「理学療法士はオワコンなの?」「PTの時代はもう終わり?」——SNSや掲示板で、こんな言葉を目にして不安になった方もいるのではないでしょうか。

結論から言えば、理学療法士はオワコンではありません。ただし「何も考えずに働き続ければ安泰」という時代でもなくなってきたのは事実です。この記事では、現役の理学療法士の視点から「オワコンと言われる理由」を正直に整理し、そのうえでこれからの時代を生き残るための具体的な戦略を解説します。

この記事でわかること
  • 理学療法士が「オワコン」と言われる5つの理由
  • その理由は本当に正しいのか、現役PTの本音
  • これからの時代に生き残るPTになる3つの戦略
  • 将来性を高めるために今日から始められること

理学療法士はオワコンなのか?

ちびウルフちびウルフ

ねえリハウルフ、理学療法士って本当にオワコンなの?

リハウルフリハウルフ

いや、オワコンじゃないよ。僕自身が理学療法士で、この仕事を選んでよかったと思ってる。高齢化が進む日本で、リハビリの需要はむしろこれからなんだ。

「オワコンかどうか」は人によって捉え方が分かれます。筆者は30代の現役理学療法士ですが、理学療法士になったことを後悔したことはなく、定年まで収入を増やしていける手応えも感じています。高齢化が進む日本で、リハビリテーションを担う理学療法士の役割はむしろ重要性を増しています。

とはいえ、近年「PTはオワコン」という声が増えているのも事実です。なぜそう言われるのか、その背景を一つずつ見ていきましょう。

理学療法士が「オワコン」と言われる5つの理由

世間で理学療法士がオワコンと言われる主な理由は、次の5つに整理できます。

理由背景
給料が上がりにくい年間の昇給額が小さい職場が多い
人数が多く飽和している毎年約1万人前後が新たに有資格者となる
心身ともに疲れる仕事対人ストレスが大きく、燃え尽きやすい
役職に就きにくい若い職種でポストが空きにくい
診療報酬・介護報酬の影響料金を自由に設定できない

① 給料が上がりにくい

理学療法士の昇給は、年間で数千円ほどにとどまる職場が少なくありません。仮に年2,000円の昇給だと、30年勤めても基本給の上昇は6万円ほど。22歳で手取り18万円スタートなら、50代でも手取りは大きくは増えにくい計算です。給与水準の頭打ち感が、オワコン論の大きな根拠になっています。

② 人数が多く飽和している

理学療法士国家試験の合格者は、近年おおむね年1万人前後で推移しています。毎年これだけの有資格者が増える一方、主な就職先である病院の数は増えていません。その結果、大きな病院では飽和傾向が指摘され、訪問看護ステーションやデイサービスなど活躍の場が広がっています。

ポイント「飽和」は裏を返せば活躍の場が病院の外へ広がっているということ。訪問・通所・予防・スポーツなど、フィールドはむしろ多様化しています。

③ 心身ともに疲れる仕事である

理学療法士は、利用者さん・ご家族・多職種と常に関わる対人援助職です。人と接するのが好きで目指した人でも、人間関係の難しさや責任の重さに疲れてしまうことがあります。心身の消耗から「もう続けたくない」と感じる人がいるのも事実です。

④ 役職に就きにくい

理学療法士はまだ歴史の浅い職種で、主任・科長などの役職を若い世代が務めていることが多いです。ポストが空きにくいため、経験を重ねても昇進の機会が限られ、給与アップにつながりにくい——これも不満の一因です。

⑤ 診療報酬・介護報酬の影響を受ける

リハビリの料金は、医療保険なら診療報酬、介護保険なら介護報酬として国が定めています。一般企業の商品のように自由に価格を設定できないため、報酬改定の動向に収入が左右されます。改定で関連の点数・単位数が見直されると、事業所経営や給与に影響することがあります。なお報酬は数年ごとに改定されるため、最新の改定内容は厚生労働省の資料で確認することをおすすめします。

注意これら5つは「組織に所属し、受け身で働き続ける場合」の弱点。働き方を変えれば、弱点の多くは乗り越えられます。

オワコンと言われるPTが生き残る3つの戦略

ちびウルフちびウルフ

じゃあ、どうすればオワコンにならずに済むの?

