「認知症の親を、どんな施設なら受け入れてもらえるの?」「徘徊や夜間の対応が大変で、もう在宅は難しい…」——。認知症の進行は、施設選びをいっそう難しくします。一般的な選び方とは違う、認知症ならではのポイントがあるからです。

この記事では、訪問リハビリ・訪問看護の現場で認知症のご本人・ご家族を支えてきた視点から、認知症の親に合う施設の種類と、後悔しない選び方を整理しました。グループホームと特養の違いや、見学で見るべき点まで具体的に解説します。

この記事でわかること
  • 認知症の方が入居できる施設の種類と特徴
  • グループホーム・特養・介護付き有料の違いと選び方
  • 認知症ならではの施設選びのチェックポイント
  • 本人が入居を嫌がるときの向き合い方

認知症の親が入居できる施設は主に4種類

認知症があっても入居できる施設はいくつかあります。それぞれ向いている状態が異なるため、まずは特徴を押さえましょう。

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認知症だと、入れる施設は限られるの?

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そんなことはないよ。認知症ケアを専門にするグループホームをはじめ、特養や介護付き有料でも認知症に対応する施設はたくさんあるんだ。

施設の種類特徴向いている状態
グループホーム認知症の方が少人数で共同生活。地域密着型認知症の診断があり、共同生活が送れる軽〜中度
特別養護老人ホーム(特養)公的施設で費用が安い。原則 要介護3以上介護度が重く、費用をおさえたい
介護付き有料老人ホーム24時間体制の手厚い介護。認知症対応施設も多い手厚いケア・看取りまで希望する
住宅型有料・サ高住(認知症対応)外部サービスを利用。対応可否は施設による比較的軽度で、自由度を重視する
ポイント同じ施設タイプでも、認知症の受け入れ体制は施設ごとに大きく異なります。「認知症対応の経験が豊富か」「徘徊・夜間対応の体制があるか」を個別に確認することが大切です。

グループホームと特養、どっちがいい?違いを比較

認知症の施設選びでよく迷うのが、グループホームと特養です。両者の違いを整理しました。

比較項目グループホーム特別養護老人ホーム
主な対象認知症の診断がある要支援2以上原則 要介護3以上
規模・雰囲気1ユニット9人までの少人数・家庭的比較的大規模
ケアの特徴できることは自分で行い、認知症の進行を穏やかに身体介護が手厚い。終身利用しやすい
費用の目安月額12〜18万円前後月額9〜15万円前後(一時金なし)
入居の条件原則 施設と同じ市区町村に住民票地域の制限は基本なし
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どう選び分ければいいの?

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ざっくり言うと、認知症が中心で身体はまだ動く方はグループホーム、身体介護も重くなった方は特養が向いていることが多いよ。ただ、介護度が上がるとグループホームでは対応しきれず住み替えになる場合もあるんだ。

注意グループホームは、寝たきりに近い状態や医療的ケアが増えると、住み続けが難しくなることがあります。将来介護が重くなったときの方針(看取りや住み替えの考え方)を、入居前に必ず確認しましょう。

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認知症ならではの施設選び|5つのチェックポイント

認知症の方の施設選びでは、一般的な観点に加えて、次の5点を必ず確認しましょう。

  1. 認知症ケアの経験・専門性(スタッフの研修体制、認知症ケアの方針)
  2. 徘徊・夜間対応の体制(見守りの仕組み、夜間の職員数)
  3. 身体拘束をしない方針か(やむを得ない場合の説明・手続き)
  4. 本人の「できること」を活かす関わりがあるか
  5. 介護度が上がったときの対応(看取り・住み替えの方針)
ポイント見学では、入居者の表情や、スタッフの声かけの様子をよく見てください。穏やかな表情の入居者が多く、スタッフが急かさず関わっている施設は、認知症ケアの質が高い傾向があります。

在宅介護が限界に近づく「認知症のサイン」

「どのタイミングで施設を考えればいいの?」と迷う方も多いはずです。認知症の場合、次のようなサインが増えてきたら、施設も含めて検討する時期かもしれません。

本人側のサイン介護者側のサイン
徘徊や外出して帰れなくなることが増えた夜間の対応で眠れず、疲れがとれない
昼夜逆転し、夜に起きて活動する気が休まらず、自分の時間が持てない
火の不始末など、命に関わる危険が出てきたつい強い口調で接してしまい自己嫌悪に陥る
家族の顔が分からなくなることがある仕事や自分の生活との両立が難しい
注意火の不始末や、1人にしておくと危険な状態は、在宅介護の限界が近いサインです。介護者が心身ともに疲弊する前に、ショートステイや施設の利用を検討しましょう。抱え込みすぎないことが、本人と家族の双方を守ります。

