看多機の専門管理加算とは?算定要件やポイントを解説

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の専門管理加算は、1月に1回、250単位です。イ・ロの2つの区分がありますが、どちらも250単位で金額は変わりません。
この加算の要点は、「誰が計画的な管理を行ったか」と「どういう利用者に行ったか」がセットで問われることです。専門研修を受けた看護師がいるだけでは算定できませんし、その看護師が管理していても対象の利用者でなければ算定できません。イとロで対象者の条件がまったく違う点も、読み違えやすいところです。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のカと、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第76号の2の原文を確認して整理しました。
- 専門管理加算250単位のイ・ロの違い
- イの対象となる3種類の専門研修と、対象になる利用者の状態
- ロの対象となる特定行為研修と、手順書加算という条件
- 褥瘡は「真皮を越える」が原則で、在宅療養者には例外があること
- 算定は1月に1回であること
- 体制要件(告示95号第76号の2)の中身
- 訪問看護の専門管理加算との違い
- 特別管理加算との併算定の考え方
ちびウルフイとロ、どちらも250単位なら区分を分ける意味はあるんですか?
リハウルフ金額は同じでも、算定できる利用者の範囲がまるで違います。イは緩和ケア・褥瘡・ストーマの3領域に絞られる。ロは診療報酬の手順書加算を算定している方に限られる。「うちには特定行為研修修了者がいるから算定できる」と考えると、ロの対象者要件で止まります。
看多機の専門管理加算とは?
看護小規模多機能型居宅介護の専門管理加算は、専門の研修を受けた看護師または特定行為研修を修了した看護師が、計画的な管理を行った場合に算定する加算です。告示126号 複合型サービス費のカに規定されています。
在宅療養では、がんの疼痛管理、進行した褥瘡、ストーマのトラブルなど、一般的な看護の範囲を超える専門性が求められる場面があります。看多機の基本報酬は要介護度別の月額包括なので、そうした専門性を反映する余地がありません。その差を埋めるのがこの加算です。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。専門管理加算そのものは令和4年度診療報酬改定と歩調を合わせて令和6年度に整理された比較的新しい加算で、看多機にも同じ枠組みが置かれています。
専門管理加算の単位数
カ 専門管理加算
注 イについて、(略)届出を行った指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の緩和ケア、褥瘡ケア若しくは人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師又は(略)特定行為研修を修了した看護師が、指定看護小規模多機能型居宅介護の実施に関する計画的な管理を行った場合には、1月に1回に限り、次に掲げる区分に応じ、次に掲げる単位数のいずれかを所定単位数に加算する。
イ 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合(略) 250単位
ロ 特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合(略) 250単位
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 専門管理加算 イ | 250単位 | 1月に1回 | イ(看護小規模多機能型居宅介護費) |
| 専門管理加算 ロ | 250単位 | 1月に1回 | 同上 |
条文は「次に掲げる単位数のいずれかを」としています。イとロの両方を同じ月に算定することはできません。
専門管理加算の算定要件
イ:3領域の専門研修を受けた看護師
イは、看護師の要件と利用者の要件がセットになっています。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 看護師 | 緩和ケア/褥瘡ケア/人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師 |
| 利用者① | 悪性腫瘍の鎮痛療法または化学療法を行っている利用者 |
| 利用者② | 真皮を越える褥瘡の状態にある利用者(重点的な褥瘡管理を行う必要が認められる利用者で在宅療養を行っているものは、真皮までの状態の利用者) |
| 利用者③ | 人工肛門または人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者 |
利用者は①〜③のいずれかに該当すればよく、看護師の研修領域と利用者の状態が対応している必要があります。
褥瘡には在宅療養者の例外がある
②のかっこ書きは、通知の原文にしか書かれていない実務上重要な例外です。
| 対象 | 必要な褥瘡の状態 |
|---|---|
| 原則 | 真皮を越える褥瘡 |
