看多機の基本報酬とは?

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の基本報酬は、1月あたり要介護1で12,447単位、要介護5で31,408単位です。訪問介護や通所介護のような回数払いではなく、要介護度だけで決まる月額の包括報酬です。
そして看多機の基本報酬を読むときに欠かせないのが、この単位数は「訪問看護を内包していること」を前提に積まれているという点です。小規模多機能型居宅介護と比べると要介護5で約4,200単位高く、その差の裏側には訪問看護体制減算という仕組みが用意されています。単位数表だけを見て「看多機は高い」と考えると足元をすくわれます。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表「複合型サービス費」の原文を確認して整理しました。
- 看多機の基本報酬(要介護1〜5・同一建物の有無別)の単位数
- 同一建物に居住する登録者はおおむね1割低い区分になること
- 短期利用居宅介護費は1日571〜839単位であること
- 小規模多機能型居宅介護との差が要介護度で広がる理由
- 基本報酬に上乗せ・下乗せされる減算が多いこと
- 登録中は算定できないサービスがあること(注12・注13)
- 1月包括のため、月途中の登録・入院で目減りしない一方のリスク
- 基本報酬から先に確認すべき3つの減算
ちびウルフ要介護5で31,408単位ってすごい額ですよね。使っても使わなくても、これが毎月入るんですか?
リハウルフ包括報酬なので、原則はそうです。ただし看多機には「使っていない」「看護をしていない」状態を狙い撃ちする減算が複数あります。過少サービス減算で70%、訪問看護体制減算で要介護5なら2,914単位。満額が入る前提で収支を組むと、実績が伴わなかった月に一気に崩れます。
看多機の基本報酬とは?
看護小規模多機能型居宅介護の基本報酬は、登録している期間について1月につき算定する包括報酬です。告示126号の別表では「複合型サービス費」という名称で規定されており、そのイが看護小規模多機能型居宅介護費、ロが短期利用居宅介護費にあたります。
看多機は、小規模多機能型居宅介護の3つの機能(通い・訪問・泊まり)に訪問看護を加えたサービスです。1つの事業所と契約すれば、通所・訪問介護・ショートステイ・訪問看護に相当する支援をまとめて受けられます。報酬もそれに対応して、サービスごとの積み上げではなく要介護度別の月額1本という形をとっています。
算定の単位は「登録している期間1月につき」です。何回通ったか、何回訪問したかは基本報酬の額に影響しません。ここが訪問看護や通所介護と決定的に違うところで、ケアプラン上の区分支給限度基準額の使い方も変わってきます。
令和6年度介護報酬改定では、基本報酬そのものの区分構成に変更はありませんでした。改定の中心は認知症加算の4区分化と総合マネジメント体制強化加算の再編であり、基本報酬は改定率に応じた見直しにとどまっています。
看多機の基本報酬の単位数
告示126号 別表 複合型サービス費のイ・ロが定める単位数は次のとおりです。
8 複合型サービス費
イ 看護小規模多機能型居宅介護費(1月につき)
(1) 同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合
(一) 要介護1 12,447単位/(二) 要介護2 17,415単位/(三) 要介護3 24,481単位/(四) 要介護4 27,766単位/(五) 要介護5 31,408単位
(2) 同一建物に居住する者に対して行う場合
(一) 要介護1 11,214単位/(二) 要介護2 15,691単位/(三) 要介護3 22,057単位/(四) 要介護4 25,017単位/(五) 要介護5 28,298単位
同一建物に居住する者以外(通常)
| 要介護度 | 1月あたり | 1割負担の目安(10円換算) |
|---|---|---|
| 要介護1 | 12,447単位 | 約12,447円 |
| 要介護2 | 17,415単位 | 約17,415円 |
| 要介護3 | 24,481単位 | 約24,481円 |
| 要介護4 | 27,766単位 | 約27,766円 |
| 要介護5 | 31,408単位 | 約31,408円 |
※1単位10円で計算した概算です。実際は地域区分による単価(10.00〜11.40円)と負担割合により変わります。看多機は地域密着型サービスなので、単価は事業所所在市町村の地域区分によります。
同一建物に居住する者
| 要介護度 | 同一建物以外 | 同一建物 | 差 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 12,447単位 | 11,214単位 | △1,233単位(約9.9%) |
| 要介護2 | 17,415単位 | 15,691単位 | △1,724単位(約9.9%) |
| 要介護3 | 24,481単位 | 22,057単位 | △2,424単位(約9.9%) |
| 要介護4 | 27,766単位 | 25,017単位 | △2,749単位(約9.9%) |
| 要介護5 | 31,408単位 | 28,298単位 | △3,110単位(約9.9%) |
いずれもおおむね1割低い水準です。これは「減算」ではなく、最初から別の報酬区分として設定されている点に注意してください。訪問介護や訪問看護の同一建物減算のように所定単位数から差し引くのではなく、イ(1)かイ(2)かを選んで算定する構造です。
短期利用居宅介護費(1日につき)
| 要介護度 | 1日あたり |
|---|---|
| 要介護1 | 571単位 |
| 要介護2 | 638単位 |
| 要介護3 | 706単位 |
| 要介護4 | 773単位 |
| 要介護5 | 839単位 |
登録者ではない方が、空いている宿泊室を短期間利用する場合の報酬です。届出が必要で、告示95号 第74号(小多機の第54号を準用)が定める基準に適合する事業所に限られます。
看多機の基本報酬の算定要件
告示126号の注1〜注3が、算定の前提を定めています。
| 区分 | 条文 | 算定の前提 |
|---|---|---|
| イ(1) | 注1 | 市町村長への届出を行った事業所の登録者(同一建物に居住する登録者を除く)について、要介護状態区分に応じ、登録している期間1月につき算定 |
