看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の遠隔死亡診断補助加算は、死亡月に150単位です。令和6年度介護報酬改定で新設されました。

単位数は小さいのですが、算定できる事業所は限られます。対象になるのは、離島や過疎地域など「厚生労働大臣が定める地域」に居住する利用者だけだからです。特別地域看護小規模多機能型居宅介護加算(15%)と同じ地域を指しており、都市部の看多機には縁のない加算になります。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のタ厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第77号の2厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 遠隔死亡診断補助加算150単位の算定要件
  • 対象になる「厚生労働大臣が定める地域」6区分の中身
  • 特別地域加算と同じ地域を指していること
  • 診療報酬の死亡診断加算を算定していることが条件であること
  • 「情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修」が必要なこと
  • ターミナルケア加算2,500単位との併算定の考え方
  • 令和6年度改定で新設された背景
  • 都市部の事業所には算定機会がないこと
ちびウルフちびウルフ

看護師が死亡診断をするということですか? それは医師の仕事では。

リハウルフリハウルフ

診断するのはあくまで医師です。加算の名前も「補助」となっています。医師が情報通信機器を通じて死亡診断を行うにあたり、現場にいる看護師がその補助をする。離島などで医師がすぐに駆けつけられず、看取ったのに死亡診断が何時間も先になるという問題への対応です。

看多機の遠隔死亡診断補助加算とは?

看護小規模多機能型居宅介護の遠隔死亡診断補助加算は、研修を受けた看護師が、主治医の指示にもとづき、情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合に、死亡月に算定する加算です。告示126号 複合型サービス費のタに規定されています。

在宅での看取りでは、亡くなった後に医師が診察して死亡診断書を作成します。ところが離島や山間部では、医師の到着に長時間かかることがあります。その間、ご遺体をそのままにして家族が待つことになる。この加算は、そうした地域での看取りを支えるために置かれました。

令和6年度介護報酬改定での新設です。同じ改定で訪問看護にも同名の加算が設けられており、看多機は訪問看護を内包するサービスとして同じ枠組みが適用されています。

遠隔死亡診断補助加算の単位数

遠隔死亡診断補助加算 150単位
注 イについて、(略)届出を行った指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が、医科診療報酬点数表の区分番号C001の注8(略)に規定する死亡診断加算を算定する利用者別に厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に限る。)について、その主治の医師の指示に基づき情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合は、当該利用者の死亡月につき所定単位数を加算する。

項目内容
単位数150単位
算定頻度死亡月につき
対象イ(看護小規模多機能型居宅介護費)
届出市町村長への届出が必要
新設令和6年度介護報酬改定

遠隔死亡診断補助加算の算定要件

4つの要件

要件内容
①看護師情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が配置されていること(告示95号第77号の2)
②利用者の医療保険側医科診療報酬点数表 区分番号C001の注8に規定する死亡診断加算を算定する利用者であること
③利用者の居住地厚生労働大臣が定める地域(告示120号)に居住する利用者であること
④実施内容主治の医師の指示に基づき、情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行うこと

対象になる「厚生労働大臣が定める地域」

告示120号が定める地域は次の6区分です。特別地域看護小規模多機能型居宅介護加算(注9)と同じ地域を指しています。

区分地域
離島振興法第2条第1項により指定された離島振興対策実施地域
奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する奄美群島
山村振興法第7条第1項により指定された振興山村
小笠原諸島振興開発特別措置法第4条第1項に規定する小笠原諸島
沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する離島
豪雪地帯・特別豪雪地帯・辺地・過疎地域その他の地域のうち、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難と認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの

六の区分は「厚生労働大臣が別に定めるもの」という限定が付いています。豪雪地帯や過疎地域であれば自動的に該当するわけではありません。自事業所の所在地・利用者の居住地が該当するかは、市町村に確認してください。

診療報酬側の要件がある

②の死亡診断加算は、医科診療報酬点数表のC001(在宅患者訪問診療料)の注8に規定されるものです。C001-2の注6により準用される場合も含まれますが、指定特定施設入居者生活介護事業者の指定を受けている有料老人ホームその他これに準ずる施設が算定する場合は除かれます。

ここも事業所側だけでは成立しない要件です。主治医が死亡診断加算を算定していなければ、看多機側の加算も算定できません。看取りの体制を組む段階で、医療機関側と確認しておく必要があります。

ターミナルケア加算との関係

加算単位数算定時期評価している内容
ターミナルケア加算2,500単位死亡月死亡前14日以内のターミナルケア
遠隔死亡診断補助加算150単位死亡月死亡後の死亡診断の補助

告示に併算定を制限する定めはありません。要件を満たせば両方算定できます。評価している場面が「死亡前」と「死亡後」で分かれているので、性質としても重複しません。

対象地域の看多機で看取りを行った場合、死亡月には2,500単位+150単位=2,650単位が上乗せされる計算になります。ただし末期がん等で医療保険の訪問看護が入っていれば、注15により925〜2,914単位が減算される点はあわせて確認してください。

