生活行為向上リハビリテーション実施加算は、1月につき1,250単位と通所リハの加算の中でも大きい部類です。それでも算定率が伸びないのは、「毎月の居宅訪問」と「終了を前提に組む」という2つのハードルがあるからです。

この記事では、理学療法士・介護支援専門員として現場に関わってきた立場から、生活行為向上リハビリテーション実施加算の単位数と算定要件、課題分析の進め方、実施計画の書き方を、告示と厚生労働省の通知に沿って整理します。

この記事でわかること
  • この加算が何を評価しているのか
  • 単位数と算定できる期間
  • 告示に定められた5つの算定要件
  • 配置が必要な職種と研修の要件
  • おおむね月1回以上の居宅訪問という要件
  • リハマネ加算との関係
  • 通知が示す課題分析の手順
  • 実施計画(別紙様式2-5)の記載事項

生活行為向上リハビリテーション実施加算とは

厚生労働省の改定資料は、この加算の趣旨をこう説明しています。

加算の趣旨
  • 活動の観点から、生活行為の内容の充実を図るための目標を設定し、加齢等により低下した利用者の活動の向上を図るためのリハビリテーションの提供を評価するため、生活行為向上リハビリテーション実施加算を設けた。

厚生労働省「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」より。

ポイントは「心身機能」ではなく「活動」を起点にしていることです。歩けるようにする加算ではなく、本人がしてみたいと思う生活行為ができるようにする加算です。だから目標が「スーパーへ買い物に行く」のような具体的な行為になります。

令和3年度改定で構造が変わった

項目改定前現行
単位数(通所リハ)3月以内2,000単位/月
3月超6月以内1,000単位/月
6月以内 1,250単位/月に一本化
単位数(介護予防通所リハ)3月以内900単位/月
3月超6月以内450単位/月
6月以内 562単位/月に一本化
終了後に継続した場合翌月から6月以内、所定単位数を15/100減算減算は廃止
居宅訪問要件なしおおむね1月に1回以上の居宅訪問による評価(新設)

令和6年度改定では、この加算の単位数と要件そのものに変更はありません。ただし要件のひとつであるリハビリテーションマネジメント加算が(A)(B)から(イ)(ロ)(ハ)に再編されたため、現行の告示は(イ)(ロ)(ハ)のいずれかの算定を求める形になっています。

減算の廃止が実務に効いている改定前は、この加算を使ったあとに通所リハを継続すると6か月間15%の減算がかかりました。「終了できなかった場合のペナルティ」が算定をためらわせていたわけです。今はその減算がありません。使いにくさの理由がひとつ消えている点は、算定を検討する材料になります。

単位数と算定期間

サービス単位数算定期間
通所リハビリテーション1,250単位/月利用開始日の属する月から6月以内
介護予防通所リハビリテーション562単位/月利用開始日の属する月から6月以内

起算点は「利用開始日の属する月」です。リハマネ加算の「同意日の属する月」とは起算点が異なるので、管理表を分けておくと混乱しません。

算定要件(告示に定められた5項目)

要件は厚生労働大臣が定める基準に列挙されています。全文です。

通所リハビリテーション費における生活行為向上リハビリテーション実施加算の基準次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士又は生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士若しくは言語聴覚士が配置されていること。

生活行為の内容の充実を図るための目標及び当該目標を踏まえたリハビリテーションの実施頻度、実施場所及び実施時間等が記載されたリハビリテーション実施計画をあらかじめ定めて、リハビリテーションを提供すること。

当該計画で定めた指定通所リハビリテーションの実施期間中に指定通所リハビリテーションの提供を終了した日前一月以内に、リハビリテーション会議を開催し、リハビリテーションの目標の達成状況を報告すること。

通所リハビリテーション費におけるリハビリテーションマネジメント加算(イ)、(ロ)又は(ハ)のいずれかを算定していること。

指定通所リハビリテーション事業所の医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が当該利用者の居宅を訪問し、生活行為に関する評価をおおむね一月に一回以上実施すること

イ|配置要件は「OTか、研修を修了したPT・ST」

ここが最初の関門です。作業療法士は「専門的な知識若しくは経験を有する」こと、理学療法士・言語聴覚士は「研修を修了した」ことが求められます。PT・STだけの事業所で算定を目指す場合は、研修受講の計画が先に必要になります。

ホ|おおむね月1回以上の居宅訪問

実務上、最大のハードルです。通所リハの職員が、算定期間中は毎月その人の家に行くということです。訪問するのは事業所の医師、または医師の指示を受けたPT・OT・ST。行うのは「生活行為に関する評価」です。

逆に言えば、この訪問があるからこの加算は成立します。通知も、通所で獲得した生活行為について「いつ頃を目安に、利用者の居宅を訪問し、当該利用者の実際の生活の場面で評価を行うのか」をあらかじめ計画に記載することを求めています。

