「呼吸リハビリテーションを基礎から学べる本が欲しい」「PT・OT・STそれぞれの現場で使える1冊はどれ?」——COPDや誤嚥性肺炎、術後の呼吸器合併症など、呼吸リハの出番は在宅・施設・病棟のどこにでもあります。けれど書店やネットには専門書が多すぎて、どこから手をつければいいか迷ってしまいますよね。

この記事では、訪問・通所の現場で実際に呼吸リハに関わってきた視点から、呼吸リハビリテーションのおすすめ本7冊を「患者さん・ご家族/初学者向け」「PT・リハ職の臨床実践向け」「ST・OTの職種別」に整理して紹介します。失敗しない選び方と読む順番もあわせて解説するので、自分にぴったりの1冊がきっと見つかります。

この記事でわかること
  • 呼吸リハビリの本を選ぶときに見るべき4つのポイント
  • 読者タイプ別(家族・初学者/PT/OT/ST)のおすすめ本7冊
  • 入門書から専門書へ、無理なく読み進める順番
  • 本だけでは補えない「現場での学び方」のコツ

呼吸リハビリの本が「1冊では足りない」理由

ちびウルフちびウルフ

呼吸リハの本って、どれを買えばいいの?1冊あれば足りますか?

リハウルフリハウルフ

呼吸リハは「評価・運動療法・排痰・栄養・ADL」と幅が広いんだ。だから立場や目的で必要な本が変わるんだよ。まずは選び方を押さえよう。

呼吸リハビリテーションは、息切れの強い患者さんに運動療法・呼吸練習・排痰援助・ADL指導・栄養管理などを組み合わせて行う包括的なアプローチです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎、誤嚥性肺炎後、開胸・開腹術後など対象も幅広く、PT・OT・ST・看護師・医師が連携して取り組みます。

そのため、1冊で「全体像のやさしい理解」と「職種別の深い実践」を同時に満たすのは難しいのが実情です。まずは全体像をつかむ入門書を1冊、そのうえで自分の職種・目的に合った実践書を選ぶ——この二段構えが遠回りに見えて一番の近道になります。

とくに在宅・通所の現場では、呼吸器疾患を主訴としない利用者さんでも、加齢に伴う呼吸機能の低下や廃用、誤嚥のリスクを抱えているケースが少なくありません。「呼吸」を切り口に評価・介入できると、息切れによる活動量の低下や転倒、低栄養といった悪循環を早めに断ち切れます。だからこそ呼吸リハの知識は、呼吸器内科の現場だけでなく、すべてのリハ職・看護師にとって持っておきたい武器なのです。

失敗しない呼吸リハビリ本の選び方4つ

ちびウルフちびウルフ

専門書って高いから、買って失敗したくないなぁ…。

リハウルフリハウルフ

「自分のレベル」「目的」「図解や動画の有無」「最新の版か」の4つで選べば外さないよ。

呼吸リハの本は専門度が大きく違います。次の4点を確認すると、自分に合う1冊を選びやすくなります。

選ぶポイントチェックする内容
① 自分のレベル初学者・患者/家族向けの入門書か、臨床者向けの専門書か。いきなり専門マニュアルだと挫折しやすい。
② 目的・職種全体像の理解/運動療法の手技/嚥下や呼吸ケア(ST)/作業・生活の視点(OT)など、目的に合うか。
③ 図解・写真・動画手技や姿勢はイラスト・写真・動画があると圧倒的に分かりやすい。実技中心なら必須。
④ 版の新しさガイドラインや評価基準は改訂される。できるだけ最新版を選ぶ。
ポイント 迷ったら「やさしい入門書 → 自分の職種の実践書」の順で2冊そろえるのがおすすめ。全体像があると、専門書の内容がぐっと頭に入りやすくなります。

また、呼吸リハの本は「読み物として理解する本」と「現場で開いて手技を確認する本」で役割が分かれます。前者は通勤時間や勉強会の予習に、後者はデスクや車に常備して必要なときに引く——という使い分けを意識すると、買った本を確実に活かせます。電子書籍版があれば、訪問先でもスマホやタブレットでサッと確認できて便利です。

【患者さん・ご家族/初学者向け】まず全体像をつかむ2冊

ちびウルフちびウルフ

専門用語が苦手でも読める本ってありますか?

