「理学療法士として働きたい気持ちはあるのに、履歴書の志望動機欄になると手が止まってしまう」——新卒でこう感じるのは、とても自然なことです。転職者と違ってアピールできる職務経験がまだないため、何を書けば採用担当者に響くのか、イメージがつかみにくいのですよね。

でも安心してください。新卒PTの志望動機は、実習で経験したこと・学生時代に学んだこと・その施設を選んだ理由を、決まった「型」に沿って組み立てれば、経験がなくてもしっかり熱意が伝わる文章になります。この記事では、採用側が見ているポイントから、そのまま参考にできる施設種別ごとの例文、やってしまいがちなNG例までを、現役の視点でまとめて解説します。

この記事でわかること
  • 新卒理学療法士の志望動機で採用側が本当に見ているポイント
  • そのまま使える志望動機の「基本の型」と構成の流れ
  • 急性期・回復期・生活期(訪問)・整形クリニック・老健の例文5本以上
  • 落ちやすいNG例と、その改善のしかた
  • 履歴書全体で気をつける点(誤字・自己PRとの書き分け・手書きかPCか)

新卒PTの志望動機で採用側が見ている4つのポイント

ちびウルフちびウルフ

新卒って経験がないのに、採用する人は志望動機のどこを見てるの?スキルもないのに書くことある…?

リハウルフリハウルフ

新卒に即戦力のスキルは期待していないよ。むしろ人柄・熱意・その施設を選んだ理由・長く働いてくれそうかという「これから」の部分を見ているんだ。だから経験がなくても十分アピールできるよ。

新卒の採用選考は、転職者の選考とは評価軸がまったく違います。採用担当者は「今できること」ではなく「入職後に伸びるか」「この施設に合うか」を見ています。具体的には、次の4つが大きなポイントです。

1. 人柄・コミュニケーション力

リハビリは、患者さんやご家族、多職種と関わりながら進める仕事です。技術は入職後に身につきますが、人との向き合い方の土台は学生時代までに育まれます。志望動機の言葉づかいや、実習でどう患者さんと関わったかのエピソードから、採用側はあなたの人柄を読み取ろうとしています。

2. 理学療法士という仕事への熱意

「なぜ数ある職業の中でPTを選んだのか」「これからどんなセラピストになりたいのか」。この熱意が伝わると、多少表現が拙くても好印象になります。国家資格を取ったその先に、どんな未来を描いているかを言葉にしましょう。

3. その施設を選んだ理由

ここが最重要です。どの施設にも当てはまる志望動機は、採用側にすぐ見抜かれます。「なぜ他ではなくこの施設なのか」を具体的に書けているかで、志望度の本気度が測られます。

4. 長く働いてくれそうか(定着性)

採用と教育にはコストがかかります。すぐ辞めない人か、その施設のリハビリ方針に共感しているかも見られています。「この分野で経験を積みたい」といった中長期の展望を添えると、定着イメージが伝わります。

ポイント 新卒に求められているのは完成度ではなく「伸びしろ」と「相性」。経験の薄さを気にしすぎず、人柄・熱意・志望理由を素直に言葉にすることが、いちばんの近道です。

志望動機の基本の型・構成の流れ

ちびウルフちびウルフ

いざ書こうとすると、どこから手をつけたらいいか分からなくて真っ白になっちゃう…。

リハウルフリハウルフ

志望動機には「型」があるんだ。この順番に沿って埋めていくだけで、自然と筋の通った文章になるよ。まずは型を覚えよう。

志望動機は、次の5つのブロックを順番に組み立てるだけで、読みやすく説得力のある文章になります。この流れに沿って書きましょう。

  1. 結論(志望する意思):まず「貴院を志望します」「〇〇の分野に携わりたい」と結論から書く。読み手が要点をすぐつかめる。
  2. きっかけ・原体験:PTを目指した理由や、その分野に興味を持った実習・体験を書く。あなたらしさが出る部分。
  3. その施設を選んだ理由:施設の理念・特色・取り組みに触れ、「なぜここなのか」を具体的に。志望動機の核。
  4. 入職後どう貢献したいか:どんな姿勢で学び、どう関わっていきたいかを書く。将来像を示す。
  5. 締め:「一日でも早く戦力になれるよう努力します」など、前向きな一文で結ぶ。

この5ブロックを1つずつ埋めていけば、迷わず一本の志望動機が完成します。特に③その施設を選んだ理由④入職後の貢献に、あなた自身の言葉と具体性を込めることが、他の応募者と差がつくポイントです。

