リハビリテーション計画書は、「書いて終わり」の書類ではなく、加算の要件であり、実地指導で最初に見られる書類です。しかも令和6年度改定で様式そのものが見直されました。

この記事では、理学療法士・介護支援専門員として現場に関わってきた立場から、通所リハビリテーションのリハビリテーション計画書の法令上の位置づけ、記載項目、書き方のポイントを、省令と厚生労働省の通知に沿って整理します。使う評価スケールまで通知で指定されている点まで踏み込みます。

この記事でわかること
  • 計画書の作成が省令上の義務であること
  • 誰が作成し、誰の同意が必要か
  • 使用する様式(別紙様式2-2-1・2-2-2)
  • 一体的計画書で代替できるケース
  • 記載項目11区分の中身
  • 通知で指定されている評価スケール
  • つまずきやすい記載のポイント
  • SPDCAサイクルの中での位置づけ

通所リハビリのリハビリテーション計画書とは

まず根拠から。指定居宅サービス基準第115条が、作成から交付までを義務として定めています。

指定居宅サービス等基準 第115条(通所リハビリテーション計画の作成)医師及び理学療法士、作業療法士その他専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる通所リハビリテーション従業者(以下「医師等の従業者」という。)は、診療又は運動機能検査、作業能力検査等を基に、共同して、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、リハビリテーションの目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所リハビリテーション計画を作成しなければならない。

2 通所リハビリテーション計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければならない。

ここから読み取るべき義務は5つあります。

  • 医師とリハ職等が「共同して」作成する|療法士が単独で作る書類ではありません
  • 診療または運動機能検査、作業能力検査等を基にする|客観的な評価が前提です
  • 居宅サービス計画の内容に沿って作成する|ケアプランと矛盾させない
  • 内容を利用者または家族に説明し、同意を得る(第3項)
  • 作成した計画を利用者に交付する(第5項)

加えて、リハビリを受けていた医療機関から退院した利用者については、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等によりリハビリの情報を把握しなければならないとされています(第4項)。退院直後の受け入れで、病院の実施計画書を取り寄せていない場合は基準を満たしていません。

見落とされやすい第6項「通所リハビリテーション従業者は、それぞれの利用者について、通所リハビリテーション計画に従ったサービスの実施状況及びその評価を診療記録に記載する」。計画の作成だけでなく、実施状況と評価を診療記録に残すところまでが省令上の義務です。ここが抜けている事業所は少なくありません。

使う様式と、代替できる様式

様式は厚生労働省の通知で示されています。現行は令和6年3月発出(令和6年4月1日適用)の通知で、令和3年3月16日付の旧通知は廃止されました。

様式名称用途
別紙様式2-2-1
別紙様式2-2-2
リハビリテーション計画書本体。通所リハで作成する計画書
別紙様式1-1リハビリテーション、栄養、口腔に係る実施計画書(通所系)一体的取組を行う場合。これを作成すれば2-2-1・2-2-2の作成に代えられる
別紙様式2-1興味・関心チェックシート本人の希望・生活行為の把握に活用
別紙様式2-3リハビリテーション会議録開催日・場所・時間・回数、出席者、検討結果、不参加理由を記載
別紙様式2-4プロセス管理票SPDCAを適切に実行しているかの確認に活用
別紙様式2-6診療情報提供に係る文書主治医との情報のやり取り
別紙様式2-7ケアマネジメント連絡用紙ケアマネジャーとの情報のやり取り
一体的計画書に置き換えるときの注意別紙様式1-1を使えば、リハビリテーション計画書に加えて栄養スクリーニング・栄養ケア計画書・口腔機能向上サービスに関する計画書の作成にも代えられます。ただし通知には「左欄の様式の一部のみを記入した場合に、右欄の様式の作成に代えることはできない」と明記されています。埋めていない欄がある状態では代替になりません。