ニ|リハマネ加算とセットで算定する

リハビリテーションマネジメント加算(イ)(ロ)(ハ)のいずれかを算定していることが要件です。生活行為向上リハ単独では算定できません。リハマネの体制(リハビリテーション会議、計画の説明と同意、ケアマネへの情報提供など)が土台にあることが前提です。

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要件を並べると重く見えますが、やっていることは「本人がやりたい生活行為を、家で成立させる」ただそれだけです。通所の中だけで完結しないから、月1回家に行く。順番が逆で、訪問が目的ではありません。

通知が示す課題分析の手順

この加算は、課題分析の方法まで通知で示されています。実務ではここが核心です。

生活行為向上リハビリテーション実施加算の課題分析
  • まず、利用者がしてみたいと思う生活行為で、一連の行為のどの部分が支障となってうまくできていないのかという要因を分析する。例えば、トイレ行為であれば、畳に座っている姿勢、立ち上がり、トイレに行く、トイレの戸の開閉、下着の脱衣、便座に座る動作、排泄、後始末、下着の着衣、元の場所に戻る、畳に座る等の一連の行為を分析し、そのどこがうまくできていないのかを確認すること。
  • うまくできていない行為の要因ごとに、利用者の基本的動作能力(心身機能)、応用的動作能力(活動)、社会適応能力(参加)のどの能力を高めることで生活行為の自立が図られるのかを検討すること。

そのうえで、3つの能力それぞれについて、アプローチの方法が示されています。

能力通知が示すアプローチ
基本的動作能力
(心身機能)
起居や歩行などの基本的動作を通所で直接訓練し、併せて居宅での環境の中で一人でも安全に実行できるかを評価する
応用的動作能力
(活動)
生活行為そのものの技能を向上させる反復練習、新たな技能の習得練習。住環境や調理器具などの生活道具、家具の工夫も検討する。通所で獲得した生活行為が居宅でも実行できるよう訪問し、具体的な実践を通して評価する。家庭での役割を獲得できるよう家族と相談・調整する
社会適応能力
(参加)
居宅に訪問して家庭環境への適応状況を評価。買い物、銀行、公共交通機関の利用などの生活環境への適応練習、地域の行事や趣味の教室への参加のための練習を、一人で実施できるようになることを念頭に指導する

読み取れるのは、この加算が「事業所の中で完結しないリハビリ」を評価しているということです。銀行やバスの利用練習まで書かれています。

生活行為向上リハビリテーション実施計画の書き方

計画は別紙様式2-5を用います。通知の記載要領は次の5点を求めています。

  1. 1してみたいと思う生活行為に対し、最も効果的なプログラムを選択し、おおむね6月間で実施する内容を、心身機能・活動・参加のアプローチの段階ごとに記載する
  2. 2専門職が支援することに加え、本人が取り組む自主訓練の内容も記載する。プログラムごとに、おおむねの実施時間、実施者、実施場所を記載する
  3. 3訪問で把握した生活行為や動作上の問題を事業所内外の設備を利用して練習する場合は、あらかじめ計画に書き込む
  4. 4通所で獲得した生活行為について、いつ頃を目安に居宅を訪問し、実際の生活場面で評価を行うのかをあらかじめ記載する
  5. 5終了後の生活をイメージし、生活機能が維持できるよう、地域の通いの場などの社会資源を利用する練習もあらかじめプログラムに組み込む
5番が抜けている計画が多いこの加算は終了することを前提に設計されています。通知も「目標達成後に自宅での自主的な取組や、総合事業の第一号通所事業、一般介護予防事業、地域のカルチャー教室や通いの場、通所介護などに移行することを目指し、集中的に行う」と明記しています。出口を書いていない計画は、この加算の趣旨から外れています。

運用上の留意事項

  • 設備|生活行為向上リハビリテーションを行うために必要な家事用設備、各種日常生活活動訓練用具などが備えられていることが望ましいとされています
  • 本人・家族の参加|うまくできない要因、必要なプログラム、家での自主訓練を分かりやすく説明し、プログラムの選択を促し、主体的に取り組む意欲を引き出すことが求められます
  • 訪問リハとの併用|活動と参加の観点から、買い物やバス等の公共交通機関への乗降などについて訪問リハビリテーションを利用することも重要とされています
  • 周囲への説明|家族や地域の人々、サービス提供者に対しても利用者の生活行為の能力を説明し、適切な支援が得られるよう配慮します
  • 要介護・要支援が入れ替わった場合|更新や区分変更で要介護↔要支援となった利用者に継続提供する場合、算定月数は通算します。作成済みの実施計画の活用は差し支えありませんが、心身の状況等に応じて適時適切に見直します
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6か月で終わらせるって、けっこう勇気がいるんじゃない?

