指定難病の患者数ランキング【2026年最新・人数が多い難病】

指定難病の医療費助成を受けている人は、全国で1,121,462人(令和6年度末)。1位の潰瘍性大腸炎と2位のパーキンソン病だけで約30万人を占め、341ある対象疾病のうち、ごく一部に人数が集中しているのが実態です。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、難病情報センターが公表する最新データ(令和6年度末=2025年3月末時点)にもとづく患者数ランキングTOP30を、前年度からの増減つきで整理します。数字の正しい読み方と、現場で関わるときの視点まで書きます。
- 指定難病の患者数ランキングTOP30(前年度比つき)
- 全国の受給者証所持者総数と、対象疾病の数
- 1年で最も増えた難病・減った難病
- 上位疾患それぞれの特徴と現場での関わり方
- 疾患ごとに患者の世代がまったく違うこと(実データつき)
- 「受給者証所持者数」と「患者数」の違い
- 人数の多さと支援の重さは一致しないこと
- 医療・介護の現場で押さえておきたいポイント
指定難病の患者数ランキングTOP30【令和6年度末】
難病情報センターが公表する「特定医療費(指定難病)受給者証所持者数」(令和6年度衛生行政報告例)をもとにしたランキングです。前年度末(令和5年度末)からの増減も併記しました。
| 順位 | 疾患名 | 令和6年度末|前年度比 |
|---|---|---|
| 1位 | 潰瘍性大腸炎 | 151,631人|+4,929人(+3.4%) |
| 2位 | パーキンソン病 | 150,569人|+3,088人(+2.1%) |
| 3位 | 全身性エリテマトーデス(SLE) | 66,928人|+621人(+0.9%) |
| 4位 | クローン病 | 53,664人|+1,556人(+3.0%) |
| 5位 | 好酸球性副鼻腔炎 | 34,536人|+6,045人(+21.2%) |
| 6位 | 後縦靱帯骨化症 | 32,083人|+350人(+1.1%) |
| 7位 | 重症筋無力症 | 28,323人|+952人(+3.5%) |
| 8位 | 皮膚筋炎/多発性筋炎 | 27,790人|+791人(+2.9%) |
| 9位 | 全身性強皮症 | 27,017人|-40人(-0.1%) |
| 10位 | 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く) | 26,491人|-87人(-0.3%) |
| 11位 | 多発性硬化症/視神経脊髄炎 | 25,203人|+1,098人(+4.6%) |
| 12位 | 特発性間質性肺炎 | 22,066人|+2,939人(+15.4%) |
| 13位 | シェーグレン症候群 | 21,396人|+920人(+4.5%) |
| 14位 | 網膜色素変性症 | 19,993人|-694人(-3.4%) |
| 15位 | 下垂体前葉機能低下症 | 19,919人|-417人(-2.1%) |
| 16位 | 特発性大腿骨頭壊死症 | 19,771人|+94人(+0.5%) |
| 17位 | 特発性拡張型心筋症 | 17,958人|-150人(-0.8%) |
| 18位 | 特発性血小板減少性紫斑病 | 16,597人|-3人(±0.0%) |
| 19位 | サルコイドーシス | 16,170人|+312人(+2.0%) |
| 20位 | 原発性胆汁性胆管炎 | 16,084人|-260人(-1.6%) |
| 21位 | IgA腎症 | 15,352人|+1,019人(+7.1%) |
| 22位 | ベーチェット病 | 15,087人|-77人(-0.5%) |
| 23位 | 一次性ネフローゼ症候群 | 14,331人|+637人(+4.7%) |
| 24位 | もやもや病 | 13,916人|+227人(+1.7%) |
| 25位 | 多発性嚢胞腎 | 13,912人|+485人(+3.6%) |
| 26位 | 進行性核上性麻痺 | 13,564人|+209人(+1.6%) |
| 27位 | 顕微鏡的多発血管炎 | 12,922人|+1,043人(+8.8%) |
| 28位 | 混合性結合組織病 | 10,233人|+34人(+0.3%) |
| 29位 | 多系統萎縮症 | 10,170人|-358人(-3.4%) |
| 30位 | 筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 9,768人|+41人(+0.4%) |
341疾病のうち、TOP30だけで923,444人(全体の82.3%)。残り311疾病の合計は約20万人で、1疾病あたり数十人〜数千人という規模のものが大半です。
1年で増えた難病・減った難病
ランキングの順位はほとんど動きませんが、増減率で見ると様子が変わります。
大きく増えた疾患
| 好酸球性副鼻腔炎 | +6,045人(+21.2%)|TOP30で増加数・増加率ともに最大 |
|---|---|
| 全身性アミロイドーシス | +1,351人(+19.8%)|33位 |
| 特発性間質性肺炎 | +2,939人(+15.4%) |
| 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 | +1,026人(+13.4%)|31位 |
| 顕微鏡的多発血管炎 | +1,043人(+8.8%) |
| IgA腎症 | +1,019人(+7.1%) |
増加の背景は疾患ごとに異なりますが、診断技術や診断基準の浸透、治療薬の登場によって「診断がつくようになった」ことの影響が大きいと考えられます。とくに好酸球性副鼻腔炎は、生物学的製剤の普及とともに受給者数が伸びています。
減っている疾患
| 網膜色素変性症 | -694人(-3.4%) |
|---|---|
| 多系統萎縮症 | -358人(-3.4%) |
| 下垂体前葉機能低下症 | -417人(-2.1%) |
| 原発性胆汁性胆管炎 | -260人(-1.6%) |
減少は「患者が減った」とは限りません。この数字は受給者証を持っている人の数なので、重症度分類を満たさなくなって更新されなかった、他の疾患名に整理された、亡くなったといった要因がすべて含まれます。減少=改善、と読むのは誤りです。
ちびウルフ「患者数」と「受給者証の数」って同じじゃないの?