リハビリテーション計画書の記載項目と書き方

通知の記載要領は、計画書を11の区分で説明しています。順に押さえます。

①本人・家族等の希望/②健康状態、経過

①は本人からの聞き取りで、「したい」「できるようになりたい」生活の希望を書きます。家族が支援できることがあれば併記します。

②は、原因疾病、発症日・受傷日、直近の入院日・退院日、手術日と術式などの治療経過、合併疾患とコントロール状況。通知は具体例まで示しています。

通知が示す「原因疾病」の考え方
  • 脳梗塞後で麻痺があるものの、元々生活が自立していた利用者が、誤嚥性肺炎を発症し、その結果介助が必要となった場合は、リハビリテーションが必要となった原因疾病は「誤嚥性肺炎」、合併症は「脳血管疾患」となる。

「一番重い病名を書く」のではなく、「今のリハビリが必要になった直接の原因」を書きます。これまでのリハビリの実施状況(内容、頻度、量)も同欄に記載します。

③心身機能・構造

ここは使う検査が通知で指定されているのが最大のポイントです。

項目使用する評価
移動能力6分間歩行試験またはTimed up & Go Test(TUG)を選択し、客観的測定値を記載
認知機能MMSEまたはHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)を選択し、得点を記載
服薬管理・コミュニケーション現在の状況を記載
その他の心身機能障害の有無、現在の状況と活動への支障の有無をチェック。該当項目にないものは特記事項へ

「歩行がやや不安定」といった主観的表現だけでは、この欄を満たしません。測定値を入れてください。

④活動の状況(基本動作・ADL)

基本動作は居宅を想定しつつ評価し、リハビリ開始時点と現在の両方を記載します。ADLはBarthel Indexを使います。

ここに書き方の核心があります。通知の一文です。

「できるADL」と「しているADL」
  • リハビリテーションにおいては、訓練上は「できる」ADLを、日常生活上で「している」ADLにするためのアプローチが重要であることから、(中略)現在日常生活上で「している」状況について評価を行い、リハビリテーション開始時点及び現在の状況について該当箇所に記載すること。

評価するのは「している」ADLです。事業所で歩けているかではなく、自宅で実際にどうしているか。ここを取り違えると、計画全体がずれます。

⑤目標、方針、生活指導、実施上の留意点、見通し・継続理由、終了の目安

この欄は医師の指示に基づき記載すると通知に明記されています。書く内容は次のとおりです。

  • 長期目標と、今後3か月を目安とした短期目標
  • 今後3か月の方針
  • 本人・家族への生活指導の内容|自主トレーニングの内容と併せて記載
  • 実施上の留意点|開始前・訓練中の留意事項、運動負荷の強度と量
  • 終了の目安・時期|おおよその時期を記載する
  • 3か月以上の継続利用が必要と医師が判断する場合|継続が必要な理由、他の介護サービスの併用と移行の見通しを「見通し・継続理由」欄に記載

⑥活動(IADL)/⑦環境因子/⑧社会参加の状況

IADLはFrenchay Activity Index(FAI)を使い、現在「している」状況を、開始時点と現在の両方で得点化します。食事の用意、洗濯、掃除、買物、外出、屋外歩行、趣味、交通手段の利用、旅行、庭仕事、読書、仕事など15項目です。

環境因子は、家族、住環境、自宅周辺の環境(坂が多いなど)、利用可能な外出手段、他サービスの利用、福祉用具の利用。社会参加は、家庭内での役割や余暇活動、社会・地域活動への参加状況を聞き取って記載します。

⑨「活動」と「参加」に影響を及ぼす課題の要因分析

計画書の中で最も専門性が問われる欄です。通知が求めている思考の順番はこうです。

  1. 1能力および生活機能の障害と、その予後予測を踏まえる
  2. 2本人が希望する活動と参加において重要性の高い課題を抽出する
  3. 3その課題に影響を及ぼしている機能障害と、その改善可能性を検討する
  4. 4機能障害以外の因子(個人因子、環境因子、健康状態等)と、その調整の必要性・実効性を検討する

