【目的別】言語聴覚士に人気の絵カードおすすめ7選と選び方

「言語聴覚士として絵カードを使いたいけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない」——そんな声をよく聞きます。語彙を増やすカード、発音を引き出すカード、生活習慣を学ぶカードなど、絵カードは目的によって向き・不向きがはっきり分かれます。やみくもに買うと「現場で使わない一式」になりがちです。
この記事では、訪問・施設・病院・特別支援の現場を見てきた立場から、言語聴覚士(ST)はもちろん、ご家庭で言語訓練に取り組む保護者の方にも使いやすい絵カード教材を、目的別に7つ厳選して紹介します。選び方のポイントと現場での使い方もセットで解説するので、買ったその日から活用できます。
- 言語聴覚士・保護者が絵カードを選ぶときに外せない5つのポイント
- 「語彙・発音・生活・社会性・総合」の目的別おすすめ絵カード7選
- 絵カードを使った具体的な進め方とつまずきやすいポイント
- 子ども・高齢者それぞれで使うときの注意点とよくある質問
そもそも、なぜ言語訓練に「絵カード」が効くのか
ちびウルフ絵カードって、ただ見せて名前を言わせるだけじゃないの?
リハウルフそれも大事な使い方だけど、絵カードの本当の強みは「ことばを目で見える形にできる」ことなんだ。耳からのことばは消えてしまうけど、絵カードなら何度でも確認できるんだよ。
ことばはふだん「音」として流れていくため、聞き取りや記憶が苦手な人にとっては手がかりが残りません。話しことばは発した瞬間に消えてしまい、「もう一度確認する」ことができないのです。絵カードは、そのことばを「見える」「触れる」「並べられる」形に変えるツールです。視覚的な手がかりがあることで、語彙の定着、発音の模倣、文の組み立て、やりとりの練習までを一枚から広げられます。手元に絵が残るからこそ、本人のペースで何度でも見直し、考え、答えることができます。
言語聴覚士の臨床では、語彙獲得期の小児だけでなく、失語症や認知症のある高齢者の言語訓練でも絵カードは定番教材です。呼称(名前を言う)課題、分類課題、二語文づくり、回想を促す会話のきっかけなど、対象や目的を変えるだけで幅広く応用できるのが最大の魅力です。一枚のカードが、語彙訓練の道具にも、会話のきっかけにも、記憶や注意のリハビリにもなる——この汎用性の高さが、長年にわたって絵カードが現場で使われ続けている理由です。
また、絵カードには「成功体験を作りやすい」という心理面のメリットもあります。話すことに苦手意識がある人でも、指でさす・選ぶ・まねるといったハードルの低い反応から始められるため、「できた」という実感を積み重ねやすいのです。この小さな成功の積み重ねが、もっと話したい・関わりたいという意欲につながっていきます。
言語聴覚士・保護者が失敗しない絵カードの選び方5つ
ちびウルフたくさんありすぎて、どれも同じに見えちゃう…。選ぶコツはあるの?
リハウルフ「目的・絵の見やすさ・量・耐久性・使い回しやすさ」の5点で見ると失敗しないよ。下の表にまとめたから参考にしてね。
絵カードは値段の高さより「目的に合っているか」がすべてです。次の5つの観点で選ぶと、現場でも家庭でも長く使える一式になります。
| 選び方の軸 | チェックする点 |
|---|---|
| ① 目的に合うか | 語彙拡充・発音・生活動作・社会性など、何を伸ばしたいかとカードのねらいが一致しているか |
| ② 絵の見やすさ | 余計な背景がなく、何の絵か一目で分かるシンプルなイラストか。高齢者には大きめ・はっきりが◎ |
| ③ 収録量と幅 | 身近な語彙が十分入っているか。少なすぎるとすぐ飽き、多すぎると使いこなせないことも |
| ④ 耐久性・サイズ | 厚紙・ラミネート加工など繰り返し使えるか。持ち運ぶなら手のひらサイズが扱いやすい |
| ⑤ 応用のしやすさ | まねっこ・分類・二語文・ゲームなど、一つの教材を複数の使い方に広げられるか |
【目的別】言語聴覚士におすすめの絵カード7選
ちびウルフ結局どれを買えばいいの?目的ごとにおすすめを教えて!
