訪問看護の地域加算は3つあります。特別地域訪問看護加算15%・中山間地域等における小規模事業所加算10%・中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算5%です。

3つとも「へき地の訪問看護」を評価する加算ですが、見ている対象が違います。15%と10%は事業所がどこにあるか、5%は利用者がどこに住んでいるかです。さらに訪問看護には、他サービスにない固有の注記が2つあります。「延訪問回数100回以下」という小規模の線引きと、「所定単位数に緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算を含まない」という計算基礎の除外です。この記事では、告示19号 訪問看護費の注9・注10・注11告示120号告示83号告示96号 第4号老企第36号の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 3つの地域加算の加算率(15%・10%・5%)
  • 15%と10%は事業所の所在地、5%は利用者の居住地で判定すること
  • 訪問看護の「小規模」は延訪問回数100回以下であること
  • 介護予防訪問看護の小規模は5回以下という別基準であること
  • 15%と10%は地域が重ならず、同時には算定されない構造
  • 3つとも計算の基礎から緊急時・特別管理・ターミナルケア加算を除くこと
  • 5%加算を算定する利用者から交通費を受け取れないこと
  • サテライト事業所だけが対象地域にある場合の扱い
ちびウルフちびウルフ

15%と10%は、両方取れることもあるんですか?

リハウルフリハウルフ

構造上ありません。中山間地域等の地域(告示83号第1号)は、特別地域(告示120号)を除いた地域と定義されています。どちらか一方の地域にしかならないので、15%か10%のどちらかです。ただし5%は別枠なので、10%+5%や15%+5%はあり得ます。

訪問看護の地域加算3つとは?

訪問看護の地域加算は、人口が少なく移動距離が長い地域で、訪問看護の提供体制を維持するための加算です。告示19号 訪問看護費の注9・注10・注11に規定されています。

離島や山間部では、1件の訪問に片道1時間かかることも珍しくありません。1日に回れる件数が都市部より少なくなり、同じ人員でも収入が上がりにくい構造があります。この不利を報酬で埋めるのが地域加算の役割です。

3つの加算は目的が近いため混同されやすいのですが、判定の軸が違います。事業所の所在地で決まるもの(注9・注10)と、利用者の居住地で決まるもの(注11)に分かれます。注11だけは、事業所がどこにあっても算定の余地があります。

令和6年度介護報酬改定では、3つの加算の加算率・要件に変更はありませんでした。

地域加算3つの単位数

加算加算率頻度判定の軸届出
特別地域訪問看護加算(注9)所定単位数×15/1001回(ハは1月)事業所の所在地必要
中山間地域等における小規模事業所加算(注10)所定単位数×10/1001回(ハは1月)事業所の所在地+規模必要
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(注11)所定単位数×5/1001回(ハは1月)利用者の居住地不要

実際の金額の目安

訪問区分(ステーション)基本+15%+10%+5%
20分未満314単位47単位31単位16単位
30分未満471単位71単位47単位24単位
30分以上1時間未満823単位123単位82単位41単位
1時間以上1時間30分未満1,128単位169単位113単位56単位
PT・OT・STによる訪問294単位44単位29単位15単位

※加算額は概算です(端数処理は請求システムの取扱いによります)。

月20回訪問する利用者で30分以上1時間未満なら、15%加算で月2,460単位ほどになります。地域加算は「率」なので、訪問回数が多い利用者ほど効いてきます。

地域加算3つの算定要件

①特別地域訪問看護加算(15%)

9 別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定訪問看護事業所(その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く。)又はその一部として使用される事務所の看護師等が指定訪問看護を行った場合は、特別地域訪問看護加算として、イ及びロについては1回につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を、ハについては1月につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。

「別に厚生労働大臣が定める地域」は告示120号です。

地域
離島振興法により指定された離島振興対策実施地域
奄美群島
山村振興法により指定された振興山村
小笠原諸島
沖縄振興特別措置法に規定する離島
豪雪地帯・特別豪雪地帯、辺地、過疎地域その他の地域のうち、人口密度が希薄・交通が不便等の理由でサービス確保が著しく困難であると認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの

第六号だけは「厚生労働大臣が別に定めるもの」という限定が付いています。豪雪地帯や過疎地域なら自動的に特別地域になるわけではありません。ここは必ず個別の告示・指定権者の一覧で確認してください。