| 重点的な褥瘡管理を行う必要が認められる利用者(在宅療養を行っているものに限る) | 真皮までの状態 |
看多機の利用者は在宅療養者ですから、この例外の適用対象になり得ます。真皮までの褥瘡でも、重点的な管理が必要と認められれば対象になる。特別管理加算(Ⅱ)が「真皮を越える褥瘡」に限っているのと対照的で、専門管理加算のほうが対象範囲は広いということです。
ロ:特定行為研修を修了した看護師
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 看護師 | 保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる特定行為研修を修了した看護師 |
| 利用者 | 医科診療報酬点数表の区分番号C007の注3に規定する手順書加算を算定する利用者 |
ロの利用者要件は、介護保険の中で完結しません。診療報酬の手順書加算を算定していることが条件です。C007は訪問看護指示料で、その注3の手順書加算は、医師が特定行為の手順書を交付した場合に算定されます。
つまり主治医が手順書を交付し、手順書加算を算定していなければ、ロは算定できません。事業所側の努力だけでは成立しない要件です。医師との事前の調整が要ります。
体制要件(告示95号 第76号の2)
七十六の二 看護小規模多機能型居宅介護費における専門管理加算の基準
次のいずれかに該当するものであること。
イ 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が配置されていること。
ロ (略)特定行為のうち訪問看護において専門の管理を必要とするものに係る研修を修了した看護師が配置されていること。
体制としては配置があればよく、イ・ロのいずれかで足ります。ハードルは体制側ではなく、対象利用者側にあります。
特別管理加算・看護体制強化加算との関係
| 加算 | 単位数 | 併算定を制限する定め | 看護体制強化加算の指標 |
|---|---|---|---|
| 専門管理加算 | 250単位/月1回 | イとロの間のみ(いずれか) | なし |
| 特別管理加算 | 500/250単位/月 | (Ⅰ)と(Ⅱ)の間のみ | あり(20%以上) |
| 緊急時対応加算 | 774単位/月 | — | あり(50%以上) |
専門管理加算と特別管理加算の間に、併算定を制限する定めはありません。両方の要件を満たす方には両方算定できます。たとえば真皮を越える褥瘡の方は、特別管理加算(Ⅱ)250単位と専門管理加算イ250単位の両方の対象になり得ます。
一方で、専門管理加算は看護体制強化加算・訪問看護体制減算の判定指標には使われていません。ここが緊急時対応加算・特別管理加算との大きな違いです。単体の収入としてのみ評価される加算だと整理してください。
訪問看護の専門管理加算との違い
| 項目 | 看多機 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 単位数 | イ・ロとも250単位 | イ・ロとも250単位 |
| 算定頻度 | 1月に1回 | 1月に1回 |
| イの研修領域 | 緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門/人工膀胱ケア | 同じ |
| ロの対象 | 手順書加算を算定する利用者 | 同じ |
| 根拠条文 | 告示126号 複合型サービス費のカ | 告示19号 訪問看護費 |
枠組みは同じです。看多機で異なるのは、訪問看護を内包しているぶん、同じ事業所内で専門研修修了者を配置しやすい一方、登録者のなかに対象者がどれだけいるかで算定機会が決まるという点でしょうか。
専門管理加算の注意点
「専門の研修」の具体的な範囲
告示は「緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修」とだけ書いており、どの研修が該当するかまでは示していません。実務では専門看護師・認定看護師の該当分野や、一定時間以上の研修が想定されますが、告示本文からは確定できません。留意事項通知および市町村の取扱いを確認してください。
「計画的な管理」が要件
専門研修修了者が訪問すれば算定できる、というものではありません。条文は「実施に関する計画的な管理を行った場合」です。看護小規模多機能型居宅介護計画に管理の内容を位置づけ、実施し、記録を残してください。
1月に1回
月に複数回の専門的な管理を行っても250単位です。日数や回数に応じて増えることはありません。
短期利用居宅介護費には加算されない
カの注は「イについて」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。
- 市町村長への届出を済ませているか
- 配置している看護師の研修が「専門の研修」に該当するか(保険者に確認)
- イの場合、利用者が鎮痛療法・化学療法/褥瘡/人工肛門・人工膀胱のいずれかに該当するか
- 褥瘡の方は、在宅療養者の例外(真皮までの状態)を確認したか
- ロの場合、主治医が手順書を交付し手順書加算を算定しているか
- 看護小規模多機能型居宅介護計画に管理の内容を記載しているか
よくある質問
看多機の専門管理加算はいくらですか?