リハウルフ「語彙・発音・生活・社会性・総合」の5テーマで分けて選んだよ。まず伸ばしたい目的から見ていこう。
ここからは目的別に7つの教材を紹介します。順番はランキングではなく「伸ばしたい力」で並べています。気になる目的のところから読み進めてください。
《語彙を増やす》1. ことば絵カード100
名詞・動詞など身近なことば100語をカバーする定番のカード教材です。1枚1語のシンプルな構成で、呼称(名前を言う)課題や仲間分け、二語文づくりまで幅広く使えます。「まず1セット持っておきたい基礎教材」を探しているSTや保護者に最適。語彙の土台づくりに迷ったら、ここから始めると間違いがありません。
余計な装飾の少ないシンプルな絵柄なので、小児の語彙獲得だけでなく、失語症のある高齢者の呼称訓練にも応用しやすいのが特長です。「食べ物だけ集める」「動きを表すことばを選ぶ」など分類の軸を変えれば、一セットで何通りもの課題が作れます。こんな方におすすめ:はじめての一セットを探している人、汎用性の高い基礎カードがほしい人。
《語彙を増やす》2. カモさんのイラストカードまるごとBOOK
やさしいタッチのイラストが大量に収録された一冊。コピーして使えるタイプなので、対象者に合わせてカードを自作・カスタマイズしたい人にぴったりです。季節・行事・生活場面など幅広いテーマがそろい、自分の現場専用のオリジナル絵カードセットを作れるのが強み。一冊で何通りもの教材に化けるコスパの良さも魅力です。
必要なイラストだけを選んで印刷・ラミネートすれば、対象者の興味や課題にぴたりと合う教材が用意できます。市販の完成カードでは「ちょうどいい一枚」が見つからない場面でも、この一冊があれば柔軟に対応可能。スケジュール表や手順表づくりにも流用でき、療育・支援の現場で重宝します。こんな方におすすめ:自作派のST・支援者、コストを抑えて教材を充実させたい人。
《発音を引き出す》3. 絵をみてまねっこ!いっしょにできたね おしゃべりカード
口の動きや音まねを「まねっこ」で引き出すことに特化したカードです。発語がまだ少ないお子さんや、音まね・口形模倣から始めたいケースで活躍します。楽しく声を出す流れを作れるので、「発語のいちばん最初の一歩」を後押ししたいときに頼れる一冊。家庭での親子の遊びにもそのまま使えます。
「正しく言わせる」前段階として、大人のまねをして声を出す・口を動かすことそのものを楽しめる構成になっています。やりとりの土台となる「模倣する力」を育てたいときに最適で、まだことばが出ていないお子さんへの最初の関わりとしても取り入れやすいでしょう。こんな方におすすめ:発語前・発語が少ないお子さんを支援する人、音まねから始めたい家庭。
《発音を引き出す》4. あそびカード ことばを育てる 発音を視覚化!語彙が増える!
PriPriパレットの支援ツールシリーズで、発音を「目で見える形」にしながら遊びの中でことばを育てる工夫が詰まっています。発音の手がかりが視覚的に得られるため、構音(発音)にアプローチしたいSTに好相性。ゲーム感覚で取り組めるので、机に向かうのが苦手なお子さんでも続けやすいのがメリットです。
発音は耳だけでは捉えにくいものですが、視覚化することで「どこをどう動かすか」のイメージが持ちやすくなります。あそびの中で自然に語彙も増えるよう設計されているため、「訓練」という構えなく取り組めるのも魅力。集中が続きにくいお子さんとのセッションで、楽しさを保ちながらねらいを達成したいときに役立ちます。こんな方におすすめ:構音にアプローチしたいST、遊びながら続けたい家庭。
《生活習慣を学ぶ》5. せいかつ絵カードずかん ことばと習慣がぐんぐん育つ!