⑩要因分析を踏まえた具体的なサービス内容/⑪情報提供

⑩は、⑨で分析した課題に優先順位をつけて記載し、その因子にアプローチする具体的支援内容を書きます。通知は「サービス提供時間に理学療法士等が行うことだけでなく、日常生活上において、本人・家族が行うべきことについても記載するよう努めること」としています。目標達成までの期間、提供の予定頻度、時間も記載します。

⑪は、ケアマネジャーや他事業所と共有すべき事項の記載欄です。あわせて、計画書の写しを共有し、情報提供先にチェックを入れることが求められています。共有先はケアマネジャー、計画的な医学的管理を行っている医師、居宅サービス計画に位置づけられた居宅サービスの担当者です。

リハウルフリハウルフ

実地指導で指摘されやすいのは、⑨が空欄同然か、⑩と内容が一致していないケースです。課題を分析した欄と、やることを書いた欄がつながっていない。逆に言えば、この2欄が論理的につながっていれば、計画書としては十分に強い。

SPDCAサイクルの中での位置づけ

計画書は、リハビリテーションマネジメントの一部です。通知はSPDCAの各段階をこう説明しています。

段階内容
調査(Survey)利用者・家族の希望、ケアマネジメントの方針、健康状態、心身機能、活動(ADL・IADL)、参加(家庭内での役割、余暇活動、社会地域活動)、環境因子等を把握。手段は事業所医師の診療、運動機能検査、作業能力検査、居宅サービス計画の入手、本人・家族からの聞き取り
計画(Plan)目標の設定、課題の把握、具体的な対応の決定を含む計画の作成。複数の課題があるときは、本人の希望に沿った活動・参加の向上、生活の質の向上につながる課題に優先的に介入
実行(Do)医師の指示と計画に基づくサービス提供。訓練だけでなく、環境調整、本人・家族への助言・指導を含む
評価(Check)・改善(Action)心身機能・活動・参加の変化、課題の解決と目標の達成状況を評価し、計画を見直す

通知には、実務者に効く一文もあります。「利用者に対して漫然とリハビリテーションの提供を行うことがないよう、症状緩和のための取組(マッサージ等)のみを行う場合はその必要性を見直す必要がある」。計画書は、この見直しを可視化するための道具でもあります。