イ・ロとも250単位です。1月に1回に限り算定します。
イとロの違いは何ですか?
金額は同じですが、看護師の要件と利用者の要件が異なります。イは緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門/人工膀胱ケアの専門研修修了者、ロは特定行為研修修了者で、利用者は手順書加算を算定する方に限られます。
イとロを両方算定できますか?
できません。条文は「次に掲げる単位数のいずれかを」としています。
イの対象になる利用者は?
悪性腫瘍の鎮痛療法または化学療法を行っている方、真皮を越える褥瘡の状態にある方、人工肛門または人工膀胱を造設していて管理が困難な方です。
褥瘡は真皮を越えていないと対象外ですか?
原則は真皮を越える褥瘡ですが、重点的な褥瘡管理を行う必要が認められる在宅療養中の方は、真皮までの状態でも対象になります。
ロは特定行為研修修了者がいれば算定できますか?
できません。利用者が医科診療報酬点数表C007の注3の手順書加算を算定していることが条件です。主治医による手順書の交付が前提になります。
月に何回管理しても250単位ですか?
そうです。1月に1回に限り算定します。
特別管理加算と併算定できますか?
告示に併算定を制限する定めはありません。両方の要件を満たす方には両方算定できます。
看護体制強化加算の要件になりますか?
なりません。看護体制強化加算・訪問看護体制減算の判定指標は、看護サービスの提供割合・緊急時対応加算・特別管理加算の3つです。
「専門の研修」とは具体的にどの研修ですか?
告示本文に具体的な列挙はありません。留意事項通知および市町村の取扱いを確認してください。
届出は必要ですか?
必要です。市町村長に対し、老健局長が定める様式による届出を行った事業所が対象です。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。カの注は「イについて」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。
- 看多機の専門管理加算はイ・ロとも250単位、1月に1回
- 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
- イとロは併算定できず、いずれか一方を算定する
- イは緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門/人工膀胱ケアの専門研修修了者
- イの対象者は鎮痛療法・化学療法/褥瘡/人工肛門・人工膀胱で管理困難な方
- 褥瘡は原則「真皮を越える」だが、在宅療養者は「真皮まで」でも対象になる例外がある
- 特別管理加算(Ⅱ)より褥瘡の対象範囲が広い
- ロは特定行為研修修了者が対象
- ロは利用者が診療報酬の手順書加算を算定していることが条件
- ロは主治医の手順書交付が前提で、事業所だけでは成立しない
- 体制要件はイ・ロいずれかの看護師の配置
- 「計画的な管理」が要件で、計画への位置づけと記録が必要
- 特別管理加算との併算定を制限する定めはない
- 看護体制強化加算・訪問看護体制減算の判定指標には使われない
- 「専門の研修」の具体的な範囲は告示本文からは確定できない
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号)別表「複合型サービス費」カ、ワ、ヲ(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)第76号の2(専門管理加算の基準)、第75号、第78号(厚生労働省法令等データベース)
- 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一 医科診療報酬点数表 区分番号C007の注3(手順書加算)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修」に該当する研修の範囲、「重点的な褥瘡管理を行う必要が認められる利用者」の判断、「管理が困難な利用者」の判断については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。手順書加算は診療報酬の項目であり、算定の可否は医療機関側の判断によります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