②中山間地域等における小規模事業所加算(10%)

2つの条件があります。

条件内容根拠
地域厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域告示83号 第1号
規模1月当たり延訪問回数が100回以下の指定訪問看護事業所告示96号 第4号

四 指定訪問看護における指定居宅サービス介護給付費単位数表の訪問看護費の注10に係る施設基準
一月当たり延訪問回数が百回以下の指定訪問看護事業所であること。

この「100回以下」が、訪問看護に固有の線引きです。

サービス小規模の基準(1月当たり延訪問回数)
訪問介護200回以下(+当分の間の緩和措置あり)
訪問看護100回以下
介護予防訪問看護5回以下

介護予防訪問看護の「5回以下」は極端に厳しい基準です。予防だけを切り出して月5回以下という事業所はほとんどないため、実務上は要介護の訪問看護費の側で判定することになります。

中山間地域等の地域(告示83号 第1号)は、豪雪地帯・特別豪雪地帯、辺地、半島振興対策実施地域、特定農山村地域、過疎地域のうち、告示120号の地域(=特別地域)を除いた地域です。

③中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(5%)

11 指定訪問看護事業所の看護師等が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えて、指定訪問看護を行った場合は、イ及びロについては1回につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を(略)加算する。

この加算の地域は告示83号 第2号で、離島振興対策実施地域・奄美群島・豪雪地帯・辺地・振興山村・小笠原諸島・半島振興対策実施地域・特定農山村地域・過疎地域・沖縄の離島と、第1号より広く取られています。特別地域を除く、という限定もありません。

5%だけは「通常の事業の実施地域を越えて」が必要

注11は、利用者の居住地が対象地域であることに加えて、運営規程に定めた通常の事業の実施地域の外へ訪問した場合という条件が付いています。実施地域の中に住んでいる利用者は、その地域が中山間地域等であっても算定できません。

地域加算の注意点

計算の基礎から3つの加算を除く(訪問看護固有)

老企第36号 第2の4(15)〜(17)は、3つの加算すべてについて同じ注記を置いています。

なお、当該加算は所定単位数の15%加算としているが、この場合の所定単位数には緊急時訪問看護加算、特別管理加算及びターミナルケア加算を含まないこと。

緊急時訪問看護加算600単位、特別管理加算500単位、ターミナルケア加算2,500単位には、15%も10%も5%も掛かりません。

これは訪問看護に特有の注記です。訪問介護の(17)〜(19)にはこの記載がありません。ターミナルケア加算2,500単位の15%=375単位を上乗せして請求していた、という誤りは起きやすいので注意してください。

サテライト事業所の扱い

注9・注10には「その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く」というかっこ書きがあります。老企第36号 第2の2(17)によれば、「その一部として使用される事務所」とは、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等(サテライト事業所)を指します。

所在パターン加算の対象
本体が対象地域、サテライトは対象地域外本体を本拠とする看護師等の訪問のみ対象
本体が対象地域外、サテライトが対象地域サテライトを本拠とする看護師等の訪問のみ対象

サテライトのみが対象地域にある場合は、そのサテライトを本拠とする看護師等を明確にしたうえで、提供した具体的なサービス内容の記録を別に行い、管理することが求められます。

5%加算を算定する利用者から交通費は取れない

老企第36号 第2の2(19)に明記があります。

注15の加算を算定する利用者については、指定居宅サービス基準第20条第3項に規定する交通費の支払いを受けることはできないこととする。

5%加算と実費の交通費は、二重取りできません。訪問看護でも同様の取扱いです。どちらが利用者負担として大きくなるかを比べて選ぶことになります。

延訪問回数の数え方

老企第36号 第2の2(18)によれば、延訪問回数は前年度(3月を除く)の1月当たりの平均延訪問回数を用います。前年度の実績が6月に満たない事業所(新規開設を含む)は、直近3月の1月当たり平均を用います。したがって新規開設事業所は4月目以降に届出が可能になります。

