「言語聴覚士(ST)って、どんなやりがいを感じられる仕事なんだろう?」「進路として言語聴覚士を目指そうか迷っている」——そんなふうに考えている学生さんや、社会人から目指す方は多いのではないでしょうか。やりがいが具体的にイメージできると、進路を決める後押しになりますよね。

この記事では、言語聴覚士として働くなかで感じられる8つのやりがいを、現場のエピソードを交えながら紹介します。あわせて、向いている人の特徴や仕事の現実的な側面にも触れるので、進路選びの参考にしてください。

この記事でわかること
  • 言語聴覚士のやりがい8つと、その具体的な場面
  • どんな人が言語聴覚士に向いているのか
  • やりがいの裏にある大変さと、それでも続けたくなる理由
  • 言語聴覚士を目指すために知っておきたいこと

言語聴覚士とは?まずは仕事内容をおさらい

言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)は、「話す・聞く・食べる」に関わる障害をサポートする専門職です。脳卒中後の失語症や構音障害、子どものことばの発達の遅れ、加齢や病気による飲み込み(嚥下)の問題など、コミュニケーションと摂食嚥下の幅広い領域を担当します。

ちびウルフちびウルフ

理学療法士や作業療法士とは何が違うの?

リハウルフリハウルフ

PTは主に「歩く・動く」、OTは「生活動作」、STは「話す・聞く・食べる」が専門なんだ。同じリハビリ職でも、扱う領域がはっきり違うんだよ。

病院・クリニック・介護施設・訪問リハビリ・小児の療育施設など、活躍の場も多彩です。それだけに、感じられるやりがいも実にさまざま。ここからは具体的に見ていきましょう。

言語聴覚士のやりがい8つ

言語聴覚士が現場で感じるやりがいを、代表的な8つにまとめました。

言語聴覚士の8つのやりがい
  • 患者さんの回復を間近で感じられる
  • 社会とのつながりをサポートできる
  • 患者さんや家族から感謝される
  • 専門性を発揮できる
  • 患者さんの気持ちに寄り添える
  • お子さんの成長にじっくり関われる
  • 専門的な知識を深め続けられる
  • チームで患者さんを支援できる

それでは、一つずつ詳しく紹介します。

① 患者さんの回復を間近で感じられる

1つ目は、患者さんの回復をすぐそばで実感できることです。正しく評価し、その人に合った訓練を計画・実施した結果が、目に見える変化として返ってきます。

たとえば、口から食事を摂れなかった方の嚥下評価・訓練を重ね、3食を口から召し上がれるようになったケース。発症から5年が経った失語症の方でも、言語評価と訓練を通じて数の概念を理解できるようになり、会話の理解力が向上した例もあります。回復のプロセスに立ち会えるのは、ST ならではの喜びです。

② 社会とのつながりをサポートできる

2つ目は、患者さんと社会とのつながりを支えられることです。失語症や構音障害でコミュニケーションがうまく取れないと、人は他者との交流に距離を置きがちになります。

リハビリ以外は部屋にこもっていた方が、「この人は自分の障害を分かってくれる」と感じて訓練に前向きになり、発語が増えると自信がつき、他者と交流する機会が増えていく——。そんな変化を支援できたとき、大きなやりがいを感じます。

③ 患者さんや家族から感謝される

3つ目は、患者さんやご家族から感謝されることです。リハビリの効果を本人や家族が実感できたとき、その気持ちがまっすぐ伝わってきます。

たとえば、評価をもとに食事形態を刻み食から一口大カットへ変更したことで、自宅での食事量が増えたり、家族の調理の手間が減ったりする。生活が楽になったと感謝されると、この仕事を選んでよかったと感じられるでしょう。

④ 専門性を発揮できる

4つ目は、高い専門性を発揮できることです。言語聴覚士は、高次脳機能・嚥下・聴覚・音声・ことばの発達など、他職種にはない専門知識を持っています。

失語症の言語障害を理解するには、言語の情報処理のどの過程につまずきがあるのかを分析し、リハビリプログラムを組み立てます。その結果として発語が増えたり理解力が上がったりすると、専門性が役立った手応えを強く感じられます。

⑤ 患者さんの気持ちに寄り添える

5つ目は、患者さんの気持ちに寄り添えることです。STは患者さんの心情を理解しようと努める職種で、養成校のカリキュラムにも心理学が含まれています。

出身地や趣味、関心のある話題を集めて会話を重ねると、その人の考え方や気持ちが見えてきます。気持ちが通じると患者さんは変化し、たとえば認知症の方が消極的だった活動や介護に協力的になったり、失語症の方の表情がやわらいで会話に加わる機会が増えたりします。

⑥ お子さんの成長にじっくり関われる

6つ目は、お子さんの成長に長く寄り添えることです。外来などでは、子どもたちの成長を何年にもわたって見守れます。

2〜3歳でことばの発達に遅れがあったお子さんが、発語が増え、自分から他者と関わろうとする姿を見せてくれる。その過程に伴走できるのは、小児領域ならではのやりがいです。