注意 ①〜⑤をすべて同じ長さで書く必要はありません。結論と締めは短く、②きっかけと③施設を選んだ理由に文字数を厚く配分すると、メリハリのある読みやすい志望動機になります。

盛り込むと良い要素|経験がなくても書ける材料

ちびウルフちびウルフ

職務経験がないのに、②の「きっかけ」ってどんなことを書けばいいの?ネタがない気がする…。

リハウルフリハウルフ

新卒には新卒だけの「材料」があるよ。実習で見たこと、学校で学んだこと、患者さんとの関わりで感じたこと——これが立派なエピソードになるんだ。

「経験がないから書くことがない」と思いがちですが、新卒には次のような材料があります。志望動機に具体性を持たせるために、この中から自分に合うものを選んで盛り込みましょう。

志望動機に盛り込める材料
  • 臨床実習の経験:どんな患者さんを担当し、何を感じ、何を学んだか
  • 学生時代に力を入れた学び:ゼミ・卒業研究・得意な分野・勉強会への参加など
  • 患者さんとの関わりで感じたこと:回復に寄り添えた喜び、難しさに向き合った経験
  • その分野・領域を選んだ理由:なぜ急性期/回復期/訪問…に惹かれたのか
  • 家族の介護・自身のケガなど原体験:PTを志したきっかけになった出来事

ポイントは、事実を並べるだけでなく「そこで何を感じ、どう考えたか」まで書くことです。たとえば「回復期の実習に行った」だけでは弱く、「歩けなかった患者さんが退院時に杖歩行できるようになる過程に立ち会い、生活復帰まで支える回復期リハに強く惹かれた」と書けば、あなたの視点と熱意が伝わります。

施設種別ごとの志望動機・例文5選

ちびウルフちびウルフ

実際の例文が見たい!応募先によって書き方って変わるものなの?

リハウルフリハウルフ

変わるよ。施設によって役割やリハの目的が違うから、その特色に合わせて「選んだ理由」を書き分けるのが大事なんだ。5つの例文を用意したから、自分の言葉に置き換えて使ってね。

ここからは、代表的な5つの施設種別ごとに志望動機の例文を示します。そのまま丸写しはせず、あなた自身の実習経験や思いに置き換えて使ってください。

例文①:急性期病院

急性期は、発症・術後すぐの患者さんに関わり、早期離床やリスク管理が求められる領域です。

例文(急性期) 貴院を志望したのは、発症直後の患者さんに寄り添い、回復の最初の一歩を支える急性期リハビリに携わりたいと考えたからです。臨床実習で術後翌日の患者さんの離床に立ち会い、リスク管理をしながら少しずつ動ける範囲を広げていく過程に、大きなやりがいを感じました。多職種が密に連携し、幅広い疾患を経験できる貴院の環境は、セラピストとしての基礎を築くうえで最適だと考えています。学ぶ姿勢を忘れず、一日でも早く安全なリハビリを提供できるよう努力してまいります。

例文②:回復期リハビリテーション病棟

回復期は、生活復帰を目標にじっくり患者さんと関わる領域です。

例文(回復期) 私が貴院を志望したのは、患者さんの「もう一度自分らしく生活したい」という思いに、時間をかけて寄り添える回復期リハビリに魅力を感じたからです。実習で担当した患者さんが、歩行が難しい状態から自宅退院を目指して前向きに取り組む姿に立ち会い、生活の再建まで伴走できるこの領域で働きたいと強く思いました。チームでの目標設定を大切にされ、在宅復帰に力を入れておられる貴院で、患者さんの人生に寄り添えるセラピストを目指したいと考えています。

例文③:生活期(訪問リハビリ)

訪問は、利用者さんの自宅=生活の場でリハビリを行い、暮らしを支える領域です。

例文(生活期・訪問) 貴事業所を志望したのは、利用者さんが実際に暮らす環境で、その人らしい生活の継続を支える訪問リハビリに携わりたいと考えたからです。実習で在宅の場面を見学した際、病院とは違い「生活そのもの」がリハビリの目標になることに気づき、住み慣れた家で暮らし続けたいという思いを支える仕事に強く惹かれました。地域に根ざし、多職種と連携しながら在宅生活を支えておられる貴事業所で、利用者さんとご家族に信頼される理学療法士になりたいと考えています。