訪問看護の遠隔死亡診断補助加算との違い

項目看多機訪問看護
単位数150単位150単位
算定時期死亡月死亡月
研修要件情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師の配置同じ
対象地域告示120号の地域同じ
根拠条文告示126号 複合型サービス費のタ告示19号 訪問看護費
基準告示95号 第77号の2告示95号 第8号の2

内容は同じです。看多機に固有の事情としては、泊まりの最中に看取ることがあり得る点が挙げられます。ただし条文は「在宅」に限定していないため、事業所での看取りでも死亡診断加算の算定と地域の要件を満たせば対象になり得ます。この点の解釈は市町村に確認してください。

遠隔死亡診断補助加算の注意点

算定できる事業所はごく限られる

3つの条件(研修修了看護師の配置・対象地域・死亡診断加算の算定)がそろう必要があり、都市部の看多機では算定機会がまず生じません。加算の存在を知っておく価値はありますが、収支計画に織り込む性質のものではありません。

研修の具体的な内容

告示95号 第77号の2は「情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が配置されていること」とのみ定めています。どの研修が該当するかは告示本文からは確定できません。厚生労働省の「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」にもとづく研修が想定されますが、留意事項通知および市町村の取扱いを確認してください。

看護師が死亡を判定するわけではない

加算名は「補助」です。死亡診断を行うのは医師であり、看護師の役割は、医師が情報通信機器を通じて診断を行うための情報提供・観察・確認の補助です。この線引きを誤ると、看護師の業務範囲を超えることになります。

短期利用居宅介護費には加算されない

タの注は「イについて」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。

算定前に確認したいこと
  • 利用者の居住地が告示120号の地域に該当するか(市町村に確認)
  • 情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修修了者を配置しているか
  • 市町村長への届出を済ませているか
  • 主治医がC001の注8の死亡診断加算を算定するか
  • 主治医の指示にもとづく補助であることを記録に残しているか
  • ターミナルケア加算の要件も満たしていないか

よくある質問

看多機の遠隔死亡診断補助加算はいくらですか?

150単位です。死亡月につき算定します。

いつ新設された加算ですか?

令和6年度介護報酬改定で新設されました。

どの地域が対象ですか?

離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、沖縄の離島、豪雪地帯・辺地・過疎地域等のうち厚生労働大臣が別に定めるものです(告示120号)。

特別地域加算と同じ地域ですか?

同じです。告示120号は特別地域看護小規模多機能型居宅介護加算(注9)と遠隔死亡診断補助加算(タ)の両方が参照しています。

過疎地域なら必ず対象になりますか?

なりません。六の区分は「厚生労働大臣が別に定めるもの」に限られます。市町村に確認してください。

看護師が死亡診断をするのですか?

違います。死亡診断を行うのは医師です。看護師は情報通信機器を用いた診断の補助を行います。

どんな研修が必要ですか?

情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修です。具体的にどの研修が該当するかは告示本文に定めがなく、市町村の取扱いによります。

診療報酬側の条件はありますか?

あります。利用者が医科診療報酬点数表C001の注8の死亡診断加算を算定していることが要件です。

ターミナルケア加算と併算定できますか?

告示に併算定を制限する定めはありません。要件を満たせば両方算定できます。

事業所の宿泊中に亡くなった場合も対象ですか?

条文は場所を限定していませんが、死亡診断加算は在宅患者訪問診療料に係る加算です。取扱いは市町村に確認してください。

届出は必要ですか?

必要です。市町村長に対し、老健局長が定める様式による届出を行った事業所が対象です。

短期利用の利用者にも算定できますか?

できません。タの注は「イについて」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。

まとめ
  • 看多機の遠隔死亡診断補助加算は死亡月につき150単位
  • 令和6年度介護報酬改定で新設された
  • 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
  • 情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修修了者の配置が要件
  • 利用者が告示120号の地域に居住していることが要件
  • 対象地域は離島・奄美群島・振興山村・小笠原諸島・沖縄の離島・豪雪地帯等の6区分
  • 豪雪地帯等は「厚生労働大臣が別に定めるもの」に限られる
  • 特別地域看護小規模多機能型居宅介護加算と同じ地域を指す
  • 利用者が診療報酬の死亡診断加算(C001注8)を算定していることが要件
  • 主治医の指示にもとづく補助であることが要件
  • 死亡診断を行うのは医師で、看護師の役割は補助
  • ターミナルケア加算2,500単位との併算定を制限する定めはない
  • 都市部の事業所には算定機会がほぼ生じない
  • 研修の具体的な範囲は告示本文からは確定できない
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修」に該当する研修の範囲、告示120号第六号の「厚生労働大臣が別に定めるもの」に自地域が含まれるか、事業所の宿泊中に死亡した場合の取扱いについては告示本文だけでは確定できず、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。死亡診断加算は診療報酬の項目であり、算定の可否は医療機関側の判断によります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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