「親の介護が在宅では限界かもしれない」「いざ施設を探そうとしたら、特養・有料・サ高住…種類が多すぎて違いが分からない」——。いざ施設探しを始めると、まず最初にこの壁にぶつかる方がとても多いです。

この記事では、訪問リハビリ・訪問看護の現場で多くのご家族の相談を受けてきた視点から、老人ホーム・介護施設の種類と、後悔しない選び方を一覧表つきで分かりやすく整理しました。読み終えるころには「うちの場合はどのタイプを軸に探せばいいか」が見えてくるはずです。

この記事でわかること
  • 老人ホーム・介護施設の主な種類と、それぞれの特徴の違い
  • 「公的施設」と「民間施設」で何が変わるのか
  • 要介護度・医療ニーズ・予算からの施設の選び方
  • 失敗しないための見学・比較のポイント

老人ホーム・介護施設には大きく分けて7種類ある

ひとくちに「老人ホーム」と言っても、運営主体や入居条件、費用は施設タイプによって大きく異なります。まずは全体像を一覧表でつかみましょう。

ちびウルフちびウルフ

種類が多すぎて、どこから見ればいいか分からないよ…!

リハウルフリハウルフ

大丈夫だよ。まずは「公的施設」か「民間施設」かで分けると一気に整理しやすくなるんだ。

種類区分主な対象費用の目安
特別養護老人ホーム(特養)公的原則 要介護3以上初期費用なし/月額9〜15万円前後
介護老人保健施設(老健)公的要介護1以上・在宅復帰を目指す方初期費用なし/月額10〜20万円前後
介護医療院公的長期の医療+介護が必要な方初期費用なし/月額10〜20万円前後
介護付き有料老人ホーム民間自立〜要介護まで幅広く入居一時金0〜数千万円/月額15〜35万円前後
住宅型有料老人ホーム民間自立〜軽中度の要介護入居一時金0〜数百万円/月額12〜25万円前後
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)民間自立〜軽度の要介護(60歳以上)敷金数万〜数十万円/月額10〜25万円前後
グループホーム民間(地域密着)認知症の診断がある要支援2以上入居一時金0〜数十万円/月額12〜18万円前後
ポイント費用はあくまで全国的な目安です。同じ「有料老人ホーム」でも、立地や居室の広さ、サービス内容で月額は大きく変わります。最終的には必ず複数施設の見積もりで比較しましょう。

公的施設(特養・老健・介護医療院)の特徴

地方公共団体や社会福祉法人などが運営する公的施設は、費用が比較的おさえられ、入居一時金が不要なのが大きな魅力です。ただし、その分だけ申し込みが集中し、入居までに時間がかかる傾向があります。

特別養護老人ホーム(特養)

常時介護が必要で、自宅での生活が難しくなった方の「生活の場(終のすみか)」となる施設です。原則として要介護3以上が対象で、看取りまで対応する施設も多くあります。費用が安いため人気が高く、地域や施設によっては入居待ちが発生することもあります。

介護老人保健施設(老健)

病院を退院した後など、リハビリをして在宅復帰を目指すための施設です。施設長は医師であることが定められており、看護師も配置されています。あくまで「在宅復帰」が目的のため、原則として長期の入居(終身利用)には向きません。リハビリ職としては、退院直後の生活機能の立て直しに非常に有用な選択肢だと感じています。

介護医療院

長期にわたって医療と介護の両方が必要な方を対象とした施設です。たんの吸引や経管栄養など、医療的ケアが日常的に必要な方の受け皿となります。

注意公的施設は費用面で有利な一方、入居の条件(要介護度・医療依存度)が決まっています。「すぐに入りたい」「医療ケアが多い」といったご事情によっては、民間施設も並行して検討するのが現実的です。

民間施設(有料老人ホーム・サ高住・グループホーム)の特徴

民間企業が運営する施設は、サービスや設備のバリエーションが豊富で、比較的早く入居しやすいのが特徴です。その分、費用は公的施設より高めになる傾向があります。

介護付き有料老人ホーム

施設のスタッフが24時間体制で介護サービスを提供します。要介護度が上がっても住み続けやすく、看取りに対応する施設も増えています。手厚いケアを求める方に向いています。

住宅型有料老人ホーム

生活支援サービスが中心で、介護が必要になったら外部の訪問介護・訪問看護・訪問リハビリなどを利用する形が基本です。自由度が高い一方、介護量が増えると外部サービスの利用料がかさむ点には注意が必要です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

バリアフリーの賃貸住宅に、安否確認と生活相談のサービスが付いたものです。比較的自立度の高い方向けで、自宅に近い感覚で暮らせます。介護サービスは住宅型と同様、外部サービスを組み合わせて利用します。

グループホーム

認知症の診断がある方が、少人数(1ユニット9人まで)で共同生活を送る地域密着型の施設です。なじみの環境で、できることは自分で行いながら暮らすことで、症状の安定が期待できます。原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方が対象です。

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失敗しない老人ホームの選び方|5つの軸で考える

種類が分かったら、次は「自分たちの場合はどれを選ぶか」です。次の5つの軸で考えると、候補をしぼり込みやすくなります。

ちびウルフちびウルフ

何から決めればいいの?