例文④:整形外科クリニック

整形クリニックは、運動器疾患やスポーツ障害など、外来リハビリが中心の領域です。

例文(整形クリニック) 私が貴院を志望したのは、運動器のリハビリを通じて、患者さんが痛みなく日常やスポーツに復帰していく過程を支えたいと考えたからです。学生時代に運動器系の分野に強い関心を持ち、実習でも整形外科領域で評価と運動療法を学び、機能改善が生活の質に直結することを実感しました。外来で幅広い年代・疾患の患者さんと関わり、丁寧なリハビリを提供しておられる貴院で、確かな評価技術を身につけ、患者さんに寄り添える理学療法士を目指したいと考えています。

例文⑤:老健・介護施設

老健や介護施設は、在宅復帰支援や生活機能の維持・向上を担う領域です。

例文(老健・介護施設) 貴施設を志望したのは、ご高齢の利用者さんの生活機能を維持・向上させ、その人らしい暮らしを支えるリハビリに携わりたいと考えたからです。実習で高齢者施設を経験した際、日々の小さな「できた」の積み重ねが利用者さんの表情を明るくする様子に触れ、生活に密着したリハビリのやりがいを感じました。在宅復帰支援や多職種でのチームケアに力を入れておられる貴施設で、利用者さん一人ひとりに寄り添い、長く信頼される理学療法士として成長していきたいと考えています。
注意 どの例文も、下線を引くように「その施設を選んだ理由」を自分の実習・見学体験に置き換えることで、一気にオリジナル度が上がります。理念や特色は各施設のホームページで必ず確認しましょう。

落ちやすい志望動機のNG例と改善

ちびウルフちびウルフ

逆に「これはやめとけ」っていうNGな志望動機ってあるの?知らずに書いてたら怖い…。

リハウルフリハウルフ

あるよ。給料・休みが目当て/使い回し/抽象的すぎ——この3つは特に印象を悪くしがち。でも直し方も一緒に覚えれば大丈夫だよ。

次のような志望動機は、採用担当者にマイナスの印象を与えやすいものです。当てはまっていないか、改善例とあわせて確認しましょう。

NGパターンなぜ良くないか改善の方向
給料や休日など待遇が目当て「条件が良ければどこでもいい」と受け取られる待遇には触れず、仕事内容・理念への共感を軸にする
どこにでも出せる使い回しその施設を選んだ理由がなく、志望度が低く見える施設独自の理念・特色・取り組みに具体的に触れる
「頑張ります」だけの抽象的な内容熱意はあっても、根拠となる体験がなく薄い実習の具体的なエピソードで熱意を裏づける
NG例 → 改善例

NG:「貴院の理念に共感し、志望しました。患者さんのために一生懸命頑張りたいと思います。」(抽象的で、どの施設にも出せてしまう)

改善:「実習で貴院の『退院後の生活を見据えたリハビリ』という方針に触れ、退院時に自宅での動作まで確認する関わりに感銘を受けました。私も生活を見据えたリハビリを提供できるセラピストを目指したく、志望しました。」(体験+施設の具体的特色で説得力が出る)

ポイントは、抽象的な言葉を、必ず具体的なエピソードや施設の特色で裏づけること。この一手間で、志望動機の印象は大きく変わります。

履歴書全体で気をつける点

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志望動機以外に、履歴書全体で気をつけることってある?

リハウルフリハウルフ

あるよ。せっかく志望動機が良くても、誤字脱字があると台無し。あとは志望動機と自己PRの書き分け、手書きかPCか、この3つを押さえておこう。

誤字脱字・修正のルール

誤字脱字は「注意力に欠ける」という印象につながります。書き終えたら必ず声に出して読み返し、可能なら第三者にも確認してもらいましょう。手書きの場合、修正液・修正テープは使わず、間違えたら新しい用紙に書き直すのが基本です。

志望動機と自己PRの書き分け

この2つは役割が違います。混同すると内容が重複してしまうので、次のように整理しましょう。

項目書く内容視点
志望動機なぜこの施設を選んだか・入職後どうしたいか「施設」に向いた視点
自己PR自分の強み・長所・それを裏づける経験「自分」に向いた視点

志望動機は「施設への矢印」、自己PRは「自分の紹介」と覚えると書き分けやすくなります。

手書きかPCか

近年はPC作成でも問題ない施設が増えていますが、募集要項に「手書き」の指定がある場合はそれに従います。指定がなければ、丁寧に書けるならどちらでもよいと考えて構いません。手書きは丁寧さや人柄が伝わりやすく、PCは読みやすく修正も容易です。迷ったら、応募先の指示を最優先しましょう。

ポイント 提出前チェックは「①誤字脱字はないか ②志望動機と自己PRが重複していないか ③施設ごとに書き分けているか」の3点。この確認を習慣にするだけで、完成度がぐっと上がります。

実践|志望動機を自分の言葉に落とし込むコツ

ちびウルフちびウルフ

例文は分かったけど、これを自分の言葉にするのが難しそう…どうすればいい?

