ショートステイの送迎加算とは?片道184単位の算定要件と対象者の考え方を解説

短期入所生活介護(ショートステイ)の送迎加算は、片道につき184単位です。往復で368単位になります。要介護3・併設型の基本報酬が715単位ですから、往復1回で基本報酬の半分を超えるという、単価の重い加算です。
単価が大きいぶん、要件の読み違いも起きやすい加算です。条文が求めているのは次の3つで、どれか1つでも欠けると算定できません。
①送迎を行うことが必要と認められる利用者であること、②事業所の従業者が行うこと、③居宅と事業所との間の送迎であること。「入院先の病院に迎えに行った」「家族が送ってきた日も付けている」といった運用は、条文の文言から外れます。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注17、老企第40号 第二の2(19)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 送迎加算の単位数(片道184単位・往復368単位)
- 算定に必要な3つの条件
- 「送迎を行うことが必要と認められる利用者」の判断
- 家族が送ってきた場合に算定できない理由
- 病院や他施設からの移送が対象外になる理由
- 通所介護の送迎(基本報酬に包括・行わない場合は減算)との違い
- 届出が必要であること
- 利用者負担がどれだけ増えるか
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも184単位で算定できること
- 短期入所療養介護の送迎加算と、介護医療院の予防ショートだけ134単位である例外
送迎加算は片道184単位。往復で368単位
告示19号の注17は、次のとおりです。
電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定短期入所生活介護事業所において、利用者の心身の状態、家族等の事情等からみて送迎を行うことが必要と認められる利用者に対して、その居宅と指定短期入所生活介護事業所との間の送迎を行う場合は、片道につき184単位を所定単位数に加算する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 片道184単位(往復368単位) |
| 数え方 | 片道ごと。利用開始日の迎えと終了日の送りで各1回 |
| 届出 | 必要(体制の届出) |
| 算定単位 | 送迎を行った利用者本人のみ |
| 要支援 | 算定できる(184単位) |
1割負担の利用者なら、往復で約368円(その他地域・1単位10円の場合)の自己負担増です。数日の利用でも、送迎を付けるかどうかで請求額が目に見えて変わります。ケアマネジャーとしては、家族に事前に伝えておくべき項目です。
通所介護や通所リハビリでは、送迎は基本報酬に含まれています。そのため行わなかった場合に片道47単位を減算する、という逆の構造です。
ショートステイは宿泊するサービスで、利用のたびに1往復しか発生しません。日々の送迎を前提にできないため、実施した場合に評価する「加算」として設計されています。通所と発想が逆である点は、両方を扱う事業所ほど混同しやすいところです。
算定できる3つの条件。1つでも欠けると算定できない
老企第40号 第二の2(19)は、次のとおりです。
利用者の心身の状態、家族等の事情等からみて送迎を行うことが必要と認められる利用者に対して、指定短期入所生活介護事業所の従業者が当該利用者の居宅と指定短期入所生活介護事業所との間の送迎を行う場合は、片道につき加算の対象となる。
- 対象者:心身の状態、家族等の事情等からみて送迎を行うことが必要と認められる利用者であること
- 実施者:指定短期入所生活介護事業所の従業者が行うこと
- 区間:利用者の居宅と事業所との間であること
①「必要と認められる」=希望だけでは足りない
条文は「送迎を希望する利用者」ではなく「送迎を行うことが必要と認められる利用者」と書いています。判断材料として挙げられているのは、利用者の心身の状態と家族等の事情です。
| 判断材料 | 具体例 |
|---|---|
| 心身の状態 | 移乗・移動に介助を要する、車いす、認知症により1人での移動が危険、医療的な管理を要するなど |
| 家族等の事情 | 独居、家族が就労している、家族が高齢・疾病で運転できない、車がない、遠方に居住しているなど |
実務では、送迎した全利用者に機械的に算定している事業所を見かけます。しかし条文は個々の利用者ごとの必要性を求めています。
送迎が必要と判断した理由を、ケアプランおよび短期入所生活介護計画に位置づけ、記録として残しておくことが実務上の防御になります。担当したケースでも、実地指導で確認されたのは「送迎の必要性がどこに書かれているか」でした。
②実施者は「事業所の従業者」