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そこが本質です。この加算は「6か月で目標を達成し、次の場所に渡す」設計。だから終了前1月以内の会議で達成状況を報告することが要件になっている。出口を決めずに始めると、要件そのものを満たせません。逆に、出口が描ける人を選べば、算定は難しくない。

よくある質問
単位数と算定できる期間を教えてください。
通所リハビリテーションは1月につき1,250単位、介護予防通所リハビリテーションは1月につき562単位です。いずれも利用開始日の属する月から6月以内が算定期間です。令和3年度改定で、それまでの「3月以内2,000単位/3月超6月以内1,000単位」という区分が一本化されました。
理学療法士しかいない事業所でも算定できますか?
研修の修了が必要です。告示は「生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士、又は生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士若しくは言語聴覚士が配置されていること」を求めています。作業療法士がいない場合は、PTまたはSTが該当する研修を修了する必要があります。
居宅訪問は毎月必要ですか?
必要です。事業所の医師、または医師の指示を受けた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の居宅を訪問し、生活行為に関する評価をおおむね1月に1回以上実施することが算定要件です。訪問した日と評価の内容を記録に残してください。
リハビリテーションマネジメント加算を算定していなくても取れますか?
取れません。リハビリテーションマネジメント加算(イ)(ロ)(ハ)のいずれかを算定していることが要件です。令和6年度改定前は「(A)・(B)のいずれか」でしたが、区分の再編に伴い現行の告示は(イ)(ロ)(ハ)を指しています。
6か月を超えて通所リハを続けると減算されますか?
されません。改定前は、この加算によるリハビリテーションを終えた後に継続する場合、翌月から6月以内の間、所定単位数を15/100減算する仕組みがありましたが、令和3年度改定で廃止されました。
途中で要支援から要介護(またはその逆)になった場合はどうなりますか?
算定月数を通算します。通知は「要介護認定等の更新又は区分の変更により、要介護状態区分から要支援状態区分又は要支援状態区分から要介護状態区分となった利用者に対して、生活行為向上リハビリテーションの提供を継続する場合には、算定月数を通算する」としています。作成済みの実施計画を活用することは差し支えありませんが、心身の状況等を踏まえて適時適切に見直してください。
まとめ
  • 生活行為向上リハビリテーション実施加算は、「活動」の観点から生活行為の内容の充実を図る目標を設定し、その提供を評価する加算。
  • 単位数は通所リハ1,250単位/月、介護予防通所リハ562単位/月。いずれも利用開始日の属する月から6月以内。
  • 令和3年度改定で単位数が一本化され、終了後に継続した場合の15/100減算は廃止された。
  • 令和6年度改定で単位数・要件そのものの変更はないが、要件のリハマネ加算が(イ)(ロ)(ハ)に再編された。
  • 要件イ:専門的な知識・経験を有する作業療法士、または研修を修了した理学療法士・言語聴覚士の配置。
  • 要件ロ:目標と実施頻度・実施場所・実施時間等を記載した実施計画をあらかじめ定めて提供する。
  • 要件ハ:実施期間中、提供を終了した日前1月以内にリハビリテーション会議を開催し、目標の達成状況を報告する。
  • 要件ニ:リハビリテーションマネジメント加算(イ)(ロ)(ハ)のいずれかを算定していること。
  • 要件ホ:事業所の医師または医師の指示を受けたPT・OT・STが居宅を訪問し、生活行為に関する評価をおおむね月1回以上実施する。
  • 課題分析は、生活行為を一連の行為に分解し、どこでつまずいているかを特定するところから始める。
  • 要因ごとに、基本的動作能力(心身機能)、応用的動作能力(活動)、社会適応能力(参加)のどれを高めるかを検討する。
  • 実施計画(別紙様式2-5)には、おおむね6月間の内容を段階ごとに、自主訓練、実施時間・実施者・実施場所、居宅訪問の時期、終了後の社会資源利用の練習まで記載する。
  • この加算は終了を前提とした設計。総合事業、一般介護予防事業、通いの場、通所介護等への移行を目指して集中的に行う。
  • 要介護と要支援が入れ替わっても、算定月数は通算する。
参考にした情報

※本記事は上記の告示・通知・改定資料にもとづいて整理したものです。条文および記載要領は要旨として整理している箇所があり、正確な文言は原典をご確認ください。単位数および要件は改定により変更される場合があります。算定にあたっては、告示および留意事項通知(老企第36号等)の全文と、指定権者の解釈をご確認ください。「生活行為の内容の充実を図るための研修」の具体的な範囲については、指定権者に確認することをおすすめします。運用上の留意点に関する記述の一部は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。内容は2026年8月時点で確認できた情報です。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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