高齢者の減塩のコツ|無理なく続ける味つけと注意点

先に結論をお伝えします。高齢者の減塩は、「味を薄くする」より「塩分の多い調味料と食品を減らし、ほかの味で補う」ほうが続きます。日本人がとる食塩の約半分は、しょうゆ・味噌・食塩などの調味料からです。かける量と使い方を変えるだけでも、無理なく減らせます。
ただし、高齢者の場合は、減塩を急ぎすぎて食欲が落ち、食べる量そのものが減ってしまうことがあります。この記事では、食塩のとりすぎの目安、家庭でできる減塩のコツ、高齢者ならではの注意点を、厚生労働省の情報と日本高血圧学会監修の資料をもとに整理しました。
- 1日の食塩の目標量と、実際にとっている量
- 食塩をどこからとっているのか
- 家庭でできる減塩のコツ
- 高齢者が減塩するときに気をつけたいこと
- 減塩を続けるための食品・宅配食の使い方
高齢者の減塩はなぜ必要?目標量と実際の量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病の発症予防を目的とした食塩相当量の目標量を、18歳以上の男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満としています。また、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、高血圧予防を目的とした減塩目標を1日6g未満としています。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 目標量(食事摂取基準2025年版) | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
| 実際の平均(令和5年国民健康・栄養調査・20歳以上) | 10.7g | 9.1g |
実際の平均は、男女とも目標量を大きく上回っています。e-ヘルスネットでは、食塩のとりすぎは高血圧や循環器疾患のリスクを高めるほか、胃がんのリスクを高めることも報告されているとしています。高血圧・心臓病・腎臓病などで通院している親なら、主治医から塩分の目安を言われていることもあるので、まずはそれを確認してください。
食塩はどこからとっている?
日本高血圧学会 減塩・栄養委員会が監修した厚生労働省の資料によると、日本人(40〜59歳)が食塩をとっている食品の上位は次のとおりです。
| 食塩のとり方 | 食塩摂取量全体に占める割合 |
|---|---|
| しょうゆ | 20.0% |
| 味噌汁 | 9.7% |
| 食塩 | 9.5% |
| ソース | 4.4% |
資料では、食塩摂取量全体の約半分を「調味料」から摂っているとされています。つまり、減塩でまず見直したいのは、料理の味つけと、食卓でかける調味料です。しょうゆ(普通タイプ)は大さじ1杯で、成人の1日の目標量の約半分〜3分の1の食塩相当量になります。
高齢の親の場合は、漬物・佃煮・干物・梅干しなど、昔から食べ慣れている塩分の多い食品も見落とせません。毎食少しずつ食べていると、それだけでかなりの量になります。
ちびウルフうちの親、味が薄いと「おいしくない」って食べないんだよね…
リハウルフ年齢とともに味を感じにくくなることがあるので、急に薄味にすると食べなくなる方は多いです。いきなり全部を変えず、まずは「卓上のしょうゆをやめる」「汁物を1日1回にする」など、1つずつ減らしていくのがおすすめですよ。
家庭でできる減塩のコツ
厚生労働省の資料で紹介されている「調味料からの食塩を減らすコツ」と、在宅の食事でよく使われる工夫をまとめました。
- 味見をせずに調味料をかけない:食べる前に一口食べてから、必要ならかける
- 食卓に調味料を置かない:置いてあると、つい習慣でかけてしまう
- 減塩タイプの調味料を使う:40%減塩しょうゆに置き換えると、大さじ1杯で食塩約1g減
- しょうゆの代わりにポン酢を使う:つけるしょうゆをポン酢に変えると約0.5g減
- 酸味や香辛料を使う:レモン・すだち・酢、しょうが・しそ・ごま・カレー粉などで味にメリハリをつける
- 出しにくいしょうゆさしを使う:一度に出る量を減らす
汁物と麺類は「汁を残す」
味噌汁は、食塩のとり方の上位に入っています。汁物は1日1回にする、具を多くして汁を少なめにする、だしをしっかりとって味噌を減らす、といった工夫が効果的です。うどんやラーメンなどの麺類は、汁を飲み干さずに残すだけでも、食塩をかなり減らせます。
加工食品は「食塩相当量」を見て選ぶ
市販の食品は、パッケージの栄養成分表示に「食塩相当量」が書かれています。同じような商品なら食塩相当量が少ないものを選び、「〇%減塩」「塩分控えめ」などの表示も参考にしてください。表示の単位は「1食分当たり」「100g当たり」など商品によって違うので、比べるときは注意が必要です。
高齢者が減塩するときに気をつけたいこと
高齢者の減塩は、若い人と同じ考え方で進めると、かえって体調を崩すことがあります。次の点に気をつけてください。
- 食べる量が減っていないか:味が薄くなって食欲が落ちると、体重や筋力が落ちてしまう
- 汗をかく時期や脱水に注意:夏場や発熱時、下痢のときは、水分と塩分のバランスに注意が必要
- 腎臓病の人は自己判断で「カリウム」を増やさない:減塩とあわせて野菜や果物をすすめられることがあるが、腎臓の機能によってはカリウムを制限する必要がある