リハウルフリハウルフ

いきなり文章を書こうとせず、先に「材料集め」をするのがコツだよ。手順に沿ってメモを作れば、あとは型に流し込むだけで自分だけの志望動機になるんだ。

例文を丸写しにしないためには、書き始める前の「自己分析メモ」が効果的です。次の手順で進めてみましょう。

  1. PTを目指した理由を書き出す:原体験・きっかけを箇条書きで洗い出す。
  2. 実習で心が動いた場面を思い出す:どんな患者さん・どんな瞬間に「いいな」と感じたかをメモする。
  3. 応募先の理念・特色を調べる:ホームページや募集要項を読み、共感できる点を抜き出す。
  4. 「自分の体験」と「施設の特色」をつなぐ:自分が感じたことと施設の方針が重なる部分を見つける。
  5. 基本の型に流し込む:結論→きっかけ→施設を選んだ理由→貢献→締め、の順に文章化する。

特に④の「自分の体験と施設の特色をつなぐ」作業が、オリジナルの志望動機を生むカギです。あなたが感じたことは、世界に一つだけの材料。そこに施設の特色を重ねれば、使い回しでは決して書けない、あなただけの志望動機になります。

注意 面接では、履歴書に書いた志望動機を深掘りされます。「なぜそう思ったのか」を自分の言葉で説明できるよう、丸暗記ではなく、体験に基づいて書いておくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

ちびウルフちびウルフ

細かいところで気になることがまだあるんだよね…。

リハウルフリハウルフ

新卒さんからよく聞かれる質問をまとめたよ。一つずつ確認していこう。

実習に行っていない施設の志望動機はどう書けばいい?
実習経験がなくても大丈夫です。ホームページや募集要項でその施設の理念・特色を調べ、「共感できる点」と「PTを目指したきっかけ」「その分野に惹かれた理由」を結びつけて書きましょう。見学や説明会に参加できれば、その場で感じたことを盛り込むと具体性が出ます。
志望動機は何字くらいが目安?
履歴書の欄の大きさにもよりますが、一般的な履歴書なら200〜300字程度が目安です。欄いっぱいに書く必要はありませんが、極端に短いと熱意が伝わりにくくなります。欄の8割ほどを目安に、要素を詰め込みすぎず読みやすくまとめましょう。
自己PRとの違いがよく分かりません
志望動機は「なぜこの施設を選んだか(施設に向けた矢印)」、自己PRは「自分の強みは何か(自分の紹介)」です。志望動機に自分の長所を書きすぎると自己PRと重複するので、志望動機では施設への思いと入職後の展望を中心にしましょう。
履歴書は手書きが必須ですか?
必須ではありません。募集要項に「手書き」の指定がある場合はそれに従い、指定がなければPC作成でも問題ない施設が増えています。手書きは丁寧さが、PCは読みやすさが伝わります。どちらにせよ丁寧に仕上げることが大切です。
志望動機の使い回しはバレますか?
バレます。採用担当者は多くの履歴書を見ているため、「どの施設にも出せる内容」はすぐ分かります。特に「その施設を選んだ理由」が抽象的だと使い回しと判断されやすいので、施設ごとに理念・特色に触れた文章を用意しましょう。型は共通でも、中身は施設ごとに書き分けるのが鉄則です。
まとめ
  • 新卒PTの志望動機で採用側が見るのは「人柄・熱意・その施設を選んだ理由・定着性」の4点。経験の薄さは気にしなくてよい。
  • 基本の型は「結論→きっかけ→その施設を選んだ理由→入職後の貢献→締め」。この順に埋めれば筋の通った文章になる。
  • 実習経験・学んだこと・患者さんとの関わり・分野を選んだ理由が、新卒ならではの立派な材料になる。
  • NGは「待遇目当て・使い回し・抽象的すぎ」。具体的な体験と施設の特色で必ず裏づける。
  • 誤字脱字に注意し、志望動機と自己PRを書き分け、施設ごとにオリジナルの志望動機を用意しよう。
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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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