他職種連携と多職種連携の違いとは?意味と使い分けを解説

「多職種とは?」「他職種とは?」――医療・介護の現場で毎日のように飛び交う言葉なのに、いざ違いを説明しようとすると言葉に詰まってしまう。そんな経験はありませんか。とくに「他職種連携」と「多職種連携」は読み方も似ているため、混同したまま使っている人が少なくありません。
この記事では、訪問リハビリ・訪問看護をはじめ介護保険の現場で働くPT・OT・ST・看護師・ケアマネジャー・介護職の方に向けて、「多職種」と「他職種」の意味の違いから、現場での正しい使い分け、さらに「多職種協働」「チーム医療」との違いまで、図解とともに分かりやすく整理します。読み終えるころには、利用者さんを支えるチームの中で自信を持って言葉を使えるようになります。
- 「多職種」と「他職種」の意味の違い
- 「多職種連携」と「他職種連携」の違いと使い分け
- よく似た「多職種協働」「チーム医療」との違い
- 訪問・在宅の現場での具体的な使い方
- 多職種連携のメリットと、現場で起こりやすい課題
ちびウルフ「他職種連携」と「多職種連携」って、結局どこが違うの?同じ意味で使っちゃダメなの?
リハウルフいい質問だね。実はこの2つ、「視点」が違うだけで、どちらも利用者さんを支えるための大切な考え方なんだ。まずは結論から整理していこう。
多職種連携と他職種連携の違いを最初に整理
結論から言うと、違いは「どこに視点を置くか」にあります。「多職種連携」はチーム全体を上から眺める視点、「他職種連携」は自分を起点にして他の職種とつながる視点です。同じチームの動きを、別の角度から表現しているとイメージすると分かりやすいです。

| 項目 | 多職種連携 | 他職種連携 |
|---|---|---|
| 視点の起点 | チーム全体(俯瞰) | 自分の職種(主観) |
| 意味 | 多くの職種が連携している状態 | 自分とは違う職種と連携すること |
| 関わる職種の数 | 3つ以上が目安 | 自分+相手の職種(2つ以上) |
| 使われ方 | 「チーム全体で連携しよう」 | 「他の職種とも連携しよう」 |
| 表記の正しさ | 制度・文献で広く使われる正式表現 | 現場で使われるが、文書では「多職種連携」が一般的 |
多職種とは?多職種連携とは?
多職種とは、多くの職種=さまざまな専門職の集合体のことを指します。医療・介護の現場には、次のような職種が関わっています。

たとえば「医師・薬剤師・看護師」「ケアマネジャー・訪問介護士・訪問看護師・医師」「管理栄養士・診療放射線技師・理学療法士・作業療法士」といった職種の集まり全体を多職種と呼びます。一つひとつの職種ではなく、複数の職種をまとめて指す言葉だと覚えておきましょう。
多職種連携とは?
その多職種が、利用者さんという共通の目標に向かって協力し合うことが「多職種連携」です。ひとことで言えば「3つ以上の職種が、情報や目的を共有しながら連携している状態」と表現できます。

多職種連携では、それぞれの専門職が自分の役割を理解しつつ、互いの専門性を尊重します。たとえば訪問の場面では、医師が医学的管理を、看護師が健康状態の観察を、リハビリ職が生活動作の改善を、ケアマネジャーが全体の調整を担い、チームとして利用者さんの在宅生活を支えます。
ちびウルフ「3つ以上」って決まりがあるの?2職種だと多職種連携って言わないの?
リハウルフ厳密な人数のルールがあるわけじゃないんだ。ただ「多(おおい)」という字の通り、複数=3つ以上の職種が関わるイメージで使うと自然だよ。2職種だけなら、次に説明する「他職種連携」の方がしっくりくることが多いね。
他職種とは?他職種連携とは?
他職種とは、自分の職種とは違う「他の職種」のことを指します。ここでのポイントは、「自分」を基準にしているということです。

| 自分の職種 | その人から見た「他職種」の例 |
|---|---|
| 薬剤師 | 医師、看護師、管理栄養士 など |
| 看護師 | 理学療法士、ケアマネジャー、介護福祉士 など |
| 言語聴覚士 | 介護福祉士、医師、歯科衛生士 など |
| ケアマネジャー | 生活相談員、訪問看護師、福祉用具専門相談員 など |
同じ「医師」でも、薬剤師から見れば他職種、医師自身から見れば自分の職種です。このように、誰を起点にするかで「他職種」が指す相手は変わります。
他職種連携とは?
その他職種と協力し合うことが「他職種連携」です。自分の専門だけでは支えきれない部分を、他の専門職に補ってもらうイメージです。

