看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の褥瘡マネジメント加算は、(Ⅰ)3単位・(Ⅱ)13単位です。いずれも1月につき算定します。

この加算は、他の多くの加算と決定的に違う点を持っています。(Ⅱ)13単位の要件に「褥瘡が治癒したこと」「褥瘡の発生がないこと」という結果が入っていることです。体制を整えても、計画どおりに実施しても、結果が出なければ(Ⅰ)3単位のまま。介護報酬では珍しいアウトカム評価型の加算です。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のネと、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の2の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)3単位・(Ⅱ)13単位の違い
  • (Ⅱ)がアウトカム評価であること
  • (Ⅰ)の5要件と、3月に1回の評価・見直し
  • 褥瘡ケア計画を作成するメンバー
  • LIFEへの提出と活用が要件に入っていること
  • 在宅サービスでこの加算があるのは看多機だけであること
  • 特別管理加算・専門管理加算との関係
  • 単位数が小さくても算定する意味
ちびウルフちびウルフ

3単位って30円ですよね。ここまで手間をかけて30円というのは、さすがに割に合わない気がします。

リハウルフリハウルフ

単体では割に合いません。ただこの加算の要件を回すと、真皮を越える褥瘡が特別管理加算(Ⅱ)250単位の対象だと気づけます。褥瘡の評価を仕組みにすると、桁の違う加算の算定漏れが消える。3単位はその副産物だと考えるほうが実態に近いです。

看多機の褥瘡マネジメント加算とは?

看護小規模多機能型居宅介護の褥瘡マネジメント加算は、利用者ごとに褥瘡の有無と発生リスクを定期的に評価し、リスクのある方に褥瘡ケア計画を作成して継続的に管理した場合に算定する加算です。告示126号 複合型サービス費のネに規定されています。

褥瘡は、在宅療養が続くかどうかを左右する問題です。いったん深い褥瘡ができると、治癒までに数か月を要し、感染すれば入院に至ります。そして褥瘡の多くは、リスクの把握と体位変換・栄養・スキンケアの積み重ねで防げます。

この加算は、その「防ぐ側の努力」を評価するものです。在宅系サービスでこの加算が設けられているのは看多機だけで、施設系(特養・老健・地域密着型特養)と同じ枠組みが適用されています。看護職員が配置され、訪問も泊まりも行う看多機だからこそ置かれた加算といえます。

令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。

褥瘡マネジメント加算の単位数

ネ 褥瘡マネジメント加算
注 イについて、(略)届出を行った指定看護小規模多機能型居宅介護事業所において、継続的に利用者ごとの褥瘡管理をした場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1月につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1) 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) 3単位
(2) 褥瘡マネジメント加算(Ⅱ) 13単位

区分単位数評価しているもの
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)3単位評価・計画・実施・見直しのプロセス
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)13単位プロセス+結果(治癒・発生なし)

(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定はできません。結果が出れば(Ⅱ)13単位、出なければ(Ⅰ)3単位という関係です。

褥瘡マネジメント加算の算定要件

(Ⅰ)3単位の5要件

要件内容
(1) 評価利用者ごとに、利用開始時に褥瘡の有無を確認するとともに、褥瘡の発生と関連のあるリスクについて利用開始時に評価し、その後少なくとも3月に1回評価すること
(2) LIFEへの提出と活用(1)の確認・評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること
(3) 褥瘡ケア計画の作成褥瘡が認められた、または発生リスクがあるとされた利用者ごとに、医師・看護師・介護職員・管理栄養士・介護支援専門員その他の職種の者が共同して褥瘡ケア計画を作成していること
(4) 実施と記録褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、管理の内容や利用者の状態について定期的に記録していること
(5) 計画の見直し(1)の評価に基づき、少なくとも3月に1回、利用者ごとに褥瘡ケア計画を見直していること

(Ⅱ)13単位=(Ⅰ)+アウトカム

要件内容
(1)(Ⅰ)の(1)〜(5)すべてに適合すること
(2)次のいずれかに適合すること
a 利用開始時の確認で褥瘡が認められた利用者について、その褥瘡が治癒したこと
b 利用開始時の評価で褥瘡が発生するリスクがあるとされた利用者について、褥瘡の発生がないこと

aは「治した」、bは「発生させなかった」。いずれか一方で足ります。リスクがあると評価した方に褥瘡ができなければ(Ⅱ)に届くので、実務上はbのルートのほうが現実的です。

全登録者を評価する

(1)は「利用者ごとに」褥瘡の有無を確認し、リスクを評価するとしています。褥瘡がある方だけを対象にするのではありません。計画の作成((3))は褥瘡がある方・リスクがある方に絞られますが、評価自体は全員に行う構造です。

計画作成には管理栄養士が入る

(3)の職種列挙に管理栄養士が含まれています。褥瘡と低栄養は切り離せない関係にあるためです。看多機で管理栄養士を確保していない事業所は、ここで詰まります。

ただし栄養アセスメント加算・栄養改善加算と同じく、外部との連携で管理栄養士を確保している事業所なら、その方に計画作成へ参加してもらう形が考えられます。条文は雇用を求めていません。取扱いは市町村に確認してください。

