通所介護の延長加算とは?わかりやすく解説

通所介護の延長加算は、9時間以上10時間未満で50単位、13時間以上14時間未満で250単位です。1時間刻みで50単位ずつ上がります。
この加算でいちばん誤解されやすいのが、「サービス提供時間を延ばす加算ではない」という点です。
条文が求めているのは、8時間以上9時間未満の指定通所介護の前後に「日常生活上の世話」を行い、通算して9時間以上になった場合です。通所介護そのものを10時間提供する、という話ではありません。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)通所介護費の注6を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 延長加算の単位数(50〜250単位の5区分)
- 「8時間以上9時間未満の通所介護」が前提であること
- 加算されるのは前後の「日常生活上の世話」の時間
- 7時間の通所介護では算定できない理由
- お泊まりデイとの関係
- 届出が必要であること
ちびウルフうちは7時間から8時間のデイなんですけど、迎えが遅れて10時間預かったら算定できますか?
リハウルフ算定できません。条文は「所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護を行った場合」と限定しています。7時間以上8時間未満のサービス提供では、前後にどれだけ預かっても延長加算の対象になりません。ここを勘違いしている事業所は少なくありません。
通所介護の延長加算とは?
通所介護の延長加算は、8〜9時間の通所介護の前後に日常生活上の世話を行い、通算9時間以上になった場合に算定する加算です。
家族が働いている場合、送りの時間と出勤時間、迎えの時間と退勤時間が合わないことがあります。デイが16時に終わっても、家族が帰宅するのは19時。その3時間をどうするかという問題です。
この加算は、その「預かり」の時間を制度上評価するものです。介護保険サービスとしての通所介護ではなく、その前後の日常生活上の世話に対する評価という位置づけになっています。
介護離職を防ぐという観点からも、家族の就労と在宅生活の継続を支える機能を担っています。
通所介護の延長加算の単位数
6 (略)都道府県知事に対し届出を行った指定通所介護事業所において、日常生活上の世話を行った後に引き続き所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護を行った場合又は所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護を行った後に引き続き日常生活上の世話を行った場合であって、当該指定通所介護の所要時間と当該指定通所介護の前後に行った日常生活上の世話の所要時間を通算した時間が9時間以上となった場合は、次に掲げる区分に応じ、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。
| 通算した時間 | 単位数 |
|---|---|
| 9時間以上10時間未満 | 50単位 |
| 10時間以上11時間未満 | 100単位 |
| 11時間以上12時間未満 | 150単位 |
| 12時間以上13時間未満 | 200単位 |
| 13時間以上14時間未満 | 250単位 |
上限は14時間未満です。14時間以上の区分は設定されていません。
通所介護の延長加算の算定要件
- 都道府県知事に届出を行っていること
- 指定通所介護の所要時間が8時間以上9時間未満であること
- その前または後に、引き続き日常生活上の世話を行うこと
- 通所介護と日常生活上の世話の所要時間を通算して9時間以上になること
前でも後でもよい
条文は2つのパターンを並べて書いています。
| パターン | 流れ |
|---|---|
| 前 | 日常生活上の世話 → 引き続き 8〜9時間の通所介護 |
| 後 | 8〜9時間の通所介護 → 引き続き 日常生活上の世話 |
朝早く預かる場合も、夕方以降に預かる場合も対象になります。両方を組み合わせた場合の通算の考え方は、都道府県に確認してください。
時間の数え方
通所介護8時間30分+夕方の預かり2時間30分=通算11時間 → 11時間以上12時間未満で150単位
加算されるのは通算時間の区分に応じた額です。「延長した時間だけ」を見るのではなく、通算した時間全体で区分を判定します。
通所介護の延長加算の注意点
条文が対象としているのは「所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護」だけです。
7時間以上8時間未満で通所介護を提供している事業所は、その後に何時間預かっても延長加算を算定できません。
算定を考えるなら、まず通所介護計画上の所要時間が8時間以上9時間未満になっているかを確認してください。
「日常生活上の世話」は通所介護ではない
前後の時間帯に行うのは日常生活上の世話であって、指定通所介護ではありません。この時間は通所介護の所要時間には含まれず、人員基準の計算上の扱いも別に考える必要があります。
実際の運用では、この時間帯に何人の職員を置くか、どこまでの支援を行うかを事業所として整理しておく必要があります。(運用に関する記述は筆者の実務経験にもとづく整理です)
お泊まりデイとの違い
| 延長加算 | お泊まりデイ | |
|---|---|---|
| 上限 | 通算14時間未満 | 宿泊(夜間を通じて) |
| 介護保険 | 加算として給付対象 | 保険外・全額自己負担 |
| 届出 | 都道府県知事へ加算の届出 | 宿泊サービスの届出 |
延長加算は14時間未満までです。それを超えて宿泊させる場合は、介護保険の給付対象外となります。
算定を始めるまでの流れ
- 通所介護計画上の所要時間が8時間以上9時間未満か確認する
- 前後の日常生活上の世話の提供体制(職員配置)を整える
- 都道府県知事に届出を行う
- 利用者ごとに通所介護の所要時間と世話の時間を記録する
- 通算時間の区分に応じて算定する
通所介護の延長加算のQ&A
7時間以上8時間未満の通所介護でも算定できますか?
できません。条文は所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護を行った場合と限定しています。
何時間まで算定できますか?
通算14時間未満までです。13時間以上14時間未満の250単位が最上位です。
朝の預かりでも算定できますか?
できます。条文は日常生活上の世話を行った後に引き続き通所介護を行う場合も対象としています。
前後の時間は通所介護のサービス提供時間になりますか?
なりません。条文上「日常生活上の世話」であり、指定通所介護とは区別されています。
届出は必要ですか?
必要です。都道府県知事に対する届出を行った事業所が算定できます。
迎えが遅れた場合も算定できますか?
要件を満たせば算定できますが、通所介護計画に位置づけられた提供体制であることが前提です。個別の判断は都道府県に確認してください。
通算時間はどの時点から数えますか?
条文は通所介護の所要時間と前後の世話の所要時間を通算するとしています。具体的な起算点は都道府県に確認してください。
地域密着型通所介護にも同じ加算がありますか?
地域密着型通所介護費にも同趣旨の規定があります。単位数や要件は告示126号の該当箇所を確認してください。
- 延長加算は通算9〜10時間で50単位、13〜14時間で250単位の5区分
- 1時間ごとに50単位ずつ上がる
- 前提は「所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護」
- 7時間以上8時間未満のサービス提供では算定できない
- 加算の対象は前後に行う「日常生活上の世話」の時間
- 通所介護の前でも後でも算定できる
- 通算した時間の区分で単位数が決まる
- 上限は通算14時間未満
- 都道府県知事への届出が必要
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)別表 通所介護費の注6(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第92条、第99条
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(都道府県・政令市・中核市)の解釈をご確認ください。加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。通算時間の起算点、前後両方で世話を行った場合の通算の考え方、日常生活上の世話の時間帯の職員配置の考え方については告示本文に明記がなく、解釈通知および指定権者の取扱いによります。所在自治体に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