| イ(2) | 注2 | 同一建物に居住する登録者について、要介護状態区分に応じ、登録している期間1月につき算定 |
| ロ | 注3 | 大臣が定める基準に適合するものとして届出を行った事業所において看多機を行った場合に、要介護状態区分に応じ算定 |
注1〜注3にはいずれも、「ただし、登録者の数又は従業者の員数が別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合は、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定する」というただし書きが付いています。これが定員超過利用・人員基準欠如の場合の減算(70%算定)にあたります。
要介護1以上が対象
看多機は要支援の方は利用できません。介護予防小規模多機能型居宅介護はありますが、介護予防の看多機という類型は制度上ありません。要支援の方が同等の支援を必要とする場合は、介護予防小規模多機能型居宅介護と介護予防訪問看護の組み合わせを検討することになります。
1事業所しか登録できない
注13は、ある看多機事業所を利用している間は、他の看多機事業所が行った複合型サービス費は算定しないと定めています。1人につき1事業所が原則です。小多機と同じ考え方で、事業所を掛け持ちすることはできません。
小規模多機能型居宅介護との差は要介護度で広がる
看多機の単位数を理解するうえで最もわかりやすいのが、小多機との比較です。
| 要介護度 | 看多機 | 小多機 | 差 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 12,447単位 | 10,458単位 | +1,989単位 |
| 要介護2 | 17,415単位 | 15,370単位 | +2,045単位 |
| 要介護3 | 24,481単位 | 22,359単位 | +2,122単位 |
| 要介護4 | 27,766単位 | 24,677単位 | +3,089単位 |
| 要介護5 | 31,408単位 | 27,209単位 | +4,199単位 |
※いずれも同一建物に居住する者以外の場合。
要介護1では約2,000単位の差ですが、要介護4から差が急に開き、要介護5では約4,200単位になります。要介護3までの差が2,000単位前後で横ばいなのに対し、要介護4で1,000単位近く跳ね上がる。この段差は、医療ニーズが高くなる重度者にこそ看多機を使ってほしいという政策的な意図の表れと読めます。
実務でも、要介護1〜2の方について「看多機か小多機か」を検討すると、報酬差が小さいぶん、判断材料は訪問看護の必要性そのものになります。逆に要介護4〜5で医療処置がある方なら、看多機の側に明確な報酬上の裏付けがあります。
基本報酬の前に確認したい3つの減算
看多機の基本報酬は「満額入るもの」と考えないほうが安全です。基本報酬を大きく削る規定が3つあります。
| 減算 | 根拠 | 影響 |
|---|---|---|
| 訪問看護体制減算 | 注14 | 要介護1〜3で△925単位、要介護4で△1,850単位、要介護5で△2,914単位(1月) |
| 過少サービス減算 | 注7 | 所定単位数の70%で算定(3割減) |
| サテライト体制未整備減算 | 注8 | 所定単位数の97%で算定 |
訪問看護体制減算は基本報酬の設計と表裏一体
要介護5の減算額2,914単位は、看多機と小多機の基本報酬差4,199単位のおよそ7割にあたります。「看多機の指定は取ったが実態は小多機」という事業所の報酬を、小多機の水準に近づける規定だと理解すると、基本報酬の設計思想がつかめます。
判定は、前3月間の実績で①主治医の指示に基づく看護サービスを提供した利用者が30%未満、②緊急時対応加算を算定した利用者が30%未満、③特別管理加算を算定した利用者が5%未満、の3つすべてに該当する場合です。1つでも上回れば該当しません。
過少サービス減算は小多機より条件が1つ多い
注7は、①通い・訪問・宿泊の算定月における提供回数が週平均1回に満たない場合、または②登録者1人当たり平均回数が週4回に満たない場合に70%算定とします。小多機は②だけですが、看多機には①の事業所全体の下限が加わっています。
看多機の基本報酬の注意点
登録中は使えないサービスがある
注12は、登録者が短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を受けている間は、複合型サービス費を算定しないと定めています。
看多機に登録している方はショートステイを別途利用できません。宿泊サービスが包括報酬に含まれているためです。ケアプランを組むときに見落とすと、算定できない月が発生します。
月途中の登録・退所の扱い
基本報酬は「登録している期間1月につき」です。月の途中で登録した場合や中止した場合の日割りの取扱いについては、告示本文に日割りの計算式までは書かれておらず、留意事項通知と市町村の取扱いによります。新規登録が多い時期は、必ず所在市町村に確認してください。
入院した場合
入院中は看多機のサービスを提供できないため、基本報酬は算定できません。なお初期加算(30単位/日)には、30日を超える病院・診療所への入院後に利用を再開した場合も、改めて30日以内について算定できるという定めがあります(ハの注)。長期入院からの復帰は、単なる継続ではなく再スタートとして扱われるということです。
区分支給限度基準額との関係
看多機の基本報酬は区分支給限度基準額の管理対象です。要介護5の区分支給限度基準額は36,217単位ですから、基本報酬31,408単位を算定すると残りは約4,800単位しかありません。福祉用具貸与などを併用する場合、限度額を超えないか事前の確認が要ります。
担当したケースでも、要介護5の方で特殊寝台・車いす・スロープを借りていて、看多機の登録と同時に限度額がぎりぎりになったことがありました。看多機は「限度額をほぼ使い切るサービス」だという前提でプランを組むほうが安全です。
- 同一建物に居住する登録者かどうか(イ(1)/イ(2)の別)
- 訪問看護体制減算の届出をしていないか
- 通い・訪問・泊まりの提供回数が週平均1回、1人当たり週4回を下回っていないか
- 登録者がショートステイ等を利用する予定がないか
- 区分支給限度基準額の残りで福祉用具等が収まるか
よくある質問
看多機の基本報酬はいくらですか?