リハウルフ違います。この数字は「医療費助成の受給者証を持っている人数」です。診断はついているが重症度分類を満たさず助成対象外になっている人(軽症者)は入っていません。だから実際に診断がついている人は、この数字よりも多い。逆に「軽症高額該当」で受給している人は含まれます。論文や講義で「患者数」として引用するときは、この違いを一言添えてください。
上位疾患の特徴
1位・潰瘍性大腸炎/4位・クローン病(炎症性腸疾患)
合わせて20万人を超える最大の疾患群です。特徴は世代で、潰瘍性大腸炎は20〜49歳が69,630人(全体の45.9%)、クローン病は32,950人(同61.4%)と、働き盛りに集中しています。
介護保険よりも、就労との両立、トイレ環境、体調の波との付き合い方が支援のテーマになります。見た目では分からないため、周囲の理解が得にくいこともつらさの一つです。
2位・パーキンソン病
在宅の現場で圧倒的に出会う機会が多い疾患です。70歳以上が123,493人で全体の82.0%、75歳以上だけで99,442人(66.0%)を占めます。
介護保険の第2号被保険者の特定疾病にも含まれるため、40〜64歳でも介護保険サービスを使えます。また、ホーエン・ヤールの重症度分類によって医療保険の訪問看護の扱いも変わるため、制度の組み立てが要になる疾患です。
3位・全身性エリテマトーデス/8位・皮膚筋炎ほか(膠原病)
SLE、皮膚筋炎/多発性筋炎、全身性強皮症、シェーグレン症候群、混合性結合組織病を合わせると15万人を超えます(153,364人)。単独では3位でも、疾患群として見れば最大級です。
SLEは20〜49歳が27,258人(40.7%)と若年層に多く、妊娠・出産、就労、長期のステロイド治療との付き合いが課題になります。
7位・重症筋無力症
28,323人。75歳以上が9,654人(34.1%)と高齢層にも広く分布します。
症状に日内変動(夕方に悪化する)があるのが最大の特徴で、リハビリや訪問サービスの時間帯設定が結果を大きく左右します。午前の評価だけで「できる」と判断すると、生活の実像を取り違えます。
6位・後縦靱帯骨化症/16位・特発性大腿骨頭壊死症(運動器系)
合わせて約5万人。リハビリ職が直接関わる機会が多い疾患です。後縦靱帯骨化症は70歳以上が56.7%と高齢者中心、特発性大腿骨頭壊死症は40〜60代が中心という違いがあります。
年齢層で見る指定難病
「難病=高齢者の病気」というイメージは正確ではありません。実データを見ると、次のように分布しています。
| 19歳以下 | 4,798人(0.4%) |
|---|---|
| 20〜49歳 | 276,547人(24.7%) |
| 50〜69歳 | 392,437人(35.0%) |
| 70歳以上 | 447,680人(39.9%) |
およそ4人に1人が20〜49歳です。若年層に多い疾患では、介護保険よりも障害福祉サービス、傷病手当金、障害年金、就労支援が支援の中心になります。
| 高齢層に偏る疾患 | パーキンソン病(70歳以上82.0%)/特発性間質性肺炎(同75.9%)/進行性核上性麻痺/後縦靱帯骨化症 |
|---|---|
| 若年〜中年層に多い疾患 | クローン病(20〜49歳61.4%)/潰瘍性大腸炎(同45.9%)/多発性硬化症(同41.4%)/SLE(同40.7%) |
数字の正しい読み方【3つの注意点】
①「受給者証所持者数」は有病者数ではない
前述のとおり、この数字は医療費助成を受けている人の数です。指定難病の医療費助成は「診断がついていること」に加えて重症度分類を満たすことが要件のため、軽症の人は原則として含まれません(医療費が一定額を超える「軽症高額該当」は対象)。
②対象疾病は見直しで増減する
指定難病は平成27年の制度開始時が110疾病、その後の追加を経て現在は341疾病です。新しく追加された疾病は、初年度から数年は受給者数が急増します。「増えた=発症が増えた」とは限らないのはこのためです。
③疾患名の統合・分割にも注意