リハウルフリハウルフ

イラスト中心のやさしい入門書から始めるのが正解。患者さんやご家族にもおすすめできる2冊だよ。

1. イラストでわかる 患者さんのための呼吸リハビリ入門

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中外医学社
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その名のとおりイラスト中心で、呼吸リハビリの考え方・呼吸法・運動・日常生活の工夫をやさしく解説した入門書です。専門用語が少なく、患者さんやご家族が自宅で読みながら取り組める構成。これから呼吸リハを学ぶ学生・新人スタッフが全体像をざっくりつかむ最初の1冊としても最適です。

2. 患者さんのための呼吸リハビリテーション

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日本橋出版
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息切れとの付き合い方、呼吸を楽にする方法、日常動作の工夫など、患者さん本人の生活に寄り添った内容が中心です。指導する側のスタッフが「患者さんにどう伝えるか」の言葉選びを学ぶ教材としても役立ちます。在宅でセルフケアを続けてもらいたいときに渡せる1冊。

【PT・リハ職の臨床実践向け】運動療法と手技を深める3冊

ちびウルフちびウルフ

現場でそのまま使える、実践的な本も知りたいです!

リハウルフリハウルフ

評価から運動療法、排痰までしっかり載った定番を選ぼう。動画つきの本は手技の確認に重宝するよ。

3. 呼吸リハビリテーションマニュアル(運動療法)

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照林社
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呼吸リハの運動療法における定番マニュアル。コンディショニング、ADLトレーニング、全身持久力・筋力トレーニングなど、エビデンスを踏まえた運動療法の進め方が体系的にまとまっています。臨床で「何をどう組み立てるか」に迷ったとき、手元に置いておきたい一冊です。運動処方の考え方や中止基準など、リスク管理の根拠も確認できるので、プログラムの組み立てに自信が持てるようになります。

4. 動画でわかる呼吸リハビリテーション

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排痰手技や呼吸介助、体位ドレナージなどの手技を動画で確認できるのが最大の強み。文字や写真だけでは伝わりにくい「手の当て方」「タイミング」「力加減」が動きで分かるため、新人教育や手技の自己チェックに最適です。勉強会の教材として画面を見ながら全員で確認すれば、施設内で手技のばらつきをそろえる効果も期待できます。実技を体で覚えたい人にうってつけの一冊です。

5. 呼吸・心臓リハビリテーション 第3版(ビジュアル実践リハ)

呼吸リハと心臓リハをビジュアル豊富にまとめた実践書の改訂版。呼吸器疾患と循環器疾患は合併も多く、両方を横断的に学べるのは大きなメリットです。図表が多く読みやすいので、内部障害リハ全体の知識を底上げしたいPT・OTにおすすめします。

【ST・OTの職種別】専門性を高める2冊

ちびウルフちびウルフ

STやOTにも、呼吸の専門書ってあるんですか?

リハウルフリハウルフ

あるよ。嚥下と呼吸は密接だからSTにも必須だし、OTは「生活・作業」の視点で呼吸を支える専門書があるんだ。

6. 言語聴覚士のための呼吸ケアとリハビリテーション

「呼吸ケア&リハビリテーションシリーズ」のST向け。嚥下と呼吸は切り離せず、誤嚥性肺炎の予防や発声・コミュニケーション支援にも呼吸の理解が欠かせません。咳の力(咳嗽力)や呼気のコントロールは、安全な食事や明瞭な発話を支える土台でもあります。STの専門性から呼吸ケアを学べる数少ない実践書で、摂食嚥下に関わるSTは押さえておきたい1冊です。

7. 作業療法士のための呼吸ケアとリハビリテーション(第2版)

同シリーズのOT向け改訂版。入浴・更衣・調理などの作業・生活動作と息切れをどう両立させるかという、OTならではの視点で呼吸リハを解説しています。エネルギー温存技法や環境調整など、在宅・施設で生活の質を上げるヒントが豊富です。「動くと苦しいから動かない→さらに動けなくなる」という負のスパイラルを、作業の工夫で断ち切る発想は、訪問・通所OTの実践で大いに役立ちます。

注意 本の知識はあくまで土台です。呼吸状態の評価や運動の負荷設定は患者さんの状態によって異なります。実施にあたっては必ず主治医の指示・リスク管理のもとで行い、SpO2や自覚的運動強度(修正Borgスケール)などをこまめに確認しましょう。

呼吸リハビリ本の効果的な読み進め方

ちびウルフちびウルフ

買ったはいいけど、どう読めば力がつきますか?