通知は「指定短期入所生活介護事業所の従業者が」と明記しています。したがって、次の場合は文言から外れます。
- 家族が送ってきた/迎えに来た場合
- 利用者がタクシーや自家用車で自力で来た場合
「往路は家族が送ってきて、復路だけ事業所が送った」というケースでは、復路の片道184単位のみが算定対象です。往復368単位にはなりません。片道ごとに数える、という条文の書き方はここで効いてきます。
なお、送迎業務を外部に委託した場合の扱いについては、この通知に明文の定めがありません。「従業者が」という文言をどこまで厳格に読むかは指定権者によって解釈が分かれる可能性があるため、委託を検討する場合は事前に確認してください。
③区間は「居宅と事業所の間」
条文は「その居宅と指定短期入所生活介護事業所との間の送迎」です。起点・終点が居宅であることが前提になっています。
| 送迎の区間 | 算定 |
|---|---|
| 居宅 → 事業所(迎え) | ○ |
| 事業所 → 居宅(送り) | ○ |
| 病院(退院)→ 事業所 | ×(居宅ではない) |
| 事業所 → 病院(入院・受診) | ×(居宅ではない) |
| 他の施設・事業所 → 事業所 | ×(居宅ではない) |
退院してそのままショートステイへ、という流れは実務でよくあります。しかし病院から直接迎えに行った分は、条文の文言上「居宅との間の送迎」に当たりません。
ちびウルフ退院日にそのままショートに入る人、けっこういますよね。あの送迎はタダ働きになるんですか?
リハウルフ介護報酬としては算定できないと読むのが素直です。ただし介護保険の給付対象外のサービスとして、実費を利用者から受け取ることは別の話です。
その場合は、重要事項説明書や利用契約書に「その他のサービスの費用」として定めておき、事前に説明して同意を得る必要があります。加算で取れないから無料でやる、という整理にしないことが大事です。実費徴収の可否と項目は指定権者に確認してください。
届出は必要。ただし「厚生労働大臣が定める基準」はない
注17は「都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定短期入所生活介護事業所において」と書いています。体制の届出は必要です。
一方、他の多くの加算にある「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして」という文言はありません。人員配置や設備についての施設基準が設けられていない加算です。
| 加算 | 厚生労働大臣が定める基準 | 届出 |
|---|---|---|
| 送迎加算 | なし | 必要 |
| 医療連携強化加算 | あり(告示95号第37号) | 必要 |
| 看取り連携体制加算 | あり(告示95号第37号の2) | 必要 |
| 在宅中重度者受入加算 | なし | 条文上の定めなし |
届出を忘れたまま送迎を行い、後から算定できないことに気づく、というのが最も多い取りこぼしです。送迎を始める前に体制届が出ているかを確認してください。
要支援でも算定できる。療養食加算と並ぶ数少ない加算
介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第127号にも、介護予防短期入所生活介護費に片道184単位の送迎加算が設けられています。要件の文言も介護給付と同じです。
| 加算 | 要支援での算定 |
|---|---|
| 送迎加算 | ○(片道184単位) |
| 療養食加算 | ○(8単位・1日3回まで) |
| 看護体制加算 | × |
| 医療連携強化加算 | × |
| 在宅中重度者受入加算 | × |
| 看取り連携体制加算 | × |
| 緊急短期入所受入加算 | × |
要支援1・2の方は基本報酬が低いため、往復368単位のインパクトは要介護の方より大きくなります。予防のショート利用で送迎を組む場合は、負担額の説明をより丁寧に行う必要があります。
短期入所療養介護も184単位。ただし予防の介護医療院だけ134単位
短期入所療養介護(老健・病院・診療所・介護医療院のショート)の送迎加算も、同じく片道184単位です。要件の文言も共通しています。
ただし1か所だけ例外があります。介護医療院が行う介護予防短期入所療養介護の送迎加算は、片道134単位です。
| サービス | 片道の単位数 |
|---|---|
| 短期入所生活介護/介護予防短期入所生活介護 | 184単位 |
| 短期入所療養介護(老健・病院・診療所・介護医療院) | 184単位 |
| 介護予防短期入所療養介護(老健・病院・診療所) | 184単位 |
| 介護予防短期入所療養介護(介護医療院) | 134単位 |
該当する事業所は多くありませんが、介護医療院で予防のショートを受け入れている場合は、184単位で算定していないか確認してください。
ショートステイの送迎加算はいくらですか?