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書類のための書類じゃない、ってことなんだね。

つまずきやすいポイント

  1. 1医師が関与した記録が残っていない|計画は医師と共同で作成するもの。⑤は医師の指示に基づく欄です
  2. 2測定値が入っていない|移動能力はTUGか6分間歩行、認知機能はMMSEかHDS-R。通知が指定しています
  3. 3「できるADL」で採点している|Barthel Indexは日常生活で「している」状況で評価します
  4. 4開始時点の値が空欄|基本動作、ADL、IADLは開始時点と現在の両方を記載します
  5. 53か月以上の継続理由が書かれていない|医師が継続必要と判断した場合の記載事項です
  6. 6交付と共有の記録がない|利用者への交付は省令上の義務。共有先のチェック欄も埋めます
  7. 7実施状況と評価を診療記録に書いていない|第115条第6項の義務です
よくある質問
リハビリテーション計画書は誰が作成するのですか?
医師と、理学療法士・作業療法士その他専ら通所リハビリテーションの提供に当たる従業者が共同して作成します(指定居宅サービス基準第115条第1項)。療法士が単独で作成する書類ではありません。作成にあたっては、診療または運動機能検査、作業能力検査等を基にすることとされています。
利用者への交付は必須ですか?
必須です。同条第5項が「通所リハビリテーション計画を作成した際には、当該通所リハビリテーション計画を利用者に交付しなければならない」と定めています。あわせて第3項により、内容を利用者または家族に説明し、利用者の同意を得る必要があります。
一体的計画書(別紙様式1-1)を使えば計画書は不要ですか?
別紙様式1-1を用いて計画書を作成した場合、別紙様式2-2-1および2-2-2(リハビリテーション計画書)の作成に代えることができます。ただし通知は「左欄の様式の一部のみを記入した場合に、右欄の様式の作成に代えることはできない」としています。記入が不完全な場合は代替になりません。
移動能力の評価は何を使えばよいですか?
通知の記載要領では、6分間歩行試験またはTimed up & Go Test(TUG)のいずれかを選択し、客観的測定値を記載することとされています。認知機能はMMSEまたはHDS-Rを選択し、得点を記載します。ADLはBarthel Index、IADLはFrenchay Activity Indexを用います。
目標はどのくらいの期間で設定しますか?
記載要領は、長期目標と「今後3か月を目安とした短期目標」、そして今後3か月の方針を記載することとしています。あわせて終了の目安・時期についても、おおよその時期を記載します。医師が3か月以上の継続利用が必要と判断する場合は、継続が必要な理由と、他の介護サービスの併用・移行の見通しを記載します。
病院から退院してきた利用者の場合、何か追加で必要ですか?
必要です。第115条第4項により、リハビリテーションを受けていた医療機関から退院した利用者の計画作成にあたっては、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等により、その利用者のリハビリテーションの情報を把握しなければならないとされています。取り寄せた記録を残しておいてください。
まとめ
  • 通所リハビリテーション計画は、医師とリハ職等が共同で作成する(基準第115条第1項)。
  • 診療または運動機能検査、作業能力検査等を基に作成し、居宅サービス計画の内容に沿って作成する。
  • 内容を説明して同意を得ること(第3項)、利用者に交付すること(第5項)が義務。
  • 退院してきた利用者は、医療機関のリハビリテーション実施計画書等で情報を把握する(第4項)。
  • 実施状況と評価を診療記録に記載するところまでが義務(第6項)。
  • 様式は別紙様式2-2-1・2-2-2。現行の様式は令和6年3月発出の通知(令和6年4月1日適用)による。
  • 一体的取組では別紙様式1-1で代替可。ただし一部のみの記入では代替にならない。
  • 記載項目は、①本人・家族の希望 ②健康状態・経過 ③心身機能・構造 ④活動(基本動作・ADL)⑤目標等 ⑥IADL ⑦環境因子 ⑧社会参加 ⑨要因分析 ⑩具体的サービス内容 ⑪情報提供。
  • 移動能力は6分間歩行試験かTUG、認知機能はMMSEかHDS-Rで測定値・得点を記載する。
  • ADLはBarthel Index、IADLはFrenchay Activity Index。いずれも「している」状況で評価する。
  • 基本動作・ADL・IADLは、開始時点と現在の両方を記載する。
  • ⑤の欄は医師の指示に基づき記載する。短期目標と方針は3か月を目安とする。
  • ⑨は、予後予測→重要性の高い課題の抽出→機能障害と改善可能性→機能障害以外の因子と調整の実効性、の順で検討する。
  • ⑩には本人・家族が日常生活で行うべきことも記載するよう努める。
  • 計画書の写しはケアマネジャー、医学的管理を行う医師、居宅サービスの担当者と共有し、共有先をチェックする。
参考にした情報

※本記事は上記の省令および通知にもとづいて整理したものです。条文および記載要領は要旨として整理している箇所があり、正確な文言は原典をご確認ください。様式および記載要領は改定・通知により変更される場合があります。加算の算定にあたっては、告示および各サービスの留意事項通知(老企第36号等)の要件を併せてご確認ください。実地指導での指摘事項に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、指定権者の判断は地域によって異なります。運用上の具体的な取扱いは、指定権者にご確認ください。内容は2026年8月時点で確認できた情報です。

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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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