「療養通所介護とは何か、わかりやすく知りたい」「人員基準や設備基準はどう定められているの?」——難病やがん末期など、医療的ケアの必要性が高い方を支える療養通所介護は、一般的な通所介護(デイサービス)とは対象者も基準も大きく異なります。開設を検討する事業所、ケアマネジャー、看護師にとって、正しい理解は欠かせません。

この記事では、療養通所介護の概要・対象者・人員基準・設備基準を、厚生労働省の基準(指定地域密着型サービスの人員・設備・運営基準等)にもとづいて整理しました。Q&Aもあわせて確認し、実務に役立ててください。

この記事でわかること
  • 療養通所介護とは何か(対象者・基本方針・位置づけ)
  • 人員基準(看護・介護職員、管理者、利用定員)
  • 設備基準(専用の部屋の広さ・遮断などの要件)
  • 休憩時間の取扱いに関する厚生労働省Q&A
  • 令和6年度改定での報酬体系(月額包括報酬制)の考え方

療養通所介護とは?わかりやすく解説

療養通所介護は、難病等を有する重度の要介護者やがん末期の方で、サービス提供にあたり常時、看護師による観察が必要な利用者を対象とする地域密着型サービスです。入浴・排せつ・食事などの介護や、日常生活上の世話、機能訓練を行い、利用者の社会的孤立感の解消、心身機能の維持、そして家族の身体的・精神的負担の軽減を図ることを目的としています。

基本方針要介護状態になっても、利用者が可能な限り居宅で、その能力に応じて自立した日常生活を営めるよう、生活機能の維持・向上を目指して必要な世話と機能訓練を行うサービスです(指定地域密着型サービスの基準より要約)。
ちびウルフちびウルフ

普通のデイサービスと、療養通所介護は何がいちばん違うんですか?

リハウルフリハウルフ

いちばんは「対象者」と「看護師の関わり」だね。療養通所介護は、常に看護師の観察が必要なほど医療ニーズの高い方が対象。だから人員基準でも看護師の配置が手厚く求められるんだ。在宅生活と医療をつなぐ、専門性の高いサービスなんだよ。

対象者の定義

厚生労働省の基準では、療養通所介護の対象は「難病等を有する中重度者またはがん末期の方(大臣が定める者)であって、サービス提供にあたり常時、看護師による観察が必要なもの」と定められています。療養通所介護計画にもとづき、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話および機能訓練を行います。

療養通所介護の人員基準(厚生労働省)

療養通所介護の人員基準は、医療ニーズの高い利用者を安全に支えるため、一般の通所介護より看護職員の配置に重点が置かれています。主な内容は次のとおりです。

区分基準の内容
看護職員・介護職員の数提供時間帯を通じて、利用者の数が1.5に対し、専ら当該指定療養通所介護の提供にあたる者が1以上。うち1人以上は、専ら療養通所介護の職務に従事する常勤の看護師。
管理者専らその職務に従事する常勤の看護師。ただし管理上支障がない場合は、同一敷地内にある他の事業所・施設等との兼務が可能。
利用定員18人以下。
注意利用定員は制度の見直しを経て段階的に引き上げられ、現在は18人以下とされています。古い資料では「9人以下」などと記載されている場合があるため、最新の基準で確認してください。

ポイントは、利用者1.5人に対して従事者1人以上という手厚い配置と、常勤看護師を必ず置くこと。管理者も原則として常勤の看護師である点が、療養通所介護の大きな特徴です。重度の利用者に対し、医療的観察を切れ目なく行える体制が求められています。

療養通所介護の設備基準・施設基準(厚生労働省)

設備面では、利用者が安心して過ごせる専用空間の確保が求められます。主な基準は次のとおりです。

  1. 事業所には、専用の部屋のほか、消火設備その他の非常災害に必要な設備、サービス提供に必要な設備・備品等を備える。
  2. 専用の部屋は、利用者1人につき6.4平方メートル以上を確保する。
  3. 専用の部屋は明確に区分され、他の部屋等から完全に遮断されていること。

とくに「1人あたり6.4㎡以上」「他の部屋から完全に遮断」という要件は、医療ニーズの高い利用者のプライバシーと安全、感染対策の観点からも重要です。開設時の物件選定・レイアウトの段階で必ず確認しましょう。

ちびウルフちびウルフ

「完全に遮断」って、どのくらいきっちり区切る必要があるんですか?

