス費など払い戻しを受けた金額の取扱いは、補填される金額の考え方にもとづく一般的な整理であり、個別の事情により判断が異なる場合があります。医療費控除の適用可否や金額の算定は、個々の利用状況・所得状況によって変わります。実際の申告にあたっては、領収書の記載を確認のうえ、所轄の税務署にご確認ください。税制に関する記述は2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改正により取扱いが変わる可能性があります。