認知症の進行に合わせた「住み替え」も視野に

認知症は進行する病気です。入居時にはちょうど良かった施設でも、症状や身体状態の変化で、より手厚い施設への住み替えが必要になることがあります。

たとえば、グループホームで穏やかに暮らしていた方が、身体介護や医療的ケアが増えて特養や介護付き有料老人ホームへ移るというケースです。住み替えは本人の負担が大きいため、できれば最初から「介護が重くなっても住み続けられるか」「看取りまで対応できるか」を確認しておくと安心です。

ポイント住み替えを前提にする場合も、なるべく環境変化が少なくて済むよう、同じ法人が運営する関連施設へ移れるかなどを確認しておくと、本人の混乱を減らせます。

本人が入居を嫌がるときの向き合い方

「施設なんて行きたくない」と本人が拒むことは、よくあります。認知症があると、なおさら説得は難しいものです。

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無理やり入れるのは、かわいそうな気がして…

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正面から説得するより、まずは見学やショートステイで「体験」してもらうのがいいよ。実際に過ごすと不安が和らぐことも多いんだ。専門職に間に入ってもらうのも有効だよ。

言葉で論理的に説得しようとするより、本人の不安な気持ちに寄り添いながら、少しずつ慣れてもらうアプローチが有効です。ショートステイで短期間から試す、なじみの物を持ち込む、家族が頻繁に面会するなど、安心材料を増やしていきましょう。ケアマネジャーや施設の相談員に間に入ってもらうと、家族だけで抱えずに進められます。

また、認知症があると「施設に入った」という事実そのものを覚えていられないことも少なくありません。そのため、入居の善し悪しは「説得できたか」ではなく、入居後に本人が穏やかに過ごせているかで判断するのが現実的です。最初は戸惑っても、安心できる環境とスタッフの関わりの中で、少しずつ表情がやわらいでいくケースは多くあります。罪悪感を抱えすぎず、「本人が安心して暮らせる場所を一緒に探す」という気持ちで向き合いましょう。

リハビリ・看護職の視点|環境が変わっても「できること」を守る

認知症のある方は、環境の変化に敏感です。引っ越しによって混乱(リロケーションダメージ)が一時的に強まることもあります。だからこそ、本人のペースを尊重し、できることを奪わない関わりができる施設かどうかが重要です。

現場では、施設入居後も訪問リハビリ的な関わりや生活リハビリを通じて、歩行や身の回りの動作を保てたケースがあります。「安全のために何もさせない」のではなく、「見守りながらできることを続ける」。この姿勢のある施設を選べると、本人の表情や生活の質が大きく変わります。

よくある質問(FAQ)

認知症が重くてもグループホームに入れますか?
グループホームは共同生活が前提のため、症状が重く意思疎通が難しい場合や、医療的ケア・身体介護が大きい場合は対応が難しいことがあります。その場合は特養や介護付き有料老人ホームが選択肢になります。施設ごとに受け入れ範囲を確認しましょう。
徘徊がありますが受け入れてもらえますか?
認知症対応の体制が整った施設なら、徘徊への見守り・対応を行っています。ただし夜間の職員数や見守りの仕組みは施設で差があるため、徘徊への具体的な対応方法を見学時に確認することが大切です。
グループホームは地域が限られると聞きました。
グループホームは地域密着型サービスのため、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方が対象です。親の住む地域か、家族が呼び寄せる地域かによって候補が変わるため、早めに確認しましょう。
費用はどのくらいかかりますか?
グループホームは月額12〜18万円前後、特養は月額9〜15万円前後(入居一時金なし)が目安です。立地やサービス内容で変わるため、複数施設の見積もりで比較しましょう。所得が低い方は負担軽減制度が使える場合もあります。
まだ要介護認定を受けていません。どうすれば?
まずはお住まいの市区町村に要介護認定を申請しましょう。認知症の施設の多くは要介護認定が前提となります。どこに相談すればよいか分からない場合は、地域包括支援センターが入口になります。かかりつけ医に認知症の診断や意見書について相談しておくとスムーズです。
まとめ
  • 認知症の方が入居できる施設は、グループホーム・特養・介護付き有料などがある
  • 認知症中心で身体が動く方はグループホーム、身体介護も重い方は特養が向きやすい
  • グループホームは介護が重くなると住み替えになる場合があるため将来の方針を確認
  • 認知症ケアの専門性・徘徊夜間対応・身体拘束の方針を必ずチェックする
  • 本人が嫌がるときは説得より「体験」。専門職に間に入ってもらう

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参考:厚生労働省 認知症施策・介護保険関連資料ほか

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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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