リハウルフリハウルフ

他のサービスや用途のスペースと混在せず、壁などで明確に仕切られている状態が求められるよ。判断に迷うときは、自己流で進めず指定権者(自治体)に事前相談するのが確実だね。

療養通所介護と一般の通所介護の違い(早見表)

「療養通所介護」と「通常の通所介護(デイサービス)」は名前が似ていますが、対象者も基準もまったく異なります。混同しないよう、主な違いを表で整理します。

比較項目療養通所介護通常の通所介護
位置づけ地域密着型サービス居宅サービス(地域密着型通所介護を除く)
主な対象者難病等の重度者・がん末期で常時看護師の観察が必要な方要介護認定を受けた在宅高齢者全般
看護師の配置常勤の看護師を必置。管理者も原則常勤看護師原則として看護職員の配置(基準あり)
利用定員18人以下規模により異なる
報酬体系月額包括報酬制原則として日単位(回数)の報酬

このように、療養通所介護は医療と介護の両方を切れ目なく提供することに特化したサービスです。看護師の存在が前提となっているため、訪問看護ステーションが母体となって運営するケースも見られます。在宅で過ごす重度の方とそのご家族にとって、貴重な受け皿となっています。

ちびウルフちびウルフ

家族にとっては、どんな点がありがたいサービスなんですか?

リハウルフリハウルフ

医療ニーズの高い方を在宅で看ていると、家族はどうしても気が休まらない。療養通所介護は、看護師の観察のもとで安心して預けられる「日中の居場所」になるんだ。レスパイト(家族の休息)としての意味もとても大きいんだよ。

令和6年度改定での報酬体系(月額包括報酬制)

療養通所介護の報酬は、見直しによって日単位から月単位の「包括報酬」へと改められています。医療ニーズの高い利用者は体調により利用回数が変動しやすいため、月額の包括払いとすることで、安定したサービス提供と運営を支えるねらいがあります。

注意具体的な単位数や加算は改定ごとに変わります。本記事では制度の考え方を中心に解説しています。最新の単位数・算定要件は、厚生労働省の最新の告示・通知や、お住まいの自治体の資料で必ず確認してください。

療養通所介護の人員基準・設備基準のQ&A(厚生労働省より)

厚生労働省のQ&Aでは、勤務延時間数と休憩時間の取扱いについて、次のように示されています(要約)。

Q. 確保すべき勤務延時間数に、休憩時間は含められるか? 労働基準法第34条で最低限確保すべきとされる程度の休憩時間は、確保すべき勤務延時間数に含めて差し支えないとされています。ただし、人員配置の基準(居宅基準)を満たす必要があり、職員全員が同一時間帯に一斉に休憩を取ることがないよう配慮が必要です。

なお、職員が常時1名しか配置されていない事業所では、その職員が休憩を取る時間帯に、利用者へ直接ケアを行う他の職員(生活相談員または看護職員)が配置されていれば、基準を満たすものとして取り扱って差し支えないとされています。ただし、この常勤換算とは異なる取扱いは通所介護に限って認められるもので、療養通所介護は除かれます。認知症対応型通所介護については通所介護と同様の考え方とされています。

注意休憩時間に関する上記の柔軟な取扱いは、療養通所介護には適用されません。療養通所介護は医療ニーズの高い利用者を対象とするため、人員配置をより厳格に運用する必要があります。

よくある質問(療養通所介護)

療養通所介護と通常のデイサービスの違いは?
対象者が「常時看護師の観察が必要な、難病等の重度者やがん末期の方」に限られる点が最大の違いです。看護師の配置が手厚く、管理者も原則として常勤看護師である必要があります。
利用定員は何人までですか?
現在は18人以下とされています。制度の見直しで段階的に引き上げられてきた経緯があるため、古い資料の数値ではなく最新の基準を確認してください。
専用の部屋の広さの要件は?
利用者1人につき6.4平方メートル以上を確保し、他の部屋等から明確に区分・完全に遮断されている必要があります。
管理者は誰がなれますか?
専らその職務に従事する常勤の看護師が原則です。ただし管理上支障がない場合は、同一敷地内の他の事業所・施設等との兼務が認められます。
報酬の最新の単位数はどこで確認できますか?
厚生労働省の介護報酬改定資料・告示・サービスコード表、または各自治体の介護保険担当部署の資料で確認できます。改定年度ごとに変わるため、必ず最新版を参照してください。
まとめ
  • 療養通所介護は、難病等の重度者・がん末期で常時看護師の観察が必要な方を対象とする地域密着型サービス。
  • 人員基準は「利用者1.5に対し従事者1以上」「うち1人以上は常勤看護師」「管理者は原則常勤看護師」。
  • 利用定員は18人以下(段階的に引き上げられ現在は18人)。
  • 設備基準は「専用の部屋を利用者1人6.4㎡以上」「他の部屋から完全に遮断」。
  • 報酬は月額包括報酬制。具体的な単位数・加算は厚労省の最新告示や自治体資料で確認を。

出典:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」、厚生労働省 介護報酬改定関連資料・Q&A、社会保障審議会 介護給付費分科会資料(療養通所介護)。数値・要件は最新の告示・通知および各自治体の資料でご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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