通所リハビリの1日の流れ・スケジュールを解説|利用前に知っておきたいこと

「一日中なにをしているのか分からないから、行きたがらない」。通所リハビリを勧めたときに、ご本人からいちばん多く返ってくる言葉です。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、通所リハビリテーション(デイケア)の1日の流れと、利用を決める前に知っておきたいことを具体的に説明します。時間帯ごとに何が行われているかが分かれば、迷いはかなり減ります。
- 通所リハビリとデイサービスの違い
- 朝の送迎から帰宅までの1日の流れ
- 短時間型(1〜2時間)の流れ
- それぞれの時間に何が行われているか
- 利用開始までの手続きの順番
- 持ち物と服装の目安
- 利用時間に送迎が含まれないこと
- 合わなかったときに変更できること
通所リハビリとは何をするところか
介護保険法は、通所リハビリテーションをこう定義しています。
ポイントは2つです。医師が必要と認めた人が対象であること、そして実施場所が老健や病院・診療所であること。デイサービス(通所介護)との違いは、ここから生まれます。
| 項目 | 通所リハビリ(デイケア) | デイサービス(通所介護) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 心身の機能の維持回復、日常生活の自立 | 日常生活上の世話、社会的孤立の解消、家族の負担軽減 |
| 実施場所 | 老健、介護医療院、病院、診療所など | デイサービスセンターなど |
| 医師 | 常勤の医師の配置が必要 | 配置の定めはない |
| リハ専門職 | PT・OT・STを利用者100人につき1人以上配置 | 機能訓練指導員1人以上(PT等以外の職種も可) |
| 提供の根拠 | 医師の指示と通所リハビリテーション計画 | 通所介護計画 |
| 利用時間 | 1〜2時間の短時間型から7〜8時間まで幅広い | 3〜4時間から7〜8時間が中心 |
通所リハビリの1日の流れ
6時間以上7時間未満の、いわゆる一日型の例です。事業所によって順番や時間は変わります。
| 時間 | 内容 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| 8:30頃 | 送迎車がお迎え。自宅の玄関先まで職員が来ます | 玄関から車までの歩行、段差の越え方、その日の様子 |
| 9:15 | 到着。荷物を置き、健康チェック(体温・血圧・脈拍) | 数値と、前回からの変化。ここで中止判断をすることもあります |
| 9:45 | 集団体操。座ったままできる内容が中心 | 全身の動き、疲れやすさ、指示の理解 |
| 10:15 | 入浴(希望者)。または個別リハビリ | 浴室での動作、皮膚の状態、着替えの自立度 |
| 11:00 | 個別リハビリ(20分程度)。PT・OT・STが担当 | 目標に沿った練習。歩行、立ち上がり、手の使い方、話す・飲み込む |
| 12:00 | 昼食。必要に応じて食事の介助や姿勢の調整 | むせの有無、食べる速さ、姿勢、食事量 |
| 13:00 | 口腔ケア、休憩 | 歯磨きの自立度、義歯の状態 |
| 13:30 | 集団活動(体操、レクリエーション、作業活動) | 他の利用者との関わり、集中の続き方 |
| 14:30 | 自主トレーニング、機器を使った運動、個別対応 | 自分で続けられる運動になっているか |
| 15:00 | おやつ、水分補給 | 飲み込み、水分量の確保 |
| 15:30 | 帰りの準備、連絡帳の記入 | その日の様子を家族へ伝える内容 |
| 16:00 | 送迎車で帰宅。玄関まで送ります | 帰宅後の動線に不安がないか |
リハウルフ表の右側を見てほしいのですが、リハビリの時間だけを見ているわけではありません。送迎の玄関先、食事の姿勢、トイレへの移動。生活そのものが評価の場です。「20分しかリハビリがない」と言われることがありますが、実際は一日を通して見ています。
短時間型(1〜2時間)の場合
近年増えているのが、リハビリだけに絞った短時間型です。食事も入浴もありません。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:00 | 来所(自力または送迎)、健康チェック |
| 9:15 | ウォーミングアップ、マシンや自主トレーニング |
| 9:40 | 個別リハビリ(PT・OT・STによる) |
| 10:20 | 整理体操、次回までの自主訓練の確認 |
| 10:30 | 終了・帰宅 |
「一日いるのは気が進まない」「まだ働いている」「入浴は自宅でできる」という方には、この型が合います。料金も一日型より低く抑えられます。見学の際に、短時間型の枠があるかを聞いてみてください。
利用開始までの流れ
手続きには順番があります。飛ばせません。
- 要介護認定を受ける|まだの場合は市町村の窓口へ。すでに認定を受けている方は次へ進みます。
- 担当ケアマネジャーに相談する|「リハビリを受けたい」「歩行が不安」など、目的を具体的に伝えます。
- 主治医に相談する|通所リハビリは医師が必要と認めた人が対象です。診療情報提供書などの書類が必要になります。