食事・着替え・歯みがきなど、毎日の生活動作と結びついたことばを学べる教材です。実生活に直結する語彙なので汎化(覚えたことばを日常で使えるようになること)しやすく、「ことば+生活習慣」を同時に育てたいときに最適。療育・家庭はもちろん、生活動作の確認が必要な高齢者の支援にも応用できます。
覚えたことばが「実際の生活の中で使えるか」は言語訓練の大きなテーマです。生活場面そのものを題材にしたこの教材なら、カードで学んだことばがそのまま日々の行動につながりやすくなります。手順表として活用すれば、身辺自立の支援にも役立つでしょう。こんな方におすすめ:生活動作とことばを結びつけたい人、日常で使えることばを増やしたい家庭。
《社会性・ルールを学ぶ》6. 発達支援 新版 絵カード⑥ ルール・約束
「順番を守る」「貸してと言う」など、社会的なルールや約束を絵で具体的に示せるカードです。抽象的で伝わりにくいルールを、場面ごとに「見える化」して説明できるのが大きな価値。ことばだけでは理解が難しいお子さんへの社会性支援や、集団生活への橋渡しに役立ちます。SST(ソーシャルスキルトレーニング)の導入にも。
「ダメ」「ちゃんとして」といった言葉だけの注意は、本人に伝わりにくいもの。望ましい行動を絵で示すことで、何をどうすればよいかが具体的に理解できます。園や学校での集団生活、家庭でのきょうだい間のやりとりなど、社会的な場面でのつまずきをやさしくサポートします。こんな方におすすめ:社会性・ルール理解を支援したい人、集団生活への準備をしたい家庭。
《意欲を引き出す総合教材》7. 特別支援教育 「話したい!」をひきだす わくわく♪ことば教材
「正しく言わせる」より「話したい気持ちを引き出す」ことを重視した教材です。子ども自身が思わず声を出したくなる仕掛けが多く、発話への意欲づくりや支援の入り口づくりに向いています。関わりの最初に「楽しい」と思ってもらうことを大切にしたいSTや特別支援の先生におすすめの一冊です。
どんなに優れた訓練法も、本人が「やりたい」と思えなければ続きません。この教材は、その「話したい」という内側からの意欲に火をつけることをねらいにしています。支援の初回や、これまで机上課題を嫌がってきたお子さんとの関係づくりの第一歩としても取り入れやすい構成です。こんな方におすすめ:発話への意欲を引き出したい人、楽しさ重視で関わりを始めたい支援者。
あわせて使いたい関連アイテム
ちびウルフカードのほかに、用意しておくと便利なものはある?
リハウルフカードを長く使うための保護・整理グッズがあると、現場での持ち回りがぐっと楽になるよ。
絵カードは繰り返し使う消耗の激しい教材です。次のようなアイテムを併用すると、衛生面・耐久面で安心して使い続けられます。
- ラミネートフィルム/ラミネーター:自作カードやコピー教材を保護し、アルコール清拭にも対応しやすくなります。
- カードリング・名刺ケース:テーマ別に束ねて持ち運べ、訪問先でもサッと取り出せます。
- 仕切り付き収納ボックス:語彙・発音・生活などカテゴリ別に整理すると、目的のカードをすぐ選べます。
絵カードを使った言語訓練の進め方
ちびウルフ買ったあと、どんな順番で使えばいいのか不安…。
リハウルフいきなり「言って」と求めず、見る→指さす→まねる→言う、と段階を踏むのがコツだよ。
絵カードは渡し方ひとつで効果が変わります。発達段階や状態に合わせ、次のステップで少しずつ難易度を上げていきましょう。
- カードを見て注目できるか確認する(まずは興味のある絵から)
- 「○○はどれ?」と指さしで選んでもらう(理解面のチェック)
- 口の動きや音をまねてもらう(模倣・発声の練習)
- カードの名前を自分で言う(呼称・発話の練習)
- 2枚並べて「○○と○○」など文や会話に広げる(表出・やりとり)
絵カードの効果をさらに高める3つのコツ
ちびウルフせっかく使うなら、もっと効果を引き出すコツを知りたい!