⑦ 専門的な知識を深め続けられる

7つ目は、専門知識を学び続けられることです。嚥下機能、口腔・構音機能、高次脳機能など、STにならなければ出会わなかった世界を深く知ることができます。

脳科学を学ぶなかで脳の精緻な仕組みに驚くことも多いでしょう。学会・勉強会・研修で新しい知識を得て、それを訓練に活かせると、学びがそのままやりがいにつながります。

⑧ チームで患者さんを支援できる

8つ目は、多職種チームで患者さんを支えられることです。一つの職種だけではできない支援を、協働によって実現できます。

経管栄養の方が、理学療法士・作業療法士・看護師・管理栄養士・歯科衛生士などと連携することで、食べ物を味わう機会を持てる。音楽療法士と協力して、進行性疾患の方の顔面マッサージや口腔ケアを行い、緊張をやわらげて嚥下反射を引き出す——。専門性を持ち寄ってチームで支える達成感は、ST の大きな魅力です。

言語聴覚士に向いている人の特徴

8つのやりがいを踏まえると、言語聴覚士に向いているのはこんな人です。

向いている人の特徴理由
人とじっくり関わるのが好き一人ひとりに寄り添い、変化を長く見守る仕事だから
観察力・分析力があるどの過程に障害があるかを見極めて訓練を設計するため
学び続けることが苦にならない脳・言語・嚥下など専門知識を更新し続ける必要があるから
チームで協力するのが得意多職種連携で患者さんを支える場面が多いから
ポイント「すぐに結果が出なくても、相手のペースに合わせてコツコツ関われる」人は、言語聴覚士に向いています。小さな変化を喜べる感性が、長く続ける力になります。

やりがいの裏にある大変さも知っておこう

やりがいの大きい仕事ですが、現実的な大変さもあります。進路を決める前に知っておくと安心です。

ちびウルフちびウルフ

大変なことも正直に知っておきたいです。

リハウルフリハウルフ

正直、すぐに効果が出ないこともあるし、勉強し続ける必要もある。でも、その分だけ患者さんの変化が嬉しいんだ。大変さとやりがいは表裏一体なんだよ。

たとえば、訓練の効果がすぐに表れず、根気強い関わりが求められること。脳や言語の知識を学び続ける必要があること。患者さんやご家族の不安に向き合う精神的な負担があること——。こうした大変さがある一方で、回復や成長に立ち会えた瞬間の喜びは何物にも代えがたいのがこの仕事です。

言語聴覚士の将来性とやりがいの広がり

言語聴覚士のやりがいは、これからさらに広がっていくと考えられます。高齢化が進むなかで、脳卒中後のリハビリや高齢者の摂食嚥下への需要は年々高まっているからです。「食べる」「話す」を支える専門職として、医療・介護の両分野で必要とされる場面は増え続けています。

また、子どもの発達支援の領域でも、ことばの発達やコミュニケーションに関する相談ニーズが高まっています。小児から高齢者まで対象が幅広いということは、それだけ自分の関心や強みを活かせるフィールドを選べるということでもあります。

ちびウルフちびウルフ

働く場所がたくさんあると、自分に合った環境を選べそうですね!

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。病院でじっくり急性期に関わるのも、訪問で生活の場を支えるのも、小児で成長を見守るのもST。やりがいの感じ方は人それぞれ選べるんだよ。

近年は訪問リハビリの分野でも、言語聴覚士のニーズが少しずつ高まっています。自宅で「食べること」「家族との会話」を支える役割は、本人やご家族の生活の質に直結します。生活の場に入り込んで支援できるのは、これからの時代ならではのやりがいと言えるでしょう。

言語聴覚士のやりがいに関するよくある質問

言語聴覚士はどんな場所で働けますか?
病院・クリニック、リハビリテーション施設、介護老人保健施設などの高齢者施設、訪問リハビリ、小児の療育施設や発達支援センターなど幅広く活躍できます。対象も小児から高齢者まで多様です。
言語聴覚士になるにはどうすればいいですか?
養成校(大学・短大・専門学校)で必要な課程を修了し、国家試験に合格して言語聴覚士の資格を取得します。すでに4年制大学を卒業している場合は、2年制の養成課程という進路もあります。
未経験・社会人からでも目指せますか?
目指せます。社会人経験を経て養成校に入り直す方も少なくありません。人と関わる経験は、患者さんへの寄り添いにそのまま活きます。
やりがいを感じやすいのはどんな場面ですか?
食べられなかった人が口から食事を摂れるようになった、話せなかった人の発語が増えた、子どものことばが育った——といった「変化の瞬間」に立ち会えたときに、最も強いやりがいを感じる人が多いです。
まとめ
  • 言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」を支える専門職
  • やりがいは、回復の実感・社会参加の支援・感謝・専門性・寄り添い・小児の成長・学び・チーム支援の8つ
  • 人とじっくり関わり、学び続け、チームで協力できる人に向いている
  • すぐに結果が出ない大変さもあるが、変化に立ち会える喜びは大きい
  • 進路に迷っている人は、やりがいと現実の両面を知って判断を

※この記事は知人の言語聴覚士へのインタビューをもとに、現場の声を踏まえて執筆しています。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