リハウルフリハウルフ

「全体像→実技→現場で試す」の順番がおすすめ。本と臨床を行き来すると一気に身につくよ。

  1. まずは入門書(1・2)で全体像と用語をつかむ。患者さん像をイメージしながら読む。
  2. 自分の職種の実践書(PTは3〜5、STは6、OTは7)で手技や考え方を深める。
  3. 動画つきの本で手技を見て、実際に手を動かして練習する。
  4. 担当患者さんで小さく試し、評価(SpO2・Borg・歩行距離など)で効果を確認する。
  5. うまくいかない点を本に戻って調べ直す。本と現場を往復して定着させる。

本だけに頼らない!学びを深める3つの工夫

書籍は土台づくりに最適ですが、呼吸リハは「触れて・見て・確かめる」スキルでもあります。本の知識を現場の力に変えるために、次の3つを意識してみてください。

① 自分の呼吸で試す。口すぼめ呼吸や腹式呼吸、呼吸介助の手の当て方は、まず自分の体で体感すると患者さんへの説明が一気に上手になります。② 評価とセットで使う。SpO2・脈拍・修正Borgスケール・歩行距離などの指標を本の手技と組み合わせると、「効いているか」を客観的に確認できます。③ 多職種で共有する。入門書を看護師やケアマネ、ご家族と共有すると、息切れへの配慮や生活動作の工夫がチーム全体に広がり、効果が長続きします。

よくある質問(FAQ)

呼吸リハビリの本は1冊だけならどれがいい?
立場によります。患者さん・ご家族や初学者なら「イラストでわかる 患者さんのための呼吸リハビリ入門」、臨床のPTなら「呼吸リハビリテーションマニュアル(運動療法)」が定番です。まず全体像をつかんでから職種別の本に進むのが効率的です。
学生でも理解できますか?
イラスト中心の入門書(本記事の1・2)なら学生でも読み進められます。専門マニュアルは基礎を学んでからのほうが理解しやすいので、入門書とセットで読むのがおすすめです。
動画つきの本は本当に役立ちますか?
排痰や呼吸介助などの手技は、文字や写真だけでは力加減やタイミングが伝わりにくいものです。動画があると動きごと確認でき、新人教育や手技の自己チェックに大きく役立ちます。
看護師やケアマネにもおすすめの本はありますか?
患者さん向けの入門書(1・2)は専門外の職種でも読みやすく、息切れのある利用者さんへの声かけや生活支援のヒントになります。多職種で共通言語を持つ意味でも入門書の1冊は有用です。
最新版を選んだほうがいいですか?
はい。評価基準やガイドラインは改訂されるため、版が選べる場合は最新版を選びましょう。本記事の「第2版」「第3版」のように改訂版がある書籍は、できるだけ新しい版がおすすめです。
まとめ
  • 呼吸リハの本は「立場・目的」で選ぶ。まず入門書で全体像職種別の実践書の二段構えが近道。
  • 患者さん・ご家族/初学者にはイラストでわかる呼吸リハビリ入門患者さんのための呼吸リハビリテーション
  • PT・リハ職の実践には運動療法マニュアル動画でわかる呼吸リハ呼吸・心臓リハ 第3版
  • 職種別の専門性アップにはST向け・OT向けの呼吸ケアとリハビリテーションシリーズ。
  • 本の知識は土台。主治医の指示とリスク管理のもと、評価で効果を確かめながら現場で活かそう。

※書籍の内容・版は変わることがあります。購入前にAmazonの商品ページで最新の版・目次をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味