訪問看護(介護保険)の算定ルールは、加算の要件や理学療法士等による訪問の取り扱いなど、現場で「これはどう算定するんだっけ?」と迷う場面が本当に多いものです。判断を誤ると返戻や指導の対象になりかねません。

この記事では、厚生労働省が公表している訪問看護(介護保険)のQ&Aを、令和6年度介護報酬改定を踏まえてテーマごとに整理しました。理学療法士等の訪問、医療保険との使い分け、各種加算の算定可否など、現場で頻出する論点を看護師・PT・OT・ST・ケアマネジャーの目線でわかりやすくまとめています。

この記事でわかること
  • 令和6年度改定で変わった訪問看護の主なポイント
  • 理学療法士等(PT・OT・ST)による訪問看護のルールと減算
  • 医療保険と介護保険の使い分け(同日算定の可否など)
  • 緊急時・特別管理・看護体制強化・ターミナルケア等、加算の算定Q&A
ちびウルフちびウルフ

訪問看護の算定ルールって細かくて、どこを見れば最新かわからないの…。

リハウルフリハウルフ

令和6年度改定の変更点をおさえれば大丈夫。よく出る疑問を厚労省Q&Aベースで整理したよ。ブックマークしておくと便利だね。

注意本記事は厚生労働省の解釈通知・Q&Aをもとに要点を整理したものです。単位数や要件は改定や自治体の取り扱いで変わることがあります。実際の算定にあたっては、必ず最新の告示・解釈通知および保険者・都道府県の指示をご確認ください。

令和6年度改定で変わった訪問看護の主なポイント

まず、令和6年度(2024年度)介護報酬改定で訪問看護に関わる主な変更点を確認しておきましょう。

項目令和6年度改定のポイント
理学療法士等の訪問一定の条件を満たす場合、1回につき8単位の減算を新設
緊急時訪問看護加算区分を見直し、24時間対応体制の連絡相談を看護師等以外の職員でも担える体制を評価(緊急時等訪問看護加算)
退院・退所当日の訪問円滑な在宅移行のため、退院・退所当日の初回訪問を評価する区分を新設
業務継続計画(BCP)未策定の場合の減算を新設(感染症・非常災害時の体制整備)
処遇改善従来の3加算を「介護職員等処遇改善加算」に一本化
看護体制強化加算令和6年度改定では単位数・要件に大きな変更なし
ポイント理学療法士等の8単位減算は、前年度のPT・OT・STによる訪問回数が看護職員による訪問回数を超えており、かつ緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算をいずれも算定していない事業所が対象です。リハビリ偏重を是正し、看護職員の関与を促す狙いがあります。

理学療法士等(PT・OT・ST)による訪問看護のルール

ちびウルフちびウルフ

訪問看護ステーションのリハビリって、看護師さんとどう連携すればいいの?

リハウルフリハウルフ

理学療法士等の訪問は「看護業務の一環としてのリハビリ」という位置づけ。だから看護職員の評価と連携が前提になるんだ。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護は、訪問看護ステーションでのみ提供でき、「看護業務の一環としてのリハビリテーション」を看護職員の代わりに行うものと位置づけられています。算定にあたっては次の点に注意します。

理学療法士等による訪問看護の計画書・報告書はどう作成する?
訪問看護ステーションの看護職員(准看護師を除く)と理学療法士等が利用者の情報を共有したうえで、所定の様式に準じて作成します。職種ごとに異なる様式で作成しても差し支えありませんが、他職種が記載した内容を踏まえて作成する必要があります。
初回訪問や定期的な看護職員の訪問は必要?
利用開始時の初回訪問は、原則として看護職員が行います。また、訪問看護指示書の有効期間が6か月以内であることを踏まえ、少なくともおおむね3か月に1回程度は看護職員が訪問して利用者の状態を適切に評価します。この評価訪問は必ずしもケアプランに位置づけて訪問看護費を算定する必要はありませんが、算定しない場合も訪問日・内容を記録します。
理学療法士等の訪問が看護職員の訪問回数を上回ってもよい?
地域に訪問リハビリの提供体制が乏しいなどの事情があれば、理学療法士等の訪問が過半を占める設定もあり得ます。ただし令和6年度改定では、こうした場合に一定の条件で8単位減算の対象となる点に注意が必要です。
1回40分以上のリハビリは2回分を算定できる?
理学療法士等による訪問看護は20分以上を1回として、1度の訪問で複数回の実施が可能です。例えば1度で40分以上行った場合は2回分を算定できます。なお1日に3回以上行う場合は、各訪問看護費の100分の90に相当する単位数を算定します。
准看護師の予定をPT・OT・STが代わりに訪問したら?
事業所の事情で准看護師の代わりに理学療法士等が訪問した場合は、理学療法士等の場合の所定単位数を算定します。