片道につき184単位です。往復で368単位になります。1割負担・1単位10円の地域なら、往復で約368円の自己負担増です。
往復で1回として数えるのですか?
違います。片道ごとに数えます。迎えで1回、送りで1回です。片方だけ事業所が行った場合は、その片道分のみ算定します。
家族が送ってきた日も算定できますか?
できません。通知は「事業所の従業者が」送迎を行う場合としています。家族が送ってきた往路は算定できず、事業所が送った復路のみ算定対象になります。
退院してそのままショートに入る場合、病院への迎えは算定できますか?
条文は「その居宅と事業所との間の送迎」としており、病院は居宅に当たりません。算定は難しいと読むべきです。介護保険外の実費として受け取る場合は、契約書・重要事項説明書への記載と事前の説明・同意が必要です。
送迎した利用者全員に算定してよいですか?
条文は「心身の状態、家族等の事情等からみて送迎を行うことが必要と認められる利用者」に限定しています。必要性の判断根拠をケアプランや短期入所生活介護計画、記録に残しておいてください。
送迎を外部に委託しても算定できますか?
通知は「事業所の従業者が」としており、委託の可否について明文の定めはありません。解釈が分かれる可能性があるため、指定権者に事前に確認してください。
届出は必要ですか?
必要です。注17に「老健局長が定める様式による届出を行った指定短期入所生活介護事業所において」とあります。ただし人員・設備に関する施設基準は設けられていません。
通所介護の送迎とは何が違いますか?
通所介護・通所リハビリでは送迎が基本報酬に含まれており、行わない場合に片道47単位を減算します。ショートステイは実施した場合に加算する、逆の構造です。
要支援でも算定できますか?
できます。介護予防短期入所生活介護にも片道184単位の送迎加算があります。要件の文言も介護給付と同じです。
短期入所療養介護の送迎加算も184単位ですか?
基本的に184単位です。ただし介護医療院が行う介護予防短期入所療養介護に限り、片道134単位とされています。
長期に連続利用した場合、送迎加算は何回算定できますか?
実際に居宅と事業所の間の送迎を行った片道ごとです。連続利用の間は往復が発生しないため、開始時の迎えと終了時の送りの2回が基本になります。
- ショートステイの送迎加算は片道184単位、往復368単位
- 要介護3・併設型の基本報酬715単位に対し、往復で半分を超える重さ
- 片道ごとに数えるため、往路が家族送迎なら復路分のみ算定
- 算定の条件は①必要と認められる利用者、②事業所の従業者が実施、③居宅と事業所の間
- 「希望した」だけでは要件を満たさない
- 判断材料は利用者の心身の状態と、家族等の事情
- 必要性の根拠はケアプラン・計画・記録に残しておく
- 家族送迎・自力来所は算定できない
- 病院や他施設からの移送は「居宅との間」に当たらず算定できない
- 介護保険外の実費として扱う場合は、契約書への記載と事前の同意が必要
- 委託の可否は通知に明文がなく、指定権者への確認が要る
- 届出は必要だが、人員・設備の施設基準は設けられていない
- 届出漏れによる取りこぼしが起きやすい
- 通所介護は送迎が基本報酬に包括され、行わない場合に47単位減算される逆の構造
- 要支援でも片道184単位で算定できる
- 要支援は基本報酬が低いぶん、送迎加算の負担感が大きい
- 短期入所療養介護も184単位
- 介護医療院が行う介護予防短期入所療養介護だけは片道134単位
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」注17、「短期入所療養介護費」各注(送迎)、「通所介護費」注(送迎を行わない場合の減算)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日老企第40号)第二の2(19)利用者に対して送迎を行う場合(厚生労働省法令等データベース)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)介護予防短期入所生活介護費 注13、介護予防短期入所療養介護費 各注(送迎)(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。送迎業務の委託の可否、病院等からの移送の取扱い、介護保険外の実費徴収の可否と項目は、都道府県・指定都市によって解釈・運用が異なる場合があります。本文中の金額換算は1単位10円として計算した概算です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。必要性の記録の残し方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




