「訪問看護には2時間ルールがある」——現場で一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。けれど、いざ「なぜ2時間空けるのか」「例外はあるのか」と聞かれると、正確に答えられない人も少なくありません。算定ミスにつながると返戻の原因にもなる、実務上とても重要なルールです。

この記事では、訪問看護の2時間ルールと、訪問介護の2時間ルールを、厚生労働省のQ&Aを根拠にわかりやすく整理します。例外となるケースや「おおむね2時間」の考え方まで押さえれば、日々の算定で迷わなくなります。

この記事でわかること
  • 訪問看護の2時間ルールの基本と、なぜ存在するのか
  • 2時間ルールの対象外(例外)となる5つのケース
  • 訪問介護の2時間ルールと「おおむね」の考え方
  • 厚生労働省のQ&Aに基づく具体的な算定の考え方

訪問看護の2時間ルールとは?

結論から言うと、訪問看護の2時間ルールとは、1日に2回以上訪問看護を行う場合、訪問と訪問の間隔をおおむね2時間以上空けなければならないというルールです。間隔が2時間未満になると、原則として2回分の所要時間を合算して1回として算定します。

ちびウルフちびウルフ

間隔が2時間未満だと、2回分を別々に請求できないんですか?

リハウルフリハウルフ

そう、原則は合算なんだ。ただし例外もあるから、そこをきちんと押さえておこうね。

訪問看護の2時間ルールがある理由

訪問看護は、30分未満/30分以上60分未満/60分以上90分未満のように、訪問時間によって単位数が決められています。

もし2時間ルールがなければ、短時間の訪問を1日に何度も繰り返し、そのたびに算定するということが可能になってしまいます。短時間訪問を繰り返して報酬を不当に積み上げることを防ぐために、2時間ルールが設けられているのです。

訪問看護の2時間ルールの例外(対象外となるケース)

2時間ルールには例外があり、次のケースでは2時間未満でも合算しません。

2時間ルールの対象外となるケース 緊急の訪問看護/20分未満の訪問看護/看護師等のあとに理学療法士等が訪問看護を行った場合/理学療法士等のあとに看護師等が訪問看護を行った場合/計画段階では2時間以上空ける予定だったが、多少時間がずれてしまった場合

特に、20分未満の訪問計画外の緊急訪問は合算しない、という点は実務で頻出です。また、看護職員とリハ職(PT・OT・ST)が交互に訪問するケースも合算の対象外となります。

訪問看護の2時間ルールに関する厚生労働省のQ&A

厚生労働省のQ&Aでは、次のように示されています(要約)。

質問回答(要約)
1日に複数回の訪問看護を実施する場合、訪問終了後2時間以上経過していなければ必ず所要時間を合算するのか20分未満の訪問看護と、計画外で緊急に実施した訪問看護は合算しない。また「おおむね2時間」としており、計画では2時間後の予定が、点滴注射等が早めに終わった等の理由で若干変動した場合は、計画どおりの報酬を算定する。
70分の訪問を行ったあと、2時間以内に40分の訪問を実施した場合の算定は合算して110分とみなし、1時間以上1時間半未満の報酬を算定する。
ポイント:「おおむね2時間」2時間ルールは「きっかり2時間」ではなく「おおむね2時間」です。計画上は2時間以上空けるつもりだったのに、処置が早く終わって多少前後した、というような場合は、計画どおりの報酬で算定できます。

訪問介護の2時間ルールとは?

2時間ルールは訪問看護だけのものではありません。訪問介護でも、1日に複数回算定する場合は、算定する時間の間隔をおおむね2時間以上空けることとされています。考え方は訪問看護とほぼ同じで、2時間未満の間隔で行われた場合は、それぞれの所要時間を合算します。

ちびウルフちびウルフ

「おおむね」って、具体的に何分まで許されるんですか?

リハウルフリハウルフ

厚労省は「具体的な内容は規定していない」としていて、利用者一人ひとりの身体状況や生活実態に応じて判断するんだ。だから何分、と一律には決まっていないんだよ。

訪問介護の2時間ルールに関する厚生労働省のQ&A

質問回答(要約)
複数の事業者がサービスを提供する場合の扱いは2時間ルールは同一事業者に限らず、複数事業者によるサービス提供にも適用される。なお複数事業者の場合、訪問介護費の分配は事業所相互の合議に委ねられる。
「おおむね」の具体的な内容は具体的内容は特に規定しておらず、利用者個々人の身体状況や生活実態等に応じて判断する。
「おおむね2時間未満の間隔」とは、いつからいつまでを指すのか居宅サービス計画上のサービスの終了時から、次のサービスの開始時までを指す。なお「通院等のための乗車・降車の介助」の単位を算定する場合には適用されない。

具体例で見る|2時間ルールの算定パターン

言葉だけではイメージしづらいので、具体的なケースで考えてみましょう。訪問看護は訪問時間によって単位数の区分が変わるため、合算するかどうかで報酬が大きく変わります。

ケース取り扱い
午前に70分訪問、その2時間以内に40分訪問合算して110分とみなし、1時間以上1時間半未満で算定
午前に60分訪問、3時間後に60分訪問間隔が2時間以上あるため、それぞれ別に算定
定期訪問の1時間後に、計画外の緊急訪問緊急訪問は対象外。合算せず別に算定
看護師が30分訪問、その1時間後にPTが訪問看護看護とリハの組み合わせは対象外。合算しない
15分の訪問を、2時間以内にもう一度20分未満の訪問は合算対象外(ただし短時間訪問の算定要件は別途確認)
ちびウルフちびウルフ

合算すると、単位数の区分が上がって、結果的に報酬が下がることもあるんですか?