リハウルフリハウルフ

まずは①介護度②医療ニーズ③予算の3つ。ここが決まると、残りの2つは自然としぼれてくるよ。

① 要介護度で対象施設をしぼる

たとえば要介護3以上なら特養が候補に入りますが、要支援〜軽度の段階ならサ高住や住宅型有料が現実的です。現在の要介護度と、今後の見通しの両方を考えておくと、住み替えのリスクを減らせます。

② 医療的ケアの有無を確認する

たんの吸引・インスリン注射・胃ろうなどの医療的ケアが必要な場合、対応できる施設は限られます。看護師の配置時間や、協力医療機関の体制を必ず確認しましょう。

③ 予算(入居一時金+月額)を決める

初期費用だけでなく、年金や貯蓄で月額を何年間払い続けられるかまで試算することが大切です。費用の詳しい内訳は別記事で解説しています。

④ 立地・面会のしやすさ

家族が通いやすい場所かどうかは、入居後の生活の質に直結します。会いに行きやすい距離は、本人の安心にもつながります。

⑤ 本人の希望・生活スタイル

「にぎやかな環境がいい」「静かに過ごしたい」「趣味を続けたい」など、本人の希望を尊重することも忘れないでください。

見学・比較のときに見るべきチェックポイント

パンフレットや費用表だけで決めず、必ず見学しましょう。リハビリ・看護の視点から、特に見てほしいポイントを順番にまとめました。

  1. スタッフの表情・入居者への声かけが穏やかか(職員の雰囲気は施設の質を映します)
  2. においや清潔感(共用部・トイレ・居室)に問題がないか
  3. リハビリや機能訓練、レクリエーションの内容と頻度
  4. 看護師の配置時間と、夜間・緊急時の対応体制
  5. 看取りや、要介護度が上がったときの対応方針
  6. 退去になる条件(医療依存度や費用滞納など)が明確か
ポイント見学は曜日・時間帯を変えて2回以上行くのが理想です。食事の時間帯に合わせると、食事介助の様子やメニューも確認できます。

リハビリ・看護職の視点|「住み替え前提」で考えると失敗しにくい

訪問リハビリ・訪問看護の現場でよく見るのが、「入居時はちょうど良かったのに、要介護度が上がって住み替えが必要になった」というケースです。

たとえば自立度が高いうちにサ高住へ入居しても、認知症が進行したり医療的ケアが増えたりすると、介護付き有料老人ホームや特養への転居が必要になることがあります。住み替えは本人の負担が大きいため、できれば最初から「将来介護が重くなっても住み続けられるか」を確認しておくと安心です。

また、住宅型有料やサ高住では外部の訪問サービスを組み合わせます。訪問リハビリや訪問看護を導入できるかを入居前に確認しておくと、入居後の生活機能の維持・回復に役立ちます。

よくある質問(FAQ)

特養はすぐに入れますか?
費用が安く人気が高いため、地域や施設によっては入居待ちが発生することがあります。申し込みは複数施設に出すことができ、緊急性が高いほど優先される仕組みです。すぐに入居先が必要な場合は、民間施設も並行して検討しましょう。
要介護認定を受けていなくても入居できますか?
自立の方を受け入れる住宅型有料老人ホームやサ高住、健康型有料老人ホームなどがあります。一方、特養は原則要介護3以上、グループホームは認知症の診断が必要など、施設ごとに条件が異なります。
認知症でも入居できる施設はありますか?
グループホームは認知症の方のための施設です。そのほか、介護付き有料老人ホームや特養でも認知症に対応する施設は多くあります。徘徊や夜間対応など、症状に応じた体制があるかを確認しましょう。
途中で施設を変えることはできますか?
可能です。ただし住み替えは本人の心身の負担が大きいため、最初の施設選びの段階で「介護度が上がっても住み続けられるか」を確認しておくのがおすすめです。
まとめ
  • 老人ホームは「公的施設(特養・老健・介護医療院)」と「民間施設(有料・サ高住・グループホーム)」に大別できる
  • 公的施設は費用が安いが入居待ちが出やすく、民間施設は費用が高めだが入居しやすい
  • 選び方の軸は①要介護度②医療ニーズ③予算④立地⑤本人の希望の5つ
  • 「将来介護が重くなっても住み続けられるか」を確認すると、住み替えのリスクを減らせる
  • パンフレットだけで決めず、必ず時間帯を変えて見学する

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参考:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」ほか公的資料

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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