小規模多機能型居宅介護の基本報酬は、要介護1の10,458単位から要介護5の27,209単位まで、1月につきの包括報酬です(同一建物に居住する者以外の場合)。

構造として押さえるべき点が2つあります。

ひとつは同一建物に居住するかどうかで区分が分かれていることです。訪問介護のように「減算」として引くのではなく、最初から別の単位数が設定されています。

もうひとつは登録者向けの月単位報酬(イ)とは別に、短期利用居宅介護費(ロ)という1日単位の報酬があることです。加算の多くは「イについて」と限定されており、どちらを算定しているかで取れる加算が変わります。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)小規模多機能型居宅介護費のイ・ロと注1〜3、注8〜12を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 要介護度別・同一建物区分別の基本報酬
  • 短期利用居宅介護費の単位数
  • 定員超過・人員欠如で70%算定になること
  • 他サービスとの併算定ができない範囲
  • 1つの事業所からしか算定できないこと
  • 特別地域加算など3つの地域加算
ちびウルフちびウルフ

同一建物だと1割くらい安いんですね。どういう場合が同一建物になるんですか?

リハウルフリハウルフ

事業所と同じ建物に住んでいる登録者です。サ高住や住宅型有料老人ホームに小多機が併設されているケースが典型です。移動の負担がない分、単位数が低く設定されています。差は要介護5で2,693単位。1割弱ですね。

小規模多機能型居宅介護の基本報酬とは?

小規模多機能型居宅介護の基本報酬は、登録者1人につき1月あたりで定額が支払われる包括報酬です。

通所介護や訪問介護のように、サービスを提供した回数や時間に応じて積み上げる方式ではありません。通いを週5回使っても週1回でも、同じ要介護度なら同じ単位数です。

この仕組みが、「今日は通いの予定だったけれど体調が悪いから訪問に切り替える」といった柔軟な対応を可能にしています。回数で報酬が変わらないため、その日の状態に合わせて内容を組み替えても収入が変動しません。

一方で、利用が少なすぎる状態を放置すると過少サービス減算(70%算定)の対象になります。定額であることの裏返しとして、一定量のサービス提供が求められています。

小規模多機能型居宅介護の基本報酬の単位数

イ 小規模多機能型居宅介護費(1月につき)

要介護度同一建物に居住する者以外同一建物に居住する者
要介護110,458単位9,423単位△1,035単位
要介護215,370単位13,849単位△1,521単位
要介護322,359単位20,144単位△2,215単位
要介護424,677単位22,233単位△2,444単位
要介護527,209単位24,516単位△2,693単位

要介護1から2で約1.5倍、2から3で約1.5倍と、要介護3までの伸びが大きいのが特徴です。要介護3以降はなだらかになります。

ロ 短期利用居宅介護費(1日につき)

要介護度単位数
要介護1572単位
要介護2640単位
要介護3709単位
要介護4777単位
要介護5843単位

短期利用居宅介護費は登録者ではない人が1日単位で利用するためのものです。算定には基準への適合と市町村長への届出が必要です。

小規模多機能型居宅介護の基本報酬の算定要件

3つの区分の算定根拠

区分対象
イ(1)同一建物に居住する登録者以外(届出が必要)注1
イ(2)同一建物に居住する登録者注2
短期利用(基準適合+届出が必要)注3

イ(1)には届出が必要ですが、イ(2)には条文上「届出を行った」という文言がありません。同一建物区分が基本形として置かれている構造です。

定員超過・人員欠如は70%算定

注1〜3にはいずれも「ただし、登録者の数又は従業者の員数が別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合は、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定する」というただし書きがあります。

該当する場合算定方法
運営規程に定める登録定員を超えること所定単位数に100分の70を乗じて算定
指定地域密着型サービス基準第63条に定める員数を置いていないこと所定単位数に100分の70を乗じて算定
70%算定が3つある

小多機で所定単位数の70%になる場面は3つあります。

  • 過少サービス減算(注7・平均週4回未満)
  • 定員超過(登録定員超過)
  • 人員欠如(従業者の員数不足)

いずれも1%の減算とは影響の桁が違います。月次で登録者数・職員配置・提供回数を確認する運用が必要です。

介護予防と一体的に運営する場合

予防小多機の指定を併せて受け、一体的に運営している場合、登録定員の判定は介護と予防の登録者数の合計で行います。介護のみで数えて定員内でも、予防を含めると超過するケースがあります。

小規模多機能型居宅介護の基本報酬の注意点

併算定できないサービス(注8)

登録者が次のサービスを受けている間は、小規模多機能型居宅介護費は算定できません。

  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 複合型サービス(看多機)

1つの事業所からしか算定できない(注9)

ある事業所で小多機を受けている間は、別の小多機事業所が小規模多機能型居宅介護費を算定することはできません。登録は1事業所のみという原則が報酬面でも担保されています。

3つの地域加算(注10〜12)

加算対象
特別地域小規模多機能型居宅介護加算(注10)所定単位数の100分の15イのみ
中山間地域等における小規模事業所加算(注11)所定単位数の100分の10イ・ロ両方
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(注12)所定単位数の100分の5イのみ

注11だけが「イについては1月につき、ロについては1日につき」と両方を対象にしています。注10と注12は「イについて」の限定があります。

報酬管理で押さえること

  • 登録者ごとに同一建物区分の該当を確認する
  • 予防を含めた登録者数が定員内か月次で確認する
  • 従業者の員数が基準を満たしているか確認する
  • 通い・訪問・泊まりの合計回数の平均を月次で把握する
  • 併算定できないサービスの利用予定を事前に把握する
  • 該当する地域加算を確認する

小規模多機能型居宅介護の基本報酬のQ&A

利用回数が少ない月も同じ単位数ですか?

月単位の包括報酬なので同額です。ただし事業所全体の平均が週4回未満になると過少サービス減算で70%算定になります。

同一建物区分は減算ですか?

減算ではなく、別の単位数として設定された区分です。

月の途中で登録した場合はどうなりますか?

告示は「登録している期間1月につき」としています。日割りの取扱いは市町村に確認してください。

定員を超えるとどうなりますか?

所定単位数に100分の70を乗じて算定します。

予防の登録者も定員に数えますか?

指定を併せて受け一体的に運営している場合は、合計数で判定します。

グループホームと併用できますか?

認知症対応型共同生活介護を受けている間は算定できません。

2つの小多機に登録できますか?

一の事業所で受けている間は、他の小多機事業所は算定できません。

短期利用居宅介護費に届出は必要ですか?

必要です。基準に適合するものとして市町村長への届出が求められます。

まとめ
  • 基本報酬は1月につきの包括報酬(要介護1で10,458単位、要介護5で27,209単位)
  • 同一建物に居住する者は別区分(要介護5で24,516単位)
  • 減算ではなく最初から別の単位数として設定されている
  • 短期利用居宅介護費は1日につき572〜843単位
  • 登録定員超過・人員欠如はいずれも70%算定
  • 予防と一体的運営の場合、定員は合計数で判定
  • ショートステイ・GH・特定施設等の利用中は算定できない
  • 1人につき1つの事業所からのみ算定できる
  • 地域加算は特別地域15%・中山間小規模10%・中山間居住者5%の3種
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 小規模多機能型居宅介護費のイ、ロ、注1〜3、注7〜12(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成27年厚生労働省告示第27号)七(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第63条、第82条

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。月途中で登録を開始・終了した場合の取扱い、同一建物の範囲、定員超過・人員欠如の判定方法については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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