リハウルフリハウルフ

そう。2回分を別々に取れず1回として合算されるから、想定より報酬が少なくなることがあるんだ。だからこそ計画段階で間隔を意識するのが大事なんだよ。

2時間ルールでよくある算定ミスと対策

2時間ルールは、知らずにスケジュールを組んでしまうと返戻につながります。よくあるミスを押さえておきましょう。

よくあるミス同一利用者に1日2回訪問する計画を、間隔を意識せず組んでしまう/例外(緊急・20分未満・看護とリハの組み合わせ)を合算してしまう/複数事業者で訪問介護を提供する際、相互に把握できておらず合算漏れが起きる

対策はシンプルで、計画作成の段階で「1日複数回訪問の有無」と「間隔」を必ずチェックすることです。訪問介護では、終了時から次の開始時までの間隔で判断する点、複数事業者にも適用される点を、ケアマネジャーや他事業所と共有しておくと合算漏れを防げます。

訪問看護師・リハ職が現場で気をつけたいこと

2時間ルールは、計画段階での組み立てがすべてです。スケジュールを組むときに、訪問間隔を意識して2時間以上空けることが、返戻を防ぐ第一歩になります。

  1. 1日に同一利用者へ複数回訪問する予定がないか、スケジュール作成時に確認する
  2. 複数回ある場合は、終了時から次の開始時までの間隔を2時間以上に設計する
  3. 20分未満の訪問・緊急訪問・看護とリハの組み合わせなど、例外に該当するか確認する
  4. やむを得ず間隔が短くなった場合は、合算算定になることを念頭にレセプトを確認する

そもそも訪問看護の時間区分と単位数のしくみ

2時間ルールを正しく理解するには、その前提となる訪問看護の時間区分を押さえておくことが欠かせません。介護保険の訪問看護では、訪問にかかった所要時間に応じて、20分未満/30分未満/30分以上60分未満/60分以上90分未満……といった区分で単位数が定められています。

この「時間で単位が変わる」しくみがあるからこそ、短時間訪問を繰り返して報酬を積み上げることを防ぐために2時間ルールが必要になるわけです。時間区分と2時間ルールはセットで理解すると、なぜ合算するのかが腑に落ちます。なお、時間区分ごとの具体的な単位数は介護報酬改定で見直されるため、算定時には最新の単位数表を確認してください。

ポイント2時間ルールは「報酬の不当な積み増しを防ぐ」ための仕組み。時間区分で単位が決まる訪問看護だからこそ意味を持つルールです。

2時間ルールに関するよくある質問

訪問看護の2時間ルールは医療保険でも同じですか?
この記事で解説しているのは介護保険の訪問看護・訪問介護における2時間ルールです。医療保険の訪問看護は算定の考え方が異なる部分があるため、医療保険で複数回訪問する場合は、別途その制度の取り扱いを確認してください。
20分未満の訪問なら何回でも別々に算定できますか?
2時間ルールの「合算」の対象外にはなりますが、20分未満(短時間)の訪問看護には別の算定要件があります。回数を増やせば必ず算定できるわけではないため、短時間訪問の算定要件を併せて確認してください。
看護師の訪問のあとにPTが訪問する場合は合算しますか?
合算しません。看護師等のあとに理学療法士等が訪問看護を行った場合、またはその逆の場合は、2時間ルールの対象外とされています。
計画では2時間空けていたのに、処置が早く終わって間隔が短くなりました。合算ですか?
「おおむね2時間」とされているため、計画上は2時間以上空ける予定で、点滴注射等が早めに終わった等の理由で若干変動した場合は、計画どおりの報酬を算定できます。
まとめ
  • 2時間ルール=1日に複数回訪問する場合は、訪問と訪問の間隔をおおむね2時間以上空ける。
  • 2時間空けない場合は、原則として2つの訪問時間を合算して算定する。
  • 訪問看護では、緊急訪問・20分未満の訪問・看護とリハの組み合わせなどが例外(対象外)。
  • 訪問介護でも同様のルールがあり、複数事業者にも適用される。間隔は終了時から次の開始時まで。
  • 「おおむね2時間」のため、計画どおりに組んだうえで多少前後した場合は計画どおりに算定できる。

出典:厚生労働省 介護報酬に係るQ&A(訪問看護・訪問介護)/各種解釈通知

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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