- 事業所を見学する|可能なら本人と一緒に。雰囲気、他の利用者の年齢層、リハビリの様子を見ます。
- 体験利用をする|多くの事業所が受け入れています。1回行ってみると、判断材料がまったく変わります。
- ケアプランに位置づけて契約する|曜日、時間、送迎の時刻を決めます。重要事項説明書で料金を確認します。
- 通所リハビリテーション計画の説明を受け、同意する|医師とリハ職が共同で作成する計画です。同意したうえで交付を受けます。
持ち物と服装
- 動きやすい服装|伸びる素材の上下。前開きの上着だと着替えが楽です
- 運動靴|かかとのある、脱ぎ履きしやすいもの。スリッパは転倒のもとです
- お薬手帳・服用中の薬|昼の薬がある方は必ず。日付ごとに分けておくと安心です
- 入浴道具|タオル、着替え一式、必要なら石けん類。すべてに記名を
- 連絡帳|事業所から渡されます。体調や気になることを書いておくと伝わります
- 飲み物|提供のある事業所も多いですが、好みのものがあれば持参を
- 介護保険証・負担割合証の写し|契約時に確認されます
必要なものは事業所によって異なります。契約時に一覧をもらってください。
利用前に知っておきたい5つのこと
- 1利用時間に送迎の時間は含まれません|「6時間以上7時間未満」は事業所にいる時間です。送迎を含めると拘束時間はもう少し長くなります
- 2個別リハビリの時間と頻度を確認する|毎回あるのか、週1回なのか、何分なのか。事業所によって差が大きい部分です
- 3リハビリは「集団」と「個別」で内容が違う|集団体操だけの日があるのかどうかを、見学のときに確認します
- 4合わなければ変更できる|曜日、時間、事業所そのものも変えられます。担当ケアマネジャーに伝えてください
- 5目標は具体的に伝える|「元気になりたい」より「玄関の段差を手すりなしで上がりたい」。具体的なほど計画に反映されます
ちびウルフそもそも「行きたくない」って言われたら、どうしたらいいの?
リハウルフまず理由を分けて聞いてください。「集団が苦手」なら短時間型、「入浴が嫌」なら入浴なしで契約、「知らない場所が怖い」なら体験利用。拒否の理由はたいてい具体的で、たいてい解決できます。「行きたくない」をひとかたまりで受け取ると、選択肢がなくなります。
通所リハビリを使うには医師の指示が必要ですか?
個別リハビリは毎回受けられますか?
お風呂だけ入りに行くことはできますか?
送迎はどこまで来てくれますか?
その日の体調が悪いときはどうなりますか?
途中で曜日や事業所を変えられますか?
- 通所リハビリは、主治医が必要と認めた人が対象で、老健・介護医療院・病院・診療所などで行われる(介護保険法第8条第8項)。
- デイサービスとの違いは、常勤医師の配置、PT・OT・STの配置(利用者100人につき1人以上)、医師の指示に基づく提供という点。
- 一日型の流れは、送迎→健康チェック→集団体操→入浴または個別リハ→昼食→口腔ケア→集団活動→自主トレ→おやつ→送迎。
- 個別リハビリの時間だけでなく、送迎時の歩行や食事の姿勢など、一日を通して評価されている。
- 短時間型(1〜2時間)はリハビリに絞った形で、食事も入浴もない。料金も抑えられる。
- 利用開始の順番は、要介護認定→ケアマネに相談→主治医に相談→見学→体験→契約→計画の説明と同意。
- 通所リハビリテーション計画は、医師とリハ職が共同で作成し、説明・同意のうえ利用者に交付することが省令で義務づけられている。
- 持ち物は、動きやすい服装、運動靴、薬、入浴道具、連絡帳など。記名を忘れずに。
- 「6時間以上7時間未満」などの利用時間に、送迎の時間は含まれない。
- 個別リハビリの頻度と時間は事業所差が大きい。見学時に必ず確認する。
- 曜日も時間も事業所も変更できる。合わないと感じたら早めにケアマネジャーへ。
- 目標は「元気になりたい」ではなく、具体的な生活動作で伝えると計画に反映されやすい。
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」(第8条第8項:通所リハビリテーションの定義)
- e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」(第111条:従業者の員数、第112条:設備に関する基準、第114条:具体的取扱方針、第115条:通所リハビリテーション計画の作成)
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(通所リハビリテーション費の時間区分)
※制度に関する記述は上記の法令・資料にもとづきます。条文は要旨として整理している箇所があり、正確な文言は原典をご確認ください。1日の流れ、短時間型の例、持ち物、見学時の確認事項に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく一例であり、事業所ごとに内容・時間・順番は大きく異なります。実際のプログラム、送迎範囲、持ち物、費用については、利用を検討している事業所の重要事項説明書と契約書をご確認ください。個別の相談は、担当ケアマネジャー、主治医、お住まいの市町村の介護保険担当課、地域包括支援センターへ。内容は2026年8月時点で確認できた情報です。

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