- 薬との関係:利尿薬など、塩分や水分のバランスに関わる薬を飲んでいる場合は主治医に確認する
なかでも大事なのが、「減塩」より「食べる量を保つこと」を優先する場面があるということです。食が細くなっている親に厳しい減塩をすると、低栄養につながります。体重が減ってきたときは、塩分よりもまず食べられる量を確保し、主治医に相談してください。体重減少の目安は高齢者の体重減少|危険な目安と原因・対策、脱水については高齢者の脱水症状|気づき方と薬の落とし穴で解説しています。
減塩を続けるための工夫
減塩は、続けられなければ意味がありません。毎食きっちり計算しようとすると、作る人が疲れてしまいます。
- 1日3食すべてではなく、「夕食だけ」「汁物だけ」など範囲を決めて始める
- だし・うま味(昆布・かつお節・干ししいたけ)を活用し、塩を減らしても物足りなくない味にする
- 減塩の調味料や、塩分を調整した食品・宅配食をうまく組み合わせる
- 血圧を家で測って記録し、変化を本人と一緒に確認する
日本高血圧学会は、減塩だけでなく「おいしさ」も審査した減塩食品のリストを公開しています。減塩の食品は「味が薄くておいしくない」と思われがちですが、最近は食べやすい商品も増えています。
塩分を計算した食事を、
宅配で取り入れる
毎食の塩分を家で計算し続けるのは大変です。メディカルフードサービスは、食事制限が必要な方向けの宅配食で、塩分制限食・たんぱく制限食・カロリー制限食などコースが細かく分かれています。忙しい日の1食を置き換えるだけでも、作る人の負担は軽くなります。
- 塩分制限食・たんぱく制限食・カロリー制限食などから選べる
- 食事制限が必要な方向けの宅配食
- 見た目を保ったやわらか食のコースもある
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制限食のコースを見てみる※病気で食事制限を受けている場合は、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。価格・送料は公式サイトでご確認ください
病気で塩分制限を受けている場合
高血圧・心不全・腎臓病などで、主治医から具体的な塩分の量を指示されている場合は、その指示が優先です。病気によっては、塩分だけでなく、たんぱく質・カリウム・水分などの制限が組み合わさることもあります。
制限の内容がわからない、家でどう作ればいいかわからないときは、かかりつけの医療機関の管理栄養士に栄養指導を受けられないか相談してみてください。病気ごとの宅配食の選び方は高血圧の食事宅配の選び方、腎臓病の食事宅配おすすめで紹介しています。
よくある質問
高齢者の1日の塩分の目安はどのくらいですか?
日本人の食事摂取基準(2025年版)の目標量は、18歳以上の男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満です。高血圧予防を目的とした減塩目標は1日6g未満とされています(高血圧管理・治療ガイドライン2025)。病気で通院している場合は、主治医の指示を優先してください。
減塩しょうゆに変えるとどのくらい減りますか?
厚生労働省の資料では、大さじ1杯のしょうゆを40%減塩しょうゆに置き換えると、食塩摂取量を約3gから約2gに減らせるとされています。
味が薄いと食べてくれません。どうすればいいですか?
いきなり全部を薄味にせず、卓上の調味料をやめる、汁物を1日1回にするなど、1つずつ減らしていくのがおすすめです。酸味・香辛料・だしで味にメリハリをつけると、塩を減らしても物足りなさを感じにくくなります。
高齢者は減塩しすぎてもいけないのですか?
食が細い高齢者に厳しい減塩をすると、食欲が落ちて低栄養につながることがあります。体重が減っているときは、まず食べられる量を確保し、主治医に相談してください。
減塩のために野菜や果物を増やしてもいいですか?
野菜や果物に多いカリウムは、ナトリウム(食塩)による血圧上昇を抑えるとされています。ただし、腎臓病がある人は、腎臓の機能によってカリウムを制限する必要があるため、自己判断で増やさず主治医に確認してください。
- 食塩の目標量は男性7.5g未満・女性6.5g未満。実際の平均は男性10.7g・女性9.1g
- 食塩の約半分は、しょうゆ・味噌・食塩などの調味料からとっている
- 卓上の調味料をやめる、減塩タイプやポン酢に変える、汁を残すなどで減らせる
- 高齢者は、減塩より食べる量を保つことを優先する場面がある
- 腎臓病の人は、カリウムを自己判断で増やさない
- 病気で制限がある場合は、主治医・管理栄養士の指示を優先する
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。食塩の目標量・摂取量・摂取源の数値は、厚生労働省の情報(e-ヘルスネット、日本高血圧学会監修の資料)にもとづいて記載しています(2026年10月確認)。病気で食事制限を受けている場合は、主治医・管理栄養士の指示を優先してください。高齢者の減塩の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、医学的な指導に代わるものではありません。