医療保険と介護保険の使い分け

訪問看護は、利用者の状態によって医療保険と介護保険のどちらから給付されるかが変わります。ここを取り違えると請求ミスにつながります。

基本の考え方
  • 要介護・要支援者への訪問看護は、原則として介護保険から給付。
  • ただし、末期がん・神経難病など一定の疾病や、特別訪問看護指示書による急性増悪時などは医療保険の対象。
  • 末期がん・難病患者等の訪問看護は全て医療保険で行い、介護保険の訪問看護費は算定できない。
同じ日に訪問診療と訪問看護・訪問リハを行ったら、それぞれ算定できる?
医療保険の訪問診療と、介護保険の訪問看護・訪問リハビリが別の時間帯に別のサービスとして行われる場合は、それぞれ算定できます。
介護保険の訪問看護に、医療保険のような週3日・2か所制限はある?
介護保険の訪問看護には、週あたりの訪問回数に特段の制限はなく、2か所のステーションから提供を受けることも可能です。
2か所以上のステーションを利用する場合、指示書はどうなる?
2か所以上の訪問看護ステーションを利用する場合、医師の指示書は各ステーションごとに交付される必要があります。ただし訪問看護指示料は1人につき1月1回の算定です。
第2号被保険者(特定疾病該当者)は要介護認定が必須?
原則は要介護認定を受けますが、介護保険は申請主義のため、本人が専ら医療保険のサービスしか利用しない場合は、必ずしも要介護認定を受けなければならないわけではありません。

緊急時訪問看護加算・特別管理加算のQ&A

ちびウルフちびウルフ

緊急時訪問看護加算と特別管理加算って、セットじゃないとダメなの?

リハウルフリハウルフ

必ずしもセットではないよ。それぞれ要件が違うから、ひとつずつ確認していこう。

特別管理加算は緊急時訪問看護加算の算定が要件?
緊急時訪問看護加算の算定は特別管理加算の要件ではありません。ただし、対象者やその家族から電話等で看護に関する相談を受けた際に常時対応できる体制を整えていることが望ましいとされています。
留置カテーテルが入っていれば特別管理加算を算定できる?
単に挿入されているだけでは算定できません。排液の性状・量の観察、薬剤注入、水分バランスの計測など計画的な管理を行っている場合に算定できます。経管栄養・中心静脈栄養の状態は特別管理加算(Ⅰ)を算定します。
2か所の事業所が関わる場合、緊急時・特別管理加算はどちらが算定する?
いずれも1人の利用者につき1事業所のみが算定します。緊急時訪問看護加算はその性質上1事業所のみ。特別管理加算も1事業所が請求し、配分は事業所間の合議で決めます。
緊急時訪問看護加算は体制が整っていれば算定してよい?
体制が整備されたうえで、利用者に十分説明し、利用者が緊急時訪問を希望して加算に同意した場合に算定できます。月の途中で体制が維持できず届出を取り下げた場合は、その月は算定できません。
「20分未満」の訪問看護で想定される看護行為は?
気管内吸引、導尿、経管栄養等の医療処置の実施などが想定されています。単なる状態確認や健康管理だけでは算定できません。
点滴注射を週3日以上行う場合の特別管理加算の取り扱いは?
7日間の医師の指示期間に3日以上実施していれば算定可能です。月をまたいでも、指示期間につき1回の算定が原則です。なお、予定では週3日以上でも状態変化で実施できなかった場合は算定できません。