たとえば「理学療法士が看護師と他職種連携している」「ケアマネジャーが訪問看護師と他職種連携している」といった使い方をします。自分(主語)を中心に、相手の職種とつながっている状態を表すのが他職種連携です。
「多職種協働」「チーム医療」との違いも整理
多職種連携と一緒に使われやすい言葉に「多職種協働」と「チーム医療」があります。意味が近いため混乱しがちですが、ニュアンスの違いを押さえておくと現場での会話がスムーズになります。
| 言葉 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 多職種連携 | 多くの職種が情報や目的を共有しながら「つながる・連絡を取り合う」こと。関係づくり全般を指す広い言葉 |
| 多職種協働 | 多くの職種が同じ目標に向けて「役割分担し、ともに働く」こと。連携より一歩踏み込んだ協力を強調 |
| チーム医療 | 医療のテーマごとに専門職がチームを組み治療やケアにあたること。多職種連携の代表的な形の一つ |
ちびウルフ言葉がいっぱいで混乱してきた…。全部きっちり使い分けないとダメなの?
リハウルフそこまで神経質にならなくて大丈夫。会話では多少ゆるくても伝わるよ。ただ、計画書や記録に書くときは「多職種連携」を選んでおけば間違いない、と覚えておけば十分なんだ。
訪問・在宅の現場での使い方と実践
言葉の意味が整理できたら、次は現場でどう使うかです。訪問リハビリや訪問看護では、一人の利用者さんを多くの職種で支えるため、両方の言葉が自然に登場します。

たとえば「他職種と多職種連携をして、利用者さんの生活を支える」という言い方ができます。これは「自分以外の職種(他職種)と協力しながら、チーム全体(多職種)でつながって支える」という意味で、2つの視点が自然に組み合わさった表現です。
- 利用者さんの目標(在宅生活の継続など)をチームで共有する
- 各職種が自分の専門領域でできることを伝え合う
- 担当者会議や記録で、観察した情報をこまめに共有する
- 変化があれば早めに連絡し、ケアプランや方針を見直す
多職種連携のメリットと現場で起こりやすい課題
多職種連携が重視されるのは、利用者さんにも専門職にも大きなメリットがあるからです。一方で、現場ならではの課題も存在します。
多職種連携のメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 質の高いケア | 複数の専門的な視点が入ることで、利用者さんの状態をより正確に把握できる |
| 負担の軽減 | 役割を分担することで、一つの職種に負担が集中しにくくなる |
| 早期発見・予防 | 異変や生活上のリスクに気づく目が増え、重症化を防ぎやすい |
| 本人・家族の安心 | 住み慣れた地域で、切れ目なく支えられる体制をつくれる |
現場で起こりやすい課題
厚生労働省が進める地域包括ケアシステムでも多職種連携は重要なテーマですが、現場では次のような壁にぶつかりがちです。
- 人材不足で、連携や情報共有に時間を割きにくい
- 職種ごとに専門用語や視点が異なり、認識のずれが生じる
- 事業所をまたぐと、連絡手段や記録の様式が統一されていない
これらは「相手の専門性を尊重し、分かりやすい言葉で伝え合う」ことを意識するだけでも、ぐっと改善します。言葉の意味を正しく理解しておくことも、認識のずれを減らす第一歩です。
よくある質問(FAQ)
「多職種連携」と「他職種連携」、正しいのはどちら?
多職種連携は何職種から?
多職種協働と多職種連携は同じ意味?
チーム医療と多職種連携の違いは?
訪問リハビリでも多職種連携は必要?
リハウルフ言葉の違いが分かると、チームの中で自信を持って動けるようになるよ。最後にポイントをおさらいしておこう。
- 多職種=多くの職種の集合体、他職種=自分とは違う職種
- 多職種連携は「チーム全体」、他職種連携は「自分起点」で連携をとらえる視点の違い
- 公的な文書では「多職種連携」を使うのが一般的
- 多職種協働は「一緒に働く」、チーム医療は「多職種連携の一つの形」
- 言葉を正しく理解することが、認識のずれを防ぎ良いチームづくりにつながる