特別管理加算・専門管理加算との関係

加算単位数褥瘡に関する対象
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ)3/13単位(月)褥瘡の有無・リスクを評価し管理する体制
特別管理加算(Ⅱ)250単位(月)真皮を越える褥瘡の状態にある方
専門管理加算 イ250単位(月1回)真皮を越える褥瘡(在宅療養者は真皮までの状態も可)で、専門研修修了看護師が管理

告示に併算定を制限する定めはありません。真皮を越える褥瘡のある方には、3つとも算定できる可能性があります。合計すると月513単位です。

褥瘡がある方について確認する加算
  • 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)3単位/(Ⅱ)13単位
  • 特別管理加算(Ⅱ)250単位(真皮を越える褥瘡)
  • 専門管理加算 イ 250単位(専門研修修了看護師が管理)
  • 栄養改善加算200単位(低栄養を伴う場合)

褥瘡マネジメント加算の評価を仕組みとして回すことの価値は、この一覧に気づけることにあります。3単位のために評価するのではなく、評価の結果として数百単位の算定漏れが消える、という順序です。

褥瘡マネジメント加算の注意点

評価の様式

告示は「褥瘡の発生と関連のあるリスクについて評価」とのみ定めており、使用する評価尺度を指定していません。実務ではブレーデンスケールやOHスケール、DESIGN-Rなどが用いられますが、告示からは確定できません。留意事項通知および市町村の取扱いを確認してください。

「3月に1回」は最低頻度

(1)と(5)はいずれも「少なくとも3月に1回」です。状態が変われば、その都度評価し計画を見直す必要があります。3月に1回だけ形式的に行う運用は、条文の趣旨から外れます。

(Ⅱ)の判定時期

「褥瘡が治癒した」「褥瘡の発生がない」をいつの時点で判定するのか、告示に明記はありません。評価のタイミング(3月に1回)と連動すると考えられますが、取扱いは市町村に確認してください。

短期利用居宅介護費には加算されない

ネの注は「イについて」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。

算定前に確認したいこと
  • 市町村長への届出を済ませているか
  • 全登録者について利用開始時に褥瘡の有無とリスクを評価しているか
  • 3月に1回の再評価を行っているか
  • LIFEへの提出と活用を行っているか
  • 褥瘡ケア計画に管理栄養士が関与しているか
  • 3月に1回の計画見直しを記録しているか
  • 特別管理加算(Ⅱ)・専門管理加算の対象者を取りこぼしていないか

よくある質問

看多機の褥瘡マネジメント加算はいくらですか?

(Ⅰ)が3単位、(Ⅱ)が13単位です。いずれも1月につき算定します。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?

(Ⅰ)は評価・計画・実施・見直しのプロセスを満たすことです。(Ⅱ)はこれに加えて、褥瘡が治癒したこと、または発生リスクがある方に褥瘡が発生していないことという結果が必要です。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?

できません。いずれかを算定している場合はその他を算定できません。

評価は全登録者に行いますか?

行います。褥瘡の有無の確認とリスク評価は利用者ごとに実施します。褥瘡ケア計画の作成は、褥瘡がある方・リスクがある方が対象です。

評価の頻度は?

利用開始時と、その後少なくとも3月に1回です。計画の見直しも少なくとも3月に1回行います。

どの評価尺度を使いますか?

告示に指定はありません。留意事項通知および市町村の取扱いを確認してください。

褥瘡ケア計画は誰が作成しますか?

医師・看護師・介護職員・管理栄養士・介護支援専門員その他の職種の者が共同して作成します。

管理栄養士がいないと算定できませんか?

条文は職種として管理栄養士を挙げています。外部との連携で確保している場合の取扱いは市町村に確認してください。

LIFEへの提出は必要ですか?

必要です。確認・評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、活用していることが要件です。

特別管理加算と併算定できますか?

告示に併算定を制限する定めはありません。真皮を越える褥瘡がある方は特別管理加算(Ⅱ)250単位の対象にもなります。

在宅サービスで他にこの加算はありますか?

看多機以外の在宅系サービスにはありません。地域密着型特養・特養・老健と同じ枠組みが適用されています。

短期利用の利用者にも算定できますか?

できません。ネの注は「イについて」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。

まとめ
  • 看多機の褥瘡マネジメント加算は(Ⅰ)3単位・(Ⅱ)13単位(1月につき)
  • 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
  • (Ⅱ)は結果を要件とするアウトカム評価型の加算
  • (Ⅱ)は「褥瘡が治癒した」か「リスクがある方に褥瘡が発生していない」のいずれか
  • 実務上は「発生させなかった」ルートのほうが現実的
  • (Ⅰ)の要件は評価・LIFEへの提出と活用・計画作成・実施と記録・見直しの5つ
  • 褥瘡の有無とリスクの評価は全登録者に行う
  • 評価も計画の見直しも少なくとも3月に1回
  • 褥瘡ケア計画には管理栄養士が職種として明記されている
  • 評価に用いる尺度は告示に指定がない
  • 在宅系サービスでこの加算があるのは看多機だけ
  • 特別管理加算(Ⅱ)250単位・専門管理加算イ250単位との併算定を制限する定めはない
  • 3単位のためではなく、桁の違う加算の算定漏れをなくす仕組みとして意味がある
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに褥瘡リスクの評価に用いる尺度、(Ⅱ)のアウトカムを判定する時期、管理栄養士を外部との連携で確保している場合の計画作成への関与、LIFEへの提出頻度については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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