介護度が上がるとどうなる?メリット・デメリットをわかりやすく解説

「親の介護度が上がりそう」「区分変更の更新で要介護2から3になった」——そんなとき、多くのご家族が不安に感じるのが「介護度が上がると、いったい何が変わるの?」という点です。介護度(要介護度)が上がると、使えるサービスが増える一方で、自己負担や入れる施設の条件など、思わぬところにも影響が出ます。
この記事では、介護度が上がると具体的に何がどう変わるのかを、メリット・デメリットの両面から、現場のケアマネジャー・リハビリ職の視点でやさしく解説します。区分支給限度額の最新の数字や、介護度を上げる(区分変更する)ときの注意点までまとめましたので、ご家族の判断材料にしてください。
- そもそも「介護度が上がる」とはどういうことか
- 介護度が上がるメリット(使えるサービス量・選べる施設が増える など)
- 介護度が上がるデメリット(自己負担・心理面 など)
- 要介護度ごとの区分支給限度額(最新の数字)
- 「区分変更申請」で介護度を見直す方法と注意点
「介護度が上がる」とはどういうこと?
介護度(要介護度)とは、その人がどのくらい介護を必要とするかを示す区分です。軽い方から要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の7段階に分かれ、数字が大きいほど介護の必要度が高いことを意味します。区分は、心身の状態をもとに算出される「要介護認定等基準時間」などを参考に、介護認定審査会が判定します。
「介護度が上がる」とは、たとえば要介護2から要介護3へ、より重い区分に認定し直されることを指します。心身の状態が変化したときには、更新認定や区分変更申請を通じて見直されます。介護度が上がると、受けられるサービスの「上限」や「入れる施設の条件」などが変わります。
ちびウルフ介護度が上がるのって、悪いことばかりじゃないの?
リハウルフそう、実はメリットもデメリットもあるんだ。状態に見合った介護度になれば、必要な支援をきちんと受けられるようになる。まずは良い面から見ていこう。
介護度が上がるメリット
メリット1:使えるサービスの上限(区分支給限度額)が増える
介護保険では、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限(区分支給限度額)が決まっています。介護度が上がるとこの上限が増えるため、訪問介護・デイサービス・訪問看護・訪問リハビリなどをより多く利用できるようになります。介護が大変になってきた家庭では、これは大きな助けになります。
区分支給限度額は「単位」で定められ、1単位はおおむね10円(地域・サービスにより異なる)で計算します。最新の上限額は次のとおりです。
| 要介護度 | 区分支給限度額(月) | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 約10,531円 |
| 要介護1 | 167,650円 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 約36,217円 |
※1単位10円で計算した目安です。実際は地域区分やサービス種類で単価が変わります。限度額を超えた分は全額自己負担になります。(出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット/厚生労働省)
メリット2:入れる施設・使えるサービスの選択肢が広がる
介護度が上がると、利用できるサービスや施設の幅も広がります。代表的なのが特別養護老人ホーム(特養)で、原則として要介護3以上の方が対象です。要介護2以下では原則入れない(特例を除く)ため、要介護3になることで特養という選択肢が現実的になります。
メリット3:状態に見合った加算・支援が受けやすくなる
介護度が上がると、より手厚いケアプランを組みやすくなります。福祉用具のレンタル対象が広がる(介護ベッドや車いすなど)こともあり、必要な支援を必要なだけ受けられるようになるのは大きな利点です。
介護度が上がるデメリット
ちびウルフサービスがたくさん使えるなら、デメリットなんてあるの?
リハウルフあるんだ。一番大きいのはお金の面。サービスを多く使えば、その分だけ自己負担も増えるからね。
デメリット1:自己負担が増えやすい
区分支給限度額が増えても、サービスを使えば原則1割(所得により2〜3割)の自己負担が発生します。上限が増えてたくさん使うほど、毎月の支払いも増えます。また、施設サービスでは介護度が上がると介護サービス費そのものが上がる仕組みのため、施設利用料が増えることもあります。
たとえば在宅で要介護2から要介護3に上がった場合、区分支給限度額は月197,050円から270,480円へと大きく増えます。これにより訪問介護やデイサービスを増やせる一方、1割負担の方であれば限度額いっぱいまで使うと自己負担も月約2万円から約2.7万円へと増えていきます。「サービスを増やせる」ことと「負担が増える」ことは表裏一体だという点は、ケアプランを考えるうえで押さえておきたいポイントです。
デメリット2:本人・家族の心理的な負担
介護度が上がること自体は、心身の状態が以前より低下したことを意味する場合が多く、本人やご家族にとってショックなこともあります。とくに本人が「自分はそんなに悪くない」と感じている場合、認定結果を受け入れにくいことがあります。
デメリット3:要支援から要介護に変わるとサービスの枠組みも変わる
要支援から要介護に上がると、利用するサービスの体系(介護予防サービス→介護給付)や担当する窓口が変わることがあります。要支援の方の一部のサービスは市区町村の「総合事業」で提供されており、移行にあたって担当者や手続きが変わる点は知っておくとよいでしょう。
介護度を見直したいとき|区分変更申請の方法
「明らかに状態が悪くなったのに介護度が実態に合っていない」と感じたら、更新を待たずに区分変更申請で見直しを求めることができます。手順は次のとおりです。
- 担当のケアマネジャー、または市区町村の介護保険窓口に相談する
- 区分変更申請書を市区町村に提出する(ケアマネが代行できる場合が多い)
- 認定調査員による訪問調査と、主治医意見書の作成が行われる
- 介護認定審査会で判定され、原則として申請から約30日で結果が通知される
- 新しい介護度に合わせてケアプランを見直し、サービスを調整する
専門職の視点|「上げること」より「実態に合うこと」が大切
ご家族から「介護度を上げてほしい」とご相談を受けることはよくあります。気持ちはとてもよく分かりますが、私たち専門職が大切にしているのは「介護度を上げること」そのものではなく、本人の実態に合った区分になることです。実態に合った介護度であれば、必要なサービスを過不足なく受けられます。
一方で、リハビリや適切なケアによって状態が改善し、介護度が下がる(軽くなる)ことも本来は望ましいことです。介護度が下がると使えるサービス量は減りますが、それは「自立に近づいた」という前向きな変化でもあります。数字の上下だけにとらわれず、本人が安心して、その人らしく暮らせる状態を一緒に目指していくことが何より重要です。日々の様子で「以前と変わった」と感じたら、遠慮なくケアマネジャーに伝えてください。それが適切な見直しの第一歩になります。
よくある質問(FAQ)
介護度が上がると、必ず費用が高くなりますか?
要介護3にならないと特養には入れませんか?
区分変更申請をすると、必ず介護度は上がりますか?
介護度が下がるのは悪いことですか?
更新認定の結果に納得できない場合はどうすればいいですか?
- 介護度が上がると、区分支給限度額(使えるサービスの上限)が増える
- 要介護3以上になると特養など選べる施設・サービスの幅が広がる
- 一方で、サービスを多く使えば自己負担も増えやすい(高額介護サービス費で払い戻しあり)
- 本人・家族の心理的負担や、サービス体系の変更といった面もある
- 状態が実態に合わないときは「区分変更申請」で見直せる(必ず上がるとは限らない)
- 大切なのは「上げること」より「実態に合うこと」。変化を感じたらケアマネジャーへ相談を
出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「介護保険の支給限度額とは」、厚生労働省 介護報酬関連資料、各市区町村介護保険担当ページ