看護体制強化加算・専門管理加算のQ&A

看護体制強化加算は、特別管理加算・緊急時訪問看護加算を算定した実利用者の割合などを要件とする加算です。算出方法に独特のルールがあります。

看護体制強化加算の「実利用者の割合」はどう数える?
前6か月間において、同じ利用者が複数回利用・算定していても「1」として数えます。例えば継続利用者Aも1人、途中で終了した利用者Bも1人とカウントし、特別管理加算を算定した実利用者の割合を算出します。
7月から算定を開始する場合、届出の期日は?
算定日が属する月の前6か月間の割合を算出する必要があります。7月開始なら6月15日以前に届出を提出し、6月分は見込みとして1〜6月の6か月で割合を算出します。見込みで届出後、要件を満たさなくなった場合は速やかに届け出ます。
専門管理加算とは?
緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門/人工膀胱管理などについて、一定の専門研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合に算定する加算で、250単位/月です。専門性の高い在宅ケアを評価するものです。

退院時共同指導・初回加算・ターミナルケア加算のQ&A

退院時共同指導加算は1か月に複数回算定できる?
退院・退所1回につき1回が原則ですが、1か月に入退院を繰り返した場合は複数回算定できることがあります。ただし退院時共同指導を2回行っても、退院後に一度も訪問看護を実施せず再入院した場合は1回のみの算定です。
退院時共同指導の2か月後に初回訪問した場合は算定できる?
算定できません。退院後初回の訪問看護を行った月の同一月もしくは前月に退院時共同指導を実施した場合に算定できます。
別の事業所の利用を新たに開始した場合、初回加算は算定できる?
算定可能です。同一月に2か所の事業所を新たに利用する場合も、それぞれで初回加算を算定できます。
ターミナルケア加算の単位数と要件は?
ターミナルケア加算は2,500単位/死亡月です。死亡日および死亡日前14日以内に2日以上訪問し、ターミナルケアを行うことが要件です。医療機関に搬送し24時間以内に死亡が確認された場合も、要件を満たせば算定できます。

複数名訪問・長時間訪問などその他のQ&A

複数名訪問加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は同一日・同一月に併算できる?
それぞれ要件を満たしていれば、同一日・同一月に併算できます。算定回数の上限は、要件を満たしケアプランに位置づけられていればありません。
複数名訪問加算(Ⅱ)の看護補助者は資格が必要?
資格は問いませんが、秘密保持や安全等の観点から、訪問看護事業所に雇用されている必要があります。事務職員等でも差し支えありません。人員基準には含まれないため変更届は不要ですが、必要な研修等を行うことが重要です。
長時間訪問看護加算(300単位)はどんな場合に算定できる?
ケアプラン上、1時間30分以上の訪問が位置づけられている場合に算定できます。アクシデント等で結果的に1時間30分を超えただけでは算定できません。なお1時間30分を超える部分は、ステーションが定めた利用料を別途徴収できます(長時間訪問看護加算を算定する場合はこの利用料は徴収できません)。
事業所の休日にケアプランに位置づけられた訪問を行った場合、別途休日加算を取れる?
居宅サービス計画に土日の訪問看護が位置づけられている場合も、休日加算やその他の負担金を別途徴収することはできません。
まとめ
  • 令和6年度改定では、理学療法士等の訪問への8単位減算、緊急時訪問看護加算の区分見直し、退院・退所当日訪問の評価、BCP未策定減算などが導入された。
  • 理学療法士等の訪問は「看護業務の一環としてのリハビリ」。看護職員の評価と連携、計画書・報告書の共有が前提。
  • 要介護者への訪問看護は原則介護保険、末期がん・難病・急性増悪時等は医療保険から給付。
  • 緊急時・特別管理・看護体制強化・ターミナルケアなど各加算は要件と算定主体(1事業所のみ等)に注意。
  • 単位数・要件は改定で変わるため、必ず最新の厚労省告示・解釈通知と保険者の指示を確認する。

参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」、同 訪問看護に関する解釈通知・Q&A 等

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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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