平均延訪問回数は毎月記録し、所定の回数(100回)を上回った場合は、直ちに届出を提出しなければなりません。

算定前に確認したいこと
  • 事業所の所在地が告示120号の地域か、告示83号第1号の地域か、指定権者の一覧で確認したか
  • 10%を算定するなら、前年度の1月当たり平均延訪問回数が100回以下か
  • 5%は「通常の事業の実施地域を越えて」いるか
  • 加算の計算基礎から緊急時・特別管理・ターミナルケア加算を除いているか
  • 5%を算定する利用者から交通費を徴収していないか
  • サテライトがある場合、どちらを本拠とする看護師等かを記録で区別しているか
  • 15%・10%は届出済みか(5%は届出不要)

担当したケースでも、「事業所は特別地域ではないが、利用者の住所が過疎地域で、実施地域の外」というパターンで5%だけを算定している事業所がありました。5%は届出も不要なので、見落とされやすい加算だと思います。

よくある質問

訪問看護の地域加算はいくつありますか?

3つです。特別地域訪問看護加算15%、中山間地域等における小規模事業所加算10%、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算5%です。

15%と10%は両方算定できますか?

できません。中山間地域等の地域(告示83号第1号)は特別地域(告示120号)を除いた地域と定義されているため、地域が重なりません。

10%と5%は同時に算定できますか?

10%は事業所の所在地、5%は利用者の居住地と判定軸が違うため、両方の要件を満たせば算定の余地があります。取扱いは指定権者にご確認ください。

訪問看護の「小規模」は何回以下ですか?

1月当たり延訪問回数100回以下です。訪問介護の200回以下より厳しい基準です。

介護予防訪問看護の小規模基準は?

1月当たり延訪問回数5回以下です(告示96号第70号)。訪問看護とは桁が違う基準です。

延訪問回数はいつの実績で見ますか?

前年度(3月を除く)の1月当たり平均延訪問回数です。実績が6月に満たない事業所は直近3月の平均を用います。

ターミナルケア加算にも15%が掛かりますか?

掛かりません。老企第36号により、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算は加算の計算基礎となる所定単位数から除かれます。

5%加算と交通費は両方もらえますか?

もらえません。5%加算を算定する利用者からは、通常の事業の実施地域を越える交通費の支払いを受けることができません。

5%は届出が必要ですか?

注11には届出に関する文言がありません。15%(注9)と10%(注10)は届出が必要です。

サテライトだけが離島にある場合は?

そのサテライトを本拠とする看護師等による訪問だけが加算の対象です。本体を本拠とする看護師等の訪問は対象になりません。

豪雪地帯なら必ず特別地域になりますか?

なりません。告示120号第六号は「厚生労働大臣が別に定めるもの」という限定が付いています。指定権者の一覧で確認してください。

定期巡回連携型(ハ)の場合は?

ハは月額包括のため、1月につき所定単位数の15%・10%・5%を加算します。

要支援の方でも算定できますか?

できます。介護予防訪問看護費の注8・注9・注10に同様の規定があります。ただし小規模事業所加算の規模基準は5回以下です。

まとめ
  • 訪問看護の地域加算は15%・10%・5%の3つ
  • 15%(特別地域)と10%(小規模事業所)は事業所の所在地で判定
  • 5%(中山間地域等居住者)は利用者の居住地で判定
  • 15%と10%は地域が重ならないため、同時には算定されない
  • 特別地域は告示120号、中山間地域等は告示83号
  • 訪問看護の小規模基準は延訪問回数100回以下(訪問介護は200回以下)
  • 介護予防訪問看護の小規模基準は5回以下
  • 延訪問回数は前年度(3月を除く)の1月当たり平均
  • 基準を上回ったら直ちに届出を出し直す
  • 加算の計算基礎から緊急時・特別管理・ターミナルケア加算を除く
  • これは訪問介護にはない訪問看護固有の注記
  • 5%は「通常の事業の実施地域を越えて」が条件
  • 5%を算定する利用者から交通費は徴収できない
  • 15%・10%は届出が必要、5%は届出の定めがない
  • サテライトは本拠がどちらかで加算の対象が分かれる
参考にした情報

※本記事の加算率・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに自事業所・利用者住所が対象地域に該当するかどうかは、市町村ごとに指定される地域の一覧によります。10%と5%を重ねて算定できるかどうか、端数処理の方法についても指定権者の取扱いによります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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