リハウルフ「枚数を絞る・生活とつなげる・遊びに変える」の3つを意識するだけで、定着のしやすさがぐっと変わるよ。
同じ絵カードでも、ちょっとした工夫で学びの定着度は大きく変わります。現場で効果を実感しやすい3つのコツを紹介します。
①一度に出す枚数を絞る——たくさん見せたくなりますが、欲張ると注意が散り、どれも中途半端になりがちです。まずは数枚に絞り、確実に「分かった・言えた」を作ってから少しずつ増やすほうが定着します。
②生活の場面とつなげる——カードで覚えたことばは、実際の食事や着替えの場面で「これ、カードにあったね」と声をかけると一気に定着します。学びを机の上だけで終わらせず、日常の中で再会させることが汎化のカギです。
③遊びに変えて繰り返す——かるた、神経衰弱、お店屋さんごっこなど、ゲームの形にすると同じことばに自然と何度も触れられます。「やらされる訓練」ではなく「やりたい遊び」になることで、継続の力が大きく変わります。
子ども・高齢者で使うときのポイント
ちびウルフ同じ絵カードでも、子どもと高齢者で使い方は変わるの?
リハウルフねらいが違うんだ。子どもは「新しいことばを覚える」、高齢者は「もともと知っていることばを思い出す・引き出す」が中心になることが多いよ。
絵カードは対象者によって「ねらい」と「見せ方」を変えると効果が高まります。同じ教材でも、相手に合わせた工夫ひとつで使いやすさが大きく変わります。
小児(発達を支援する場面)では、新しい語彙の獲得や発音・やりとりの土台づくりが中心になります。興味を持てる絵から始め、遊びの要素を取り入れて「楽しい」と感じてもらうことが続けるコツです。1回に出す枚数を絞り、できたことを具体的にほめると、自信と意欲が育ちます。キャラクターやカラフルな絵が好まれやすいのもこの年代の特徴です。
高齢者(失語症・認知症などの場面)では、すでに知っていることばを「思い出す・引き出す」ことが中心になります。絵が大きく、背景がシンプルで見やすいカードを選ぶこと、そして生活になじみのある身近な題材を使うことが大切です。正解を急がせず、本人のペースを尊重し、思い出話や会話が広がるきっかけとして使うと、表情が和らぎ自発的な発話が増えることがあります。
よくある質問(FAQ)
絵カードは何歳ごろから使えますか?
高齢者の言語訓練にも使えますか?
市販のカードと自作、どちらがいいですか?
子どもがすぐ飽きてしまいます。どうすれば?
言語聴覚士でなくても家庭で使って大丈夫ですか?
絵カードは何枚そろえればいいですか?
市販カードを衛生的に使い回すには?
- 絵カードは「ことばを見える化」し、語彙・発音・生活・社会性まで幅広く伸ばせる定番教材。
- 選ぶときは「目的・見やすさ・収録量・耐久性・応用のしやすさ」の5点をチェック。
- まず基礎はことば絵カード100、自作派はカモさんのイラストカードまるごとBOOKが使いやすい。
- 発音は「おしゃべりカード」「あそびカード」、生活習慣は「せいかつ絵カードずかん」、社会性は「ルール・約束」、意欲づくりは「わくわく♪ことば教材」と目的で選ぶ。
- 「言わせる」より「やりとりを楽しむ」。できた部分をほめながら段階的に進めるのが上達の近道です。
※ 商品情報・価格は変動します。最新の内容は各販売ページでご確認ください。本記事は教材選びの一般的な情報であり、診断・治療を目的とするものではありません。発達・言語に心配がある場合は言語聴覚士など専門職にご相談ください。