リハウルフリハウルフ

「仕事があって、給料が上がる」状態を作ればいいんだ。そのための方法を3つに絞って教えるよ。

「給料が少ない・仕事がない」をオワコンと定義するなら、その逆、つまり「仕事があり、給料が上がる」状態を作れば将来性は十分にあります。そのための戦略は次の3つです。

  1. 専門性を極める……特定領域のスペシャリストになれば、長期的に仕事も収入も伸ばせます。
  2. 副業をする……PTの知識・資格を活かした副業で、収入源と経験を増やします。
  3. 掛け算をする……「PT×〇〇×△△」で希少価値を高め、代わりのきかない人材になります。

① 専門性を極める

特定領域の専門性を磨けば、何十年も需要があり、収入も伸ばしやすくなります。たとえば次のような領域です。

専門領域の例広がるキャリア
脳卒中・呼吸器・脊椎・難病・小児のリハビリ専門セラピストとして指名・依頼が増える
介護保険制度・管理・教育管理者、経営、人材育成へステップアップ

専門性を突き詰めれば、大学教員・書籍執筆・講師など、一般職の先のキャリアも見えてきます。「この分野ならあの人」と名前が挙がる存在になれば、仕事も収入も自然と増えていきます。

② 副業をする

理学療法士の強みを活かした副業は、収入アップと経験の幅を同時に広げてくれます。代表的なものは次のとおりです。

副業の例活かせる強み
YouTube・ブログ・Webライター専門知識を分かりやすく発信する力
noteなどのコンテンツ販売・Kindle出版現場で培ったノウハウの言語化
セミナー講師・訪問リハの副業臨床スキルと指導力

※副業を始める際は、勤務先の就業規則を必ず確認しましょう。

③ 掛け算をする

「理学療法士×〇〇」と複数の軸を掛け合わせることで、自分の希少価値を高められます。たとえば次のような組み合わせです。

  • 理学療法士 × 脳卒中 × イラストレーター
  • 理学療法士 × 難病 × 動画編集
  • 理学療法士 × 診療報酬改定 × 講師
  • 理学療法士 × デイサービス × SNS発信

3つの軸を掛け合わせれば、代わりのきかない人材になれます。希少性こそが、将来の安定につながるのです。

ポイント誰のもとで働くか、誰をメンターにするかも将来を大きく左右します。環境選びも立派な生き残り戦略です。

これからの理学療法士に求められること

ちびウルフちびウルフ

これからのPTって、どんな力が必要になるの?

リハウルフリハウルフ

臨床の腕はもちろん、「伝える力」と「学び続ける力」がますます大事になるよ。

これからの時代、理学療法士に求められる力は、臨床技術だけにとどまりません。活躍の場が病院の外へ広がるほど、次のような力が市場価値を左右します。

求められる力なぜ重要か
多職種と連携する力訪問・通所では看護・介護・ケアマネと協働する場面が多い
分かりやすく伝える力利用者・家族・他職種に専門知識をかみ砕いて届ける必要がある
予防・健康増進の視点介護予防やフレイル対策など需要が拡大している領域
学び続ける姿勢制度改定や知見の更新に対応し続ける必要がある

特に在宅分野では、利用者さんの生活全体を見て、ご家族や多職種と連携しながら支える力が欠かせません。「治す」だけでなく「生活を支える」視点を持てるPTは、これからますます求められていきます。

需要が伸びる活躍フィールド

病院だけにこだわらなければ、理学療法士のフィールドは大きく広がっています。訪問リハビリ、通所リハビリ・デイサービス、介護予防事業、地域包括ケア、スポーツ・健康増進分野など、高齢化や健康志向を背景に需要が伸びている領域は少なくありません。自分の興味と強みが活きる場所を選ぶことが、長く働き続けるうえでの鍵になります。

ポイント「どこで働くか」を広く考えるほど、選択肢は増えます。病院=唯一の正解ではないという視点が、キャリアを楽にしてくれます。

よくある質問(FAQ)

本当に理学療法士はオワコンではないのですか?
受け身で働き続ける場合は給与の頭打ちなどの課題があります。ただし専門性や副業、掛け算で価値を高めれば、将来性は十分にある仕事です。働き方次第で結論は変わります。
給料を上げたいです。まず何から始めるべき?
まずは「専門領域を一つ決めて深める」ことがおすすめです。並行して、勤務先の規則を確認したうえで発信や副業を小さく始めると、収入と経験の両方を伸ばせます。
飽和しているなら転職しても意味がない?
そんなことはありません。訪問・通所・予防・スポーツなど活躍の場は広がっています。自分の強みが活きる環境やメンターのいる職場を選ぶことが、キャリアの分かれ道になります。
これから理学療法士を目指すのは遅いですか?
高齢化が進む日本でリハビリの需要は続きます。資格を取って終わりにせず、専門性や発信力を磨いていく姿勢があれば、これからでも十分にやりがいと将来性を得られます。
まとめ
  • 結論、理学療法士はオワコンではない。高齢化でリハビリ需要はむしろ拡大している。
  • オワコンと言われる理由は「給料・飽和・対人疲労・昇進・報酬制度」の5つ。
  • ただしこれらは「受け身で働き続ける場合」の弱点で、働き方を変えれば乗り越えられる。
  • 生き残る戦略は「専門性を極める」「副業をする」「掛け算で希少価値を高める」の3つ。
  • 環境選びとメンター選びも、将来性を左右する重要なポイント。

理学療法士は、自ら動けば将来性を切り拓ける仕事です。「オワコン」という言葉に振り回されず、自分の強みを磨いていきましょう。今日の小さな一歩が、数年後のキャリアを大きく変えます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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