1月あたり要介護1で12,447単位、要介護2で17,415単位、要介護3で24,481単位、要介護4で27,766単位、要介護5で31,408単位です(同一建物に居住する者以外)。
同一建物だといくらになりますか?
要介護1で11,214単位、要介護2で15,691単位、要介護3で22,057単位、要介護4で25,017単位、要介護5で28,298単位です。おおむね1割低い区分になります。
利用回数が多いと報酬は増えますか?
増えません。要介護状態区分に応じた1月あたりの包括報酬です。ただし提供回数が少なすぎる場合は過少サービス減算で70%算定になります。
小多機と比べてどれくらい高いですか?
要介護1で約2,000単位、要介護5で約4,200単位高くなります。要介護度が上がるほど差が広がります。
要支援でも使えますか?
使えません。介護予防の看護小規模多機能型居宅介護という類型は制度上ありません。
2つの看多機を掛け持ちできますか?
できません。注13により、ある看多機事業所を利用している間は他の看多機事業所の複合型サービス費は算定できません。
登録中にショートステイは使えますか?
使えません。注12により、短期入所生活介護・短期入所療養介護などを受けている間は複合型サービス費を算定できません。
短期利用居宅介護費はいくらですか?
1日につき要介護1で571単位、要介護5で839単位です。届出を行った事業所に限られます。
月の途中で登録した場合はどうなりますか?
告示本文に日割りの計算式までは示されていません。留意事項通知および市町村の取扱いによりますので、所在市町村に確認してください。
入院中も基本報酬は算定できますか?
サービスを提供できないため算定できません。30日を超える入院後に利用を再開した場合は、初期加算を改めて30日以内について算定できます。
区分支給限度基準額に含まれますか?
含まれます。要介護5の場合、基本報酬31,408単位に対して限度額は36,217単位なので、残りは約4,800単位です。
定員を超えて登録するとどうなりますか?
注1〜注3のただし書きにより、登録者の数または従業者の員数が大臣が定める基準に該当する場合は別途定めるところにより算定します。定員超過利用・人員基準欠如による70%算定にあたります。
- 看多機の基本報酬は1月あたりの包括報酬で、要介護1が12,447単位、要介護5が31,408単位
- 同一建物に居住する登録者は要介護1で11,214単位、要介護5で28,298単位
- 同一建物の区分は「減算」ではなく別の報酬区分として設定されている
- 短期利用居宅介護費は1日571〜839単位
- 算定は「登録している期間1月につき」で、利用回数では変わらない
- 小多機との差は要介護1で約2,000単位、要介護5で約4,200単位
- 要介護4から差が急に開く設計になっている
- 訪問看護体制減算は要介護5で2,914単位、基本報酬差の約7割にあたる
- 過少サービス減算は週平均1回未満または1人当たり週4回未満で70%算定
- サテライト体制未整備減算は97%算定
- 注12により登録中はショートステイ・特定施設・グループホーム等を利用できない
- 注13により看多機は1人につき1事業所が原則
- 要支援の方は利用できない
- 30日を超える入院後の再開では初期加算を改めて算定できる
- 要介護5では区分支給限度基準額の残りが約4,800単位しかない
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号)別表 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表「複合型サービス費」イ・ロ、注1〜注16、ハ(厚生労働省法令等データベース)
- 同 別表「小規模多機能型居宅介護費」イ・ロ(比較のため)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)第74号・第75号(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに月途中の登録・中止時の日割りの取扱い、入院中の登録者の扱い、定員超過利用・人員基準欠如の判定方法については告示本文に詳細の定めがなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。記事中の金額は1単位10円で計算した概算であり、地域区分・負担割合・端数処理により実際の請求額とは異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。