「多発性硬化症/視神経脊髄炎」「皮膚筋炎/多発性筋炎」のように複数の疾患がひとつの告示番号にまとめられているものがあります。他の統計と比べるときは、単位が同じかを必ず確認してください。
医療・介護の現場で関わるときのポイント
制度面で押さえておきたいのは次の3点です。
- 介護保険の特定疾病:パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症、ALS、多系統萎縮症などは、40〜64歳でも介護保険が使える
- 医療保険の訪問看護:厚生労働大臣が定める疾病等に該当すると、回数制限や1日1回の縛りが外れる(ALS、多発性硬化症、パーキンソン病関連疾患〈重症度の要件あり〉など)
- 障害福祉サービス:指定難病の人は、障害者手帳がなくても対象になり得る
同じ人に、医療保険・介護保険・障害福祉・難病の医療費助成が同時に関わるのが難病支援の難しさです。どの制度が優先されるかを整理できると、支援の質が変わります。
日本でいちばん患者数が多い指定難病は?
指定難病の患者は全国で何人ですか?
指定難病はいくつありますか?
この数字は実際の患者数と同じですか?
1年でいちばん増えた難病は?
難病は高齢者に多いのですか?
ALSの患者数は何人ですか?
40〜64歳でも介護保険は使えますか?
データはどこで確認できますか?
- 指定難病の受給者証所持者数は、令和6年度末で1,121,462人。前年度から34,883人(+3.2%)増えた。
- 1位は潰瘍性大腸炎(151,631人)、2位はパーキンソン病(150,569人)。この2疾患で約30万人。
- 3位SLE、4位クローン病、5位好酸球性副鼻腔炎、6位後縦靱帯骨化症、7位重症筋無力症と続く。
- 対象疾病は341。TOP30で923,444人(全体の82.3%)を占め、残る311疾病は合計約20万人と規模の差が大きい。
- 1年で最も増えたのは好酸球性副鼻腔炎(+21.2%)。特発性間質性肺炎(+15.4%)も大きく伸びた。
- 網膜色素変性症や多系統萎縮症は減少しているが、これは患者の減少を意味しない。
- この数字は受給者証所持者数であり、重症度分類を満たさない軽症者は含まれない。
- 年齢分布は、70歳以上39.9%、50〜69歳35.0%、20〜49歳24.7%、19歳以下0.4%。
- パーキンソン病は70歳以上が82.0%、クローン病は20〜49歳が61.4%と、疾患で世代がまったく違う。
- 若年層に多い疾患では、就労との両立や障害年金・障害福祉サービスが支援の中心になる。
- 人数の多さと支援の重さは一致しない。ALSは30位でも関わりの密度は群を抜く。
- 介護保険の特定疾病、医療保険の訪問看護の対象疾病、障害福祉サービスの3つの制度の関係を押さえる。
- 難病情報センター「特定医療費(指定難病)受給者証所持者数」(令和6年度末・年齢階級別/厚生労働省「衛生行政報告例」より)
- 厚生労働省「衛生行政報告例 年度報 難病・小児慢性特定疾病」(政府統計の総合窓口 e-Stat)
- 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)
※本記事の人数は、難病情報センターが公表する「特定医療費(指定難病)受給者証所持者数」(令和6年度末=2025年3月末現在、厚生労働省「衛生行政報告例」による)を集計・整理したものです。前年度比は令和5年度末のデータと比較して算出しています。この数値は医療費助成の受給者証所持者数であり、診断されている患者数(有病者数)とは異なります。重症度分類を満たさない軽症の方は原則として含まれません。年齢階級別の割合は公表値から算出したもので、端数処理により合計が一致しない場合があります。疾患名および告示番号は公表資料の表記にもとづいています。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、対象疾病や制度の運用はその後の見直しにより変わる可能性があります。現場での関わりに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。

